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一章 ギルと名乗る男
そして
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そりゃあ、後ろ暗いところはないほうがいいに決まっている。加えて俺が『狙われる』ことに対して酷く臆病になっていて、精神的に弱いことは嫌という程に分かっているわけで。
「どんな?」
だからそんな方法があるのならと、俺が飛びついたのは必然だった。
「結論から言うと、俺がお前の奴隷になればいい」
でも、あっさりと口にされた内容は、俺には理解し難いものだった。
『Arkadia』において、プレイヤーはホームを持つことで奴隷を使えるようになる。なんらかの方法で入手した奴隷に特定の仕事を命じ、プレイヤーの助けとするものだ。生産者であればその作業を、戦闘好きであればバディなりを組んだり、あるいは荷物持ちとして連れまわす。
勿論、所有した奴隷のステータスもある程度弄れるようになる。違うのは、プレイヤーはステータスを完全に自分で割り振ることで微調整が可能だが、奴隷の場合は成長の仕方がシステム側で指定されている。ステータスポイントもレベルアップにつき1しか取得できない。
この奴隷は衣食住を調えてやればずっと持っていられる。非プレイヤーキャラクター(NPC)たちと同じく一人一人人格を持っていて、好みや性格が異なっており、当然他に買われてしまえば入手不可になるため、一部のプレイヤーは好みの奴隷を買い占めたりしていた。
この奴隷だが、購入できる奴隷というのは、犯罪奴隷ではない。よって不当な暴力は以ての外。奴隷は『Arkadia』では資産扱いであるから冒険者といえども「ほう……」というような目で見られはするが、奴隷の生殺与奪を握っているわけではなく、むしろ管理義務が生じる。奴隷たちを上手く扱い、従えてこそ一人前なのだ。これが良好であると、ホームを城郭都市内に設定していた場合、住民の態度が結構変わったりする。
奴隷たちは向き不向きがあり、公的に認められた奴隷商は能力別に奴隷を割り振り、販売している。そう言った場所以外で売買される奴隷と言うのは違法であり、違法なだけあって人の道から外れたことも出来るが、自分が犯罪者になる。
ギルが言う奴隷とは、こういった種類ではなく、正真正銘犯罪奴隷のほうだ。
犯罪奴隷は、書いてそのまま、犯罪者が奴隷となったものである。特にプレイヤーに馴染みがあるのは賞金首だろう。
賞金首を生かしたまま拘束できれば、その者に賞金首の生殺与奪の権利が与えられる。無罪放免とするのは無理だが、賞金首を生涯奴隷とし、『使役』することができるようになる。勿論、使えなくなれば殺すことも認められている。だが、そういった賞金首たちは性格に難がある上、隷属魔法によって強い制約をかけられるにもかかわらず反抗することも珍しくなく、扱い辛い。しかも一度自分の奴隷とすると賞金首としてかけられていた金額は全て白紙となり、一部は組合に、また一部は公的な都市の運用資金や、場合によっては孤児院のような親のない子等のために使われる。
よって、ほぼ賞金首は拘束されたのち、強制労働を含む、然るべき刑に処されることが当たり前だ。そもそも、生かしたまま捕らえる場合は組合から配布される専用の拘束具が必要だが、生死不問である場合は遺体を渡せばいいだけだから殺されるケースの方が圧倒的だろう。
ギルの提案はつまり、俺にその命を預けるということなのだ。
……お、重い。半端なく重い。
確かにギルが追われなくなって、一緒にいられるなら心強い。ほいほいとベッド事情を喋るようなタイプには見えないが、俺の体毛のことも、うっかりであっても漏らされるのは困るし。
俺は戦力が欲しいし、ギルを拘束したい理由がある。
けれど、だからといってギルを犯罪奴隷として俺の財産にするというのは、また別の話だ。
だってまだ、俺はアルカディアのことを何も知らない。
ある日突然、20年過ごしたあの世界へ帰っているかもしれないのに。そうしたらギルはどうなってしまうんだろうと思うと、安易には頷けない。
百歩譲って、俺が『セカンドキャラ』となってこの世界に残留するのであれば、どうにかなるだろう。でも、そうとは限らないし、そもそも『Arkadia』とこのアルカディアをまるで同一のものか分からない。その意味において、俺はまだなにも知らないのだ。
もしこの世界が『Arkadia』に非常に似ていながら、けれど『Arkadia』ではなかったら。
ギルは、どうなるんだろう。
考えても仕方が無いことなのに、考えるのを止められない。だからまた、踏み出せない。
樹生なら、きっと迷わない。
あいつはあんまりなにも考えずに行動しそうだ、とふと思う。いつもその時できる最大の努力をしようとする樹生の力強さに、いつも背を押されていたような気がする。仕方が無いなと言いながら、俺はいつもあいつに励まされていた。この世界に一人でも、尚。
ふつふつと、会いたいという気持ちが募る。そうすれば多分、大丈夫な気がした。
「おい、ヒューイ?」
名を呼ばれ、我に返る。黙ったままだった……!
