14 / 21
アルゼンの求婚
しおりを挟む
今世の魔王。
最悪と呼ばれる存在を「桜泉樹」が感知できない存在。
それ故に誰にも気づかれず、部下にも教えないと分からない。
何故か。
アルゼン・エド・ヴォルク
肉体年齢35 精神年齢300(?)
整った容姿に高身長な俺様魔王
少々暴力で問題を解決しすぎる反面未だに妻をめとらない変わり者
年齢はともかく民からの評価は良くも悪くも普通である。
目立つようで目立たない。
綺麗な顔立ちだが、本当に恋に落ちる人はいない。
王ゆえなのか、内面に問題があるのか。
そんなアルゼンは魔王としての自覚は生まれて直ぐにあった。よくある転生である。
最初は多少戸惑い、直ぐに順応し他の人間よりも成長を早め、天才的頭脳で他の王子を押しのけ、王太子となり父である前王を殺し、自分が王位についた。
1度として、助けなど借りなかった。
全てを1人でこなし、やり遂げたアルゼンは王となりすぐ白桜国に向かった。
理由なんてなく、ただ引かれた。
見えない何かに。
アルゼンは1人こっそりと変装をして侵入した。
かの「桜泉樹」へ。
この時既に、9歳の桜がいた。
桜とアルゼンは会っていたのだ。
守り神となりまだ全ては知らない桜。
アルゼンの異変はこの時起こった。
桜を見る度どうしようもなく抱きたい気持ちに駆られた。
力強く、誰にも触れさせたくないと感じた。
今初めて会ったはずなのに、それは抑えることが出来ない感情。
桜「どうしたの?」
ア「……お前は誰だ?」
桜「え?あっ…まもりがみっていうのよ。」
ア「それが其方の名か?」
桜「え、ああ。名前は桜だよ。」
ア「桜?」
桜「うん。あなたは?どうしてここにいるの?」
ア「さあな。よく分からないが其方と話して落ち着いたよ。」
桜「え?」
ア「其方に会えとでも言われているようだったな…」
桜「???」
ア「私は其方が余のことを知るまで待とう。」
桜「なにを?」
ア「その時がこの世界との決別のときだと忘れるでないぞ。」
桜「けつべつ?」
ア「さて、戻るか。」
桜「え!?もう行くの?大丈夫なの?」
ア「其方に会って随分楽になったし、私はここで見つかる訳にもいかないからな。」
桜「ここにはいられないのね…」
ア「…其方が望むと望まないと私は其方を攫う。どこにいても其方のことがわかるように、私の印でもつけておくか。」
桜「しるし?」
ア「ふむ。」
ニヤっと笑うアルゼン。
ア「後ろを向け。」
桜「えっ」
ア「早く」
桜「はっはい!」
圧に負けて桜が後ろをむくと、アルゼンは桜の首筋にキスをした。
桜「きゃっ」
ア「なんだ。」
桜「なにかしました!?」
ア「特に何もしてないぞ(笑)」
桜「うそ!」
ア「ほんとだ」
桜「……ほんとですか?」
ア「ああ。大したことではない。」
桜「……」
ア「害はないさ。では、私は行く。じゃあな。」
桜「そうですか…」
ア「いずれ会おう。桜よ。」
アルゼンと桜の昔の僅かな出会い。
それはもうアルゼンしか覚えていないこと。
だがこの時、アルゼンは桜の首筋にキスをした。
小さな蕾が後ろの首筋に残っているのを桜は知らない。
ずっと目立たずひっそりと時を待ち、それは叶う時咲かせるのだろう。
魔族の結婚とは、人間からしたら束縛に近い。
番は1人。出かける時も長く離れてはいけない。
血よりも濃い繋がりが生まれる。
魔王らしくずる賢く、アルゼンは桜に求婚したのだった
最悪と呼ばれる存在を「桜泉樹」が感知できない存在。
それ故に誰にも気づかれず、部下にも教えないと分からない。
何故か。
アルゼン・エド・ヴォルク
肉体年齢35 精神年齢300(?)
整った容姿に高身長な俺様魔王
少々暴力で問題を解決しすぎる反面未だに妻をめとらない変わり者
年齢はともかく民からの評価は良くも悪くも普通である。
目立つようで目立たない。
綺麗な顔立ちだが、本当に恋に落ちる人はいない。
王ゆえなのか、内面に問題があるのか。
そんなアルゼンは魔王としての自覚は生まれて直ぐにあった。よくある転生である。
最初は多少戸惑い、直ぐに順応し他の人間よりも成長を早め、天才的頭脳で他の王子を押しのけ、王太子となり父である前王を殺し、自分が王位についた。
1度として、助けなど借りなかった。
全てを1人でこなし、やり遂げたアルゼンは王となりすぐ白桜国に向かった。
理由なんてなく、ただ引かれた。
見えない何かに。
アルゼンは1人こっそりと変装をして侵入した。
かの「桜泉樹」へ。
この時既に、9歳の桜がいた。
桜とアルゼンは会っていたのだ。
守り神となりまだ全ては知らない桜。
アルゼンの異変はこの時起こった。
桜を見る度どうしようもなく抱きたい気持ちに駆られた。
力強く、誰にも触れさせたくないと感じた。
今初めて会ったはずなのに、それは抑えることが出来ない感情。
桜「どうしたの?」
ア「……お前は誰だ?」
桜「え?あっ…まもりがみっていうのよ。」
ア「それが其方の名か?」
桜「え、ああ。名前は桜だよ。」
ア「桜?」
桜「うん。あなたは?どうしてここにいるの?」
ア「さあな。よく分からないが其方と話して落ち着いたよ。」
桜「え?」
ア「其方に会えとでも言われているようだったな…」
桜「???」
ア「私は其方が余のことを知るまで待とう。」
桜「なにを?」
ア「その時がこの世界との決別のときだと忘れるでないぞ。」
桜「けつべつ?」
ア「さて、戻るか。」
桜「え!?もう行くの?大丈夫なの?」
ア「其方に会って随分楽になったし、私はここで見つかる訳にもいかないからな。」
桜「ここにはいられないのね…」
ア「…其方が望むと望まないと私は其方を攫う。どこにいても其方のことがわかるように、私の印でもつけておくか。」
桜「しるし?」
ア「ふむ。」
ニヤっと笑うアルゼン。
ア「後ろを向け。」
桜「えっ」
ア「早く」
桜「はっはい!」
圧に負けて桜が後ろをむくと、アルゼンは桜の首筋にキスをした。
桜「きゃっ」
ア「なんだ。」
桜「なにかしました!?」
ア「特に何もしてないぞ(笑)」
桜「うそ!」
ア「ほんとだ」
桜「……ほんとですか?」
ア「ああ。大したことではない。」
桜「……」
ア「害はないさ。では、私は行く。じゃあな。」
桜「そうですか…」
ア「いずれ会おう。桜よ。」
アルゼンと桜の昔の僅かな出会い。
それはもうアルゼンしか覚えていないこと。
だがこの時、アルゼンは桜の首筋にキスをした。
小さな蕾が後ろの首筋に残っているのを桜は知らない。
ずっと目立たずひっそりと時を待ち、それは叶う時咲かせるのだろう。
魔族の結婚とは、人間からしたら束縛に近い。
番は1人。出かける時も長く離れてはいけない。
血よりも濃い繋がりが生まれる。
魔王らしくずる賢く、アルゼンは桜に求婚したのだった
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
旦那様、離縁の申し出承りますわ
ブラウン
恋愛
「すまない、私はクララと生涯を共に生きていきたい。離縁してくれ」
大富豪 伯爵令嬢のケイトリン。
領地が災害に遭い、若くして侯爵当主なったロイドを幼少の頃より思いを寄せていたケイトリン。ロイド様を助けるため、性急な結婚を敢行。その為、旦那様は平民の女性に癒しを求めてしまった。この国はルメニエール信仰。一夫一妻。婚姻前の男女の行為禁止、婚姻中の不貞行為禁止の厳しい規律がある。旦那様は平民の女性と結婚したいがため、ケイトリンンに離縁を申し出てきた。
旦那様を愛しているがため、旦那様の領地のために、身を粉にして働いてきたケイトリン。
その後、階段から足を踏み外し、前世の記憶を思い出した私。
離縁に応じましょう!未練なし!どうぞ愛する方と結婚し末永くお幸せに!
*女性軽視の言葉が一部あります(すみません)
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる