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本編
49、運命でも運命じゃなくても
しおりを挟む「正樹の番は俺だよ」
「な、何言ってんだ!? お前は運命である俺を他のアルファにつがわせたんだろ?」
どうしたら信じてもらえるのだろう、そうか、うなじは契約後、番しか触れられないはず。俺は正樹のうなじを、俺の噛み後のあるうなじをやさしく撫でた。
「うあっ、ひゃっ」
うわっ、素で可愛い声が出てきた、やっべ――。俺の正樹なんだ、もうこのオメガは俺のもの。俺が触るだけでそんなに可愛い声がでる。興奮しそうだった。いや、興奮していますとも!
「ね、俺が触るだけで感じちゃう。番じゃなければ嫌悪感があるはずだろう? もう誰も正樹には触れられない、俺だけだ」
「な、なんでっ!!!」
正樹は感じ過ぎたのか、泣いてしまった。どうしようもなく愛おしい、可愛すぎる。愛している。
「まさかっ、それがお前の復讐? 俺を噛んで、そしたらお前はもう運命に怯えることないもんな、俺を飼いならして、欲望だけ満たすつもり? それとも、ここで俺を捨てる為に噛んだのか?」
マジか!? そうきたか。
「はあ。どうしてそんな突拍子も無いことを。まあ、俺がそんな印象を与え続けたんだろう責任は感じるけど、それにしても随分否定的だな、正樹はそんなやつだったか?」
そこまでマイナス思考にさせたのは、俺だろうけど。そこまで? 俺って前からそんなに信用ならない奴だったの? 悲しい。
「……お前のせいだっ、お前なんかと会わなければ俺はこんな女々しい男にならなかったっ」
「そうだね、ごめん。正樹がこんなに怒るのも悲しむのも全て俺のせいだね」
抱き寄せて頭を撫でた、正樹は俺の胸で泣いている。そんなよわよわしい正樹も愛おしい。
「やめろ、離せっ」
「離さないっ、一生離さないっ、愛してる」
「え?」
もう一度、前にも言ったけど、正樹は全てを忘れているから、もう一度きちんと言わなくちゃ。
「今まですまなかった。正樹は俺を運命だって気づいていたのに、俺は気がつかなくて、散々お前を苦しめた」
「それは、いいよ。だって、運命が嫌いってのはしょうがない」
正樹はどれだけ俺を想ってくれて、どれだけの想いで俺を諦めたのだろう、このくだり二回目でも、前に話した時より正樹が俺を想ってくれていることを感じられた。記憶亡くしたことも悪くない、二度も愛を感じられたのだから。
「うん。でも正樹が好きだ、運命だろうとなかろうと、この気持ちは変わらない。愛している」
「離して、そんな嘘いらない。お前が運命だった俺を受け入れるわけないんだ。もういいよ、俺は一生一人でいるし、お前の前には現れないから。だからお前はアルファの女の子と付き合えるし、もう番持ちだからほかのオメガのヒートには当てられないだろ? 良かったじゃないか、お前もこれで生きやすくなるよ、サヨナラだ」
必死に俺を想う正樹はいじらしくて可愛い。可愛いしかない、俺を諦めるという言葉さえ愛の告白にしか聞こえないよ。
「正樹、もう俺からは逃げられないんだよ。そんなこと言わないでくれ、俺がどれだけ酷いことをしたかはわかっている。無理やり番にしたのも。でも、好きなんだ!! 正樹は? 俺のこと好きなんじゃないの?」
「そんなことっ、聞くなよ」
もう一度、好きって言って。
「どうして? 前は俺のこと好きって言ってくれたよね? 今もそれは変わらないんじゃないの?」
「……」
抱き合っている腕を解き、正樹の目を見つめた。
「俺は正樹を愛している。何度だって、毎日だって言う。運命でも運命じゃなくても、もうそんなの関係ない! オメガとかそんなんじゃなくて、俺は真山正樹という人間が好きだ。これまで付き合ってきてお前の可愛さも、人柄も、誠実なところも、優しいところも、俺に流されてくれるところも、エッチの時声を抑えて耐えるところも、でも耐えきれなくて後ろを必死に締め付けてくるところも、」
「ちょっ、ちょっと待てぇ――ぃ!!」
なぜ止める?
「ん? まだまだ好きなところあるのに、なに?」
「いや、もういいです。恥ずかしいから止めろ」
「ふふっ、俺の気持ち伝わった? 愛している、俺と結婚してください」
「は? なに言ってんだよ、俺たちまだ高校生で結婚なんてできるわけがないだろ」
そうか、高校生じゃなくなれば結婚してくれるって意味だよね! 俺は嬉しくなった。それにパンイチでのプロポーズのやり直しができたぜぃ!!
「今すぐじゃない、卒業してからでいいから。でももう番だし一緒に暮らそう」
「そんなことしたら、父さんが泣くだろ!!」
正樹は正気の時ははっきりした言葉を言ってくれないけど、もうわかる。俺たちは、運命だろうと運命じゃなかろうと、何度でも話し合って、何度でも向き合って、そしてずっと一緒にいるんだって。
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