「……それは保留でも、いいかな。ちょっと……考えもしなかったから」
全幅の信頼というのは酷く自尊心をくすぐる。でも、命まで差し出されると、困惑してしまう。ゲームであれば、所詮相手はどれほど本物に見えようと、そう思ってしまおうと、その全ては仮想空間に作られた映像であり、中身は人工知能だ。
でも、この世界を”現実”と認めた時のように、目の前にいるギルをそうだとは思えない。俺と同じ一人の人間だと思うと、がらりと意識が変わるのだ。
「ギルも、もうちょっと慎重になったほうがいいんじゃない」
「お前が重く見過ぎなんだろ。確かに色々とお前任せになることは間違いないが、自分の世話は自分でできるし、お前もそうだろう。お前ならいいかと思ったんだ。まあ、指揮官としてはお前みたいなビビリの下につくなんざ論外だがな」
本当に命を預けようとしているのか疑わしいほどに刺さる発言だ。そもそも俺は頭脳派でもない正真正銘、ただの小市民である。期待されても迷惑だ。
「まあ、今のところバレるまでは保留でいいが……バレた場合はどうする?」
「その時は仕方が無い。確か冒険者ギルドの施設内での抜剣は武力排除の対象内だったはずだから、いざとなったら駆け込んでしまおう」
賞金首がそれを出している組織の懐でお縄に着くというのもシュールな図だが、殺されないために刑務所に入るようなものだろう。そうするために被害者が出ない分まだいい。背負うものができてしまうけど、俺の秘密を知るギルが殺されるのを願うほど短絡的ではない。
「情けない図だな」
率直なギルの言葉に苦笑するしかなかったが、曲げるつもりはなかった。
まず、自分の命を最優先にすること。
それだけを確かなものとして決めた後、俺たちはやっと身支度を始めた。
積極的に攻撃はしないが、攻撃されれば反撃くらいはする。その結果、相手が死ぬことになっても自分が死ぬよりはいい。
幸い俺は魔法を習得している。毒はともかく、視界を奪うブラインドや声を奪うサイレンスなどなど、うってつけのものが揃っている。それもやり過ぎれば心臓が止まってしまうかもしれないが、微調整出来る器用さもあるつもりだ。訓練すればスムーズに出来るだろう。この手の魔法は殺傷力は低く、麻痺にしてもさっさと息の根を止めたいなら電撃系の攻撃魔法を使った方が余程早い。雷撃は対象が焦げるデメリットがあるため、皮を剥ぎたいのであれば不向きだが。
ベッドから出て、ぎこちない動作ながら支度を進める。ギルには心配されたが、泣きたいような痛みではないし、もう慣れたし、経験から言って恐らく夕方には回復するだろうからと言うと、微妙な顔をされた。何故だ。
ゼクスシュタインでは既に酵母を発見しており、朝食にはふっくらとしたパンが出された。たっぷりとバターをつけて食べ、炒り卵やサラダを挟んで平らげる。コーヒーは濃くてブラックでは飲めなかったので、ミルクと砂糖を入れて飲んだ。ギルも砂糖は入れていたものの、ミルクは苦手らしく手をつけなかった。癖が強いから嫌なんだそうだ。意外な発見だった。
まったりとした朝食を終え、アドルフを預かってもらっている小屋へ移動する。食事の間も次にすることを決めていたのだが、今日すぐに街を発つわけではないから、今日も宿泊する手続きをギルにしてもらっている間に食事をさせることにした。昨日狩った肉はインベントリにしまってあるが、昨日狩ったはずの生肉が新鮮な状態で袋から出てくるのは流石に言い繕えない。
小屋に入ると尻尾を振ってきたので軽くグルーミングをして肉を与える。ペロリと綺麗に食べ切った頃、ギルもやってきた。
「一応今日だけの延長にしておいた」
「ありがとう」
具体的にどれほど滞在するのかは未定だが、少なくとも装備を整えて、旅の準備を終えて、気分のリフレッシュが済んだらの話だ。
次に向かう目的地は、メインキャラのホームを置いている学術都市≪マギ≫だ。メインキャラもホームも存在するのか、そうであれば今はどうなっているのかを確認するためだ。もし存在するなら、ここは俺の知る『Arkadia』で確定するし、俺をセカンドキャラとして認識してもらえるならメインキャラの資産を使えるようになる。そうすれば樹生を探しやすくなるし、そこを拠点にできるのだ。
マギはその名の通りアカデミックな街で、大きな図書館や学校、研究所があり、魔法という現象から世界の理に触れることを目的としている勉学の街であるから、もしメインキャラとホームがなかったとしても、もしかしたら、俺がこの現実へ迷い込んだことについて何か分かるかもしれないという期待もある。
ゼクスシュタインは人間の街の中でもかなり東に位置している。マギはゼクスシュタインから南西にあり、相互に影響しあい発展しているせいか人の行き来は多い。ここを発つ際には隊商に護衛として混じればそれなりに快適な旅になるだろう。
とは言え、今は再び旅立つまでの資金が必要で、暫くは依頼の消化になる。ギルもそれは了承してくれた。顔が知れ渡っているわけではないそうだし、本人も堂々としているから賞金首だとはっきりバレるまでは大丈夫だろうということだった。それに、俺を側に置いておくには貴族狩りは出来ないということは分かっているらしく、大人しくすると先に言われてしまった。嘘をつかれたことはないから、俺はその言葉を信じることにした。
アドルフを連れて、宿を出る。今日は荷物の整理だ。売れるものは売って、買えるものは買う。装備品は高いが、服や鞄、旅装束にはうってつけの外套などは値段も様々だし、手に入れておきたい。フィズィの服が気に入らないのではなくて、単純に生活魔法で清潔にしていても毎日着ていればダメになるのは早くなるわけで。ゼクスシュタインでは俺の世界で言う科学的な技術が上手く魔法や魔晶石を組み込みながら発展しているから、他では広まってない素材のものが多く手に入りやすいというのも大きい。下着にしてもそう。
ギルに返された皮袋の中から日持ちしないものを売り払い足しにする。2ドラクマほどにしかならなかったが、まあ干し肉だとかだから仕方ない。
生活雑貨の揃ったフロアに移り一通り見て回ったところ、既製品が多く、値段も手ごろで動きやすい服装がほとんどだった。シャツは勿論、カーゴパンツをはじめ、デニム生地のジーンズやチノパン系の綿や麻がメインのしっかりした作業向けのスラックスばかりだった。冒険者はこういった普段着の上に鎖帷子だのガントレットだのと着込んでいくわけだ。俺は軽装備メインだから重い装備には縁がないが、ギルはつけないこともないらしい。今までは逃げるのを優先していたため、できる限り身軽でいただけだと。
ギルの扱う武器はダガーを筆頭とした短刀で、近接型の戦闘スタイルがメインだ。道中使っていたジャマダハルなんかは本当に殴るように突き出すわけで、リーチは長くないから敵の懐へもぐりこむ必要がある。であれば、敵の攻撃を掻い潜る素早さと器用さか、それに耐えうる防御力が必要となる。ギルの逃亡生活はなんと三年にも渡るそうで、今は前者のスタイルを取っているんだそうだ。三年も転々としながら貴族に恨みを晴らしつつ生活するなんて所業は絶対俺には無理だと思う。
ギルは完全に俺のことを兎に角世間知らずなのだと認識しているようで、装備品一つにしてもいろいろと教えてくれた。一応『Arkadia』で二年も後衛魔法使いとしてプレイしてたわけだし、フィズィにもあれこれ教えてもらったんだけどな……。ただ下着とかゲームで必要なかった要素や、フォーレにはなかった鉱物や宝石の加工品についてはありがたく拝聴した。
鞄についても、大きな巾着のような皮袋よりも、もっときちんと鞄の体をしているものを選んだ。肩からたすき掛けにできる、大きめの物。そこに服だの下着だのと買ったものを入れていく。
二人分とアドルフの首輪を全部合わせても5ドラクマもかからなかったから助かった。装備品は桁違いの値段になってくるから金銭感覚が麻痺しないように気を付けないと。
一通りのものを揃えて、冒険者ギルドへ顔を出す。こなせそうな依頼の確認のためだ。歩行はともかく走ったりするのは厳しいから討伐は却下。モンスターから素材をはぎ取るタイプの採集も無理。街中での力仕事やスピード重視の宅配系も自信はない。と、なると自然と俺のやれることは限られてくる。
ギルには自由にしてくれと告げて、カウンター前で別れる。偶然にも昨日の青年と目が合った。
「いらっしゃい。今日はどうした?」
「あ、出来そうな依頼の確認もなんですけど、あの……依頼、というか……継続して掲示していただきたい伝言のようなものがあるんですが、そういうお願いの場合ってどうすればいいんでしょうか。お金が必要でしたら金額も教えていただきたいのですが」
ギルにはああ言われたけど、口を突いて出てきたのはやっぱり敬語だった。彼に対して敬語を使うなと言われても今更だし、癖に近いから目を瞑ってもらうしかない。
俺が切り出すと、青年は笑みを浮かべてカウンターへ手招いた。どうやら彼がまた対応してくれるらしい。アドルフがしっかり俺のそばにいるのを確認し、その後についていく。
