45 / 63
日本編
16、類の初恋の人 2
しおりを挟む「君のことは類から全て聞いているよ」
「えっと、え?」
「海斗、そんな嫉妬しなくても大丈夫だって言っただろう。正樹なんて俺との過去を忘れて、何について言われているのかもわかってないから」
類がそう言うと、今度は明という子が僕に話しかけた。
「はは、それ言えてる。正樹はそういうやつだし、それに怖い番がいるから、こんなチョロ助のこと気にしなくて大丈夫ですよ! カイさん、いえ海斗さん」
明は正樹の頭をガシガシする。みんなバースとか関係なしに仲がいいんだなって思った。たしか近藤と明はベータと類から教えられていた。そしたら怖そうな顔のアルファが登場した。
「俺の最愛の頭を触るな、それにチョロ助は一生懸命に成長中だから、そこをあまりいじるな」
「やべっ、怖い旦那登場だ!」
そのアルファは正樹を後ろから抱きしめる、ああ、この男が正樹の番か。正樹もそんな男に呆れたのか頭を撫でていた。
「 西条相変わらずだな、正樹に飽きられている頃かと思ったら、そうでもなくて安心したよ」
「そんな心配は一生いらない。それより、まぁ櫻井も元気そうだな、婚約おめでとう」
「ありがと」
西条は類と向き合う時、想像したのと違って、表情が柔らかかった。そして近藤と明は興奮していた。
「ええっ‼ 婚約したの!? すげぇな櫻井、おめでと――‼」
「お前はいつか大物をとらえると思ったけど、まさか相手は、アジア最大のクールビューティーでバースも国籍も謎の大物モデル kaiだとは‼」
良かった、僕のことはここでも周知されていて、僕という有名人を婚約者として紹介した類が褒められていた。ほんとモデルやっていて良かった。この美しいと言われる顔で良かった、類の隣にいても良いって認められているようで凄く嬉しい。
「そんな有名人だったの!?」
正樹が純粋に驚いた顔をしていた。
「さすが正樹、そこも知らないのかよ。kaiって言ったら、老舗宝石メーカーの専属モデルで、 カイさんがモデルになるとそのアクセサリーがバカ売れするんだよ。バース別のアクセサリーモデルを全てこなしているから、カイさんはカメレオンモデルと言われていてな、いまだバースが謎のままなんだ」
「す、凄いね」
「お前の母さんにたまたま会った時さ、櫻井の恋人のバースは聞いてないのかって聞かれて、それで俺もネット見たらカイさんの恋人は日本人アルファってなっていて、櫻井が出てるじゃん!? 驚きだったけど、百合子さんのネタが早かったのにはもっと驚いたぞ。お前からだと思っていたけど、違ったのな」
ベータ二人は、僕のことに詳しかったからちょうどいい。
「君たちは類の親友だって聞いたからバラしちゃうけど、僕は名前でもわかる通り日本人でベータなんだ。それでも類は僕を選んでくれて、僕も類に運命を感じたから」
「世間には結婚したときに、海斗の性別は発表するから、まだ誰にも言うなよ?」
僕と類は見つめあって、お互いに決めたことを類の親友たちに伝えた。
「そうだったんだ。でも性別なんて所詮関係ないよ、人が人を好きになるって。人のバースを見て選ぶわけじゃないしな」
明は類と同じような考えを持っていた。この子たちはみんな、とても純粋で、人を人として見る子たちなのかもしれない。
「ああ、そうだよ。俺だって今付き合っているの、オメガの男の子だし」
「え! 俺初耳だよ。明美ちゃんはどした!?」
近藤はオメガの子と付き合っていると言った。ベータ男子がオメガ男子と付き合うのは、それはハードルが高いと言われる。発情期にはそれなりの体力精力が必要となるし、アルファの方が断然オメガを満足させられるからだ。
しかしそんなことお構いなしに、そこにいるのは嬉しそうに彼氏のことを話すただの男子高校生でしかなかった。そして類も当たり前のように、オメガというところは全く気にならなかったようで、彼女と別れたことに食いついていた。
なんだか拍子抜けだ。時代はもうベータだからとかそういう考えが古いのかな? それともこの子たちの考え方が、類よりなのかな。なんだか救われる、僕がここにいても良いって当たり前のように言われている気がした。類の隣にベータの僕がいるのはなんの問題も無いようだった。
「あ? もうとっくに別れたよ。いつの話だよ‼ 今はそいつとラブラブなわけだよ」
「マジか‼? 俺がイギリスに行っている間にそんなことに……。でも良かったな!」
「なんだよ、今フリーなの俺だけか!? しかたねぇ、入江さんの知り合いの大人女子をゲットしてくるか!」
「お前は、今日が何の日かを思い出せ。ここはマッチング会場じゃねえ、俺らのマドンナ沙也加ちゃんの晴れの日だろ」
仲の良い同い年の同級生たちのノリで、類もみんなも笑っている。僕の前で大人びた顔をする類も、無邪気な顔をする類も、そして気の置けない友人たちの前の類も、全ての類が僕を魅了する。僕はぼうっと類に見とれていた。
類が幸せそうに笑うの、僕好きだな。
