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その後の二人は
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週も中頃を過ぎた。
「ルートヴィヒ、たまにはお前がリードしてくれないか」
「と、言いますと」
「……私ばかり求めているような気がしてな。なんというか……心苦しい」
ぎょっとしてシリル様を見た。そんなはずはない。毎回シリル様に求められるとのぼせ上がってしまうほどに嬉しいのだ。ただ、彼の憂慮も理解できた。実際に俺は、俺からシリル様を求める誘いの言葉を囁いたことがない。確かに俺が何か言う前にシリル様から求められている、という側面はあるが、未だに……麗しいシリル様に俺が気後れしているのだ。はっきりと伝えたことはないが、事実として彼にそのことが伝わっている。
「……お身体のことが心配で」
嘘ではない。彼からの誘いに乗るだけでなく俺からも動いてしまえば、頻度は相当な数になる。勿論、その全てで挿入をする必要はない。ない、が、盛り上がると挿入したい、挿入されたいとなってしまう。その結果、負担は全てシリル様が負うことになってしまう。それが俺にとっては申し訳ないことで、彼を損なってしまいそうでどうにも、と気が乗らないのだ。
「私はそんなに柔ではないが」
「存じております。……肌を合わせ、繋がるというのは肉体的にも軽くない行為だということです」
「ままならんな」
お互い体力は平均以上はある。それが幸いなのか災いなのかは分からないが、本当に、この日と決めて盛り上がる夜などは外が白むまで貪っていることもあるほどだ。飽きもせずよくやる、などと揶揄されることも稀にあるが、彼と愛し合うことは音楽を聴いたり、馬を走らせたりすることのように一時の流行でもなんでもない、日常の一部だ。日常を尊ぶ彼がそれに飽きることなどないし、俺が彼にそう感じることもない。今までずっとなかったのだからこれからもないだろう。どんな形になっても、彼を愛していることが変わることはないと思う。
「……それと、シリル様が準備を俺に見られることを厭われるので、いつなら良いのかと、計りかねているのもありますよ」
「お前に汚いところを見せたくないんだ」
「そのお気持ちは嬉しいですが。……とはいえ、俺も無理強いはしたくありません。今週末にお誘い致します」
「……それが既に誘い文句ではないのか」
「ご期待に添えるかは分かりませんが、分かっていれば準備ができるのでしょう? ……ああ、でも」
言葉を句切る。そっとシリル様を抱き寄せて、耳元で囁いた。
「あなたを高めるのは、最初から俺にさせてください。一人だけ助走をつけるのはなしですよ」
俺の声も好きだと言われ、こういう気障なことをするのもあまり躊躇しなくなった。優しく、優しくそう言えば、シリル様は僅かに頬を染めて小さく頷いた。本当に、この方は恋人としての振るまいが愛らしすぎる。
楽しみがあるとどこか浮き足立ってしまい落ち着かないものだ。それでも日々をそつなくつつがなく過ごすシリル様を近くで見ていると、やはりすごいお方だと思う。時折密かに口づけを交わす時間に見る、甘く蕩ける表情とはかけ離れている。……そのギャップに未だ目眩がするほど魅せられている。
何度も深く口づけその先へ行きたがる身体をお互いに押さえつけ、迎えた週末。提出物や週明けの予定を一通り確認し終えると、あとはもう隠す事のない熱をさらけ出すだけになった。
湯浴みを済ませ、肌触りの良いナイトシャツを着る。ベッドに腰掛けて待っていると、同じくナイトシャツを纏ったシリル様が準備を終えてそろそろとこちらへやってきた。襟元から裾までのボタン掛けになっているそれがきちんと留められている箇所は二つほどで、彼がそんな着方をしていることに胸の内がざわついた。座ったまま手を伸ばし、目の前に来た彼の手を取る。手の甲に口づけ引き寄せる。ベッドへ片膝を乗り上げたシリル様のシャツの間から膝と太ももが露わになり、それに手を這わせながら口づける。
「今日は夜通しあなたを貪りたい」
俺からの言葉に彼は恥じらうように目を伏せたが、その顎が僅かに引かれ、頷いたのが見えた。
「お前の好きにしていい……」
吐息混じりの声は色香を放ち、俺を魅了する。
「いいのですか? 本当に?」
「多少乱暴に扱われても、お前になら、いい」
言わせるな、と目で訴えてくる彼に、謝罪を込めてもう一度キスをする。宥めるように何度か繰り返して、どちらともなくベッドへ沈み込んだ。
いやな言い方だが、言質は取った。広いベッドの上で期待を浮かべて俺を見上げてくる彼の頬をひと撫ですると、俺はまずシャツの上から彼の身体に手を這わせた。乳首を探り、程なくして浮き上がった小さい快感の芽を親指の腹でこねる。
「あんっ……」
びく、と彼の身体が跳ねる。それでも止めることなく、何度も指で擦った。
「あなたを乱暴に扱うなんて、有り得ない」
「ん、んっ」
「あなたが心からそうされたいと願うならまだしも、俺があなたの身体と心を痛めつけようなどと、そんな恐ろしいこと、毛ほども考えたことはありません」
シリル、と名を呼ぶと、彼から漏れる声がより甘くなる。
「るー、い、っ」
「かわいい、シリル」
こりこりと硬くなり始めた乳首を指の腹で感じながら、優しく、優しく弄る。それだけでびくびくと身体を震わせて、息を浅くする様子が可愛くて、ずっと見ていられる。ここだけで果てるまで彼のただただ甘い声を聞いていたい。
普段は彼に言われてほどほどにしてしまうが、今日は俺が彼を好きにしていいとお許しが出ているので遠慮はしない。
「も、っそこ、ばかり……っ」
「あなたが好い声を出すのがいけない」
心の中で考えていたことを伝えると、シリル様は困ったような顔をした。怒るに怒れないと言ったところだろうか。
「かわいくて……いつまでも見ていたくなる」
きゅ、と指先で小さな乳首を挟む。強く挟むのではなく、乳首の輪郭に沿って滑らせるように。
「はあ、ぁんっ」
フェザータッチで触れているだけで身悶える彼は目の毒と言っても過言ではない。どんどん欲深くさせられる。
「それに……あなたの身体は、もっと、いつまでもここを触れられたがっているようだ」
節度ある態度で過ごす日中に反し、夜の彼は酷く淫らで妖艶だ。俺が知る限り、彼が言う限り誰にも身体を許したことはないということはつまり、自分自身で身体を慰めるうちに今の彼になったということに他ならない。誰を思っていたのかはともかく、この方にこんなにも強い肉欲があったのだと思うと妙に興奮してしまう。毎回そう思うほど、俺以外に対する彼の姿は孤高だ。
もどかしげに僅かに腰を揺らして俺の手を受け入れる彼の痴態を見下ろしながら、流石にそろそろ足で蹴りの一つでも入れられてしまいそうだと馬乗りになり、体重をかける。
「んっ」
「暴れないで。もっとここで感じてください」
申し訳程度に留められていたシャツのボタンを外し、焦らすように指先を肌へ直接這わせながら左右へ開いていく。滑らかな肌が露わになり、吸い寄せられるように唇を寄せた。
「あっ……」
ちゅ、と音を立て、そっと指先で彼の肌を、筋肉の凹凸を辿る。先ほどまで飽きることなく触っていた乳首は避けて、時には舐めながら堪能する。
「ルーイ、ずるいぞ……」
「なにがでしょう」
「……はやく触ってくれ」
「先ほどは同じ所ばかりと厭われていたのでは?」
少し間が空き、意地の悪いことを言うなと彼の手が動く前にベッドへ押さえつけた。怪我をさせないように注意を払い、ひとまとめにして頭の上で固定する。物欲しそうに見上げてくる顔にぐっと衝動を覚えるが、堪えて、素知らぬ風をして彼の腋を舐めた。
「っ、!」
「くすぐったいですか?」
勢いよくではない。そっと舌先で、ちろちろと同じ場所を確かめるように舐め、少しずつ位置をずらしていく。普段触れるような場所ではないためか、シリル様の反応は息を荒くするだけではあったものの、抵抗される気配もなく――つまり、悪くはないようだった。
「ルーイ、はやく、んっ……胸に、」
もう片方も丁寧に舐め終わる頃には、シリル様は甘い声で身をよじりながら何度目かになる懇願を。それを聞きながら彼の首筋を舐めると、いつもよりも大きく彼の声が乱れた。
最近、シリル様の好みが分かってきた。彼は……『迫られ、犯される』感覚に酷く興奮するらしい。長い間一人だけで抱え続けてきた欲求がそうさせるのか、痛みを伴うことが好きというわけではないようだが、俺が言葉で彼を追い詰めたり、快感から逃げられない状態で後孔を突くと一際感じ方が激しくなるのだ。
「……ああ、この小さく熟れた乳首……すごく美味しそうですよ」
彼がじっと私を見つめる。彼の目の前でそっと乳首に顔を寄せ、そして――ちゅ、と吸い上げるのと同時に、もう片方も優しく手で摘まんだ。
「ぁあっ……!」
彼の腰が浮き、俺の身体を揺さぶる。俺の下にある彼の股間は熱く、硬い。どうなっているのかは見なくても分かった。
小さな乳首を口先でちゅくちゅくと弄ぶ。指も同じだ。触れるにはあまりにも小粒な突起を、痛めてしまわないように、けれど確かに快感を拾えるように丁寧に愛撫する。
「あっ、ルーイ、っ」
耳から入ってくる彼の声に夢中になる。俺の下で身をよじり、快感に悶える姿が俺だけのものなのだと思うと、一層可愛くて魅力的に思えてならない。彼の特別で、唯一だということがこんなに頭がおかしくなりそうな優越をもたらす。
名を呼ばれる度に、返事の代わりに乳首に吸い付く。舌先で彼の乳首を味わい、他の男ならどうということはないそこが俺の愛撫で勃起し、彼をよくしているのだと思うと劣情が膨れ上がる。
組み敷いた彼の身体がびくびくと跳ね、その中に明らかに熱を持った陰茎を押しつける所作が含まれているのを感じる。悩ましくくねる腰つきは胸元と連動して、俺の愛撫を貪欲に求めていた。
できれば胸だけで……と思っていたが、俺は自分で思うほど我慢強い方ではない。シリル様を前にすると特にそうだ。
「シリル……」
名を呼びながら猛るものを彼の太ももに押しつけると、彼の視線がそこに釘付けになった。長く美しい指先が、躊躇いもなく俺のものへ触れる。ナイトシャツ越しだったが、直ぐにボタンを外され、シリル様の眼前に欲望が晒される。明け透けなそこを見られることに微かな恥じらいがこみ上げた。それもすぐに、彼の愛でるような視線で興奮へ変わっていく。
「ルーイ、こんなになって……」
「行けませんか? あなたが欲しくてたまらない」
シリル様の太ももにむき出しのそれを擦り付けると、もどかしそうに両足が開かれた。彼の慎ましい窄まりへ俺の腫れ上がった先端が導かれる。それを腰を引いて止めると、切なげな目を寄越された。
「だめです。俺の好きにしていいとおっしゃったではないですか」
「……だが、あまり長いと中が乾く」
渋るシリル様をキスで宥めつつ、愛撫を再開する。シリル様の肌は瑞々しく、いくら触っていても飽きると言うことがない。俺の拙い愛撫にも身をよじって感じてくださる様子が愛おしくて、挿入してしまいたい衝動を殺すように尻をまさぐり、弾力のある肉を揉みしだいた。