「行方不明者を探したりとかそういう類かな。例えば『このメッセージを読んだら連絡が欲しい』とか、そういう相手からのアクションが欲しい感じの」
「あ、はい。そうです。ゼクスシュタインにずっと滞在するわけではないんですけど、そういう人が現れるまでずっと掲示していただきたいんです」
「ふうん? 一番最後に依頼を受けたか、達成した場所と日時、内容はタグと組合に保存されるし共有もされるから、君がどこかしらの組合に立ち寄ってくれれば連絡はできると思うけど、組合の支部がある場所全部でそれをするのか?」
「あ……あー、ええと、俺が書いた文章でないと意味がないので……俺の書いた文章を読める人にだけ用があるんです」
俺が言うと、青年はまず紙を取り出した。
「メッセージボードに張り付けるための紙がこれ。特別に掲示するときは組合員が無期限用の判子を押して張り出すが、掲示場所はオプションで君が指定できる。例えば、カウンターの机の外側とかね。勿論料金は取る。無期限の場合はミナ金貨一枚」
高い。
そう思ったのが顔に出ていたらしい。青年はにんまり笑った。
「情報を扱うのだから当然だ。それに組合員にとっても、金貨一枚の扱いをすべき情報にはそれなりの敬意を払うものだよ。安ければ安いだけ、情報の価値は軽いものとして処理されてしまう」
その言葉を聞き、俺は唸った。
「……物凄く当たる確率の低い掲示になりそうなんですが、他にそういうことを頼まれている方っていらっしゃいますか?」
「んー……そうだな、この街だとあまりないが……他のところだと遺跡で発掘された石板の文字だとか古文書の翻訳だとかってのがあるらしい。まあ、学者さまでも難しいんだから冒険者が解読できるわきゃないって話なんだが、それでも極々稀に当たるらしい。まあ組合を使ったほうがその分多くの目に触れることになるんだから、可能性にかけたいなら妥当な値段だと思うけど」
自力で探すよりはずっといいだろう。そりゃあそうだ。
渋々ながら、青年の言葉に頷く。インベントリから金貨を一枚取り出し、カウンターの上に置いた。
「じゃあ、お願いします」
「ん」
青年が手渡してくれた羽ペンで樹生へのメッセージを綴る。あいつへ言いたいことは山ほどあるが、それは本人に直接言えなければ意味もない。だから、文章はひどく簡潔になった。
【樹生へ この文章が分かったなら連絡が欲しい お前の友人より】
簡潔に書いたものを青年へ渡す。
「……? これを掲示すればいいんだ?」
「はい、お願いします。……あ、出来れば日付も!」
情報がいつのものなのか分かった方がいいだろうと慌てて付け足す。『Arkadia』は古代ギリシャや古代ローマがベースになっているが、数字はアラビア数字、暦はグレゴリウス暦を採用していて、俺の世界と大差はない。イベントのネタ装備のためにそうなったようだが、曜日もそのままだ。ただし、現地風に言えば月曜日から各曜日の名称はルナエ、マルティス、メルクリイ、イオウィス、ウェネリス、サルトゥニー、ソリースとなっている。月、火星、水星……というように、天体の名前が使われている。面倒だからその名称がプレイヤーの間で使われることはまずないが。
アルカディアもおそらくはそうだろうが、今まで話題に上ることもなかったし俺自身意識することもなかったため慌ててしまった。一応、メニューを開くと確認できる。他人がメニュー画面を開いているかどうかは確認できないからここで開いてもばれることはないだろうが、不審者丸出しになるからそれは避けたいところだ。幸い青年は快く日にちを書き入れてくれた。それから、判も。
「了解。そうだ、これ、複製してもいいなら今他の支部にも手配できるけど」
「!!!」
願ってもない言葉だった。一も二もなく頷き、お願いする。青年は最高にいい笑顔で俺に告げた。
「複製と全支部配布および無期限掲示分の追加料金、5ミナよろしく」
所持金を大きく上回る提示額である。圧倒的笑顔の前に、俺はカウンターに突っ伏して頭を抱えた。撃沈。それ以外にない。
結局ないものは出せないため沈んだまま取り敢えずゼクスシュタインでの掲示のみをお願いして、俺はギルの元へ戻った。
結局なにを抜いても今必要なのは金だ。金が全てだ。
ぶすくれた俺を見てギルは呆気にとられていたが、事情を話すと小さく笑った。
「貴族じゃないって言葉、今なら信じてもいい」
そう言って、心底楽しそうに目を細める。それを受けて俺が「今なら貴族ほどの金持ちでありたい」と言うと、いよいよ肩を震わせ始めたのだった。
一章 ギルと名乗る男 了.
「どんな?」
だからそんな方法があるのならと、俺が飛びついたのは必然だった。
「結論から言うと、俺がお前の奴隷になればいい」
でも、あっさりと口にされた内容は、俺には理解し難いものだった。
『Arkadia』において、プレイヤーはホームを持つことで奴隷を使えるようになる。なんらかの方法で入手した奴隷に特定の仕事を命じ、プレイヤーの助けとするものだ。生産者であればその作業を、戦闘好きであればバディなりを組んだり、あるいは荷物持ちとして連れまわす。
勿論、所有した奴隷のステータスもある程度弄れるようになる。違うのは、プレイヤーはステータスを完全に自分で割り振ることで微調整が可能だが、奴隷の場合は成長の仕方がシステム側で指定されている。ステータスポイントもレベルアップにつき1しか取得できない。
この奴隷は衣食住を調えてやればずっと持っていられる。非プレイヤーキャラクター(NPC)たちと同じく一人一人人格を持っていて、好みや性格が異なっており、当然他に買われてしまえば入手不可になるため、一部のプレイヤーは好みの奴隷を買い占めたりしていた。
この奴隷だが、購入できる奴隷というのは、犯罪奴隷ではない。よって不当な暴力は以ての外。奴隷は『Arkadia』では資産扱いであるから冒険者といえども「ほう……」というような目で見られはするが、奴隷の生殺与奪を握っているわけではなく、むしろ管理義務が生じる。奴隷たちを上手く扱い、従えてこそ一人前なのだ。これが良好であると、ホームを城郭都市内に設定していた場合、住民の態度が結構変わったりする。
奴隷たちは向き不向きがあり、公的に認められた奴隷商は能力別に奴隷を割り振り、販売している。そう言った場所以外で売買される奴隷と言うのは違法であり、違法なだけあって人の道から外れたことも出来るが、自分が犯罪者になる。
ギルが言う奴隷とは、こういった種類ではなく、正真正銘犯罪奴隷のほうだ。
犯罪奴隷は、書いてそのまま、犯罪者が奴隷となったものである。特にプレイヤーに馴染みがあるのは賞金首だろう。
賞金首を生かしたまま拘束できれば、その者に賞金首の生殺与奪の権利が与えられる。無罪放免とするのは無理だが、賞金首を生涯奴隷とし、『使役』することができるようになる。勿論、使えなくなれば殺すことも認められている。だが、そういった賞金首たちは性格に難がある上、隷属魔法によって強い制約をかけられるにもかかわらず反抗することも珍しくなく、扱い辛い。しかも一度自分の奴隷とすると賞金首としてかけられていた金額は全て白紙となり、一部は組合に、また一部は公的な都市の運用資金や、場合によっては孤児院のような親のない子等のために使われる。
よって、ほぼ賞金首は拘束されたのち、強制労働を含む、然るべき刑に処されることが当たり前だ。そもそも、生かしたまま捕らえる場合は組合から配布される専用の拘束具が必要だが、生死不問である場合は遺体を渡せばいいだけだから殺されるケースの方が圧倒的だろう。
ギルの提案はつまり、俺にその命を預けるということなのだ。
……お、重い。半端なく重い。
確かにギルが追われなくなって、一緒にいられるなら心強い。ほいほいとベッド事情を喋るようなタイプには見えないが、俺の体毛のことも、うっかりであっても漏らされるのは困るし。
俺は戦力が欲しいし、ギルを拘束したい理由がある。
けれど、だからといってギルを犯罪奴隷として俺の財産にするというのは、また別の話だ。
だってまだ、俺はアルカディアのことを何も知らない。
ある日突然、20年過ごしたあの世界へ帰っているかもしれないのに。そうしたらギルはどうなってしまうんだろうと思うと、安易には頷けない。
百歩譲って、俺が『セカンドキャラ』となってこの世界に残留するのであれば、どうにかなるだろう。でも、そうとは限らないし、そもそも『Arkadia』とこのアルカディアをまるで同一のものか分からない。その意味において、俺はまだなにも知らないのだ。
もしこの世界が『Arkadia』に非常に似ていながら、けれど『Arkadia』ではなかったら。
ギルは、どうなるんだろう。
考えても仕方が無いことなのに、考えるのを止められない。だからまた、踏み出せない。
樹生なら、きっと迷わない。
あいつはあんまりなにも考えずに行動しそうだ、とふと思う。いつもその時できる最大の努力をしようとする樹生の力強さに、いつも背を押されていたような気がする。仕方が無いなと言いながら、俺はいつもあいつに励まされていた。この世界に一人でも、尚。
ふつふつと、会いたいという気持ちが募る。そうすれば多分、大丈夫な気がした。
「おい、ヒューイ?」
名を呼ばれ、我に返る。黙ったままだった……!
