運命を知っているオメガ

riiko

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本編

1、オメガになった日

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 今日から高校生活が始まる。

 ワクワクしながらも不安はある。それはこれから始まるかもしれない発情期や、改めてアルファやオメガという人種の中に入ること。

 俺は中学時代、ベータしか存在しない学校に通っていた。でも高校には、中学の時とは違いベータだけではなくアルファやオメガも存在するらしい。

 そこは受験する際に再度バース検査を受けることが必須だった。小学生の時の検査でベータだったし、突出した能力も無いから意味ないのにと思ったが、たまにいきなりアルファになるやつとかもいるらしいし、必須なら仕方ないので受けてきた。

 バース検査になんて、引っかかるとも思ってもなかった。

 検査結果はまさかのオメガ。

 両親はそんなこともあるのかと驚いてはいたが、むしろ母親は喜んでいたように見えた。なぜなら俺の母親は腐女子という部類らしく、アルファのイケメンを婿に迎えられるチャンスができたと訳のわからないことを言っていた。

 それはさておき、多様性の中でも生き抜く力を手に入れろという我が家の方針と、若いうちからできるだけ多くのバースと触れ合わせて偏見の無い人間に育って欲しいという両親の願いがあった。俺はなんの疑問もなく、その両親が選んできた高校に勧められるまま受験しただけだった。

 その時までは何も考えていなかった。でも今は違う! 俺、男。オメガとなった以上、そんな学校行くのはちょっと嫌だ。自慢じゃないが凡人の中の凡人、それが俺、 真山正樹まやままさきだ!

 今まで性別を疑ったこともなく、もちろん男としてしか生きていないし、可愛い女の子で童貞を卒業するのを夢見ている。それなのに、妊娠できて男はおろかアルファなら女の子にまで掘られる側。そんなの受け入れられるわけがない。そしてそんな恐ろしい人種がいるところなんて行きたくない。

 いっそこのままオメガを隠して、またベータしか存在しない学校に通えばいいのではないか? そう思って親に相談するも、もうその高校には事前検診の結果も送っていた。

 国の方針でアルファとオメガは自動的にいく学校は決められていてその一つがその学校だった。俺がオメガと判明した時点で、たとえベータしかいない学校に受かっていたとしても無駄だったのだ。そこに通うのは決定事項になっていた。

 ベータだけの幸せな中学時代だったから、高校でもそれを選べばよかった。そしたら再度バース検査なんて受けずに、発情期がくるまでオメガだって知らず生きられたのに。なんの考えもなく親の勧めるままに、俺の偏差値ではかなり厳しいにもかかわらず、辛い受験勉強を頑張った俺、無駄な努力をしていた。

 悔しいっ。
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