魔法の呪文は愛のコトバ

riiko

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14 夜がきました! ※

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 さぁ、陸人。旦那様を今日はどう料理してくれるのかな! 陸斗と変わるのが楽しみだった。食後、旦那様は少し事務仕事を済ませてから部屋に来ると言っていたので、僕は湯あみをした。そして夕食時同様、思いのほか早くに旦那様はやってきた。それは、僕がお風呂から上がって、ほやほやの状態の時だった。

 あのスケスケレースは、さすがにもう止めてもらった。今朝セバスに会った時に、夜着は擦れたあとなどがあり、補修をしなければならないので、その間他の夜着を用意すると言われた。擦れたあと? 陸人どんな寝相したのかな? 

 なんとあのスケスケレースは一点もので、僕のために嫁入りに合わせて作っていたとか。なぜ? 他の夜着もそんな感じでは困るので、そこは普通の服にしてくださいと言ったよ。僕は風邪をひきやすいので、出来ればちゃんとした布が良いですと言ったら、セバスは慌てて謝ってきた。

 大事な奥様のお身体のことを考えず申し訳ありませんとかなんとか、ではいったい何を考えた夜着だったのでしょか……。そういう会話からか、男性が着るタイプのセパレートの夜着が用意されていた。しかも上等な布だった。これで心もとなさが無くなったので舞い上がっていたところに旦那様登場だった。

 旦那様は相変わらずの肉体美を見せたガウン姿。そしていつも髪の毛濡れているのね? どうして乾かさないまま歩きまわるのでしょうかねぇ? 騎士だから体が強いのだろうけど、風邪……引かないか。僕は自分のタオルで旦那様の髪をそっと拭いた。なんだか、こういう無頓着なところは可愛いなと思ってしまう。

 すると、僕の手をがちっと握られた。あれ、これ、もしかして、この流れ……。

「良いのだな?」
「え?」
「私は今日、リクと三十分以上会話をした、だから今夜こそいいのだな?」
「え、んんんんっつ、っん!」

 唇を奪われた。そしてそのまま抱きかかえられて、ベッドに寝かされた。そこは慎重に大事な商品を扱うかのように丁寧に下ろされた。キスはいきなりで激しいのに、抱っこだけはとても気を使われているような気がする、この矛盾。

「リク!」
「ひゃあっ、んんん、ああっ! いた、いたいっ」

 旦那様はいきなり僕の胸の突起を握ってきた。僕が痛いと言ったら、初めて止まってくれた。わあ、これは、陸人の教育の賜物!

「ああ、すまない、そっとだったな」
「え、ひゃああああ、あ、あ、あん!」

 旦那様は早速昨夜覚えた、おっぱいを吸う、舐めるという行為を始めた。そして、それが今までの行為と違って、あまりに丁寧でじれったくて、僕の体は焦った。そう、彼の熱い舌で胸を転がされると、僕はたちまち……。

 陸斗のばかぁ、おっぱい、感じちゃったよぉぉぉ。

 いきなり感じる体にならないって言っていたのに、ああ、今ので僕の中心が……形を変えてしまった。旦那様がそこを凝視している。

 服はすでに、目に見えぬ速さで服をはぎ取られていて、ズボンを残すのみだった。そのズボンも股間部分がもっこりと膨らんでいた。

「リク、胸はおわったな」
「え?」
「そしたら、次はこの部分をいいか?」
「え、えええ?」

 旦那様がそっと僕の股間を触った。そしてずぼっと一気にすべてを下ろされて、風にさらされた僕の大事な部分。すこし上を向いているそれを躊躇なく口に咥えていた。

「えええ!」
「……っちゅ、ふっ、」
「わ、あ。わわわわわ! だめです、離して、離してくださいっ」
「だめだ、ここが終わらないと後ろへ移れない」
「え、や、あ、あ」

 まさか昨日初めて覚えた行為をもうこんな簡単にこなしてしまうの? そして、気持ちがいい、どうしよう、気持ちがいい。大事なので頭の中に二度復唱した。僕は天を仰いだ。もう、どうにでもなれという気持ちで、旦那様のお口に吐き出してしまった。そして旦那様はまるで極上のワインでもお召し上がりになったかのような、煌々としたお顔をされた。

「気持ち良かったか?」
「……はい」

 さすがです、一度教えたことは学習するほどの能力をお持ちだったんですね。僕が痛い痛いと拒まずにいたからこそ、彼は学習できなかったのだ。それがいいと思ってしまった。しかし陸人がそれは気持ちよくないとはっきりと言ったことで、旦那様は努力して変わられた、たった一日で。すごい能力だった!