「……それは保留でも、いいかな。ちょっと……考えもしなかったから」
全幅の信頼というのは酷く自尊心をくすぐる。でも、命まで差し出されると、困惑してしまう。ゲームであれば、所詮相手はどれほど本物に見えようと、そう思ってしまおうと、その全ては仮想空間に作られた映像であり、中身は人工知能だ。
でも、この世界を”現実”と認めた時のように、目の前にいるギルをそうだとは思えない。俺と同じ一人の人間だと思うと、がらりと意識が変わるのだ。
「ギルも、もうちょっと慎重になったほうがいいんじゃない」
「お前が重く見過ぎなんだろ。確かに色々とお前任せになることは間違いないが、自分の世話は自分でできるし、お前もそうだろう。お前ならいいかと思ったんだ。まあ、指揮官としてはお前みたいなビビリの下につくなんざ論外だがな」
本当に命を預けようとしているのか疑わしいほどに刺さる発言だ。そもそも俺は頭脳派でもない正真正銘、ただの小市民である。期待されても迷惑だ。
「まあ、今のところバレるまでは保留でいいが……バレた場合はどうする?」
「その時は仕方が無い。確か冒険者ギルドの施設内での抜剣は武力排除の対象内だったはずだから、いざとなったら駆け込んでしまおう」
賞金首がそれを出している組織の懐でお縄に着くというのもシュールな図だが、殺されないために刑務所に入るようなものだろう。そうするために被害者が出ない分まだいい。背負うものができてしまうけど、俺の秘密を知るギルが殺されるのを願うほど短絡的ではない。
「情けない図だな」
率直なギルの言葉に苦笑するしかなかったが、曲げるつもりはなかった。
まず、自分の命を最優先にすること。
それだけを確かなものとして決めた後、俺たちはやっと身支度を始めた。
積極的に攻撃はしないが、攻撃されれば反撃くらいはする。その結果、相手が死ぬことになっても自分が死ぬよりはいい。
幸い俺は魔法を習得している。毒はともかく、視界を奪うブラインドや声を奪うサイレンスなどなど、うってつけのものが揃っている。それもやり過ぎれば心臓が止まってしまうかもしれないが、微調整出来る器用さもあるつもりだ。訓練すればスムーズに出来るだろう。この手の魔法は殺傷力は低く、麻痺にしてもさっさと息の根を止めたいなら電撃系の攻撃魔法を使った方が余程早い。雷撃は対象が焦げるデメリットがあるため、皮を剥ぎたいのであれば不向きだが。
ベッドから出て、ぎこちない動作ながら支度を進める。ギルには心配されたが、泣きたいような痛みではないし、もう慣れたし、経験から言って恐らく夕方には回復するだろうからと言うと、微妙な顔をされた。何故だ。
ゼクスシュタインでは既に酵母を発見しており、朝食にはふっくらとしたパンが出された。たっぷりとバターをつけて食べ、炒り卵やサラダを挟んで平らげる。コーヒーは濃くてブラックでは飲めなかったので、ミルクと砂糖を入れて飲んだ。ギルも砂糖は入れていたものの、ミルクは苦手らしく手をつけなかった。癖が強いから嫌なんだそうだ。意外な発見だった。
まったりとした朝食を終え、アドルフを預かってもらっている小屋へ移動する。食事の間も次にすることを決めていたのだが、今日すぐに街を発つわけではないから、今日も宿泊する手続きをギルにしてもらっている間に食事をさせることにした。昨日狩った肉はインベントリにしまってあるが、昨日狩ったはずの生肉が新鮮な状態で袋から出てくるのは流石に言い繕えない。
小屋に入ると尻尾を振ってきたので軽くグルーミングをして肉を与える。ペロリと綺麗に食べ切った頃、ギルもやってきた。
「一応今日だけの延長にしておいた」
「ありがとう」
具体的にどれほど滞在するのかは未定だが、少なくとも装備を整えて、旅の準備を終えて、気分のリフレッシュが済んだらの話だ。
次に向かう目的地は、メインキャラのホームを置いている学術都市≪マギ≫だ。メインキャラもホームも存在するのか、そうであれば今はどうなっているのかを確認するためだ。もし存在するなら、ここは俺の知る『Arkadia』で確定するし、俺をセカンドキャラとして認識してもらえるならメインキャラの資産を使えるようになる。そうすれば樹生を探しやすくなるし、そこを拠点にできるのだ。
マギはその名の通りアカデミックな街で、大きな図書館や学校、研究所があり、魔法という現象から世界の理に触れることを目的としている勉学の街であるから、もしメインキャラとホームがなかったとしても、もしかしたら、俺がこの現実へ迷い込んだことについて何か分かるかもしれないという期待もある。