そこでネチ男こと、西条司という男が類に話しかけてきた。
「櫻井、ちょっと式が始まるまでいいか?」
「ああ、」
正樹がオロオロしている、見ていて飽きないな、この子。
「正樹、そんな不安な顔しないで? 櫻井は来年ここで式を挙げるんだよ、そのことで少し話があるだけだから」
「あっ、そうなんだ!」
類も僕に優しい顔を見せた。すると耳もとで僕にだけ聞こえる声で話してきた。アウェイな環境の僕に、気を使ってくれているのだと思う。
「海斗、ちょっと西条と席外すけど大丈夫?」
「うん、正樹と話している」
「そうか、あまり虐めるなよ」
「ふふ、わかっているよ」
僕たちはコソコソっと話してお互いに微笑合うと、今度は類が正樹に向き合った。
「正樹、海斗と一緒にいてやってくんない? 一人にすると海斗に声かけてくるやついるから、男前な正樹がナイトしといてくれな?」
「おう! 任せろ‼」
類は人前だけど僕にキスをした。そしてそれを見た西条が正樹にキスしていたけど正樹が驚いた顔をしてちょっといやがっていたのは面白かった。そりゃ日本人の男の子だもんね、人前でキスとか慣れてなさそうな正樹に、西条はこれでもかってくらい僕たち、いや、類に見せつけようとしているんだろう。そんな必要ないのに。
43
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話
あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」
トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。
お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。
攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。
兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。
攻め:水瀬真広
受け:神崎彼方
⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。
途中でモブおじが出てきます。
義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。
初投稿です。
初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
六年目の恋、もう一度手をつなぐ
高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。
順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。
「もう、おればっかりが好きなんやろか?」
馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。
そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。
嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き……
「そっちがその気なら、もういい!」
堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……?
倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
AI比較企画作品
溺愛アルファの完璧なる巣作り
夕凪
BL
【本編完結済】(番外編SSを追加中です)
ユリウスはその日、騎士団の任務のために赴いた異国の山中で、死にかけの子どもを拾った。
抱き上げて、すぐに気づいた。
これは僕のオメガだ、と。
ユリウスはその子どもを大事に大事に世話した。
やがてようやく死の淵から脱した子どもは、ユリウスの下で成長していくが、その子にはある特殊な事情があって……。
こんなに愛してるのにすれ違うことなんてある?というほどに溺愛するアルファと、愛されていることに気づかない薄幸オメガのお話。(になる予定)
※この作品は完全なるフィクションです。登場する人物名や国名、団体名、宗教等はすべて架空のものであり、実在のものと一切の関係はありません。
話の内容上、宗教的な描写も登場するかと思いますが、繰り返しますがフィクションです。特定の宗教に対して批判や肯定をしているわけではありません。
クラウス×エミールのスピンオフあります。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/504363362/542779091
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる