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蜜月編
綺麗な花には
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いや、まあ、うん。確かに説明は受けていた。
御用邸に着いて直ぐにヤトは御用邸にマーキングのような、『今ここは俺の仮宿だぞ』っていう印になるらしい結界とやらを張った。名交わしは済ませたとはいえ俺はどうやっても人間のままだし、ヤトの力の影響下にあってもなにがあるかわからないからと。で、御用邸の庭の散策くらいはできるようにと取り計らってくれて、そこなら一人で歩いても大丈夫だろうと許可が下りたのは昨日のことだ。
折角の蜜月でヤトものんびりできるからか俺たちは今まで以上にひっついて過ごしていて、いつでも一緒にいられるようになったことで逆に、ヤト抜きでも行動できる時間を作ってもらったというわけだ。そして出掛けられるチャンスを逃すほど俺は引きこもりじゃない。すぐさま昼食後に散歩したいとヤトに告げて庭に出た。
最初は良かった。普通の花も咲いてるし、庭は通路のように生垣が出来ていたからそれに沿って歩けばよかったし。たまになんか見たことないのもあったけど、それは近寄らないようにしていろいろと見て回った。
庭は広くてあちこちふらふらしているうちに休憩がしたくなって、丁度目に見えていた東屋に行くことにした。その途中、赤い綺麗な花があって、俺はそれを目にした直後どうしてだか吸い寄せられるようにその前まで足を進めていた。
おっかしいなーと思ったけど後の祭り。艶々として綺麗な花弁を惜しげも無く開き切った花に魅入ったように顔を近づけると、まさにそこから、突如として何かを振りかけられた。多分、花粉じゃないかと思うんだけど。
驚き飛び退いてもそれが取れるわけじゃない。俺は手で落とせるだけ落としながら改めて東屋に向かって腰を落ち着けた。ちょっとばかし運がなかったかなと思っていたのも束の間、急にムラムラし出して、体が熱くなった。
あ、これさっきのアレのせいじゃね、と思うけど、もうどうしようもない。東屋の椅子で疼く身体を治めるべく、辺りに人気がないのを確認している間に、今度は何かで口を塞がれた。
「?! っん……!」
まさかまたあのロクでもない王太子か! と舌打ちしかけて、すぐにそうでないことが分かって愕然となった。
俺の口を塞いでいたのは植物のツルで、しかも次々と絡まってきて、俺を吊るし上げようと強く締め付けてきていた。足を開かされて、手も肘を折った状態で拘束される。誰もいないのは幸いなのか運が悪いのか。多分後者だ。
そうして身体を持ち上げられて、茂みの中に引き摺り込まれた。
「んぐ、ふ、 ん!」
そのどさくさに紛れるようにして細いツルが服の中にするりと入り込み、俺の乳首を構い出した。
「ふぅうっ」
火照って、はっきりとした刺激を欲しがっていた身体に快感が走る。乳首を掠めただけなのに俺の身体はあり得ないほど感じ切っていて、ペニスが盛大に反応した。タイミング的に考えてさっきの花の所為だろう。このツルもアレの一部か。
そんなことを考えたところで抵抗出来るほど拘束は弱くなく、むしろ余計な動きをすると締め付ける力が強くなるようで、俺はできるだけ抵抗するのをやめた。どういうつもりか分からないけど、ルゥみたいに俺の何かが欲しいんだろう。で、この流れだと十中八九精液で間違いない……はず。一発抜けば、あるいは絞り取られれば解放されるはずだ。ヤトがなんとかしてくれるかもしれないけど、すぐに命に危険があるわけじゃなさそうだと判断した俺はそのままツルの群れに身体を委ねることにした。
「んんっ、ふ、んう」
細いツルも我先にと服の中に入り込んで、俺の身体を這い回って愛撫をしてくる。さっきぶっかけられた花粉っぽいのは催淫剤かな。娼館のチェック済みの薬を飲んだ時と同じような感覚だ。頭の中がぐらぐらして、視界が回り始める。宙に浮いてるのもあって酔いそうになり、そっと目を閉じた。
細いツルの多くはふさふさとした細かく、柔らかな毛で覆われていた。それで優しく愛撫されて、ただでさえむらむらしてた身体は面白いくらいに揺れ動いた。正直、すっげー気持ちいい。腋とか、首筋、耳の窪みに内腿が特に。すでにペニスにも何本か絡まっていて、乳首と同じように鈴口にぴったりと何かが吸い付いていた。
猫じゃらしを持った大勢にいたぶられている、とでも言えばいいんだろうか。予測不可能なほど好き勝手に動くツルに、快感を受け止める準備もなくそれをぶつけられる。腰が揺れ、ツルがペニスを締め付け、扱くようにうねった。
「んあああうっ」
口を塞がれていて、喘ぎ声も呻いてるみたいになる。基本的には穏やかな快感なのに、中にはいやらしい手つき……ツルつき? で俺を撫で回してくる煽り上手なやつまでいて、太ももや尻を撫でられた。逃げることも出来ないから息を止めたり声を上げたりしているうちに息が上がってきて、ツルの刺激から逃げているのか、求めているのか自分でもわからない。そうこうしているうちにぐっと足を持ち上げられ、アナルのまわりをそっと撫でられて、不覚にも奥が疼いた。膝を曲げるように足を上げさせられたことでスカートが下穿きごと腹の方まで落ちてきて、下半身が丸出しになる。
まさか、そこまで入ってくるのか?
口は塞がれているだけだし、鼻の穴はなんともない。なのにまるでツルはそれが本能だとでも言うかのように俺のアナルをなぞり、いやらしく触れて、突ついて、ひくつくその様子を見ているようだった。ツルの先端は蜜か粘液のようなものを吐き出しているらしく、さわさわと細い毛がこすれ合う音に混じって、くちゅり、と俺のアナルから水音が響き始める。それからしばらく入り口を焦らすように濡らされてながら突き回されて、そのうちにその先が意を決したようにつぷ、とアナルの中へ入ってきた。
「んっ……ぁ……」
ほとんど毎日ルゥに掃除されて解されて、太いヤトのも受け入れているから、小さいそれは簡単に入ったし痛みもなかった。小さすぎるから快感も小さくて、待ち侘びてアナルをひくつかせていたこっちとしては物足りない。細いツルは他にも二、三本同じようにアナルの中に入ってきたけど、それでもヤトの指よりは細いように思えた。それがバラバラに動き、俺のいいところを探し出して引っ掻くようにそっとこすってくる。
「ふあ、あ、う、ぅん」
粘液を擦り付けているのかねっとりとしたそれと、外側を這う繊細で優しい愛撫と相俟って、俺は駆け上がるようにして高まる快感に流されるようにして射精しかけた。しようとした。
「んっ?」
けどそれを感じ取ったのかなんなのか、ツルは急に俺のペニスの付け根を締め上げて強制的に射精を阻んできた。苦しさに今度こそ確かなうめき声が漏れる。
精液が欲しいんじゃねーのかよ!
