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番外編
14、10年後の未来
しおりを挟む「おりゃ!!」
「うりゃ!!」
休日の俺は可愛い嫁が出してくれたコーヒーを飲みながら、戦いごっこをしている可愛い息子たちを眺めていた。のどかだなぁ!!
俺たちが番になってちょうど十年目、今では息子が二人とお腹にはもう一人いる。
「こら――凛、蓮、またそんなに散らかして!! ちゃんと片付けてこっちこい。おやつの時間だぞ」
「「は――い!!」」
正樹がテーブルに、手作りのクッキーを置くと息子たちがわらわらと寄ってきた。二人とも、バスタオルを首に巻いてマントみたいにしていて、おもちゃの剣を握っている。面白い恰好をしている。
「パパっこれ取って!!」
「僕のも!!」
三歳の双子は、子犬みたいに駆け寄ってきて、ソファに座っていた俺のひざに二人して上がってくると、俺の両ひざを独占した。そして首元をきつく巻いてある結び目を取れと言う。
正樹はきつく結んだなぁ、結び目をほどくのに苦戦したぜ!! 最近息子たちはヒーローものが好きみたいで、バスタオルを正樹に渡してこれを結べと言ってよく遊んでいる。
子供はいろんなことを思いつくらしい、不思議だ。でも可愛くて仕方ない、ちょっと解せないのは二人ともそろいもそろって顔が俺そっくりなところだ、性格は正樹そっくりだけどね。
三人目は正樹によく似たオメガの子を頼むと、先日神頼みをしてみた。双子はやんちゃだが、将来正樹を守る戦士が二人増えてくれるなら心強いから、まぁいっかな。
正樹の腹から出てきたと思えば、愛おしさが溢れてきて仕方ない。会社で俺は愛妻家で有名だったが、ついぞ子煩悩アルファとまで言われるようになるとは、人生わからないものだ。
「こら、お前らそこどけ! そこは俺の特等席だ。お前たちはクッキーこぼすんだから、床のクッションに座れな?」
「「は――い!!」」
正樹がソファの下に子供用のクッションを丁寧に二つ敷いた。子供たちが座ると、双子の頭をポンポンとなでてから、当たり前のように俺の膝に座って、ちゅっと軽くキスをした。
そのまま正樹は俺の口にクッキーを入れる。
「司、美味しい?」
俺はもぐもぐと食べながら頷く。正樹はふふっと笑うと、今度は正樹が自分の唇にクッキーを挟んで、俺の前に差し出す。俺は条件反射でまたそのクッキーを口に入れ、正樹の唇ごと頬張る。
エロ可愛い嫁、手作りクッキー、エプロン、全てにおいて正樹は最高級レベルに達していた。俺はあの頃と変わらず、いや高校生の頃よりも正樹に翻弄されている。
息子たちはそんなことは気にすることなく、母の手作りクッキーを夢中でほおばり、案の定テーブルの上はボロボロと食べかすが落ちている。
「こら蓮、落ち着いて食べろな? 牛乳もちゃんと飲むんだぞ」
「は――い、むぐもぐ、ママ!!」
「凛、美味しい?」
「うん!! ママのクッキーが世界で一番すきぃ」
正樹はそうか、って言って優しく微笑んだ。嫁も息子も可愛すぎだろ――。
正樹は恥ずかしがることなく、息子たちの前でも俺にキスをするし抱きしめてくれる。俺は何年たっても幸せだな、我が家には常に笑いが溢れている。
これが俺たち家族の通常運転、今日も幸せだ。
***
「おい、おい!! 起きろ、司。こんなところで寝る奴があるか」
「へっ、俺の嫁ぇ!! 子供たちがおやつに夢中なうちにサクッと一発!」
俺は正樹に抱き着いてキスをしたら、どつかれた。
「ここ、学食。公共の場、寝言は寝ている時だけにしとけ」
「い、痛い……夢?」
俺は大学の学食で正樹を待っている間、気持ちが良くて寝てしまったらしい。そしてすげぇリアルな夢を見ていた。それを正樹に興奮しながら伝えた。
「っていう夢をみたんだ! 母になった正樹は驚くほどエロくって可愛くって、あっ、それは今もそうだな。でも大人の妖艶さも加わってやばかった。子供は双子でやんちゃで可愛いいし、それにその時正樹のお腹には三人目がいたんだぁ」
正樹は俺をじとーっとした目で見る。
「お前は白昼堂々なんて夢を見ているんだよ、夢の中だからって俺にそんな卑猥なことさせるな。そしてよだれ垂らして学食で堂々と寝る奴がいるか!! ボケっ、俺の旦那がゆるキャラだって教えるな、俺以外の前でスキを作るな。お前のダメさ加減を知った奴が、お前なら落とせるなんて思ったらどうするんだ。俺を心配させるな!」
そんな心配? 今さらだなぁ。可愛いすぎ、俺のことほんと好きだよな、俺の方が好きだけどな!!
「俺、大学ではかなり嫁命みたいになっているから、誰も付け入らないだろ? そんな心配するなんてさ、今すぐここで襲われたいわけ? 相変わらず可愛すぎだろ!!」
またぺしって叩かれた。なぜ?
「それにしてもリアルな夢だったなぁ、あれはきっと予知夢だ。子供の名前ももう決まっていた、あれ? 何だったかな?」
夢で子供の名前を呼んでいたのに忘れた。
「夢っていうのは起きた時に忘れていくものだ。それにしてもお前ひどくない? 俺を子供に旦那の膝も譲らない、意地悪な母親にするつもりか!?」
「いや、そうじゃなくて。子供の面倒をきちんとみつつも、旦那一番な嫁ってところが重要なんだよ」
「なんだ、それ」
「俺たち、いつまでたってもラブラブな夫夫でいような!」
「それは賛成だ」
俺たちは手を繋いで、大学を後にした。その手には、まだ初々しいお揃いの結婚指輪が光っていた。
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