運命を知りたくないベータ

riiko

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日本編

18、病院から

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 類に、親から連絡来たから僕は先に帰るけど、この後同級生と楽しんでと耳打ちすると、類も一緒に行くと言い出した。

「大丈夫だから。久しぶりだし、僕に付きっきりじゃなくてもいいよ。類もみんなと楽しみなよ」
「俺の楽しみは海斗の隣にいることで、海斗の全てを知り尽くすことだけど?」
「へ?」
「引いた?」

 引いてないけど驚いた。だって、僕とはこれからもずっと一緒にいるのに、でも類が同級生とこんなふうに会えるのは、かなり貴重な日じゃないのかな。

 それに僕たち、付き合ってもう一年は過ぎた。イギリスでも離れた日はないくらい、ずっと一緒にいる。たまの日本くらい、僕と離れて過ごすのもアリなのかなって思っていたのに、ここに来ても、ううん、日本に来てからは仕事もない分、全く離れた時間もない。

「嬉しいけど、僕とは今夜もホテルで一緒にいるでしょ?」
「片時も離れたくない。仕事とかなら仕方ないけど、プライベートはだめ」
「ふふ、わかった」

 僕、仕事をして無理をさせていたのかな? 仕事が終わるとすぐに類と会うし、類の時間が許す時は仕事場まで着いてくることもあった。恋人って、こんなにべったりするものなのかなぁ? 一人しか経験なかったから、よくわからないところも多い。

「類は、息つまらない?」
「えっ!? 海斗は俺といてそうなの?」

 類が怖い顔して、ちょっと大きな声が出た。

 近くにいた正樹が、驚いた顔でこっちを見てきた。

「ち、違う。そうじゃなくて、あ――、もう! そんな類も好き‼」
「えっ」

 この場で僕たちの痴話喧嘩を、正樹に見せてあげるのは嫌だと思って、僕は恥ずかしげもなく類に抱きついた。類は驚いた声をだしながらも、怒りは治ったみたいで僕をぎゅっとした。まるで条件反射のように、僕が抱きつくと類がぎゅっとする。

「ええっ!?」

 正樹も驚いて、持っていた荷物を落としそうになったところを、彼のつがいが受け止めていた。僕たち、きっと、ずっと喧嘩なんかないんだろうな。口論の前に体がくっつけば、もう受け入れてもらえる。

「正樹、驚かせてごめんね。僕どんな時でも類が好きで、いつでもくっついていたいの」
「あっ、そ、そうですか。それは、また」

 類もククッて笑っている。

「海斗には敵わないな、正樹、大きな声出して悪かった」
「いや、お前が大声出すとこ初めて見たから、ちょっとびびっただけだから、それより目の前でラブシーン始まる方が困るわ‼ ここ、日本。俺たち日本男子」

 僕と類は抱きつきながらも、お互い笑った。

「ふふ、正樹そんなイチャイチャ好きそうな恋人がいるのに、なに言ってるの? 君たちもさっきから結構、ラブシーンしていたけど?」
「えっ、え、そん、そんなことありません、ってこら、司離れろっ! 俺が、日本での日本男子としての見本にならなくては‼」
「そんな必要ないだろ、俺たちつがいなんだし。そこ日本関係ないからね」
「ん? まぁ、そうか?」

 あっ、やっぱり正樹はチョロくて愛すべきおバカだった。類がイギリスでも正樹の話をしていたのを、思い出した。そして実物に会って、ようやく理解できた。

「ふふ、君たちの仲がいいのはとても安心する。僕これから用事があって、もう出なくちゃいけないんだけど、類も連れて帰ってもいい? 僕いつでも類と離れたくないんだ……」
「ふへっ、え、ど、どうぞ。櫻井もまた日本帰ってくるんだろ? その時みんなで集まろう、もちろん海斗さんも」

 正樹が赤い顔をして僕に答えた。そりゃそうだよね、君たちより年上の僕が、類にべったりってところを見せているんだもん。

「ああ、正樹。ありがとう、日本に来てやることまだあって、時間とれなくてごめんな。西条も、また来年世話になるわ」
「おお。お前にしては、まあ、愛されているみたいで良かったな。二人ともお幸せに」
「ありがとう」

 類は僕が必要と言ったことに、満足したみたいで、僕と手を繋ぎながらも二人に挨拶していた。

 そして会場を出てタクシーに乗った時に、類に伝えた。

「陸斗、目が覚めたって。それで、つがいがいた記憶がないって……」
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