叫んだところで相手は植物だ。俺の何に反応してるのかは分からないけど、言葉は通じるかわからないし、物を言うわけでもないモノ相手に何を言えばいいのか。そもそも口を塞がれてるんだから、まず俺が話せない。相手が言葉を解しても、もっと単純な意味で言葉が通じないだろう。
イけない苦しさはあるものの、ツルの愛撫は止まらない。それどころか一本はアナルの奥にあるイイトコロを探し当てて、そこを押し始めた。
「ふっ、んんん!」
突つかれ、押され、あるいはもまれて、容赦無く快感が内側から外へ向かおうとペニスへ集まってくる。なのにイけない。
ツルの動きは足にじゃれついて、身体をすり寄せてくる猫のようなそれにも似てるけど、いやらしいばっかりで間違っても愛らしい感じはしない。俺が苦しくてたまらなくなってくると、今度は極端に愛撫が弱まって、じりじりと、弱いけど確かに快感と呼べる刺激に変わった。まるで丸焼きにされる豚にでもなった気分だ。じっくり弱火で炙ってんじゃねーぞ。
「ふぁ……んぅ、ぅううう……」
びくびく身体が跳ねて、もどかしさにどうにかならないかと腰が動く。なんでかわかんねーけど、腰とか首とか、胴体の拘束はあんまりない。まるで手足さえ縛っときゃろくすっぽ抵抗できねえって分かってるみたいに。まあ、こいつも物の怪なんだろうからそういうモンだと思うしかないか。膝曲げて足広げられて、もうセックスの時とかわんないし。ペニスもアナルもまる見えの状態で、イくことも出来ないまま、とことん優しい愛撫が続く。こんなだったらいっそぐちゃぐちゃにされたほうがマシだ。中も外も、イイトコロ、敏感な場所ばかり責められて、それどころか催淫効果の出ている所為で指の付け根とか足の甲とか、もうどこに触られても声が漏れてしまう。
「んぅう……ふぐ、う、……」
気持ちいい。苦しい。気持ちいい。苦しい。
同時に沸いて、愛撫の加減で天秤みたいにしてどっちかが強くなってを繰り返す。痙攣するのは腰や胸、腹筋だけじゃない。アナルはみっともないほどひくひくして、か細い刺激に焦れて、もっと太いので突き上げられたくて気が狂いそうだ。
それにそろそろ呼吸も辛い。猿轡よりも口から息が出来ないから鼻呼吸が頼りだけど、全力疾走してヘロヘロの状態で鼻呼吸しろって言われてみろ、無理だろ。そんな状態だ。
唾液を飲みこむのは諦めた。でも垂れ流しにしてても喉の奥へ入って行く分もあって、それに咽喉を詰まらせて咽ると、急に口の拘束が解けた。
「っげほっ、うっ、げほ、ぐっ」
水の中から浮かび上がったみたいにして思い切り口から息を吸い込みながら咳き込む。呼吸は楽になったが愛撫は続いていて、俺は今度こそ喘いだ。
「んっああ、あっ、くぅ……! あんっ、んん、ふっ、うっあ!」
息を整えようとすると声も大きくなって、俺の声に反応するようにするの愛撫がキツくなった。乳首に吸い付いてる奴はちくちくと、痒みにも似た快感で被虐心を煽ってくるし、ペニスに絡んでる奴はタマを揉んでスジをなぞり、亀頭をくすぐってくる。アナルの中はイイトコロを過ぎて奥の方まで入ってきて、いつか客に頼まれた『耳かき』みたいにちょこちょこと中を擦ってきて、強くないのが逆に辛い。もっと強く引っ掻いて、擦られたくてしかたなくなる。入口は入口で何本かがくすぐるようにつついて、ぷくっと膨らんだような先を抜き差ししているのが分かる。感触から想像するだけでエロいそれも、快感としては物足りなくてもどかしくてたまらない。
「ああああ……ふ、あ、あああ……んっ」
ああ、早くヤト来てくれないかな。
イけそうにないし、これはもうヤトを待った方が早い気がする。待つっつってもイかされるにしてもやっぱりこの責め苦はあるわけだけど。出来れば早めに気づいて、心配とかして来てほしい。早く見つけて欲しいから、声を抑える努力なんざ放棄だ。
「ん、はあああん……っ、あん……あぁっ……」
まだヤト相手でさえこんなねだる声なんかだしてねーのに。ちょっと遣る瀬無くなるわ。
空しさは確かにあるものの、身体の方はと言うとそろそろ焦れすぎて焦げそうだった。イきたいのはもちろんのこと、むちゃくちゃに突かれたい。俺の中をくすぐるもどかしい刺激なんか全部蹴散らすくらい太いので強く擦って、引っ掻き回して、力任せに奥の奥まで穿って、頭の先まで貫通するくらい強い快感の楔を打ち込んで、串刺しにして殺して欲しい。そんな情熱的な表現をしたくなるくらいに。
「っはぁ……はあ、ああああっ……」
苦しい。とにかく苦しい。気持ち良くて苦しい。イキ続けるのとどっちが苦しいかと言われるとこっちのような気がする。後ろだと何回もイけるって話は聞いてたし、自分でもヤト相手に連続絶頂を味わったけど、今日のは後ろでイくにはあと一歩足りない。っていうか前が苦しくて辛いばっかりだ。快感は間違いなく溜まって性感を高めていくのに、それを吐き出せない。吐き出したいのに無理矢理に塞き止められて、胸がむかむかする。ツルで縛られたペニスが痛い。足の付け根が刺激に反応して跳ねる。
「んんっ、んっ、はあ、ぅ……あ、ああああ、あっ、ああん……うう、う、……ふ、ぅん……」
どれだけ腰を振ったって思うような刺激は与えられない。手が自然とペニスへ向かおうとするんだけど拘束されてて動かせないし、それを抵抗と思われているのか縛り上げるツルの力が強くなって痛い。ちりちりする。しかもそこにやってくるくすぐったい感覚が気持ち良くて、痛みと快感の境目がぼやけて悶えてしまう。のに、弱い。痛くてもいいからもっと強くして欲しくて、いよいよ涙が零れた。ホント辛い。
身体は熱すぎでこめかみの辺りでどくどく中が脈打ってるのが分かるし、その響きはもう頭痛に近い。余裕があったのは途中までだ。どうあってもイけそうにないのを感じ始めてからは忍耐を強いられるだろうとは思ってたけど、もう頭の芯までぼうっとして自分の声は遠いし、それももう喘ぎ声っつーか泣き声だ。相手が人ならいくらだってねだって許しを乞えるのにそれもできない。
感じる刺激のまま声を垂れ流して思考まで放りだしかけた時、良く知った声が聞こえた。
「白百合! どこだ!」
低くよく通る声。俺の好きな声。それだけでじわじわ胸が熱くなってきて、身体の奥が痙攣して求めてしまう。
ヤト。ヤト。名前を呼びたいけど、ここじゃだめかな。まだ呼び名も考えられてないから呼びようがない。俺は息も絶え絶えに喘いでいたのを、腹に力を入れて止めて、意味のある言葉をどうにか吐き出した。
「ここ、……っ、ああんっ……ここ、ここぉ……!」
俺が喘ぎ以外の声を出すのを阻止するみたいに愛撫を強められたけど、どうにか声を出す。ヤトなら嬌声でも反応してくれそうだけど。
「白百合!」
案の定、ヤトの声は直ぐ近くなって、ヤトの高い身長のおかげでその顔が茂み越しに見えて、金の両目が俺を捉えた。瞬間、ツルの拘束が弱まってずるりと下へ落ちる。座り込むような形で尻を打ち付けたけど、その刺激は限界を超えていた身体には快感でしかなくて、俺は二つの意味の悲鳴を上げた。
「ひっ、あああっ」
まるで騎乗位で下から突き上げられたような衝撃にそのまま腰がかくんと抜けて、上半身を前に倒した。こんな状況でなければ絶対、精液出してた。
ツルは全部外れたかと思いきやそうじゃなかったんだ。肝心の乳首やペニス、アナルに吸い付き絡んだ細いのが本体だったようで、それは俺の服の中で未だに蠢いている。つまり、まだ射精出来てない。
ヤトが息を飲んで俺の身体を支えてくれたけど、掴まれた肩まで気持ちよくて俺はそれどころじゃなかった。思いがけず強い快感を貰ったとはいえ、前が苦しくて後ろでイったわけでもない。もうそれもよくわからない。俺はヤトに横抱きにされて、元々休憩しようと思っていた東屋のベンチに今度こそゆったりと身を横たえた。仰向けになって、ぼんやりと視界は霞んでいるものの、ベンチの背もたれに手をついて心配そうに見下ろしてくるヤトの影を追う。
「大丈夫……ではなさそうだな」
「くるし……も、いきたい……」
多くのツルが入り込んでたせいで服は乱れて、ツルがくっついてる乳首は曝け出されている。ヤトが直してくれたけど、さっきまでは下半身も完全に丸見えだったから、俺の状態がどんなものなのかは分かるだろう。
「ここまで、っん! き、たら……あんたの、で、イき、たい……これ、ほどけ、る?」
アナルの中、じわじわ動き続けるツルに合わせて腰が揺れてしまう。乳首にへばり付くツルをはがそうと引っ張ったがしっかりくっついていて無理だった。抵抗されているのか、噛み付かれたみたいな痛みがあって、痛いのに、もうそれさえ快感に変わってしまう。
ヤトの前で、ヤト以外のモンで乱れてるところを見られてるのはスッキリしないものがあるけど、もう四の五の言ってられない。
ヤトの首に腕を回して、上半身を半端に起こす。触れ合う場所からもう気持ちがいい。ヤトは俺が辛くないようにとしゃがんでくれた。その身体が熱いのを感じて、少しほっとした。俺はベンチに正しく座って、靴を脱いで片足の膝を胸につけるようにしてベンチに足掛け、快感に震える手でスカートをたくし上げた。ヤトは俺たちの間にできた空間から覗き込むようにして俺のペニスに目をやり、言いにくそうに眉を潜め、教えてくれた。
「……この手の植物は『食精植物』と言うのだが、一旦この先に吸い付かれると、剥がすのは俺でも難しい。そういうものなのでな、精を食らうまでは梃子でも放さんのだ。そなたの身体を縛っていただけの蔓なら、少し圧を掛ければ容易だったが……」
「なんでもいっ……から……はぁ……ぅ……イかせ、てっ……出し、たい、ぃいっ、ひぅう……っ」
そっと俺の腰に回されたヤトの右手から、ぞわぞわと快感が生まれて止まらない。ヤトはそっと俺のペニスに指先を滑らせて、俺はその刺激に思い切り身体をビクつかせた。
「先は取れぬが、絡まっている部分なら今すぐ解こう」
ちゅ、とヤトに口付けられると同時にペニス圧迫が消えて、俺は唇への刺激だけで勢い良く射精していた。
「んっ、んぅううあああああっ」
物凄い解放感に涙がぼろぼろ溢れてきて、それをヤトの舌に拭われる。それも気持ち良くて、俺はようやく迎えた区切りに安堵してヤトの体温にうっとりと目を閉じ……ようとして、できなかった。
「っ、あっ、やあっ、やだ、やめ、いっ、やああああっ」
ツルはペニスに吸い付いている先っぽから俺の精液を飲んでいるらしく、むくりとその分だけ膨らんでいて俺は服を汚さずに済んだ。けど、さっきまではさんざっぱら焦らして甚振ったくせに、今度は搾り取ろうって腹らしい。アナルの方から俺のイイトコロを強く擦ってきて、今度は射精感が止まらなくなった。ヤトはみるみるうちに膨らんで行くツルの先に気づいて、何が起こってるのか察してくれた。俺を気遣うように頭を撫でてくれるけど、それさえも気持ちいいし、なにより、
「なあっ……んたの、入れて……っ?」
強くこすられてるって言っても一本一本は細いツルだし、はっきり言って物足りない。前の苦しさがなくなると今度は後ろの物足りなさが顕著になって、俺はさっきからずっと欲しかったのも手伝って、服の上からヤトの股間に足を伸ばした。靴を脱いだ方の足でそこを撫でると、ヤトが前かがみになって呻く。
「よかった……、勃ってる」
足裏に感じる熱は柔らかな布越しにも分かるほど硬くなっていて、俺はそれがアナルに突っ込まれている時の快感を思って身震いした。これで早く突かれたい。中のイイトコロ、むちゃくちゃにされたい。
「そなたの……乱れ切った姿を見て、何事もなくいられるはずがなかろう……っ」
俺の足で触られて呼気を乱しながら、ヤトがそう返してくれる。俺としてはヤトがそう望んだわけじゃなかったからどうかなとおもってた分、嬉しい。
「なあ、もう……っあ、……っ鬱陶しいほど、ほぐされた、から……っく、んんっ……今すぐ、入れてくれよ……中、奥まで擦って……」
ヤトに頬ずりをして、耳たぶを唇でくすぐると、ヤトは俺の背中に手を回してきた。
「……蔓はこのままになるが、いいのか?」
「ん……いいから、はやく」
さっきからずっと欲しかった、と囁くと、ベンチの上に転がされた。外に出るからと羽織ってきたんだろうか、少し厚手の服を下敷きにして。全く、こういうところも好きなんだ。
ヤトの手が俺の太ももを撫でて、きゅっとアナルが締まる。視線が絡まって、唇を押し付け合った。お互いの唇を啄ばんで、気持ちを追い立てる。俺はもう行くところまで行っちゃってるから、早く追いついてほしくてヤトを煽るのにも力が入った。
片膝はベンチに乗り上げて、もう片方は地面についたままって言うなんとも不安定な体勢ながら、ヤトはそんなことを微塵も感じさせなかった。前戯しようにも乳首はツルで塞がってるから、ヤトは早々にペニスに手を添えて俺のアナルにあてがうと、俺が一つ頷いたのを見てからそれをぐっと押し付けた。
「っ、あああ、あ、あっ……!」
ツルなんか比較にもならないほどの太いものが入ってくる。熱くて硬いのが、入った先から膨らんだ亀頭を締め付けてるだろう俺の内壁に負けないように、擦りながら、分け入るようにして力強く。
「ぐ……しらゆり、力を、ぬけっ……」
「やあっ……む、りぃ……きもちいぃ、よすぎっ……全部、ぜんぶいいっ……」
よくない場所なんてなかった。しかも、ツルを巻き込んでるせいか、ころころと丸くなってる先端があたって、いつもとはまた違った快感がある。ツルはやっぱりそういうふうに出来ているのか、入ってきたのがペニスと気づいたらしく、すぐさまヤトのそれに絡みついたようだった。狭い俺の中でヤトのペニスに絡みつくべく動くツルに、また快感を与えられる。それが乳首の方にまで連動するようになってきて、俺は盛大に身体をしならせた。
「んっ、ああああっ」
「は、っあ……く、あ、」
色っぽいヤトの声が落ちてくる。
「ごめ……あ、んた、苦しく、ない……っ?」
「吸い付かれるのは防げないが……そなたのようにキツく縛られぬようにするくらいの自衛はできる。……もっとも、そなたの中がそれに代わるほど狭いがな」
だからもっと力を抜け、とヤトが俺の頬を撫でてキスをくれるけど、ここでリラックスできるほど俺の性欲の勢いは衰えてない。
「そち、こそ、っ……いつもより、デカイんじゃ、ねっえの……?」
あれだけいじられてたのにヤトを受け入れるのが少し苦しいってことはそういうことだろう。デートの時もだったけど、ヤトってこういうのが興奮するんじゃねえの。
ひくひくとヤトを咥え込んでる俺のアナルと、ヤトのペニスの鼓動が合わさる。強さはお互い、どっこいどっこいかな。
「っふ……結界は張ったが、あれは外部からの侵入こそ阻めるが、声を遮るものではないのだぞ……? そなたの淫らな声は外へ筒抜けだ。そのような状況、先日の馬車とそう違わぬであろうが……っ」
「ああっん!」
ぐい、と腰を引き寄せられて、ヤトが全部俺の中に収まる。奥まで届いたその先で、ツルの先端がもがくように動いてるのがあり得ないほど気持ち良くて、足が揺れた。ヤトは今度はそれを掴んで、腰を揺らし始める。
「んっんっ、あっ、ちょど、いいじゃんっ、新婚、だしっああっ! らぶ、らぶ、でっ………あっ、はあああうっ 変に、目に見えない、分っ、声で、そうぞう、させてっああんっ、みせつけ、ればっ」
ツルは螺旋状にヤトのペニスに絡まっているのか、ぼこぼことしたその感触が中を動くと、多分、俺が何時もより締め付けてるのもあるだろうけど、すごく気持ちいい。続いてた射精感を塗り替えるくらいキツくて、頭の中まで痺れる。
「いいっ、きもちいいっあ、あっ」
「っ白百合、っ」
俺の足を肩に担ぐようにして腰を動かすヤトは眉間にシワを寄せて、目を閉じて快感を追いかけていた。それを見て、更に中に力を入れてしまう。
「っあ、白百合よせ、そのように……っ」
「ああんっ」
ベンチに手をついて、ヤトが動きを止める。その際にぐいっと奥をえぐるようにされて、俺は思わず頭を振った。
二人分の荒い息。その息にさえじんじんと乳首が反応する。
「……な、もう、」
俺がすがるようにそう言うと、ヤトは少しだけ口の端に柔らかな笑みを乗せた。俺の足を下ろして口付けてくれて、それに小さく声が漏れる。唇同士を合わせて、舌を舐め合って、何度も音を立てて吸い付いて、俺が唾液を飲み込んだのが合図になった。
ヤトは俺の腰を両手でしっかり掴んで、そのまま引き寄せて、そこへ自分の腰を打ち付けた。
「っあああっ! あん! あんっ、あっ! あっ、いいっすごいっ、おく、あたって……っはっあ、ああんっ」
欲しかったところ、全部にヤトを感じる。その上、遊んでいるツルの一本はかなり奥まったところにまで入り込んだらしくて、普通のセックスじゃ絶対届かないところで快感が生まれて、それを受け止めるのに必死で身体が強張った。
「あ、っく、……はぁっ……いいか白百合……っ?」
「いいっ、いいって、言って、っあ、あんっ、あ、それ、そこ、いいっ、いきそ、いく、いくっ」
望み通り激しく打ち付けられて、何時もよりもがむしゃらなそれにやっぱヤトも興奮してんのかな、そんな風にされたら俺もすげえ意識しちまってなんかあり得ない程テンションあがるかもとか考えながら、その荒い息と急速に余裕をなくして行く切羽詰まった声に追い詰められる。服がこすれて、肉のぶつかる音、それに混じる水音、中の凹凸が俺の中を強く引っ掻く感覚、ヤトの体温、全部、全部気持ちいい。
ヤトが腰を掴むのを止めて、俺の脇から手を差し込んで、背中側から俺の肩を押さえた。ふと目が合って、熱っぽい真剣な目で射抜かれて、そのまま唇を貪られる。すぐにまた腰が動き始めて、中で、奥で感じる快感の塊がぎゅっと収縮して行く。射精とは全く違う絶頂の前触れに、俺は硬く目を閉じた。肩越しにヤトの背中に手を回して、どうにか服に指を引っ掛ける。
「いく、あ、あっあっあっあっ、いくいく、いっ、いい、ぃ……、っひぃ、い、あっ!」
収縮が頂点に達して、止まらないヤトの動きに、遠ざかることなく絶頂が来た。芯のようなそれが通り過ぎるかどうかのところで、ヤトのペニスがめり込むように俺の中に突き立てられて、動きが止まる。ぴくぴくと震える身体と熱く脈打つ中の鼓動に、ヤトもイったのが分かった。大きく荒々しい呼吸が耳をくすぐって、まだイったばっかだから中がひくつく。
「んっ……よさぬか」
「だって」
繋がっているとこういうのは隠せないよな。
「ツル、大人しくなった」
「ああ」
「……満足したのか?」
「さて」
ようやく人心地つけて疲労感と虚脱感がものすごい俺は、ピロートークで一杯一杯だ。目を閉じているとそのまま寝そうだし、なんとか目だけは開けて会話を繋げる。ヤトは俺の言葉を受けて、そっと、乳首にくっついてた二本を引っ張った。すると、あんだけじくじくと俺の性感帯をいじめていたそれはなんの感触もなくぽろっと落ちてしまった。呆気ねえ。
俺は拍子抜けしたけど、ヤトはほっとしたようだ。もう硬さのなくなった俺のペニスにくっついてるのも剥がしにかかる。そっちも少し引っ張ってやるだけで簡単に取れた。俺の出した精液全部蓄えてあるのか、その先っぽは肥大しててなかなか卑猥な形へ変わってたけど。心なしかツル全体がくったりとしている気がする。腹一杯で動けねえってか。
「白百合、……抜くが、いいな?」
「うん……あんっ……」
ヤトのも徐々に張り詰めていたのが収まってきてたけど、ペニスはそうでもツルの硬度は変わってなくて、そのツルが入り口を抜けてくのにまた快感が走って、俺は甘えた声を出してしまった。
「……っ、耳元でそのような声を出すな……」
「ごめ……でもヤトがしたいなら、俺は別に、」
「よい。そなたに無理を強いるのは本意ではないのでな」
俺の顔に唇を落としながら、ヤトは自分のペニスに絡みついていたツルを無造作に取り払い、縄をまとめる時のように左手に巻きつけて、最終的にきゅっと結んでまとめてしまった。そのうちの二本、俺とヤトの精液を含んで膨らんでるのがやけに目に付く。もちろんデカイ方が俺に吸い付いてた方だ。にしても、いいのか、そんな扱いで。ヤトは真面目だし、ヤトがそれでいいんならいいんだろうけどさ。
俺はヤトの挙動をじっと見つめていたらしい。それに気づいたヤトは顔を赤らめて、俺の服を整えてくれた。脱がせるならともかくヤトに女物の服の着付けができるわけもなく、下穿きとスカートを下ろしてもらって、腰から上も最低限乳首が見えないように寄せられて、下敷きにしていた羽織でくるまれただけだけど。
「その、明るい時分にこういうことはするものではないな……見えすぎる」
そんなことを言うヤトはあれこれ思い出したのかあまり俺の方は見たがらなかった。俺に触れるぎこちない手つきに柔らかい気持ちになりつつ、そのまま素直に横抱きにされる。近くなった顔が嬉しくて、その首元に頭を預けた。
「……眠るか?」
「ん……ごめん、なんかすげえ疲れた」
「構わぬ。此度は災難だったな」
手が使えない分、ヤトが俺の頭に頬ずりをしてくれる。それが心地よくて、ほっと息をついた。ヤトの歩みに合わせて揺れるのがなんとも眠気を誘われて、目を閉じる。そうして一層重くなる身体と意識の中、さっき少し引っかかったことをぽつり、呟いた。
「……そのツル、またセックスの時使おうとか思ってる?」
「そなた俺をなんだと思っておるのだっ」
すぐさま返ってくる馬鹿正直な反応に、やっぱそうだよなあ、だってヤトだもんな、なんて思いながら、そのままなにか言い募るヤトの心地いい声だけを楽しみつつ、俺は沈むまま眠りの淵へ落ちて行った。
「おい、おいっ、こら、俺の言い分も聞かぬかっ これ、白百合っ、まだ寝るな!」
散歩のはずがとんだハプニングもあったもんだ。まあ、王太子に比べればどうってことないけど。
御用邸に着いて直ぐにヤトは御用邸にマーキングのような、『今ここは俺の仮宿だぞ』っていう印になるらしい結界とやらを張った。名交わしは済ませたとはいえ俺はどうやっても人間のままだし、ヤトの力の影響下にあってもなにがあるかわからないからと。で、御用邸の庭の散策くらいはできるようにと取り計らってくれて、そこなら一人で歩いても大丈夫だろうと許可が下りたのは昨日のことだ。
折角の蜜月でヤトものんびりできるからか俺たちは今まで以上にひっついて過ごしていて、いつでも一緒にいられるようになったことで逆に、ヤト抜きでも行動できる時間を作ってもらったというわけだ。そして出掛けられるチャンスを逃すほど俺は引きこもりじゃない。すぐさま昼食後に散歩したいとヤトに告げて庭に出た。
最初は良かった。普通の花も咲いてるし、庭は通路のように生垣が出来ていたからそれに沿って歩けばよかったし。たまになんか見たことないのもあったけど、それは近寄らないようにしていろいろと見て回った。
庭は広くてあちこちふらふらしているうちに休憩がしたくなって、丁度目に見えていた東屋に行くことにした。その途中、赤い綺麗な花があって、俺はそれを目にした直後どうしてだか吸い寄せられるようにその前まで足を進めていた。
おっかしいなーと思ったけど後の祭り。艶々として綺麗な花弁を惜しげも無く開き切った花に魅入ったように顔を近づけると、まさにそこから、突如として何かを振りかけられた。多分、花粉じゃないかと思うんだけど。
驚き飛び退いてもそれが取れるわけじゃない。俺は手で落とせるだけ落としながら改めて東屋に向かって腰を落ち着けた。ちょっとばかし運がなかったかなと思っていたのも束の間、急にムラムラし出して、体が熱くなった。
あ、これさっきのアレのせいじゃね、と思うけど、もうどうしようもない。東屋の椅子で疼く身体を治めるべく、辺りに人気がないのを確認している間に、今度は何かで口を塞がれた。
「?! っん……!」
まさかまたあのロクでもない王太子か! と舌打ちしかけて、すぐにそうでないことが分かって愕然となった。
俺の口を塞いでいたのは植物のツルで、しかも次々と絡まってきて、俺を吊るし上げようと強く締め付けてきていた。足を開かされて、手も肘を折った状態で拘束される。誰もいないのは幸いなのか運が悪いのか。多分後者だ。
そうして身体を持ち上げられて、茂みの中に引き摺り込まれた。
「んぐ、ふ、 ん!」
そのどさくさに紛れるようにして細いツルが服の中にするりと入り込み、俺の乳首を構い出した。
「ふぅうっ」
火照って、はっきりとした刺激を欲しがっていた身体に快感が走る。乳首を掠めただけなのに俺の身体はあり得ないほど感じ切っていて、ペニスが盛大に反応した。タイミング的に考えてさっきの花の所為だろう。このツルもアレの一部か。
そんなことを考えたところで抵抗出来るほど拘束は弱くなく、むしろ余計な動きをすると締め付ける力が強くなるようで、俺はできるだけ抵抗するのをやめた。どういうつもりか分からないけど、ルゥみたいに俺の何かが欲しいんだろう。で、この流れだと十中八九精液で間違いない……はず。一発抜けば、あるいは絞り取られれば解放されるはずだ。ヤトがなんとかしてくれるかもしれないけど、すぐに命に危険があるわけじゃなさそうだと判断した俺はそのままツルの群れに身体を委ねることにした。
「んんっ、ふ、んう」
細いツルも我先にと服の中に入り込んで、俺の身体を這い回って愛撫をしてくる。さっきぶっかけられた花粉っぽいのは催淫剤かな。娼館のチェック済みの薬を飲んだ時と同じような感覚だ。頭の中がぐらぐらして、視界が回り始める。宙に浮いてるのもあって酔いそうになり、そっと目を閉じた。
細いツルの多くはふさふさとした細かく、柔らかな毛で覆われていた。それで優しく愛撫されて、ただでさえむらむらしてた身体は面白いくらいに揺れ動いた。正直、すっげー気持ちいい。腋とか、首筋、耳の窪みに内腿が特に。すでにペニスにも何本か絡まっていて、乳首と同じように鈴口にぴったりと何かが吸い付いていた。
猫じゃらしを持った大勢にいたぶられている、とでも言えばいいんだろうか。予測不可能なほど好き勝手に動くツルに、快感を受け止める準備もなくそれをぶつけられる。腰が揺れ、ツルがペニスを締め付け、扱くようにうねった。
「んあああうっ」
口を塞がれていて、喘ぎ声も呻いてるみたいになる。基本的には穏やかな快感なのに、中にはいやらしい手つき……ツルつき? で俺を撫で回してくる煽り上手なやつまでいて、太ももや尻を撫でられた。逃げることも出来ないから息を止めたり声を上げたりしているうちに息が上がってきて、ツルの刺激から逃げているのか、求めているのか自分でもわからない。そうこうしているうちにぐっと足を持ち上げられ、アナルのまわりをそっと撫でられて、不覚にも奥が疼いた。膝を曲げるように足を上げさせられたことでスカートが下穿きごと腹の方まで落ちてきて、下半身が丸出しになる。
まさか、そこまで入ってくるのか?
口は塞がれているだけだし、鼻の穴はなんともない。なのにまるでツルはそれが本能だとでも言うかのように俺のアナルをなぞり、いやらしく触れて、突ついて、ひくつくその様子を見ているようだった。ツルの先端は蜜か粘液のようなものを吐き出しているらしく、さわさわと細い毛がこすれ合う音に混じって、くちゅり、と俺のアナルから水音が響き始める。それからしばらく入り口を焦らすように濡らされてながら突き回されて、そのうちにその先が意を決したようにつぷ、とアナルの中へ入ってきた。
「んっ……ぁ……」
ほとんど毎日ルゥに掃除されて解されて、太いヤトのも受け入れているから、小さいそれは簡単に入ったし痛みもなかった。小さすぎるから快感も小さくて、待ち侘びてアナルをひくつかせていたこっちとしては物足りない。細いツルは他にも二、三本同じようにアナルの中に入ってきたけど、それでもヤトの指よりは細いように思えた。それがバラバラに動き、俺のいいところを探し出して引っ掻くようにそっとこすってくる。
「ふあ、あ、う、ぅん」
粘液を擦り付けているのかねっとりとしたそれと、外側を這う繊細で優しい愛撫と相俟って、俺は駆け上がるようにして高まる快感に流されるようにして射精しかけた。しようとした。
「んっ?」
けどそれを感じ取ったのかなんなのか、ツルは急に俺のペニスの付け根を締め上げて強制的に射精を阻んできた。苦しさに今度こそ確かなうめき声が漏れる。
精液が欲しいんじゃねーのかよ!
叫んだところで相手は植物だ。俺の何に反応してるのかは分からないけど、言葉は通じるかわからないし、物を言うわけでもないモノ相手に何を言えばいいのか。そもそも口を塞がれてるんだから、まず俺が話せない。相手が言葉を解しても、もっと単純な意味で言葉が通じないだろう。
イけない苦しさはあるものの、ツルの愛撫は止まらない。それどころか一本はアナルの奥にあるイイトコロを探し当てて、そこを押し始めた。
「ふっ、んんん!」
突つかれ、押され、あるいはもまれて、容赦無く快感が内側から外へ向かおうとペニスへ集まってくる。なのにイけない。
ツルの動きは足にじゃれついて、身体をすり寄せてくる猫のようなそれにも似てるけど、いやらしいばっかりで間違っても愛らしい感じはしない。俺が苦しくてたまらなくなってくると、今度は極端に愛撫が弱まって、じりじりと、弱いけど確かに快感と呼べる刺激に変わった。まるで丸焼きにされる豚にでもなった気分だ。じっくり弱火で炙ってんじゃねーぞ。
「ふぁ……んぅ、ぅううう……」
びくびく身体が跳ねて、もどかしさにどうにかならないかと腰が動く。なんでかわかんねーけど、腰とか首とか、胴体の拘束はあんまりない。まるで手足さえ縛っときゃろくすっぽ抵抗できねえって分かってるみたいに。まあ、こいつも物の怪なんだろうからそういうモンだと思うしかないか。膝曲げて足広げられて、もうセックスの時とかわんないし。ペニスもアナルもまる見えの状態で、イくことも出来ないまま、とことん優しい愛撫が続く。こんなだったらいっそぐちゃぐちゃにされたほうがマシだ。中も外も、イイトコロ、敏感な場所ばかり責められて、それどころか催淫効果の出ている所為で指の付け根とか足の甲とか、もうどこに触られても声が漏れてしまう。
「んぅう……ふぐ、う、……」
気持ちいい。苦しい。気持ちいい。苦しい。
同時に沸いて、愛撫の加減で天秤みたいにしてどっちかが強くなってを繰り返す。痙攣するのは腰や胸、腹筋だけじゃない。アナルはみっともないほどひくひくして、か細い刺激に焦れて、もっと太いので突き上げられたくて気が狂いそうだ。
それにそろそろ呼吸も辛い。猿轡よりも口から息が出来ないから鼻呼吸が頼りだけど、全力疾走してヘロヘロの状態で鼻呼吸しろって言われてみろ、無理だろ。そんな状態だ。
唾液を飲みこむのは諦めた。でも垂れ流しにしてても喉の奥へ入って行く分もあって、それに咽喉を詰まらせて咽ると、急に口の拘束が解けた。
「っげほっ、うっ、げほ、ぐっ」
水の中から浮かび上がったみたいにして思い切り口から息を吸い込みながら咳き込む。呼吸は楽になったが愛撫は続いていて、俺は今度こそ喘いだ。
「んっああ、あっ、くぅ……! あんっ、んん、ふっ、うっあ!」
息を整えようとすると声も大きくなって、俺の声に反応するようにするの愛撫がキツくなった。乳首に吸い付いてる奴はちくちくと、痒みにも似た快感で被虐心を煽ってくるし、ペニスに絡んでる奴はタマを揉んでスジをなぞり、亀頭をくすぐってくる。アナルの中はイイトコロを過ぎて奥の方まで入ってきて、いつか客に頼まれた『耳かき』みたいにちょこちょこと中を擦ってきて、強くないのが逆に辛い。もっと強く引っ掻いて、擦られたくてしかたなくなる。入口は入口で何本かがくすぐるようにつついて、ぷくっと膨らんだような先を抜き差ししているのが分かる。感触から想像するだけでエロいそれも、快感としては物足りなくてもどかしくてたまらない。
「ああああ……ふ、あ、あああ……んっ」
ああ、早くヤト来てくれないかな。
イけそうにないし、これはもうヤトを待った方が早い気がする。待つっつってもイかされるにしてもやっぱりこの責め苦はあるわけだけど。出来れば早めに気づいて、心配とかして来てほしい。早く見つけて欲しいから、声を抑える努力なんざ放棄だ。
「ん、はあああん……っ、あん……あぁっ……」
まだヤト相手でさえこんなねだる声なんかだしてねーのに。ちょっと遣る瀬無くなるわ。
空しさは確かにあるものの、身体の方はと言うとそろそろ焦れすぎて焦げそうだった。イきたいのはもちろんのこと、むちゃくちゃに突かれたい。俺の中をくすぐるもどかしい刺激なんか全部蹴散らすくらい太いので強く擦って、引っ掻き回して、力任せに奥の奥まで穿って、頭の先まで貫通するくらい強い快感の楔を打ち込んで、串刺しにして殺して欲しい。そんな情熱的な表現をしたくなるくらいに。
「っはぁ……はあ、ああああっ……」
苦しい。とにかく苦しい。気持ち良くて苦しい。イキ続けるのとどっちが苦しいかと言われるとこっちのような気がする。後ろだと何回もイけるって話は聞いてたし、自分でもヤト相手に連続絶頂を味わったけど、今日のは後ろでイくにはあと一歩足りない。っていうか前が苦しくて辛いばっかりだ。快感は間違いなく溜まって性感を高めていくのに、それを吐き出せない。吐き出したいのに無理矢理に塞き止められて、胸がむかむかする。ツルで縛られたペニスが痛い。足の付け根が刺激に反応して跳ねる。
「んんっ、んっ、はあ、ぅ……あ、ああああ、あっ、ああん……うう、う、……ふ、ぅん……」
どれだけ腰を振ったって思うような刺激は与えられない。手が自然とペニスへ向かおうとするんだけど拘束されてて動かせないし、それを抵抗と思われているのか縛り上げるツルの力が強くなって痛い。ちりちりする。しかもそこにやってくるくすぐったい感覚が気持ち良くて、痛みと快感の境目がぼやけて悶えてしまう。のに、弱い。痛くてもいいからもっと強くして欲しくて、いよいよ涙が零れた。ホント辛い。
身体は熱すぎでこめかみの辺りでどくどく中が脈打ってるのが分かるし、その響きはもう頭痛に近い。余裕があったのは途中までだ。どうあってもイけそうにないのを感じ始めてからは忍耐を強いられるだろうとは思ってたけど、もう頭の芯までぼうっとして自分の声は遠いし、それももう喘ぎ声っつーか泣き声だ。相手が人ならいくらだってねだって許しを乞えるのにそれもできない。
感じる刺激のまま声を垂れ流して思考まで放りだしかけた時、良く知った声が聞こえた。
「白百合! どこだ!」
低くよく通る声。俺の好きな声。それだけでじわじわ胸が熱くなってきて、身体の奥が痙攣して求めてしまう。
ヤト。ヤト。名前を呼びたいけど、ここじゃだめかな。まだ呼び名も考えられてないから呼びようがない。俺は息も絶え絶えに喘いでいたのを、腹に力を入れて止めて、意味のある言葉をどうにか吐き出した。
「ここ、……っ、ああんっ……ここ、ここぉ……!」
俺が喘ぎ以外の声を出すのを阻止するみたいに愛撫を強められたけど、どうにか声を出す。ヤトなら嬌声でも反応してくれそうだけど。
「白百合!」
案の定、ヤトの声は直ぐ近くなって、ヤトの高い身長のおかげでその顔が茂み越しに見えて、金の両目が俺を捉えた。瞬間、ツルの拘束が弱まってずるりと下へ落ちる。座り込むような形で尻を打ち付けたけど、その刺激は限界を超えていた身体には快感でしかなくて、俺は二つの意味の悲鳴を上げた。
「ひっ、あああっ」
まるで騎乗位で下から突き上げられたような衝撃にそのまま腰がかくんと抜けて、上半身を前に倒した。こんな状況でなければ絶対、精液出してた。
