桜の樹

Estrella

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始まりを作ったのは

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ヴォルク国の国王アルゼン・エド・ヴォルク
=魔王に落ちた元人間は、ただ恋をしていた平凡な人間だった。
本人はそう思っていた。

(でも、本当は特別な魂を持ちどんなに生まれ変わっても同じ魂を持った女性と恋に落ちる運命だった。)


白桜国の現守り神 桜
桜は前の記憶も持たずただ純粋に生きる綺麗な魂の持ち主。
力があっても、全てを凌駕する程ではなく桜自身は平凡に生きたくてしょうがないほどのさみしがり屋。

(どこから結ばれているのか不思議なふたつの魂を選んで退屈しのぎしたかっただけなんだけどね。ここまで拗れるだなんて。)


白桜国の国王 シュナイゼン・イル・ハクオウ
不思議な翡翠のペンダントで全てを知った男。
何かを考えているがそれを他には悟らせない。かなりの食わせ者であり、実力がある国王。

(君に関しては巻き込んだだけの魂。まさかペンダントに仕込まれていたとはね。本当に読めない男だ。)


(白桜国、ヴォルク国、国と国の戦争になるかと思ったのに……
魔王と国王の戦いになりそうだ。)

(僕はどうしてこれを始めたんだっけ?ああ。暇だったから。)

(でも今世の守り神も面白いな。最初と似てるからかな。その役割を全うして、繋げていく力。幼少期から僕が見えてたのもすごいな。)

(運命の魂を引き離したらどうなるか。見物だなって思ってそれを止める人もいなくて……)

(それで始めた。この物語を……)

(止める人?)

(止める人なんていないじゃないか。僕は1人誰にも認識されない存在だったから。)

(いつから忘れてたんだろう。)

(桜……)

(なぜその名前をつけたのか。似ていたから?)

(ああ。僕は……)




何をしたかったんだっけ。
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