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番外編
5、番の為のヴィラ 1
しおりを挟む正樹と結ばれて、順調にデートして、毎朝一緒に登校して、とっても有意義な日常を過ごしている健やかな高校一年生の俺。
高校生らしい可愛いデートをもう何度もした。もちろん週末は抱きつぶすくらいの濃厚な番の交わりがあるけれど、平日はなるべく性欲を抑えて、正樹との色々を初々しいところからやり直しの最中だった。
俺は忙しい。正樹と過ごしながらも、週の半分の放課後は仕事に打ち込んでいた。なぜなら、それは正樹の次の発情期の為の準備があるからだった。
正樹と出会う前から、着手していた仕事があった。付き合いながらもそれは水面下で進められていた高級リゾート計画。都心から一時間以内、西条グループのヘリ送迎ならもっと時間短縮になる、高級ヴィラ。リゾート地をもっと気軽に思い立った時に行ければ忙しいアルファに人気が出るだろうということで、隣県の広めの敷地を購入して、全て一棟ずつという設計をしていた。
俺は正樹に恋をしてから、通常のヴィラに加えひそかに発情期対応のヴィラをいくつか作らせた。
完全に分離されていて、フェロモン対策、防音対策も施し、ベッドルーム三つを完備して、一つ使用している最中は邪魔にならずに清掃をできるような配置にし、発情期清掃のみオメガの従業員に対応させるよう、その社員教育も兼ねて人材確保を早めに行っていた。
本来、発情期の番を自分のテリトリー以外に置きたくないが、オメガのヒート中の世話は手間がかかる、その時間も全て愛する時間に回せるよう、清掃を専用の教育をさせたスタッフに任せるという画期的な、発情期対応ヴィラ。
我ながら、凄い企画じゃないか!!
前回の発情期には間に合わなかったし、そもそもハプニングばかりの番契約だった。今度こそはもっといい対応をスマートにこなしたい。
発情期のホテル対応は、西条のスタッフが優秀なので問題なかったが、ヒート中の正樹を誰の目にも見せたくなかったから、部屋にスタッフは入れさせなかったので、仕方なく自分でリネン交換をしたが、慣れてなくてリネンの扱いはちょっと大変だった。
それを人に任せられれば、よりスマートに正樹を喜ばす時間だけに集中できるじゃないか!!
そんな思いで、本来ただの高級ヴィラ計画だったのを一部発情期棟にした。それくらいの変更だったので予定通り着工し、それが俺たちの番契約が終わった頃に仕上がったと報告があがっていた。
発情期はまだだけど、一度オープン前に正樹と一緒にスタッフの対応を見極めるのも含めて泊りに行くことになった。
「うわ――司、すげぇな、お前、マジでホテル王の息子かよ!? こんなホテル……コテージ? 都心のすぐ近くに作っちゃうなんて、お前は凄い!!」
「うん、ありがとう。ここは一棟貸し切りタイプのヴィラだよ。正樹に褒めてもらえるなら、頑張って仕事したかいがあった」
「お前、あんまり無理するなよ? 俺たちはまだ高校生なんだから、一人で急いで大人になるなよ」
ぐしゃっと頭を撫でてくれた。この手があれば俺はなんだってできるし、やはりアルファなのでこれくらいの仕事は学生でもこなせる。俺だけじゃなくて俺の周りの部下が優秀ってこともあるんだけどな。正樹が俺を尊敬してくれるのは嬉しい!!
「さ、正樹。入ろう、プレオープン前で貸し切りだよ。大丈夫、俺たちの面倒を見てくれるスタッフは既に稼働しているからね。彼らの働きを堪能しよう」
「おう、なんか悪いな。俺までこんな贅沢なところに来させてもらって」
「当たり前だろ、俺の恋人で婚約者なんだから、どんなところでも正樹を連れてくから」
「こ、こ、婚約者って、なんだよ」
正樹が真っ赤な顔で言う。今さら婚約者って言葉に照れるなんて、やばいな。スタッフの査定もしなくちゃいけないのに、今夜は正樹にかかりっぱなしは間違いない。
「え? ご両親に結婚は大学入ってからにしなさいって許可もらったんだから、それはもう世間では婚約者だ」
「そ、そういうもんなの?」
「そういうもんなの」
「そういうもんか、わ、わかった」
可愛いな、俺の言葉にすぐに納得する。チョロレベルが相変わらずだぜ、俺の嫁。
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