魔法の呪文は愛のコトバ

riiko

文字の大きさ
上 下
1 / 22

1 プロローグ

しおりを挟む
「ラミチルラミチル、どどどどどーん」
「へ?」

 僕の言葉に、夫が不思議がる。ちなみに今、ベッドの上、夫が僕の上に乗っかっている最中。

「え? えっと、ラミラミるるる!」
「は?」

 夫は今度こそ、ちょっと怒り気味。はやく繋がりたいのに、嫁は意味のわからない言葉で情事を遮っているのだから。

「あ、ちがった?」
「ど、どうした? リク」

 今度は気でも触れたかと思ったのか、夫は心配した声をだした。

 どうしよう、もういい加減出てきてよ! 僕、言葉に出しちゃって、旦那様に聞こえちゃっているんだからぁ!

 鏡の中で笑う、もう一人の僕。

 あれ、絶対楽しんでいる。もう、僕じゃもうこの危機を乗り越えられないよぉ。助けてよぉ、リクト!

 心の中でそう願うと、鏡の中のリクトが僕の頭に話しかける。

(ちゃんと言えよ、そうしたら俺が代わりに頑張ってやるからさ!)

 うぅぅぅぅ。なんで夫が来る前に代わってくれなかったのぉ。僕は嘆きながら、声に出した。

「ラ」
「ら?」

 僕を組み敷いている最中の夫が、僕の後に言葉を続けた。夫の顔が、なにか面白そうにも見える。

「ラミちゅん!」

 夫が僕を真顔で見て、一瞬時が止まった。そして今度はそれに対して、勢いよく答えた。

「リクりゅん!」
「や、やあぁぁ、んん、んんんっ」

 夫がこれでもかというくらいの貪り方で、唇を奪ってきた。これでは魔法の呪文を唱えられない。というか、もう呪文の言葉が思い出せない!

「リクりゅん、リクりゅん!」
「いや、いや、ちがう、違うのぉぉ。興奮しないでください、ああ、もう! リクト早く!」

(はは、お前の旦那、もう限界だなぁ。しょうがねぇ、ダレトクブラコンダレトクブラコン、俺になぁれ!)

 ああ、やっと解放される。遅いよ、陸斗。


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

運命の番は後天性Ω

BL / 連載中 24h.ポイント:85pt お気に入り:237

恋人契約~愛を知らないΩがαの愛に気づくまで~

BL / 完結 24h.ポイント:7,278pt お気に入り:813

王太子専属閨係の見る夢は

BL / 完結 24h.ポイント:220pt お気に入り:2,402

【連載版】多分それが愛というものだから

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:231

幼馴染で両思いなのに運命の番じゃないわけがないだろ?

BL / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:240

誰もシナリオ通りに動いてくれないんですけど!

BL / 連載中 24h.ポイント:26,246pt お気に入り:2,883

転生した悪役令嬢の断罪

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:13,356pt お気に入り:1,615

欠陥品オメガが運命と出会って幸せになりました

BL / 完結 24h.ポイント:198pt お気に入り:1,382

催眠アプリ使ってみた

BL / 完結 24h.ポイント:113pt お気に入り:401

処理中です...