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三章 訪れる人々
夏祭り(3)
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再び人の波に飲まれたはいいものの、腹も膨れ特別目を引くものもなく、俺たちは学院の敷地内へ逃げ込んだ。早々に戻ってきた俺たちを見て職員の一人が「そろそろ大通り全体を空けてモンスターダービーが始まるよ」と教えてくれたが、話を聞くだけに留めた。結局また人だかりの中に行かねばならないし、疲れるだろうことを思うと気力も湧かなかった。
モンスターダービーは『テイミング』されたモンスターや、そこから人の手によって掛け合わされたモンスターの二世や三世に乗り、定められた街中のコースを三周するものだ。
二世・三世の攻撃性は野生のモンスターよりもずっと低く、扱い方さえ気をつければ共生は勿論、従えることも可能。『Arkadia』では繁殖させて売買していたプレイヤーもいた。
アルカディアにおいては普段は研究対象として学院で飼われたり、騎乗動物として貸し出しされたりしている。街の人々に対してお披露目をする意味合いもあるらしい。そりゃ、街中に見知らぬ生き物がいたらビビる。
ダービーの騎手は大体が普段から世話をしているか乗り馴れている人が殆どだが、希望があれば飛び入り参加もできるらしい。
学院の一角で身体を休めていると、恐らくモンスターダービーの開始を知らせるためだろうファンファーレが鳴り響いた。
事前に知っていればアドルフと参加するのもアリだったかもしれないと思いつつ、俺はそのままうとうとと眠りについた。
モンスターダービーが行われたらしい時間帯は、準備と片付けの時間も含めると午後二時から六時までだったようだ。
ファンファーレの音は三時ごろ。うたた寝から起こされて再び街へ繰り出す頃にはダービー自体はすでに終わっていて、賭けの対象となっていた首位の結果で様々な反応が見られた。
泣き濡れる人や笑いが止まらない人、騎手に憧れる人に商売に一、二頭買っておこうか検討する人。
そんな人たちを見遣りながらクッパ風のあっさりとしたお粥で小腹を満たし、夜に備える。辺りは暗くなり始めていた。
マギの夜は普段からして幻想的だが、今日はそれに加えて魔蛍虫が独特の黄緑色の光を放ちながら飛んでいるのを発見した。あえて夜に出歩くことも少なかったから、見るのは初めてだ。
祭りの日だからか、今日は魔法による明かりも少し絞られているから、見つけるのは容易い。
「綺麗ですねえ」
学院までの道すがら、暗がりに灯るように光る蛍火を見てシズがため息を漏らした。
確かに風情がある。大きさは蛍の数倍はあるが、蛍と同じように光る一方で鈴虫のように鳴いていて、目だけではなく耳からも穏やかな心地にさせてくれる。魔蛍虫はマギでは夏の風物詩として親しまれているが、同時に、この光を人の魂に見たてて祈りを捧げたりもするそうだ。追悼の意味合いもあるが、肉体から解き放たれた存在への憧憬や羨望もあるんだとか。
普段は神殿から出歩くことのない聖職者や神殿関係者がトレードマークである白い装束で街を歩き、魔蛍虫の光を拾い集める神の話を歌っている。
それを横目に俺たちは学院へと足を踏み入れた。街とは異なり学院の中の明かりは最小限に抑えられており、暗い。
さて、魔蛍虫を放すのはいつからだろう。
「あ、来たわね」
敷地内と言っても教室のような、校舎の中ではないだろうと外をうろうろしていると、ミュリエルが現れた。そのまま先導して案内してくれる。
「毎年中庭でやるのよ」
そう言って、回廊の中を突っ切って行く。今はローブも着用しているのだしと後に続くと、同じようにローブを着ている人影が見えた。ミュリエルが言っていた、帰省場所のない生徒たちなのだろう。俺のような生活をしていて、住み込みで働いている職員もいるのかもしれない。職員なら、あるいはシフト制でたまたま今晩に当たったか。
人影は何かを囲むように立っていて、隙間から覗き込むと、沢山の魔蛍虫が籠の中に入っているのが見えた。……これ、さっきの聖職者が見たら怒られそうだな。
「もう少ししたら始まるわ」
暗闇の中、スキルを発動しないようにロックして時を待つ。いつ掴まるか分からないからと魔動銃のことを話すと、ミュリエルは思った以上に食いついてくれた。どうやら魔法に関して、彼女は技術者でもあるようだ。