ゼクスシュタインは人間の街の中でもかなり東に位置している。マギはゼクスシュタインから南西にあり、相互に影響しあい発展しているせいか人の行き来は多い。ここを発つ際には隊商に護衛として混じればそれなりに快適な旅になるだろう。
とは言え、今は再び旅立つまでの資金が必要で、暫くは依頼の消化になる。ギルもそれは了承してくれた。顔が知れ渡っているわけではないそうだし、本人も堂々としているから賞金首だとはっきりバレるまでは大丈夫だろうということだった。それに、俺を側に置いておくには貴族狩りは出来ないということは分かっているらしく、大人しくすると先に言われてしまった。嘘をつかれたことはないから、俺はその言葉を信じることにした。
アドルフを連れて、宿を出る。今日は荷物の整理だ。売れるものは売って、買えるものは買う。装備品は高いが、服や鞄、旅装束にはうってつけの外套などは値段も様々だし、手に入れておきたい。フィズィの服が気に入らないのではなくて、単純に生活魔法で清潔にしていても毎日着ていればダメになるのは早くなるわけで。ゼクスシュタインでは俺の世界で言う科学的な技術が上手く魔法や魔晶石を組み込みながら発展しているから、他では広まってない素材のものが多く手に入りやすいというのも大きい。下着にしてもそう。
ギルに返された皮袋の中から日持ちしないものを売り払い足しにする。2ドラクマほどにしかならなかったが、まあ干し肉だとかだから仕方ない。
生活雑貨の揃ったフロアに移り一通り見て回ったところ、既製品が多く、値段も手ごろで動きやすい服装がほとんどだった。シャツは勿論、カーゴパンツをはじめ、デニム生地のジーンズやチノパン系の綿や麻がメインのしっかりした作業向けのスラックスばかりだった。冒険者はこういった普段着の上に鎖帷子だのガントレットだのと着込んでいくわけだ。俺は軽装備メインだから重い装備には縁がないが、ギルはつけないこともないらしい。今までは逃げるのを優先していたため、できる限り身軽でいただけだと。
ギルの扱う武器はダガーを筆頭とした短刀で、近接型の戦闘スタイルがメインだ。道中使っていたジャマダハルなんかは本当に殴るように突き出すわけで、リーチは長くないから敵の懐へもぐりこむ必要がある。であれば、敵の攻撃を掻い潜る素早さと器用さか、それに耐えうる防御力が必要となる。ギルの逃亡生活はなんと三年にも渡るそうで、今は前者のスタイルを取っているんだそうだ。三年も転々としながら貴族に恨みを晴らしつつ生活するなんて所業は絶対俺には無理だと思う。
ギルは完全に俺のことを兎に角世間知らずなのだと認識しているようで、装備品一つにしてもいろいろと教えてくれた。一応『Arkadia』で二年も後衛魔法使いとしてプレイしてたわけだし、フィズィにもあれこれ教えてもらったんだけどな……。ただ下着とかゲームで必要なかった要素や、フォーレにはなかった鉱物や宝石の加工品についてはありがたく拝聴した。
鞄についても、大きな巾着のような皮袋よりも、もっときちんと鞄の体をしているものを選んだ。肩からたすき掛けにできる、大きめの物。そこに服だの下着だのと買ったものを入れていく。
二人分とアドルフの首輪を全部合わせても5ドラクマもかからなかったから助かった。装備品は桁違いの値段になってくるから金銭感覚が麻痺しないように気を付けないと。
一通りのものを揃えて、冒険者ギルドへ顔を出す。こなせそうな依頼の確認のためだ。歩行はともかく走ったりするのは厳しいから討伐は却下。モンスターから素材をはぎ取るタイプの採集も無理。街中での力仕事やスピード重視の宅配系も自信はない。と、なると自然と俺のやれることは限られてくる。
ギルには自由にしてくれと告げて、カウンター前で別れる。偶然にも昨日の青年と目が合った。
「いらっしゃい。今日はどうした?」
「あ、出来そうな依頼の確認もなんですけど、あの……依頼、というか……継続して掲示していただきたい伝言のようなものがあるんですが、そういうお願いの場合ってどうすればいいんでしょうか。お金が必要でしたら金額も教えていただきたいのですが」
ギルにはああ言われたけど、口を突いて出てきたのはやっぱり敬語だった。彼に対して敬語を使うなと言われても今更だし、癖に近いから目を瞑ってもらうしかない。
俺が切り出すと、青年は笑みを浮かべてカウンターへ手招いた。どうやら彼がまた対応してくれるらしい。アドルフがしっかり俺のそばにいるのを確認し、その後についていく。
「行方不明者を探したりとかそういう類かな。例えば『このメッセージを読んだら連絡が欲しい』とか、そういう相手からのアクションが欲しい感じの」
