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最終章 本当の幸せ
68 エピローグ
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あれから五年が過ぎた、そんなある日の榊家の朝。
「おい、隆二! 遅れるって!」
「待って、ネクタイ、爽が結んで」
隆二がネクタイを首にかけたまま、俺に駆け寄ってきた。なぜか手は濡れている。
「うおぉぉーい、おまっ、まだ結んでないのかよ!」
「だって、潤君のおむつがぐっしょりだったから」
「ああ、そうか、それはすまない」
旦那のネクタイを結ぶ俺。榊家ではめずらしくもない慌ただしい朝の時間だった。
「潤は?」
「おむつ変えたらご機嫌になって、寝ちゃった」
俺は丁寧に、旦那で最愛の番である隆二のネクタイを結んでいた。隆二は嬉しそうに俺に次男の話をする。
「ふはっ、パパのおむつ替えに満足したみたいだな」
「二人目ともなると、さすがに慣れるよね」
息子の潤はまだ生後半年。今日は義理の両親に見てもらうために、潤の準備を終えたところだった。三歳の長男は、前日から俺の実家にお泊りに行っていた。ジジババが大好きで、楽しんでいると先ほどテレビ電話で話していた。両親により着飾られた長男は、隆二に似て何を着ても似合っていた。あとで合流するのが楽しみだ。
俺たち夫夫は、男の子ふたりの親になっていた。
そして、今日は姉の結婚式だった。
結局、結婚も出産も、俺が先に経験させてもらい、姉たちは仕事に生きて、あれから五年後の今日、二人は晴れて入籍することになった。運命の番を目撃した姉と、運命を失った加賀美には少しばかり長めの時間が必要だったようだ。
でも二人はそれを乗り越えて、沢山の人に祝福されて、今日結婚する。
「なぁ、俺たち、毎日ばたばたしているけどさ」
「うん? たしかに子供生まれてからバタバタしているよね、はは」
「うん。でも、俺、凄く幸せだ」
「爽、僕もだよ。爽、愛している、一生守っていくね」
「俺も、俺も隆二を一生支えていく。愛してるよ」
いつものキスをして、そして慌ただしく次男の潤を抱えて、二人で車に乗り込んだ。
――fin――
お読みくださりありがとうございました!
riiko
「おい、隆二! 遅れるって!」
「待って、ネクタイ、爽が結んで」
隆二がネクタイを首にかけたまま、俺に駆け寄ってきた。なぜか手は濡れている。
「うおぉぉーい、おまっ、まだ結んでないのかよ!」
「だって、潤君のおむつがぐっしょりだったから」
「ああ、そうか、それはすまない」
旦那のネクタイを結ぶ俺。榊家ではめずらしくもない慌ただしい朝の時間だった。
「潤は?」
「おむつ変えたらご機嫌になって、寝ちゃった」
俺は丁寧に、旦那で最愛の番である隆二のネクタイを結んでいた。隆二は嬉しそうに俺に次男の話をする。
「ふはっ、パパのおむつ替えに満足したみたいだな」
「二人目ともなると、さすがに慣れるよね」
息子の潤はまだ生後半年。今日は義理の両親に見てもらうために、潤の準備を終えたところだった。三歳の長男は、前日から俺の実家にお泊りに行っていた。ジジババが大好きで、楽しんでいると先ほどテレビ電話で話していた。両親により着飾られた長男は、隆二に似て何を着ても似合っていた。あとで合流するのが楽しみだ。
俺たち夫夫は、男の子ふたりの親になっていた。
そして、今日は姉の結婚式だった。
結局、結婚も出産も、俺が先に経験させてもらい、姉たちは仕事に生きて、あれから五年後の今日、二人は晴れて入籍することになった。運命の番を目撃した姉と、運命を失った加賀美には少しばかり長めの時間が必要だったようだ。
でも二人はそれを乗り越えて、沢山の人に祝福されて、今日結婚する。
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「うん? たしかに子供生まれてからバタバタしているよね、はは」
「うん。でも、俺、凄く幸せだ」
「爽、僕もだよ。爽、愛している、一生守っていくね」
「俺も、俺も隆二を一生支えていく。愛してるよ」
いつものキスをして、そして慌ただしく次男の潤を抱えて、二人で車に乗り込んだ。
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