魔力に纏わる物の扱いならば任せて欲しいと言われたから、銃は彼女に預けることにした。勿論、使用者がシズであるということは念押しして。
明日から楽しくなりそうね、と言うミュリエルにほっとしつつ報酬の話へ移ると、意外なことに、研究の手伝いで良いと言われた。どうも被験者が少ないようで、論文にまとめるためのサンプルになればいいようだ。
専門は魔力と魔法の関係性についてということで、彼女の指示に従って魔法を放てばいいとのことで危険とは無縁のようだったから了承した。ギルは無理だから、俺とシズが協力することで話がついた。
お互いに納得のいく交渉が終わり、シズがあくびを噛み殺して少しすると、示し合わせたようにして籠の蓋が開けられた。
「わあ……」
どこからともなく漏れる感嘆の声。
魔蛍虫はふわりと浮き上がるように飛び立ち、中庭中に広がって行った。当然だが、街中で見かけるよりも密度が高い。鮮やかな黄緑色の優しい光が点滅しながら彼方此方で存在を主張する。校舎が簡易ながらも大きな柵になっていて、校舎を越えてまで飛んでいこうとしないからいつまでも眺めていられる気がする。
「ん」
口を開けて上を向いていると、不意にギルに抱き寄せられた。というか、ギルが俺に寄り添うようにして腰に腕を回してきたと言うべきか。頭に頬擦りをされ、顔を見ることはできない。
「良い眺めだな」
まさかいかがわしいこともしてないのにそのフレーズを聞くことになろうとは。
落ちてきた言葉に曖昧に相槌を打つと、シズも俺の手をぎゅっと握ってきた。右側をギルに、左側をシズに挟まれて、身体が冷えていることに気づく。
「寒い?」
ギルは兎も角、シズにはローブの左側を開けて中に入るか聞いてみる。シズはそっと潜り込んで来た。そんな俺を、ギルが自分のローブごと包んでくれる。マトリョーシカのようになったところでふと周囲に目を配ると、なんだかいい雰囲気になっている二人組の姿が散見された。既にそういう仲だったのか、この光景に距離が近づいたのかは定かではないが、ちょっと遠くの茂みの向こうや物陰へ目をやると何やら二つの人影が一つに重なっているのが見える。いいのか。
「あらあら……気が利かなくてごめんなさいね。寒いならホットミルクでも飲む?」
「いや、……。そうだな、ちょっと暖まらせてもらおうかな」
正直、強化された聴力が魔蛍虫の涼しげな鳴き声に混じってリップノイズや「あ、だめ……」なんて声を拾い始め、早急にこの場を離れたい。ミュリエルには聞こえてないのだろうが、だったら尚のこと俺たちだけでなく彼女も離す必要があるように思えた。
学生たちのための食堂は閉まっているが、談話室は開いているらしい。他にもいくつか、残っている人たちのために解放されている部屋があるんだとか。
二人羽織ならぬ三人羽織もどきの体勢を崩して、ミュリエルの案内で回廊へ出た。談話室へ通され明かりを点けると、手の込んだ刺繍の施されたカーペットや壁紙、ソファやテーブルが浮かび上がるように姿を現した。
「うわ、高そう」
「まあ安くはないわよ。その分、座り心地は良いと思うけれど」
ソファに座ると、柔らかな感触に一気に疲れが出てきた。一眠りしたとは言っても人に揉まれて気疲れもしていたのだろう。街中の生活から少し離れただけなのに、もう感覚は森の中でのひっそりとした暮らしに慣れていたのだ。
まるで湯船に浸かったかのようなため息を漏らしてしまい、ミュリエルに笑われてしまった。
「やあね、まだ若いのに年寄り臭い」
「疲れたみたいだ。見逃して」
「ふふ。それはいいけれど、今日はもう少しお付き合いいただくわよ」
彼女の手からまさしく魔法のように現れた湯気の立つマグカップを受け取り、息を吹きかけつつ少し口にする。濃厚なミルクに蜂蜜の風味が混じっているのを感じながら一口分を飲み込むと、ホットミルクの熱がじわりと胃へ落ちていくのを感じた。
ミュリエルはシズにはココア、ギルにはブランデーを入れた物を渡したようだ。たっぷりとあったそれらが半分を切る頃には少し身体は軽くなっていて、もしや声をかけられたのは親切心だけではなかったのかと思い至る。
「それで? 何に付き合えばいいのかな」
「もう少ししたら中庭のひと気もなくなるのだけど、魔蛍虫を回収したいのよ。魔力を取り込む虫だから、いろいろ使えるのよね」
「はぁ……」
「報酬は……そうねえ、魔法や魔力に関して分からないことがあれば答えるわよ。本を手繰るより早いし最新の情報を提供できると自負しているのだけど」
どう、と訊ねられ、俺は軽い気持ちで頷いた。お金では得られないものだ思うと、金額での交渉へ持っていくのは寧ろ損なのではと思ったからだ。まあ、魔蛍虫の捕獲の相場が分からなかったのもある。
「それは依頼か?」
ふと、思いついたようにギルが訊ねた。
冒険者組合では個人的なやりとりを制限していないが、問題が起きた場合は当然保証の対象外となる。何が起きても自分たちで解決しなければならない。違法であった場合は、そうだと知らなかったとしてもお縄につくことになるから吟味する力がないのであれば基本的に組合を通した依頼以外は受けない方が面倒事にならずに済む。
ギルがそれを気にするということは、なにかそういうトラブルを予感したということなのだろうか。どう考えても言われたこと以上の波乱など無いように思えるのだが。
「あら、ただの近所付き合いよ。やっておいて損はないと思うわ」
それをミュリエルが言うのかと思うが、俺としては彼女に同意する。
「……なにか気になることでもあった?」
目の前で声を潜めて話すのも憚られ、ならばいっそとそう訊ねると、ギルは少し間を置いてから首を横に振った。
「いや、組合の依頼以外は受けないようにしてきた……癖、みたいなものだ」
「ふぅん?」
もしかしたら、それで苦労したことがあったのかも知れない。冒険者として過ごしていた時期のギルはアルカディア基準では成人とは言えどまだ少年だった筈だから、軽く見られることもあったのだろう。逃亡生活中は言わずもがな。
とは言え、断る理由もなくミュリエルの話を受けた俺たちは、早速魔蛍虫の回収を行うことにした。と言っても、既に日は落ちた後。シズは慣れない場所だし夜目が効かないということもあって、俺とギルが動くことになった。その間、ミュリエルは魔法に関する知識をシズに教えることを請け負ってくれたからありがたくお願いしておいた。
俺は魔法の効力や消費魔力などシステマティックな部分しか分らない。どういう仕組みで魔法が使えるのかという根本的な部分や概念的な部分、いわゆる現地人の思想と理屈が根ざした学問的な側面には全く明るく無いのだ。無知と言っても過言ではない。間違ってもシズに教えられるほどの知識などないから、学院に在籍する存在に基本だけでも教えてもらう機会を与えることができてほっとした。可能なら俺にもご教授願いたいくらいだが、贅沢は言うまい。後でシズからそれとなく聞き出せばいい。
明かりは邪魔になるから何も持たず、中庭へと戻る。そこにはもう人影は勿論、気配も、名残もなかった。ただ最初に魔蛍虫が入れられていた籠が、最初あった位置に残されているだけだ。
しかしながらまだ周囲に飛ぶ魔蛍虫の数はあまり変わっているようには見えない。何処かへ行ってしまう前に出来るだけ回収してしまおうと早速作業に取り掛かった。
ミュリエルから回収用にと手渡されたのは、生きたまま捕獲できるようにという対虫用の線香だ。蚊取り線香みたいなもので、これを焚くと飛んでいる個体も校舎の高くに留まっている個体もぽとぽとと落ちてくる。麻痺の一種で、感覚を狂わせて思うように動けなくさせるもので効果は一定時間持続する。そこをさっと集めることで傷つけることなく虫取りができるという具合だ。
学院の敷地内で煙が上がればあらぬ誤解を受けるかも知れないが、毎年この夏祭りの夜に魔蛍虫を放し、回収するまでが行事のようなものらしいから、お叱りを受けることはないとミュリエルから太鼓判を押されている。
中庭の中央で線香……というには情緒もなくもくもくと煙を上げるその様を眺めながら、俺は口を開いた。
「……ギルはミュリエルのこと信用してない?」
気になっていたことを聞いてみる。
敵視こそしていないものの、先程の物言いはなにやら含むものがあった。ギルは彼女と俺の手前、言葉を飲み込んだように見えたのだ。
確信が掴めないからなのか、それとも疑いすぎだと自戒したのかは俺には分らない。でも、ギルがなにを考えているのかは知りたかった。
「いや。……察したかも知れないが、前に安請け合いをして良いように使われたことがあっただけだ。ご近所付き合いとやらにも縁がなかったからな」
相変わらず淡々として落ち着いた声色だが、その内容はギルの背景を知った今となっては一抹の寂しさを感じるものだった。ギル本人がどう思っているか、じゃなく、飽くまで俺が勝手にそう感じただけだが。
孤児院にいた頃は勿論、スリをしていた頃、冒険者になった後、そして追われていた頃。