「あ、はい。そうです。ゼクスシュタインにずっと滞在するわけではないんですけど、そういう人が現れるまでずっと掲示していただきたいんです」
「ふうん? 一番最後に依頼を受けたか、達成した場所と日時、内容はタグと組合に保存されるし共有もされるから、君がどこかしらの組合に立ち寄ってくれれば連絡はできると思うけど、組合の支部がある場所全部でそれをするのか?」
「あ……あー、ええと、俺が書いた文章でないと意味がないので……俺の書いた文章を読める人にだけ用があるんです」
俺が言うと、青年はまず紙を取り出した。
「メッセージボードに張り付けるための紙がこれ。特別に掲示するときは組合員が無期限用の判子を押して張り出すが、掲示場所はオプションで君が指定できる。例えば、カウンターの机の外側とかね。勿論料金は取る。無期限の場合はミナ金貨一枚」
高い。
そう思ったのが顔に出ていたらしい。青年はにんまり笑った。
「情報を扱うのだから当然だ。それに組合員にとっても、金貨一枚の扱いをすべき情報にはそれなりの敬意を払うものだよ。安ければ安いだけ、情報の価値は軽いものとして処理されてしまう」
その言葉を聞き、俺は唸った。
「……物凄く当たる確率の低い掲示になりそうなんですが、他にそういうことを頼まれている方っていらっしゃいますか?」
「んー……そうだな、この街だとあまりないが……他のところだと遺跡で発掘された石板の文字だとか古文書の翻訳だとかってのがあるらしい。まあ、学者さまでも難しいんだから冒険者が解読できるわきゃないって話なんだが、それでも極々稀に当たるらしい。まあ組合を使ったほうがその分多くの目に触れることになるんだから、可能性にかけたいなら妥当な値段だと思うけど」
自力で探すよりはずっといいだろう。そりゃあそうだ。
渋々ながら、青年の言葉に頷く。インベントリから金貨を一枚取り出し、カウンターの上に置いた。
「じゃあ、お願いします」
「ん」
青年が手渡してくれた羽ペンで樹生へのメッセージを綴る。あいつへ言いたいことは山ほどあるが、それは本人に直接言えなければ意味もない。だから、文章はひどく簡潔になった。
【樹生へ この文章が分かったなら連絡が欲しい お前の友人より】
簡潔に書いたものを青年へ渡す。
「……? これを掲示すればいいんだ?」
「はい、お願いします。……あ、出来れば日付も!」
情報がいつのものなのか分かった方がいいだろうと慌てて付け足す。『Arkadia』は古代ギリシャや古代ローマがベースになっているが、数字はアラビア数字、暦はグレゴリウス暦を採用していて、俺の世界と大差はない。イベントのネタ装備のためにそうなったようだが、曜日もそのままだ。ただし、現地風に言えば月曜日から各曜日の名称はルナエ、マルティス、メルクリイ、イオウィス、ウェネリス、サルトゥニー、ソリースとなっている。月、火星、水星……というように、天体の名前が使われている。面倒だからその名称がプレイヤーの間で使われることはまずないが。
アルカディアもおそらくはそうだろうが、今まで話題に上ることもなかったし俺自身意識することもなかったため慌ててしまった。一応、メニューを開くと確認できる。他人がメニュー画面を開いているかどうかは確認できないからここで開いてもばれることはないだろうが、不審者丸出しになるからそれは避けたいところだ。幸い青年は快く日にちを書き入れてくれた。それから、判も。
「了解。そうだ、これ、複製してもいいなら今他の支部にも手配できるけど」
「!!!」
願ってもない言葉だった。一も二もなく頷き、お願いする。青年は最高にいい笑顔で俺に告げた。
「複製と全支部配布および無期限掲示分の追加料金、5ミナよろしく」
所持金を大きく上回る提示額である。圧倒的笑顔の前に、俺はカウンターに突っ伏して頭を抱えた。撃沈。それ以外にない。
結局ないものは出せないため沈んだまま取り敢えずゼクスシュタインでの掲示のみをお願いして、俺はギルの元へ戻った。
結局なにを抜いても今必要なのは金だ。金が全てだ。
ぶすくれた俺を見てギルは呆気にとられていたが、事情を話すと小さく笑った。
「貴族じゃないって言葉、今なら信じてもいい」
そう言って、心底楽しそうに目を細める。それを受けて俺が「今なら貴族ほどの金持ちでありたい」と言うと、いよいよ肩を震わせ始めたのだった。
一章 ギルと名乗る男 了.
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