ツルは全部外れたかと思いきやそうじゃなかったんだ。肝心の乳首やペニス、アナルに吸い付き絡んだ細いのが本体だったようで、それは俺の服の中で未だに蠢いている。つまり、まだ射精出来てない。
ヤトが息を飲んで俺の身体を支えてくれたけど、掴まれた肩まで気持ちよくて俺はそれどころじゃなかった。思いがけず強い快感を貰ったとはいえ、前が苦しくて後ろでイったわけでもない。もうそれもよくわからない。俺はヤトに横抱きにされて、元々休憩しようと思っていた東屋のベンチに今度こそゆったりと身を横たえた。仰向けになって、ぼんやりと視界は霞んでいるものの、ベンチの背もたれに手をついて心配そうに見下ろしてくるヤトの影を追う。
「大丈夫……ではなさそうだな」
「くるし……も、いきたい……」
多くのツルが入り込んでたせいで服は乱れて、ツルがくっついてる乳首は曝け出されている。ヤトが直してくれたけど、さっきまでは下半身も完全に丸見えだったから、俺の状態がどんなものなのかは分かるだろう。
「ここまで、っん! き、たら……あんたの、で、イき、たい……これ、ほどけ、る?」
アナルの中、じわじわ動き続けるツルに合わせて腰が揺れてしまう。乳首にへばり付くツルをはがそうと引っ張ったがしっかりくっついていて無理だった。抵抗されているのか、噛み付かれたみたいな痛みがあって、痛いのに、もうそれさえ快感に変わってしまう。
ヤトの前で、ヤト以外のモンで乱れてるところを見られてるのはスッキリしないものがあるけど、もう四の五の言ってられない。
ヤトの首に腕を回して、上半身を半端に起こす。触れ合う場所からもう気持ちがいい。ヤトは俺が辛くないようにとしゃがんでくれた。その身体が熱いのを感じて、少しほっとした。俺はベンチに正しく座って、靴を脱いで片足の膝を胸につけるようにしてベンチに足掛け、快感に震える手でスカートをたくし上げた。ヤトは俺たちの間にできた空間から覗き込むようにして俺のペニスに目をやり、言いにくそうに眉を潜め、教えてくれた。
「……この手の植物は『食精植物』と言うのだが、一旦この先に吸い付かれると、剥がすのは俺でも難しい。そういうものなのでな、精を食らうまでは梃子でも放さんのだ。そなたの身体を縛っていただけの蔓なら、少し圧を掛ければ容易だったが……」
「なんでもいっ……から……はぁ……ぅ……イかせ、てっ……出し、たい、ぃいっ、ひぅう……っ」
そっと俺の腰に回されたヤトの右手から、ぞわぞわと快感が生まれて止まらない。ヤトはそっと俺のペニスに指先を滑らせて、俺はその刺激に思い切り身体をビクつかせた。
「先は取れぬが、絡まっている部分なら今すぐ解こう」
ちゅ、とヤトに口付けられると同時にペニス圧迫が消えて、俺は唇への刺激だけで勢い良く射精していた。
「んっ、んぅううあああああっ」
物凄い解放感に涙がぼろぼろ溢れてきて、それをヤトの舌に拭われる。それも気持ち良くて、俺はようやく迎えた区切りに安堵してヤトの体温にうっとりと目を閉じ……ようとして、できなかった。
「っ、あっ、やあっ、やだ、やめ、いっ、やああああっ」
ツルはペニスに吸い付いている先っぽから俺の精液を飲んでいるらしく、むくりとその分だけ膨らんでいて俺は服を汚さずに済んだ。けど、さっきまではさんざっぱら焦らして甚振ったくせに、今度は搾り取ろうって腹らしい。アナルの方から俺のイイトコロを強く擦ってきて、今度は射精感が止まらなくなった。ヤトはみるみるうちに膨らんで行くツルの先に気づいて、何が起こってるのか察してくれた。俺を気遣うように頭を撫でてくれるけど、それさえも気持ちいいし、なにより、
「なあっ……んたの、入れて……っ?」
強くこすられてるって言っても一本一本は細いツルだし、はっきり言って物足りない。前の苦しさがなくなると今度は後ろの物足りなさが顕著になって、俺はさっきからずっと欲しかったのも手伝って、服の上からヤトの股間に足を伸ばした。靴を脱いだ方の足でそこを撫でると、ヤトが前かがみになって呻く。
「よかった……、勃ってる」
足裏に感じる熱は柔らかな布越しにも分かるほど硬くなっていて、俺はそれがアナルに突っ込まれている時の快感を思って身震いした。これで早く突かれたい。中のイイトコロ、むちゃくちゃにされたい。
「そなたの……乱れ切った姿を見て、何事もなくいられるはずがなかろう……っ」
俺の足で触られて呼気を乱しながら、ヤトがそう返してくれる。俺としてはヤトがそう望んだわけじゃなかったからどうかなとおもってた分、嬉しい。
「なあ、もう……っあ、……っ鬱陶しいほど、ほぐされた、から……っく、んんっ……今すぐ、入れてくれよ……中、奥まで擦って……」
ヤトに頬ずりをして、耳たぶを唇でくすぐると、ヤトは俺の背中に手を回してきた。
「……蔓はこのままになるが、いいのか?」
「ん……いいから、はやく」
さっきからずっと欲しかった、と囁くと、ベンチの上に転がされた。外に出るからと羽織ってきたんだろうか、少し厚手の服を下敷きにして。全く、こういうところも好きなんだ。
ヤトの手が俺の太ももを撫でて、きゅっとアナルが締まる。視線が絡まって、唇を押し付け合った。お互いの唇を啄ばんで、気持ちを追い立てる。俺はもう行くところまで行っちゃってるから、早く追いついてほしくてヤトを煽るのにも力が入った。
片膝はベンチに乗り上げて、もう片方は地面についたままって言うなんとも不安定な体勢ながら、ヤトはそんなことを微塵も感じさせなかった。前戯しようにも乳首はツルで塞がってるから、ヤトは早々にペニスに手を添えて俺のアナルにあてがうと、俺が一つ頷いたのを見てからそれをぐっと押し付けた。
「っ、あああ、あ、あっ……!」
ツルなんか比較にもならないほどの太いものが入ってくる。熱くて硬いのが、入った先から膨らんだ亀頭を締め付けてるだろう俺の内壁に負けないように、擦りながら、分け入るようにして力強く。
「ぐ……しらゆり、力を、ぬけっ……」
「やあっ……む、りぃ……きもちいぃ、よすぎっ……全部、ぜんぶいいっ……」
よくない場所なんてなかった。しかも、ツルを巻き込んでるせいか、ころころと丸くなってる先端があたって、いつもとはまた違った快感がある。ツルはやっぱりそういうふうに出来ているのか、入ってきたのがペニスと気づいたらしく、すぐさまヤトのそれに絡みついたようだった。狭い俺の中でヤトのペニスに絡みつくべく動くツルに、また快感を与えられる。それが乳首の方にまで連動するようになってきて、俺は盛大に身体をしならせた。
「んっ、ああああっ」
「は、っあ……く、あ、」
色っぽいヤトの声が落ちてくる。
「ごめ……あ、んた、苦しく、ない……っ?」
「吸い付かれるのは防げないが……そなたのようにキツく縛られぬようにするくらいの自衛はできる。……もっとも、そなたの中がそれに代わるほど狭いがな」
だからもっと力を抜け、とヤトが俺の頬を撫でてキスをくれるけど、ここでリラックスできるほど俺の性欲の勢いは衰えてない。
「そち、こそ、っ……いつもより、デカイんじゃ、ねっえの……?」
あれだけいじられてたのにヤトを受け入れるのが少し苦しいってことはそういうことだろう。デートの時もだったけど、ヤトってこういうのが興奮するんじゃねえの。
