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本編
14、情事
しおりを挟む車で移動して、抱き抱えられてどこかの部屋に入った? あっここはもしかして西条の私室? だって、この部屋から西条の匂いが強く感じる。
彼に包まれているようだ、うっとりしていると西条から声をかけられた。
「正樹、大丈夫か? よく耐えたな、もう無理に我慢する必要はない」
あぁ、西条! なんで一緒にいてくれているのかもよくわからないけど、でも嬉しい。
「西条、西条っ」
「どうした?」
「辛い、からだ、あついっ」
他の邪魔な匂いが一切ない。
今は多分、西条と二人きりになったんだ。そう思ったらもう理性なんかなくなった。俺から淫らなフェロモンが強く放出された。どうやってそんなモノを出すかなんてまるで知らなかったのに、自然に動物的本能でやり方がわかったみたいだった。誘うように目を見た。
お願い、今だけ流されて? 俺を抱いて、心の中でそう思った。
「そんな目で見られたらたまらないな。ほら、服を脱がすから、そのまま全てを俺に委ねればいい、そうすれば体の熱さも……」
「西条に全て任せるっ! お願いっ早くっ」
西条の言葉に被せて我慢できないとばかりに、縋りついた。俺はオメガと化した、ひたすらに彼を求めた。
「あっ、あついっ、西条っ、ふあっ」
「ふふっ、正樹っ。そんなにくっついたら服が脱がせられないぞ、ほら、離して?」
西条が笑う、発せられる言葉には柔らかさを感じた。これは本当に今まで怖いと言われていた人なのか?
「あっ、ごめっ、」
「キス、していいか?」
「えっ、きす?」
ハッとした。目が合ったらそのままセクシーな唇が近づいてきた。
ダメだ!
不意に顔をそらした。そして涙が出てきた。これは、ダメだ。抱いてもらえるだけでもありがたいのに、好きでもない嫌いなオメガである俺にキスなんて! キスしたいけど、気持ちが繋がってないのにそんなことしたらダメだ!
これ以上、嫌われたくない。彼は優しいから、先生に助けてやれと言われて、嫌々俺を抱いてくれるんだ、オナホが唇まで求めるなんて、絶対ダメだ。
「それ、は……だめ」
「どうして?」
「はぁっ。キス、は、好きな人とじゃなきゃ……」
体が熱くてそろそろ本気で限界だけど、キスしなくて良いってちゃんと教えてあげなくちゃ。
「正樹は俺が嫌い?」
「すき」
大好き、当たり前じゃん。
俺いくらヒートでも好きでもない奴と体を重ねるなんてできない……と思う。発情に入っているから確かなことは言えないけど櫻井に触られた時すごい嫌悪感があった、西条に触られると嬉しさしかない、だから俺は西条じゃなきゃ嫌なんだ。
「じゃあ、キスしていいよね?」
「だめ」
「どうして? 好きならキスしたい」
「ダメ、しないで。そんなことより、西条っ、お願いはやく俺にそれを入れて」
意地悪を言って俺を煽るならそれで正解だよ。お願いっ、抱いてくれると決めたんなら、これ以上俺を惨めにさせないで。
西条だって、こんな意味のない会話のやりとりなんかしたくないはず、あっ!? 俺の匂いで西条のがデカくなって、ズボンの締め付けに苦しそうにしている。肉欲に支配されている俺は、西条のそれをそっと撫でた。びくって動いた!
「正樹、煽るな、じゃあ遠慮なく抱くから」
その言葉と同時に服を急いで脱がされて身体中にキスを受け、胸の突起をつままれた。
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