そのどの時期にも、ギルには俺が思うような『家』はなかったのだ。血の繋がりに関わらず、アウェイに対するホームのような、そんな、心の支えになるような場所が。
そう思うとなんだか急に胸がいっぱいになって、目頭が熱くなるのをぎゅっと堪えた。
当たり前のように生きていた場所を失ったものの、人に恵まれていた俺よりずっとギルは孤独だった。そのことをギル自身が辛いものと思っていなくても、内心で心安らぐ場所を求めていなくても構わない。
俺はせり上がる衝動を深呼吸をして飲み込んだ。
――ギルに、家をあげたい。
その家は、ホームという名前以上に居心地のいいものにしたい。そうなるように尽くしたい。
俺にとっては勿論、ギルやシズにとっても。
震える気持ちをどうにか落ち着けて、笑みを浮かべる。
「これから慣れて行けば良いんじゃない。難しいなら、ほら……恩を売っておくとでも思って」
「ああ、そうだな」
俺の言い方におかしいところでもあったのか、ギルの声に微かに笑みが乗る。そして、奴隷が恩を売ろうと思ったところで、それは結局主人の方へ向けられるだろと指摘されて、俺は間抜けにもぽかんとしてしまった。
そんな俺を見て、ギルがまた笑う。今度はさっきよりも少し大きく。喉仏が大きく動き、片手で隠しきれなかった口元は楽しげにつり上がって、少しだけ歯が覗いていた。
「ほら、とっとと仕事を済ませようぜ」
「あ、うん」
魔蛍虫は煙の効果で発光しなくなっているが、俺とギルなら見つけることは容易い。
ギルとは違う場所から回収作業にかかりつつ、俺はまだ胸の中に残る気持ちと、ギルにからかわれた言葉について考えていた。
作業が終わり、魔蛍虫を入れた籠を暗幕で覆い談話室へ戻ると、シズが顔を綻ばせて出迎えてくれた。
「ヒューイさま! 僕、すごくたくさんのこと教えていただきましたよ!」
「そっか、良かったな。学院の講義が始まったらシズも出席してみる?」
「いいんですか?」
「俺には教えてあげられないこととかたくさんあるだろうしね」
シラバスかなにかがあればそれを貰っておこう。そして俺も講義を聞きに行ってみよう。
そう思いつつ、まずはシズがミュリエルから聞いた話の確認からだよなあと頭の中で段取りを組み立てて行く。
「ふふ、ちゃんと魔法の基礎は教えておいたから、貴方もきちんと確認してね」
シズの後ろ、上質のソファにゆったりと腰掛けたミュリエルが微笑む。それに頷いて、魔蛍虫を手渡す。彼女はなにやら暗幕越しにじっと籠を見つめたかと思うと満足そうに笑みを深め、謝礼だと言って冊子をくれた。各教室の名称が載った学院の校舎の地図と、新学期から始まる授業・講義内容の一覧が載せられたシラバスだった。職員には配られることのない、学院生のためのもの。
「暇なら毎日でも顔を出していいのよ。新学期を楽しみにしているわ」
そう言ってミュリエルはころころと笑った。雑用を押し付けられなければいいがな、とギルがぼそりと呟く。ミュリエルはその発言に気分を害した様子もなく、むしろ楽しそうに笑った。
「そうしたら労いに私の晩餐にご招待するわよ。どう?」
「……悪くない報酬だ」
「でしょう?」
どうしてだろう。ミュリエルとギルが並ぶと、ミュリエルの方がずっと年上に見える。いや、ギルが年相応に見えてくるのか。
俺の隣で、シズが「そんなに美味しいんですか」と小声で訪ねて来る。それに頷きつつ、
「素直に楽しみにしてるって言えばいいのに……」
そう言って苦笑すると、ギルは肩を竦めて、話は終わったとばかりに出口へ歩き出した。
「あ、それじゃあ俺たちはこれで」
「ええ、今日はありがとう。……楽しめたかしら?」
「かなり。それに、色々収穫もあったし」
「それは何よりだわ」
話をしながら送って行かなくていいのか訊ねると、ミュリエルは外にでなくてもこのまま廊下を行けば寮には戻れるのだと教えてくれ、その場で別れることになった。
「夏祭りの夜は魂攫いがあるっていうし、あまり出歩かないようにね」
「……それって誘拐、とか? それともなにかそういう現象とか」
「さあ、どっちかしらね。でも、魔蛍虫の光に誘われてしまうと、そういうことになるようよ」
……子どもに対する躾のための話かな。
どちらにせよ、転移装置で帰るから問題はない。ただの言い伝えよとミュリエルは笑って帰って行ったが、シズが真剣な顔で今日はいつも以上に戸締りの確認を怠らないようにしないとと俺に言い縋るから、ひやっとした気分はあっさりと霧散してしまった。