ひくひくとヤトを咥え込んでる俺のアナルと、ヤトのペニスの鼓動が合わさる。強さはお互い、どっこいどっこいかな。
「っふ……結界は張ったが、あれは外部からの侵入こそ阻めるが、声を遮るものではないのだぞ……? そなたの淫らな声は外へ筒抜けだ。そのような状況、先日の馬車とそう違わぬであろうが……っ」
「ああっん!」
ぐい、と腰を引き寄せられて、ヤトが全部俺の中に収まる。奥まで届いたその先で、ツルの先端がもがくように動いてるのがあり得ないほど気持ち良くて、足が揺れた。ヤトは今度はそれを掴んで、腰を揺らし始める。
「んっんっ、あっ、ちょど、いいじゃんっ、新婚、だしっああっ! らぶ、らぶ、でっ………あっ、はあああうっ 変に、目に見えない、分っ、声で、そうぞう、させてっああんっ、みせつけ、ればっ」
ツルは螺旋状にヤトのペニスに絡まっているのか、ぼこぼことしたその感触が中を動くと、多分、俺が何時もより締め付けてるのもあるだろうけど、すごく気持ちいい。続いてた射精感を塗り替えるくらいキツくて、頭の中まで痺れる。
「いいっ、きもちいいっあ、あっ」
「っ白百合、っ」
俺の足を肩に担ぐようにして腰を動かすヤトは眉間にシワを寄せて、目を閉じて快感を追いかけていた。それを見て、更に中に力を入れてしまう。
「っあ、白百合よせ、そのように……っ」
「ああんっ」
ベンチに手をついて、ヤトが動きを止める。その際にぐいっと奥をえぐるようにされて、俺は思わず頭を振った。
二人分の荒い息。その息にさえじんじんと乳首が反応する。
「……な、もう、」
俺がすがるようにそう言うと、ヤトは少しだけ口の端に柔らかな笑みを乗せた。俺の足を下ろして口付けてくれて、それに小さく声が漏れる。唇同士を合わせて、舌を舐め合って、何度も音を立てて吸い付いて、俺が唾液を飲み込んだのが合図になった。
ヤトは俺の腰を両手でしっかり掴んで、そのまま引き寄せて、そこへ自分の腰を打ち付けた。
「っあああっ! あん! あんっ、あっ! あっ、いいっすごいっ、おく、あたって……っはっあ、ああんっ」
欲しかったところ、全部にヤトを感じる。その上、遊んでいるツルの一本はかなり奥まったところにまで入り込んだらしくて、普通のセックスじゃ絶対届かないところで快感が生まれて、それを受け止めるのに必死で身体が強張った。
「あ、っく、……はぁっ……いいか白百合……っ?」
「いいっ、いいって、言って、っあ、あんっ、あ、それ、そこ、いいっ、いきそ、いく、いくっ」
望み通り激しく打ち付けられて、何時もよりもがむしゃらなそれにやっぱヤトも興奮してんのかな、そんな風にされたら俺もすげえ意識しちまってなんかあり得ない程テンションあがるかもとか考えながら、その荒い息と急速に余裕をなくして行く切羽詰まった声に追い詰められる。服がこすれて、肉のぶつかる音、それに混じる水音、中の凹凸が俺の中を強く引っ掻く感覚、ヤトの体温、全部、全部気持ちいい。
ヤトが腰を掴むのを止めて、俺の脇から手を差し込んで、背中側から俺の肩を押さえた。ふと目が合って、熱っぽい真剣な目で射抜かれて、そのまま唇を貪られる。すぐにまた腰が動き始めて、中で、奥で感じる快感の塊がぎゅっと収縮して行く。射精とは全く違う絶頂の前触れに、俺は硬く目を閉じた。肩越しにヤトの背中に手を回して、どうにか服に指を引っ掛ける。
「いく、あ、あっあっあっあっ、いくいく、いっ、いい、ぃ……、っひぃ、い、あっ!」
収縮が頂点に達して、止まらないヤトの動きに、遠ざかることなく絶頂が来た。芯のようなそれが通り過ぎるかどうかのところで、ヤトのペニスがめり込むように俺の中に突き立てられて、動きが止まる。ぴくぴくと震える身体と熱く脈打つ中の鼓動に、ヤトもイったのが分かった。大きく荒々しい呼吸が耳をくすぐって、まだイったばっかだから中がひくつく。
「んっ……よさぬか」
「だって」
繋がっているとこういうのは隠せないよな。
「ツル、大人しくなった」
「ああ」
「……満足したのか?」
「さて」
ようやく人心地つけて疲労感と虚脱感がものすごい俺は、ピロートークで一杯一杯だ。目を閉じているとそのまま寝そうだし、なんとか目だけは開けて会話を繋げる。ヤトは俺の言葉を受けて、そっと、乳首にくっついてた二本を引っ張った。すると、あんだけじくじくと俺の性感帯をいじめていたそれはなんの感触もなくぽろっと落ちてしまった。呆気ねえ。
俺は拍子抜けしたけど、ヤトはほっとしたようだ。もう硬さのなくなった俺のペニスにくっついてるのも剥がしにかかる。そっちも少し引っ張ってやるだけで簡単に取れた。俺の出した精液全部蓄えてあるのか、その先っぽは肥大しててなかなか卑猥な形へ変わってたけど。心なしかツル全体がくったりとしている気がする。腹一杯で動けねえってか。
「白百合、……抜くが、いいな?」
「うん……あんっ……」
ヤトのも徐々に張り詰めていたのが収まってきてたけど、ペニスはそうでもツルの硬度は変わってなくて、そのツルが入り口を抜けてくのにまた快感が走って、俺は甘えた声を出してしまった。
「……っ、耳元でそのような声を出すな……」
「ごめ……でもヤトがしたいなら、俺は別に、」
「よい。そなたに無理を強いるのは本意ではないのでな」
俺の顔に唇を落としながら、ヤトは自分のペニスに絡みついていたツルを無造作に取り払い、縄をまとめる時のように左手に巻きつけて、最終的にきゅっと結んでまとめてしまった。そのうちの二本、俺とヤトの精液を含んで膨らんでるのがやけに目に付く。もちろんデカイ方が俺に吸い付いてた方だ。にしても、いいのか、そんな扱いで。ヤトは真面目だし、ヤトがそれでいいんならいいんだろうけどさ。
俺はヤトの挙動をじっと見つめていたらしい。それに気づいたヤトは顔を赤らめて、俺の服を整えてくれた。脱がせるならともかくヤトに女物の服の着付けができるわけもなく、下穿きとスカートを下ろしてもらって、腰から上も最低限乳首が見えないように寄せられて、下敷きにしていた羽織でくるまれただけだけど。
「その、明るい時分にこういうことはするものではないな……見えすぎる」
そんなことを言うヤトはあれこれ思い出したのかあまり俺の方は見たがらなかった。俺に触れるぎこちない手つきに柔らかい気持ちになりつつ、そのまま素直に横抱きにされる。近くなった顔が嬉しくて、その首元に頭を預けた。
「……眠るか?」
「ん……ごめん、なんかすげえ疲れた」
「構わぬ。此度は災難だったな」
手が使えない分、ヤトが俺の頭に頬ずりをしてくれる。それが心地よくて、ほっと息をついた。ヤトの歩みに合わせて揺れるのがなんとも眠気を誘われて、目を閉じる。そうして一層重くなる身体と意識の中、さっき少し引っかかったことをぽつり、呟いた。
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すぐさま返ってくる馬鹿正直な反応に、やっぱそうだよなあ、だってヤトだもんな、なんて思いながら、そのままなにか言い募るヤトの心地いい声だけを楽しみつつ、俺は沈むまま眠りの淵へ落ちて行った。
「おい、おいっ、こら、俺の言い分も聞かぬかっ これ、白百合っ、まだ寝るな!」
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