運命を知らないアルファ

riiko

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番外編

2、番になったご挨拶 2

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 正樹の家に、正樹と手を繋いで入った。以前通された可愛らしいリビングに正樹の隣にちょこんと座った。正樹は俺が緊張しているのをわかっているみたいで、ずっと座ってからも手を握ってくれていた。

 俺たちの前には真山夫妻、なぜか二人ともにっこにっこと笑っている……むしろそれが怖い。

「こ、このたびは、俺、正樹を!!」
「ちょ、ちょっとストップ」
「えっ、なに」
「俺が言う。俺の親だ、お前にばかり頼っていられない。父さん、母さん、俺、司とつがいになった」

 俺が正樹のご両親に挨拶をしようとしたら、正樹に遮られてあっさりと報告された。お前はどこまで男前なんだよ、俺やっぱり真山家の嫁にしてもらおうかな……。

「そ、そうか、」
「キャ――――つがいキタ――アルファの婿ゲット!!」
「ちょ、ちょっと百合ちゃん落ち着きなさい」

 和樹さんの言葉を遮り、安定の百合子さんだった。めちゃくちゃ喜んでくれている、しかも俺を婿と言ってくれた。嬉しすぎる。

「散々ご心配をおかけしましたが、正樹と本当の意味で心を通わせることができて、このたびつがいになる運びとなりました。ふつつかなアルファですが、これから一生正樹をこの命にかけても守っていきます。よろしくお願いいたします!! いてっ」

 頭を下げた瞬間、テーブルに派手にぶつけた。

「ぶはっ、司、肝心なところで笑わせるなよ!! もう、大丈夫か? 慣れないことするからだよ、ちょっと待て、氷持ってくるから」
「まぁまぁ、完璧アルファ君でもそんなドジっ子なところもあるのね。可愛いわ、うちの婿」
「こら、二人とも笑い過ぎだぞ、はは」

 ご両親も二人笑っている。俺は勢い余って、頭を下げた時テーブルにおでこを派手にぶつけてしまった。あああぁぁ、恥ずかしい。

「ほら、これおでこに当てよう」
「あ、ありがとう」

 冷たいタオルを俺のおでこにあててくれる正樹、もう俺たち夫夫ふうふじゃないか!?

「ご、ごほん。司君、うちの正樹をよろしく頼むよ。結婚の話はこの間していたけど、それはきちんと高校を卒業して、大学に入って落ち着いたころにな……その話はまた今度だよ。とりあえずは二人ともおめでとう」
「和樹さん、あ、ありがとうございます!!」
「まぁ、この通りうちの息子はバカなところが多いけど、君がいるなら大丈夫だろう、苦労かけるがこれからも正樹を支えてくれると助かる」
「もちろんです!!」

 正樹がそろそろいいかなって、俺のおでこを触った。百合子さんはウルウルしていて言葉が出てこないみたいだった、正樹がアルファのつがいになったんだもんな。ご両親が手塩にかけて育てた一人息子をぽっと出の俺が奪った。この罪は重い、一生正樹を正樹の親を大事にしよう。

「ところで、正樹。お前には話がある」
「えっ」

 急に和樹さんが真顔で、低い声で正樹に向き合った。正樹も驚いたように、和樹さんを見た。

 何、何、何、なんだか不穏じゃないか!? 俺のこと考えなおせとか言わないよね? 言わないですよね!? 和樹さん!! いや、未来のお義父さまぁぁ――。
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