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平民は平穏が欲しい
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侍従が封筒一つだけを銀のトレーにのせ、恭しくクリシュナへ差し出すのを横目で見ながら、ソラはため息を押し殺した。
冬の休みの間、ソラはクリシュナ個人が所有しているタウンハウスへ身を寄せていた。ライアン家としては認められておらず、ソラは現在クリシュナが戯れに目を掛けている平民という不安定な位置づけだったためだ。元々ソラが住んでいた場所は治安が悪く、簡単に人が売買されるためクリシュナが目を離すのを嫌がってのことだった。
「折角見つけて金を掛けたのだから、飽きるまで他に手を出されないようにするのは当然だろう」
クリシュナが所有するタウンハウスはいくつかあるが、ライアン家の目の届く、比較的安全な場所を選んでのことであるというのはソラも感じていた。クリシュナは他にも平民を連れ込んでいるが、身体の関係を持つこともなく、彼らから市井の様子や感覚などの情報収集を自ら行っていた。
ソラはその中でも特殊で、クリシュナは専らソラの頭の中にある知識や発想を引き出すことを好んでいた。
手頃な同年代や年少の子どもらに読み書き計算を教えるなどという賢しい真似をしていた所、目をつけられたのがクリシュナでよかったと思うことの方が多いソラは、失恋の痛みをクリシュナに突かれながら過ごしていた。
クリシュナの庇護を得る代わりに出された条件は、どうにか「及第点だな」という言葉を引き出すことでクリアしていた。
「バーネット家からだな」
「ふーん」
封蝋の印を一目見ただけで断言したクリシュナに手招きされ、ソラは彼の隣へ腰掛けた。封筒の中に入れられていた紙には、癖のない綺麗な文字が並んでいる。
「シリルからだ」
差出人の名前を認めて、ソラは呟いた。
ルートヴィヒを巡って一悶着あったのは記憶に新しい。結局、ソラは二人が素直になるための起爆剤に過ぎなかった。平民の命が軽いこの世界のこの時代にあって、ソラ自身が人間であると認めてくれた唯一の貴族の男。
告白は流石に勘違いだったような気もしたが、ソラはそれだけルートヴィヒのことを好ましいと思っていた。貴族はおろか平民同士でさえ時には知り合いを切り捨て、売り渡すこともある中で、あれは信用するに値する男だと直感的に思った程だ。なんなら、身体を渡そうとした時に断られたことにさえ、悲しみと同時に好感を抱いた。
「なんて書いてあるんだよ?」
「まあ待て」
クリシュナは何も言わないが、平民の自分が見てはいけないものが書かれていてはたまらないと、ソラは慎重に文面の文字から視線を外し、クリシュナを急かす。まるで飼い犬を宥めるかのようにクリシュナは片手間にソラの相手をしてやりながら、声に楽しげな色を乗せ、文字を追いかけていく。そして数枚に渡る手紙を読み終えると、無造作にソラへ押しつけた。
「わ」
「バーネットからはシリルがこっちへ来るそうだ。コナーもな。中立派というよりはどこの派閥にも属さないバーネットの人間が得られたのは大きい」
「……はあ」
「シリルが同性愛者であることはわざわざ表立って言わないだろうが、まあヤツは次男だ。問題はないのだろう。あそこは跡継ぎにも困っていないようだし、バーネット家として寄越す以上こちらも世話をしなくてはな」
貴族の世界は持ちつ持たれつだと、ソラは聞いたことがある。王家がそのバランスを保つ役割をメインに担いながら、それぞれが助け合いながら人を従えているのだと。それはかつて『賢しい平民がいる』と聞きつけたクリシュナがソラを見つけ出し、最初に教えたことだ。
その方法が『簡単な四則計算や利子や税率についての問題を解くよう場を整え、参加し、正解した者には白銅貨五枚か小麦2リットルを与える』というものだったから、会場の盛況ぶりと言えば凄まじかったとソラは今でも思い出すと価値観の違いにゾッとする。
その時点で大枚をはたいており、こんなことに浪費するなんて頭がおかしいとかつてソラは言い切ったが、クリシュナは「ポケットマネーで済む程度の金だ」と言い放ち、更にソラをおののかせた。
「順調そうで何よりだよ」
「そうだな。昔はシリルを使って面白いことができないか考えたものだが、早々にお前を見つけられて本当に楽しい」
「……はあ?」
満足そうなクリシュナに、ソラは彼の放った言葉を整理すると眉をひそめた。
「シリルを使ってってなんだよ……?」
「あれは昔、俺にそれはもう深く惚れていたからな。俺は全く趣味じゃなかったが、それなりに気のある振りを適当にやってやればいい道具になっただろう。無論、あれに惚れ込んでいるコナーもな」
「人の心とかねーのかよ」