「ああん……っ もっと……」
シリル様と俺の欲望がぶつかり、擦れ合う。彼が俺を求めているのだと思うと、衝動は収まるどころか増すだけだった。既に足を開いているシリル様の淫らな場所へ指を潜らせる。ぬるりと潤滑剤の残る場所は、あっさりと指一本を受け入れた。
「あ、あ」
浅い場所で、探りながら指を動かし、奥へ向かう。最初は爪ほどの深さだったのが、あっという間に第二関節が埋まり、ちゅくちゅくと潤滑剤をかき混ぜる音が響く。
「指一本をこんなにキツく締め上げて……ここがとろとろと柔らかく解れるまで、繋がるのはお預けですね」
「んあぁっ……そん、な、こと、言うな……っ、わたしが、欲しいと言ったくせに」
「あなたに痛みを与えたいわけではないので。……ここ、ですか?」
「ああっ」
反応が良い場所を探し、トントンと指で叩く。シリル様の腰が浮き、声に艶が増した。中を指先で押しつつ、指の付け根をしっかりと締め付ける彼の肉輪をじっくりと広げる。円を描くように動かし、時には親指で外側を押し、揉みほぐした。
シリル様も俺も、かなり辛抱強く続けたはずだ。俺の指を三本咥え込んで腰を揺らしながら、シリル様が自分で胸を弄るのを目の当たりにしても、あえかな声を上げながら自分のものを扱いて吐精した姿を前にしても、俺はやりきった。自分で自分を褒めてもいいと思う。
「んぅ……っ、も、ルーイ、はやく、くれ……っ」
潤滑油を継ぎ足しながら、もうシリル様の下腹部は乾いた場所がないほどだった。彼の媚肉が快感に蕩け始めたのを感じて、俺は漸く自分のものを数回扱き、ぬかるむそこへあてがった。
それだけで彼の淫らな口は俺のものへ吸い付いてくる。それを感じた瞬間、俺は腰を突き入れていた。
「ああぁ――っ……!」
「ん、くぅ……っ」
彼の嬌声と共に、欲望を収めた体内がきゅうきゅうと締め付けてくる。あまりの快感にもしかしたら漏らしたかもしれないと思った。それほどまでに快感は深く、彼の淫らな様もまた俺の理性を絡め取っていくには充分だった。
期待もあっただろうが、挿入だけで絶頂した彼を見下ろす。彼の膝を抱えて深々と更に奥へと欲望を押しつけながら、俺はその唇を貪った。
「んちゅ、ふぁ、あっ、るぅ、いっ、待っ……っ、だめ、だっ! んぁっ、はぁんっ」
ぐいぐいと奥へ押し当て、俺の腕の中で断続的に痙攣するシリル様を抱きしめる。無論、それが彼にとって快感をもたらす行為だと承知の上で。
「あ、だめ、だとっ! あ――~~っ!!」
「ふ……まだ、挿れただけではないですか。大して動いてもいないでしょう?」
いつもとは少し異なる彼の戸惑ったような……そう、快感に翻弄されるかのような感じ方に興奮が増していく。
「あ、あっ、あんなに、焦らされて、っ、気をやらないほうが、おかし、いぃっ」
ぴくん! と感じる度に彼の身体のどこかしらが跳ねる。それが酷く気分を良くする。己の中にこんなにも嗜虐的な部分があったのかと思いながら、俺は少しずつ腰を揺らした。
「あっ、あんっ! まだ、動く、な、ぁっ」
「こんなにかわいいあなたを見て、じっとしてなどいられません」
「ひ、ぁ、あっ、やぁんっ、あんっ、だめぇ……っ」
抵抗もなく、唇だけで否と言われても応じられない。それどころかかわいらしく「だめ」などと言われて、それが本心からの言葉だとどうして思えるだろうか。
俺の下で恥ずかしげに喘ぐ彼をもっと翻弄したくなり、奥を突く。
「シリル、もっと……あなたが欲しい。あなただって俺を欲しがったでしょう?」
耳に入ってくる彼の声に欲を煽られ続けながら最奥を求め、口づけを深くする。唇を塞いでも喉元から上がってくる彼の声は淫欲に塗れているのが分かった。余裕のない声がより俺を獣にしていく。