「じゃあ今日は集まって寝ようか」
転移装置を目指し歩きながら、何気無く提案した言葉。俺の発言にシズは万歳をして喜び、ギルはやれやれとでも言いたげに小さくため息をつく。その正反対の反応に、俺はいよいよこみ上げる笑いを抑えられなかった。
モンスターダービーは『テイミング』されたモンスターや、そこから人の手によって掛け合わされたモンスターの二世や三世に乗り、定められた街中のコースを三周するものだ。
二世・三世の攻撃性は野生のモンスターよりもずっと低く、扱い方さえ気をつければ共生は勿論、従えることも可能。『Arkadia』では繁殖させて売買していたプレイヤーもいた。
アルカディアにおいては普段は研究対象として学院で飼われたり、騎乗動物として貸し出しされたりしている。街の人々に対してお披露目をする意味合いもあるらしい。そりゃ、街中に見知らぬ生き物がいたらビビる。
ダービーの騎手は大体が普段から世話をしているか乗り馴れている人が殆どだが、希望があれば飛び入り参加もできるらしい。
学院の一角で身体を休めていると、恐らくモンスターダービーの開始を知らせるためだろうファンファーレが鳴り響いた。
事前に知っていればアドルフと参加するのもアリだったかもしれないと思いつつ、俺はそのままうとうとと眠りについた。
モンスターダービーが行われたらしい時間帯は、準備と片付けの時間も含めると午後二時から六時までだったようだ。
ファンファーレの音は三時ごろ。うたた寝から起こされて再び街へ繰り出す頃にはダービー自体はすでに終わっていて、賭けの対象となっていた首位の結果で様々な反応が見られた。
泣き濡れる人や笑いが止まらない人、騎手に憧れる人に商売に一、二頭買っておこうか検討する人。
そんな人たちを見遣りながらクッパ風のあっさりとしたお粥で小腹を満たし、夜に備える。辺りは暗くなり始めていた。
マギの夜は普段からして幻想的だが、今日はそれに加えて魔蛍虫が独特の黄緑色の光を放ちながら飛んでいるのを発見した。あえて夜に出歩くことも少なかったから、見るのは初めてだ。
祭りの日だからか、今日は魔法による明かりも少し絞られているから、見つけるのは容易い。
「綺麗ですねえ」
学院までの道すがら、暗がりに灯るように光る蛍火を見てシズがため息を漏らした。
確かに風情がある。大きさは蛍の数倍はあるが、蛍と同じように光る一方で鈴虫のように鳴いていて、目だけではなく耳からも穏やかな心地にさせてくれる。魔蛍虫はマギでは夏の風物詩として親しまれているが、同時に、この光を人の魂に見たてて祈りを捧げたりもするそうだ。追悼の意味合いもあるが、肉体から解き放たれた存在への憧憬や羨望もあるんだとか。
普段は神殿から出歩くことのない聖職者や神殿関係者がトレードマークである白い装束で街を歩き、魔蛍虫の光を拾い集める神の話を歌っている。
それを横目に俺たちは学院へと足を踏み入れた。街とは異なり学院の中の明かりは最小限に抑えられており、暗い。
さて、魔蛍虫を放すのはいつからだろう。
「あ、来たわね」
敷地内と言っても教室のような、校舎の中ではないだろうと外をうろうろしていると、ミュリエルが現れた。そのまま先導して案内してくれる。
「毎年中庭でやるのよ」
そう言って、回廊の中を突っ切って行く。今はローブも着用しているのだしと後に続くと、同じようにローブを着ている人影が見えた。ミュリエルが言っていた、帰省場所のない生徒たちなのだろう。俺のような生活をしていて、住み込みで働いている職員もいるのかもしれない。職員なら、あるいはシフト制でたまたま今晩に当たったか。
人影は何かを囲むように立っていて、隙間から覗き込むと、沢山の魔蛍虫が籠の中に入っているのが見えた。……これ、さっきの聖職者が見たら怒られそうだな。
「もう少ししたら始まるわ」
暗闇の中、スキルを発動しないようにロックして時を待つ。いつ掴まるか分からないからと魔動銃のことを話すと、ミュリエルは思った以上に食いついてくれた。どうやら魔法に関して、彼女は技術者でもあるようだ。
魔力に纏わる物の扱いならば任せて欲しいと言われたから、銃は彼女に預けることにした。勿論、使用者がシズであるということは念押しして。
明日から楽しくなりそうね、と言うミュリエルにほっとしつつ報酬の話へ移ると、意外なことに、研究の手伝いで良いと言われた。どうも被験者が少ないようで、論文にまとめるためのサンプルになればいいようだ。
専門は魔力と魔法の関係性についてということで、彼女の指示に従って魔法を放てばいいとのことで危険とは無縁のようだったから了承した。ギルは無理だから、俺とシズが協力することで話がついた。
お互いに納得のいく交渉が終わり、シズがあくびを噛み殺して少しすると、示し合わせたようにして籠の蓋が開けられた。
「わあ……」
どこからともなく漏れる感嘆の声。
魔蛍虫はふわりと浮き上がるように飛び立ち、中庭中に広がって行った。当然だが、街中で見かけるよりも密度が高い。鮮やかな黄緑色の優しい光が点滅しながら彼方此方で存在を主張する。校舎が簡易ながらも大きな柵になっていて、校舎を越えてまで飛んでいこうとしないからいつまでも眺めていられる気がする。
「ん」
口を開けて上を向いていると、不意にギルに抱き寄せられた。というか、ギルが俺に寄り添うようにして腰に腕を回してきたと言うべきか。頭に頬擦りをされ、顔を見ることはできない。
「良い眺めだな」
まさかいかがわしいこともしてないのにそのフレーズを聞くことになろうとは。
落ちてきた言葉に曖昧に相槌を打つと、シズも俺の手をぎゅっと握ってきた。右側をギルに、左側をシズに挟まれて、身体が冷えていることに気づく。
「寒い?」
ギルは兎も角、シズにはローブの左側を開けて中に入るか聞いてみる。シズはそっと潜り込んで来た。そんな俺を、ギルが自分のローブごと包んでくれる。マトリョーシカのようになったところでふと周囲に目を配ると、なんだかいい雰囲気になっている二人組の姿が散見された。既にそういう仲だったのか、この光景に距離が近づいたのかは定かではないが、ちょっと遠くの茂みの向こうや物陰へ目をやると何やら二つの人影が一つに重なっているのが見える。いいのか。
「あらあら……気が利かなくてごめんなさいね。寒いならホットミルクでも飲む?」
「いや、……。そうだな、ちょっと暖まらせてもらおうかな」
正直、強化された聴力が魔蛍虫の涼しげな鳴き声に混じってリップノイズや「あ、だめ……」なんて声を拾い始め、早急にこの場を離れたい。ミュリエルには聞こえてないのだろうが、だったら尚のこと俺たちだけでなく彼女も離す必要があるように思えた。
学生たちのための食堂は閉まっているが、談話室は開いているらしい。他にもいくつか、残っている人たちのために解放されている部屋があるんだとか。
二人羽織ならぬ三人羽織もどきの体勢を崩して、ミュリエルの案内で回廊へ出た。談話室へ通され明かりを点けると、手の込んだ刺繍の施されたカーペットや壁紙、ソファやテーブルが浮かび上がるように姿を現した。
「うわ、高そう」
「まあ安くはないわよ。その分、座り心地は良いと思うけれど」
ソファに座ると、柔らかな感触に一気に疲れが出てきた。一眠りしたとは言っても人に揉まれて気疲れもしていたのだろう。街中の生活から少し離れただけなのに、もう感覚は森の中でのひっそりとした暮らしに慣れていたのだ。
まるで湯船に浸かったかのようなため息を漏らしてしまい、ミュリエルに笑われてしまった。
「やあね、まだ若いのに年寄り臭い」
「疲れたみたいだ。見逃して」
「ふふ。それはいいけれど、今日はもう少しお付き合いいただくわよ」
彼女の手からまさしく魔法のように現れた湯気の立つマグカップを受け取り、息を吹きかけつつ少し口にする。濃厚なミルクに蜂蜜の風味が混じっているのを感じながら一口分を飲み込むと、ホットミルクの熱がじわりと胃へ落ちていくのを感じた。
ミュリエルはシズにはココア、ギルにはブランデーを入れた物を渡したようだ。たっぷりとあったそれらが半分を切る頃には少し身体は軽くなっていて、もしや声をかけられたのは親切心だけではなかったのかと思い至る。
「それで? 何に付き合えばいいのかな」
「もう少ししたら中庭のひと気もなくなるのだけど、魔蛍虫を回収したいのよ。魔力を取り込む虫だから、いろいろ使えるのよね」
「はぁ……」
「報酬は……そうねえ、魔法や魔力に関して分からないことがあれば答えるわよ。本を手繰るより早いし最新の情報を提供できると自負しているのだけど」
どう、と訊ねられ、俺は軽い気持ちで頷いた。お金では得られないものだ思うと、金額での交渉へ持っていくのは寧ろ損なのではと思ったからだ。まあ、魔蛍虫の捕獲の相場が分からなかったのもある。
「それは依頼か?」
ふと、思いついたようにギルが訊ねた。