ソラを学舎に放り込み、若い貴族の子息を『整理』したのはクリシュナの計画だ。既得権益にしがみつき甘い汁を吸うだけ吸って還元しない家や、被支配者階級の人間を資源扱いせず、鞭打って己の快楽を貪る嗜好の家などの、親からの教育に既に染まっている者の選別は上手くいった。罪に問われるような規模の家は既に家ごと裁かれており、ゆえに、今いる生徒やその成果には咎と言うほどのものはない。よってクリシュナが学舎内で行ったことは紛れもなく貴族のルールに反している。貴族社会の縮図のような学び舎で、権力闘争に敗れたと言ってしまえばそれは納得すべきなのかもしれないが、ソラには馴染まない考え方だった。
ソラにとって、学校とは等しく子どもが管理される場所であり、どんな家庭の子どもであっても教育は等しく受ける権利を有している。そんな場所で、子ども同士の諍いとは言いがたい規模の不当な扱いを目の当たりにすることは、彼の頭に強い違和感をもたらしていた。
どこからともなくソラの頭の中に湧き上がる『知らぬはずの知識』を、クリシュナは好んだ。
そして、それは王家に背く真似をするまでに至っている。彼が今計画しているのは、空いた領地を使って平民の中から能力のある者を登用し、政治の真似事をさせてみようという実験なのだから。
彼の興味をそこまでそそらせたのは、他ならぬソラの、『いつかどこかで触れていた知識』だ。侯爵家という力に押されたとはいえ、クリシュナを手引きしたのは間違いなくソラだった。
時代的に王家の権力がそう強くないとはいえ、国のトップを刺激することに躊躇いがないはずはない。一度も見たことがないばかりか、生活に関係しない国絡みの事柄は遠い話のはずであるのに、ソラはその重大さを正確に理解し、身震いを止められなかった。今でもまともに向きあおうとすると空恐ろしくて膝が震える。
だが、クリシュナに見つかり、己の有用性を示してしまった以上後に引くこともできない。ソラの状態を「よからぬものが取り憑いている」だの「悪魔憑きだ」だのと言われてしまっては、力を持たない平民にそれを覆す術はない。権力におもねることも、長いものには巻かれる主義でもないが、それでも時として抗えないほど巨大な力にぶつかってしまうことはあるのだなと、ソラは自分の境遇を哀れんだものだ。
「シリル=バーネット……あの容姿でさえなければ悪くない男だが」
「……」
「世の中、なかなか思い通りには行かないものだ」
楽しげに口にするクリシュナに、ソラは呆れた目を向けた。人のことを駒としか見ていない男は人の好意をとくに利用価値が高いと言って喜ぶくせに、興味の惹かれた駒を他に見つけると、簡単に心を踏みにじるような真似をする。クリシュナに恋心を弄ばれたという点については、ソラはシリルには同情的だった。一方で、クリシュナの好みがシリルやソラのような可愛らしかったり、美しかったりするものでなかったことに安堵もした。
「民主主義もどきをやってる間は、そっちで火遊びするのもほどほどにしとけよな」
「はは、平民には興味がない。俺が好むのは貴族の、女が好きな男だ」
「趣味悪すぎ。ってか結婚しねえのかよ。あんた嫡男だろ」
「俺が勃つような女を見つけるのはなかなか骨が折れるからな」
「言ってろ」
この男の前では人として扱われるよりも、愛玩動物のように扱われた方が余程気が楽だ、とソラは内心でひとりごちた。愛玩動物のように生涯愛でられるならばの話ではあるが。
どうかできるだけ長く生きて、円満に離れられますように。
不思議な知恵のある少年は、告白をした男のことを思い出しながらため息をついた。階段で落ちかけた際に抱き止められた腕の暖かさは、まだ自分には縁遠いものらしい。
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ソラはその中でも特殊で、クリシュナは専らソラの頭の中にある知識や発想を引き出すことを好んでいた。
手頃な同年代や年少の子どもらに読み書き計算を教えるなどという賢しい真似をしていた所、目をつけられたのがクリシュナでよかったと思うことの方が多いソラは、失恋の痛みをクリシュナに突かれながら過ごしていた。
クリシュナの庇護を得る代わりに出された条件は、どうにか「及第点だな」という言葉を引き出すことでクリアしていた。
「バーネット家からだな」
「ふーん」
封蝋の印を一目見ただけで断言したクリシュナに手招きされ、ソラは彼の隣へ腰掛けた。封筒の中に入れられていた紙には、癖のない綺麗な文字が並んでいる。
「シリルからだ」
差出人の名前を認めて、ソラは呟いた。
ルートヴィヒを巡って一悶着あったのは記憶に新しい。結局、ソラは二人が素直になるための起爆剤に過ぎなかった。平民の命が軽いこの世界のこの時代にあって、ソラ自身が人間であると認めてくれた唯一の貴族の男。
告白は流石に勘違いだったような気もしたが、ソラはそれだけルートヴィヒのことを好ましいと思っていた。貴族はおろか平民同士でさえ時には知り合いを切り捨て、売り渡すこともある中で、あれは信用するに値する男だと直感的に思った程だ。なんなら、身体を渡そうとした時に断られたことにさえ、悲しみと同時に好感を抱いた。
「なんて書いてあるんだよ?」
「まあ待て」
クリシュナは何も言わないが、平民の自分が見てはいけないものが書かれていてはたまらないと、ソラは慎重に文面の文字から視線を外し、クリシュナを急かす。まるで飼い犬を宥めるかのようにクリシュナは片手間にソラの相手をしてやりながら、声に楽しげな色を乗せ、文字を追いかけていく。そして数枚に渡る手紙を読み終えると、無造作にソラへ押しつけた。
