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本編
36、発情?
しおりを挟む昼休みになってスマホを見たら、授業中に百合子さんからメールが入っていた。
『これから一週間、正樹をお願いね。ついに司君の想いが通じて良かったね! でも心配だから何処で発情期を過ごすのかだけ連絡ください! あなたの未来のママより』
えっ、なんだって。どういうことだ!?
急いで正樹の教室に行くと、正樹のクラスメイトが体調不良で授業中に保健室に行ったと聞かされた。
「先生!!」
「うわっ、びっくりした。西条くんどうかした? あれ、まだ帰ってなかったの?」
保健室に駆け込むと、保健医は変なことを聞いてきた。帰ってなかったとは、どういうことだ?
「えっ、正樹はどうしました!? 保健室に来たって聞いたんですけど」
「真山君はヒートが起こりそうだって、少しスマホいじってから帰宅したよ。あれ? 一緒に過ごす人いるって言っていたから、スマホでやり取りしていたの西条君かと思って、まだ香り的に大丈夫そうだったからそのまま帰しちゃったんだけど、どういうこと?」
むしろ俺こそどういうこと? と聞きたい。それを聞いて急いで保健室をあとにした。一人で家に帰ったのか? だったらなぜ百合子さんは俺に? 正樹に電話をするも出ない、慌てて百合子さんに電話をした。
「あら、司くん。大変な時にわざわざ電話ありがとう」
「百合子さん!! 正樹からは、なんて連絡がきたんですか!?」
「えっ、今正樹と一緒じゃないの? 好きな人と発情期を過ごすから一週間家に帰らないけど、心配しないでって。好きな人って司君だと思っていたんだけど、違うの?」
「俺です!! 俺のはずなのに、正樹は一人で帰ったって、保健医がっ!!」
「司君、まずは落ち着いて」
俺はいつになく動揺していた。
「司君、実は正樹ふさぎ込んでいることがあったけど、あなたとの事を真剣に考えているだけだと思ったの。でもあなたと一緒にならないって、もしかしたらそういう結論に至ったのかもしれない。私も司君とのことを応援しすぎて、それで発情期になってあなたと当たり前に過ごすと思っていた母親のもとには帰れなかったのかも……っ」
「あっ、俺、俺のせいですっ、俺はお互い求めあっていると思っていて……」
電話の先で百合子さんが泣いていた、オメガの息子を持つ母親だ、俺以上に今一番つらくて心配に違いない。
「今はそれはいいわ。でも発情期に番のいないオメガが一人でいるなんて、事件に巻き込まれたらと思うと怖いの!! すぐに警察に連絡するね。でも司君なら何か対策しているんじゃないの? 例えば正樹の持ち物にGPSを仕込んでいるとか……今回だけは目を瞑るから、それならすぐに行動に起こして!!」
そうだった、俺は正樹の首につけた俺という鎖に相当な多機能をつけていた。
「百合子さん!! ありがとうございます、付けていました。今すぐ西条の警備と共に正樹を探し出します。うちの警備もそちらに向かわせますので、正樹の保護まで一緒に見守ってください!!」
「そうね、司君ならやっているわね。想像以上よ! あなたは合格だわ!! 見つけたら番にしちゃいなさい。正樹はフラフラしているけど、多分今回のこともいろいろ考えすぎてのことよ、あなたを好きなのは確かだから。正樹の許可がでたら番にしていいって私もパパも話していたのよ。頑張って!」
そうして学校を出てすぐに警備を呼び、待機していたバンに乗り込み、最新機器で揃えられた車の中で正樹の捜索に当たった。すぐに場所がわかった、そこは都内にある高級ホテルだったが、残念ながらうちのホテルではなかった。同業で親交もあったので、親のコネを借りてそこのホテルの支配人にすぐに繋いでもらった。
こんなホテルに行くなんて、一人ではないはず。いったい誰と……。
すぐに支配人から連絡がきて、本来なら絶対してはいけないことだけど、これは犯罪行為かもしれないと判断されて、教えてもらった。監視カメラに映る正樹が行った部屋は……そこの部屋を借りている男の名前を聞いて驚愕した。
その男は正樹の元クラスメイト、正樹をレイプしようとした櫻井だった。
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