冒険者組合では個人的なやりとりを制限していないが、問題が起きた場合は当然保証の対象外となる。何が起きても自分たちで解決しなければならない。違法であった場合は、そうだと知らなかったとしてもお縄につくことになるから吟味する力がないのであれば基本的に組合を通した依頼以外は受けない方が面倒事にならずに済む。
ギルがそれを気にするということは、なにかそういうトラブルを予感したということなのだろうか。どう考えても言われたこと以上の波乱など無いように思えるのだが。
「あら、ただの近所付き合いよ。やっておいて損はないと思うわ」
それをミュリエルが言うのかと思うが、俺としては彼女に同意する。
「……なにか気になることでもあった?」
目の前で声を潜めて話すのも憚られ、ならばいっそとそう訊ねると、ギルは少し間を置いてから首を横に振った。
「いや、組合の依頼以外は受けないようにしてきた……癖、みたいなものだ」
「ふぅん?」
もしかしたら、それで苦労したことがあったのかも知れない。冒険者として過ごしていた時期のギルはアルカディア基準では成人とは言えどまだ少年だった筈だから、軽く見られることもあったのだろう。逃亡生活中は言わずもがな。
とは言え、断る理由もなくミュリエルの話を受けた俺たちは、早速魔蛍虫の回収を行うことにした。と言っても、既に日は落ちた後。シズは慣れない場所だし夜目が効かないということもあって、俺とギルが動くことになった。その間、ミュリエルは魔法に関する知識をシズに教えることを請け負ってくれたからありがたくお願いしておいた。
俺は魔法の効力や消費魔力などシステマティックな部分しか分らない。どういう仕組みで魔法が使えるのかという根本的な部分や概念的な部分、いわゆる現地人の思想と理屈が根ざした学問的な側面には全く明るく無いのだ。無知と言っても過言ではない。間違ってもシズに教えられるほどの知識などないから、学院に在籍する存在に基本だけでも教えてもらう機会を与えることができてほっとした。可能なら俺にもご教授願いたいくらいだが、贅沢は言うまい。後でシズからそれとなく聞き出せばいい。
明かりは邪魔になるから何も持たず、中庭へと戻る。そこにはもう人影は勿論、気配も、名残もなかった。ただ最初に魔蛍虫が入れられていた籠が、最初あった位置に残されているだけだ。
しかしながらまだ周囲に飛ぶ魔蛍虫の数はあまり変わっているようには見えない。何処かへ行ってしまう前に出来るだけ回収してしまおうと早速作業に取り掛かった。
ミュリエルから回収用にと手渡されたのは、生きたまま捕獲できるようにという対虫用の線香だ。蚊取り線香みたいなもので、これを焚くと飛んでいる個体も校舎の高くに留まっている個体もぽとぽとと落ちてくる。麻痺の一種で、感覚を狂わせて思うように動けなくさせるもので効果は一定時間持続する。そこをさっと集めることで傷つけることなく虫取りができるという具合だ。
学院の敷地内で煙が上がればあらぬ誤解を受けるかも知れないが、毎年この夏祭りの夜に魔蛍虫を放し、回収するまでが行事のようなものらしいから、お叱りを受けることはないとミュリエルから太鼓判を押されている。
中庭の中央で線香……というには情緒もなくもくもくと煙を上げるその様を眺めながら、俺は口を開いた。
「……ギルはミュリエルのこと信用してない?」
気になっていたことを聞いてみる。
敵視こそしていないものの、先程の物言いはなにやら含むものがあった。ギルは彼女と俺の手前、言葉を飲み込んだように見えたのだ。
確信が掴めないからなのか、それとも疑いすぎだと自戒したのかは俺には分らない。でも、ギルがなにを考えているのかは知りたかった。
「いや。……察したかも知れないが、前に安請け合いをして良いように使われたことがあっただけだ。ご近所付き合いとやらにも縁がなかったからな」
相変わらず淡々として落ち着いた声色だが、その内容はギルの背景を知った今となっては一抹の寂しさを感じるものだった。ギル本人がどう思っているか、じゃなく、飽くまで俺が勝手にそう感じただけだが。
孤児院にいた頃は勿論、スリをしていた頃、冒険者になった後、そして追われていた頃。
そのどの時期にも、ギルには俺が思うような『家』はなかったのだ。血の繋がりに関わらず、アウェイに対するホームのような、そんな、心の支えになるような場所が。
そう思うとなんだか急に胸がいっぱいになって、目頭が熱くなるのをぎゅっと堪えた。
当たり前のように生きていた場所を失ったものの、人に恵まれていた俺よりずっとギルは孤独だった。そのことをギル自身が辛いものと思っていなくても、内心で心安らぐ場所を求めていなくても構わない。
