運命を知らないアルファ

riiko

文字の大きさ
上 下
57 / 67
番外編

6、番の為のヴィラ 2

しおりを挟む
 
 部屋に入ると正樹が興奮して、探検だぁ――って駆け出して行った。子供かよ、いつも俺に子供子供いうけど、正樹こそ年相応の可愛い男の子だと思う。俺はそんな幼な妻を今夜組み敷くんだぃ!!

 部屋の窓辺には緑が見えて、解放感もある。ヴィラの外は専用の庭になっているので、外からはこちらまで見えない設計で草花や木が生い茂っている。庭にはプライベートプール、ベッドが配置されている。夜空を見ながら、いたせるようにだ。男のあこがれ、アオ……、もできるように設計された。俺の希望でな!! アルファ諸君喜べ、つがい持ちだからこそわかる男のロマンをふんだんに盛り込んだのさ。

 探検? が終わった正樹が戻ってきた。俺にバックハグしてきた、な、な、なんだ!?

「お前、凄いな。すげぇいい一軒家だよ。連れてきてくれてありがとう」
「気に入ってくれた?」
「うん、司のこともっともっと好きになっちゃうよ、お前、俺をどうしたいわけ?」
「こうしたい……」

 向き合って抱きしめた。正樹の鼓動がどくどくと聞こえる、探検して興奮したからな? いい匂いもしてきた、そういう意味でも興奮した?

「つかさぁ、」
「キス、していい」
「して」

 立ったままキスが始まった。とっても気持ちいい、どうしよう、どこでやろうかな。ベッドルームは三つある。全て離れたところに配置しているのは、一つを使っている時に、清掃員に最中の声が聞こえないようにだ。もちろんアルファ側が専用のタブレットで清掃希望時間帯とどの部屋の清掃というのを通知しなければドアが開かない仕組みになっている。きちんとプライバシーが守られる設定になっているので、安心して使ってほしい。

 清掃を呼ばないという選択もできる、その場合、希望リネンなどをタブレットに打ち込むだけ。食事などの注文も、タブレットでヴィラ本部に直通でいくので、即時対応可能なように24時間体制でのスタッフ配置をしている。

 ベッドルーム、リビング、風呂、庭、どこでもヒートを楽しめるように最上級の素材のベッドだったり、カウチだったり、とにかく色々至れり尽くせり発情期を迎えられる。  

 一週間、オメガを閉じ込めるのには最高の場所だ。

「司?」
「ああ、ごめん。探検したんだよね? どこの部屋で愛し合いたい?」
「あ、バカ!! しねぇよ。まだ昼だろ、それより昼飯食おうぜ!!」
「しないのぉ――、マジで?」
「マジで。ここのルームサービスの味も確かめるんだろ、いろいろチェックしてからだよ、そういうのは」

 タブレットを二人で見て、料理を注文した。

「あれ? 何このチョコ、お茶も美味しそう!!」
「ああ、ウェルカムチョコと、ウェルカムハーブティー、リラックス効果ある味に西条グループが開発したんだ、ちょっとしたサービスだよ」
「へぇ――、このチョコお洒落だな、いろんな味がある!!」

 正樹が手に取って見ていた。

「アルファにはビターチョコ、オメガにはスイートチョコ、あとピスタチオとラズベリー、あとなんだっけな、トリュフもあったかな? チョコはウェルカムサービスで置いて、オープン記念には全種類そろった箱入りをお帰りの時に配る予定。ほら、ここにホテルのロゴは入っているでしょ、おしゃれだし誰かがSNSにあげたら話題にもなると思って」

 そう、これは俺が力をいれて開発したチョコレート。四角い一口大のチョコの包装紙にはM&Tと書いてある、その下にMilkミルク Bitterビター Pistachioピスタチオと味を記載。

「あっほんとだ。M&Tって書いてある。英語ってお洒落だよな。ここの名前、M&Tエムアンドティー Villaヴィラ……だっけ?」
「そうだよ、この意味わかる?」
「ん? なんか意味あるの?」

 ふふふ、最高の意味があるのさ!!
しおりを挟む
感想 69

あなたにおすすめの小説

【完結】選ばれない僕の生きる道

谷絵 ちぐり
BL
三度、婚約解消された僕。 選ばれない僕が幸せを選ぶ話。 ※地名などは架空(と作者が思ってる)のものです ※設定は独自のものです

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜

ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。 そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。 幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。 もう二度と同じ轍は踏まない。 そう決心したアリスの戦いが始まる。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

【完結】可愛いあの子は番にされて、もうオレの手は届かない

天田れおぽん
BL
劣性アルファであるオズワルドは、劣性オメガの幼馴染リアンを伴侶に娶りたいと考えていた。 ある日、仕えている王太子から名前も知らないオメガのうなじを噛んだと告白される。 運命の番と王太子の言う相手が落としていったという髪飾りに、オズワルドは見覚えがあった―――― ※他サイトにも掲載中 ★⌒*+*⌒★ ☆宣伝☆ ★⌒*+*⌒★  「婚約破棄された不遇令嬢ですが、イケオジ辺境伯と幸せになります!」  が、レジーナブックスさまより発売中です。  どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m

心からの愛してる

マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。 全寮制男子校 嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります ※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

欠陥αは運命を追う

豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」 従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。 けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。 ※自己解釈・自己設定有り ※R指定はほぼ無し ※アルファ(攻め)視点

運命だなんて言うのなら

riiko
BL
気が付いたら男に組み敷かれていた。 「番、運命、オメガ」意味のわからない単語を話す男を前に、自分がいったいどこの誰なのか何一つ思い出せなかった。 ここは、男女の他に三つの性が存在する世界。 常識がまったく違う世界観に戸惑うも、愛情を与えてくれる男と一緒に過ごし愛をはぐくむ。この環境を素直に受け入れてきた時、過去におこした過ちを思い出し……。 ☆記憶喪失オメガバース☆ 主人公はオメガバースの世界を知らない(記憶がない)ので、物語の中で説明も入ります。オメガバース初心者の方でもご安心くださいませ。 運命をみつけたアルファ×記憶をなくしたオメガ 性描写が入るシーンは ※マークをタイトルにつけますのでご注意くださいませ。 物語、お楽しみいただけたら幸いです。

処理中です...