 僕は息を整えながら旦那様を見下ろした。僕の股間の間にいるからね。そこから上がってきてくれないだろうか……。恥ずかしい。そして僕と目が合うと今度は、お尻を、な、な、舐めたぁ!

 さすがにそこまでは昨日は習っていないはず! なんで、なんで、なんで!

「男の嫁を持つ部下に聞いた」
「へ?」
「そいつの嫁はここを舐めると喜ぶらしいが、リクはどうだろうか?」

 どうした! 旦那様、いきなりの予習までしてきたの? 今までのはいったいなんだったのですか! どうして今っ急にそこまでレベルを上げるのでしょうか⁉

「し、し、知りません! そ、そこはいいので、ちょっと待ってください」
「どうしてだ?」
「キ、キスがしたいです!」

 僕は下半身をとりあえず開放したくて、キスを強請った。すると旦那様は笑って、こちら側にきた。そして僕の上に乗り、上から唇を優しく奪ってきた。ああ、やっぱりキスは気持ちいい。この人、娼婦とキスしないって言っていたし、経験が他になさそうな会話していたってことは、僕が初めてなのかな。それなのに、どうしてこんなに気持ちがいいんだろう。唇ってそういうもの? ほかの人との経験がないから、僕にはわからないけれど、思考のすべてが奪われる。彼の唇に夢中になった。いつからか、僕も陸人がやっていたように、彼の口内を欲していた。

 体なんて繋げる必要ないのに。裸で抱き合って、キスして、首に腕を絡めれば、これ以上ないくらい一番近い存在になるのに、どうしてそんなにお尻の孔にその大きなモノを入れたがるのだろうか。

 旦那様がキスをしながら、僕のお尻に触れてきた。

 うわっ、もしや、このまま、するつもり⁉

 まだ陸人を呼べていないのに、どうして僕は湯あみをのんびりしてしまったのだろうか。部屋に戻った時点で、陸人と話をしていれば良かった! 呪文、言わなくちゃ!

「ラミチルラミチル、どどどどどーん」
「へ?」

 僕の言葉に、夫が不思議がる。

「え? えっと、ラミラミるるる!」
「は?」
「あ、ちがった?」
「ど、どうした? リク」

 今度は気でも触れたかと思ったのか、夫は心配した声をだした。しまったよ、僕あの長い呪文を忘れてしまった。

(どうしよう、もういい加減出てきてよ! 僕、言葉に出しちゃって、旦那様に聞こえちゃっているんだからぁ!)

 鏡の中で笑う、もう一人の僕。

(陸人、そこにいるんでしょ! もう、僕じゃもうこの危機を乗り越えられないよぉ。助けてよぉ、リクト!)

 心の中でそう願うと、鏡の中のリクトが僕の頭に話しかける。

(ちゃんと言えよ、そうしたら俺が代わりに頑張ってやるからさ!)

 うぅぅぅぅ。なんで夫が来る前に代わってくれなかったのぉ。僕は嘆きながら、声に出した。そして精一杯思い出した言葉を言った。

「ラ」
「ら?」
「ラミちゅん!」

 夫が僕を真顔で見て、一瞬時が止まった。ああ、呪文間違えたみたい。陸人は鏡の中でお腹を抱えて笑っている。そして今度はそれに対して、なぜか夫が勢いよく答えた。

「リクりゅん!」
「や、やあぁぁ、んん、んんんっ」

 夫がこれでもかというくらいの貪り方で、唇を奪ってきた。これでは魔法の呪文を唱えられない。というか、もう呪文の言葉が思い出せない!

「リクりゅん、リクりゅん!」
「いや、いや、ちがう、違うのぉぉ。興奮しないでください、ああ、もう! リクト早く!」

(はは、お前の旦那、もう限界だなぁ。しょうがねぇ、ダレトクブラコンダレトクブラコン、俺になぁれ!)

 ああ、やっと解放される。遅いよ、陸斗。そして旦那様、どうしたの? いつからそんなキャラだったぁぁ?

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