俺はせり上がる衝動を深呼吸をして飲み込んだ。
――ギルに、家をあげたい。
その家は、ホームという名前以上に居心地のいいものにしたい。そうなるように尽くしたい。
俺にとっては勿論、ギルやシズにとっても。
震える気持ちをどうにか落ち着けて、笑みを浮かべる。
「これから慣れて行けば良いんじゃない。難しいなら、ほら……恩を売っておくとでも思って」
「ああ、そうだな」
俺の言い方におかしいところでもあったのか、ギルの声に微かに笑みが乗る。そして、奴隷が恩を売ろうと思ったところで、それは結局主人の方へ向けられるだろと指摘されて、俺は間抜けにもぽかんとしてしまった。
そんな俺を見て、ギルがまた笑う。今度はさっきよりも少し大きく。喉仏が大きく動き、片手で隠しきれなかった口元は楽しげにつり上がって、少しだけ歯が覗いていた。
「ほら、とっとと仕事を済ませようぜ」
「あ、うん」
魔蛍虫は煙の効果で発光しなくなっているが、俺とギルなら見つけることは容易い。
ギルとは違う場所から回収作業にかかりつつ、俺はまだ胸の中に残る気持ちと、ギルにからかわれた言葉について考えていた。
作業が終わり、魔蛍虫を入れた籠を暗幕で覆い談話室へ戻ると、シズが顔を綻ばせて出迎えてくれた。
「ヒューイさま! 僕、すごくたくさんのこと教えていただきましたよ!」
「そっか、良かったな。学院の講義が始まったらシズも出席してみる?」
「いいんですか?」
「俺には教えてあげられないこととかたくさんあるだろうしね」
シラバスかなにかがあればそれを貰っておこう。そして俺も講義を聞きに行ってみよう。
そう思いつつ、まずはシズがミュリエルから聞いた話の確認からだよなあと頭の中で段取りを組み立てて行く。
「ふふ、ちゃんと魔法の基礎は教えておいたから、貴方もきちんと確認してね」
シズの後ろ、上質のソファにゆったりと腰掛けたミュリエルが微笑む。それに頷いて、魔蛍虫を手渡す。彼女はなにやら暗幕越しにじっと籠を見つめたかと思うと満足そうに笑みを深め、謝礼だと言って冊子をくれた。各教室の名称が載った学院の校舎の地図と、新学期から始まる授業・講義内容の一覧が載せられたシラバスだった。職員には配られることのない、学院生のためのもの。
「暇なら毎日でも顔を出していいのよ。新学期を楽しみにしているわ」
そう言ってミュリエルはころころと笑った。雑用を押し付けられなければいいがな、とギルがぼそりと呟く。ミュリエルはその発言に気分を害した様子もなく、むしろ楽しそうに笑った。
「そうしたら労いに私の晩餐にご招待するわよ。どう?」
「……悪くない報酬だ」
「でしょう?」
どうしてだろう。ミュリエルとギルが並ぶと、ミュリエルの方がずっと年上に見える。いや、ギルが年相応に見えてくるのか。
俺の隣で、シズが「そんなに美味しいんですか」と小声で訪ねて来る。それに頷きつつ、
「素直に楽しみにしてるって言えばいいのに……」
そう言って苦笑すると、ギルは肩を竦めて、話は終わったとばかりに出口へ歩き出した。
「あ、それじゃあ俺たちはこれで」
「ええ、今日はありがとう。……楽しめたかしら?」
「かなり。それに、色々収穫もあったし」
「それは何よりだわ」
話をしながら送って行かなくていいのか訊ねると、ミュリエルは外にでなくてもこのまま廊下を行けば寮には戻れるのだと教えてくれ、その場で別れることになった。
「夏祭りの夜は魂攫いがあるっていうし、あまり出歩かないようにね」
「……それって誘拐、とか? それともなにかそういう現象とか」
「さあ、どっちかしらね。でも、魔蛍虫の光に誘われてしまうと、そういうことになるようよ」
……子どもに対する躾のための話かな。
どちらにせよ、転移装置で帰るから問題はない。ただの言い伝えよとミュリエルは笑って帰って行ったが、シズが真剣な顔で今日はいつも以上に戸締りの確認を怠らないようにしないとと俺に言い縋るから、ひやっとした気分はあっさりと霧散してしまった。
「じゃあ今日は集まって寝ようか」
転移装置を目指し歩きながら、何気無く提案した言葉。俺の発言にシズは万歳をして喜び、ギルはやれやれとでも言いたげに小さくため息をつく。その正反対の反応に、俺はいよいよこみ上げる笑いを抑えられなかった。
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