「わ」
「バーネットからはシリルがこっちへ来るそうだ。コナーもな。中立派というよりはどこの派閥にも属さないバーネットの人間が得られたのは大きい」
「……はあ」
「シリルが同性愛者であることはわざわざ表立って言わないだろうが、まあヤツは次男だ。問題はないのだろう。あそこは跡継ぎにも困っていないようだし、バーネット家として寄越す以上こちらも世話をしなくてはな」
貴族の世界は持ちつ持たれつだと、ソラは聞いたことがある。王家がそのバランスを保つ役割をメインに担いながら、それぞれが助け合いながら人を従えているのだと。それはかつて『賢しい平民がいる』と聞きつけたクリシュナがソラを見つけ出し、最初に教えたことだ。
その方法が『簡単な四則計算や利子や税率についての問題を解くよう場を整え、参加し、正解した者には白銅貨五枚か小麦2リットルを与える』というものだったから、会場の盛況ぶりと言えば凄まじかったとソラは今でも思い出すと価値観の違いにゾッとする。
その時点で大枚をはたいており、こんなことに浪費するなんて頭がおかしいとかつてソラは言い切ったが、クリシュナは「ポケットマネーで済む程度の金だ」と言い放ち、更にソラをおののかせた。
「順調そうで何よりだよ」
「そうだな。昔はシリルを使って面白いことができないか考えたものだが、早々にお前を見つけられて本当に楽しい」
「……はあ?」
満足そうなクリシュナに、ソラは彼の放った言葉を整理すると眉をひそめた。
「シリルを使ってってなんだよ……?」
「あれは昔、俺にそれはもう深く惚れていたからな。俺は全く趣味じゃなかったが、それなりに気のある振りを適当にやってやればいい道具になっただろう。無論、あれに惚れ込んでいるコナーもな」
「人の心とかねーのかよ」
ソラを学舎に放り込み、若い貴族の子息を『整理』したのはクリシュナの計画だ。既得権益にしがみつき甘い汁を吸うだけ吸って還元しない家や、被支配者階級の人間を資源扱いせず、鞭打って己の快楽を貪る嗜好の家などの、親からの教育に既に染まっている者の選別は上手くいった。罪に問われるような規模の家は既に家ごと裁かれており、ゆえに、今いる生徒やその成果には咎と言うほどのものはない。よってクリシュナが学舎内で行ったことは紛れもなく貴族のルールに反している。貴族社会の縮図のような学び舎で、権力闘争に敗れたと言ってしまえばそれは納得すべきなのかもしれないが、ソラには馴染まない考え方だった。
ソラにとって、学校とは等しく子どもが管理される場所であり、どんな家庭の子どもであっても教育は等しく受ける権利を有している。そんな場所で、子ども同士の諍いとは言いがたい規模の不当な扱いを目の当たりにすることは、彼の頭に強い違和感をもたらしていた。
どこからともなくソラの頭の中に湧き上がる『知らぬはずの知識』を、クリシュナは好んだ。
そして、それは王家に背く真似をするまでに至っている。彼が今計画しているのは、空いた領地を使って平民の中から能力のある者を登用し、政治の真似事をさせてみようという実験なのだから。
彼の興味をそこまでそそらせたのは、他ならぬソラの、『いつかどこかで触れていた知識』だ。侯爵家という力に押されたとはいえ、クリシュナを手引きしたのは間違いなくソラだった。
時代的に王家の権力がそう強くないとはいえ、国のトップを刺激することに躊躇いがないはずはない。一度も見たことがないばかりか、生活に関係しない国絡みの事柄は遠い話のはずであるのに、ソラはその重大さを正確に理解し、身震いを止められなかった。今でもまともに向きあおうとすると空恐ろしくて膝が震える。
だが、クリシュナに見つかり、己の有用性を示してしまった以上後に引くこともできない。ソラの状態を「よからぬものが取り憑いている」だの「悪魔憑きだ」だのと言われてしまっては、力を持たない平民にそれを覆す術はない。権力におもねることも、長いものには巻かれる主義でもないが、それでも時として抗えないほど巨大な力にぶつかってしまうことはあるのだなと、ソラは自分の境遇を哀れんだものだ。
「シリル=バーネット……あの容姿でさえなければ悪くない男だが」
「……」
「世の中、なかなか思い通りには行かないものだ」
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「民主主義もどきをやってる間は、そっちで火遊びするのもほどほどにしとけよな」
「はは、平民には興味がない。俺が好むのは貴族の、女が好きな男だ」
「趣味悪すぎ。ってか結婚しねえのかよ。あんた嫡男だろ」
「俺が勃つような女を見つけるのはなかなか骨が折れるからな」
「言ってろ」
この男の前では人として扱われるよりも、愛玩動物のように扱われた方が余程気が楽だ、とソラは内心でひとりごちた。愛玩動物のように生涯愛でられるならばの話ではあるが。
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