「ルーイ、あ、はぁ、んっ、ルーイ……!」
「シリル……ッ!」
乱れる彼をずっと見ていたい。何度も俺の手で果てて、甘い声で俺を求めて欲しい。
俺の欲望を容赦なく締め上げて、動く度に快感が身体を貫いていく。一度止まってしまえばもう力尽きてしまうとばかりに、俺は彼の中を蹂躙し続けた。
「ああっ、も、……また、っ」
「イって、シリル」
「……~~っ」
喉を絞めながら彼が声もなく絶頂する。官能的な顔も、中に突き入れたものから感じる不規則な収縮も、全てが雄弁に示す。嬉しくて、達したばかりで敏感な身体には酷だとしりながらも、ゆるゆると腰を動かしてしまう。止められない。良いと言ったのは他でもない彼だったから。
「はぁっ、ん、ルーイ、やぁ……」
彼の目尻から涙が伝う。丁寧に舐め取りながら彼を窺うと、いつも俺をねだる表情とは違う、物言いたげな目が俺を見つめていた。一旦手を止めろと。
だが、俺は従わなかった。
「夜通しあなたを貪りたいと、言ったはずです。あなたはそれに頷いて、俺の手綱を外した」
微笑みながらそう言うと、彼の目が見開かれる。その唇が俺にとって不都合なことを紡いでしまうより先にキスで塞ぎ、俺は彼を快感で苛むかのようにして昂ぶりを抜き差しして、嬌声を上げさせて言葉を奪った。
シリル様の導きがなければ、ベッドの上の俺などただの獣なのだ。
結局、体力のあるシリル様は気絶することもなく、空が白み始め、彼が何度も「もうだめだ」と音を上げて、果てはその言葉さえ出てこなくなるまで、俺は止められなかった。獣でさえここまでしつこくはないだろうと自分でも思う。それほどまでに彼の甘い声と官能的な身体は魔性だった。飽きることも、疲れることもなかった。どこにそんな力があるのかとシリル様に詰られたほどに。
「ん……」
「おはようございます」
「……!」
翌朝、掠れきった声と酷使させた身体を丁寧に『労る』と、酷く恥ずかしげな態度でシリル様は俺から逃げるように身をよじった。
「ルートヴィヒ、お前という者は……! いくら私が好きにしていいと言っても、あれは……あまりにも普段と違って……その」
「お嫌でしたか」
「最高だった! だったが!」
昨夜を思い出しているからこそなのだと思えば、ショックを受けることもない。日頃彼ばかりにあれこれと世話をさせてしまっているのを、これを機に少しでも報いようと俺が彼の世話をした。勿論、そのうちにまた身体を重ねてしまったのは言うまでもない。
だが、普段とは異なる振る舞いの所為なのか週が明けても暫くの間、シリル様は俺が近づく度に恥じらうような態度を見せて、その間、清廉からはほど遠いお顔になってしまったのには参った。
艶のある仕草と表情で周囲の目を釘付けにする彼に、俺がやきもきしたのは身から出た錆というものだろう。
「ルートヴィヒ、たまにはお前がリードしてくれないか」
「と、言いますと」
「……私ばかり求めているような気がしてな。なんというか……心苦しい」
ぎょっとしてシリル様を見た。そんなはずはない。毎回シリル様に求められるとのぼせ上がってしまうほどに嬉しいのだ。ただ、彼の憂慮も理解できた。実際に俺は、俺からシリル様を求める誘いの言葉を囁いたことがない。確かに俺が何か言う前にシリル様から求められている、という側面はあるが、未だに……麗しいシリル様に俺が気後れしているのだ。はっきりと伝えたことはないが、事実として彼にそのことが伝わっている。
「……お身体のことが心配で」
嘘ではない。彼からの誘いに乗るだけでなく俺からも動いてしまえば、頻度は相当な数になる。勿論、その全てで挿入をする必要はない。ない、が、盛り上がると挿入したい、挿入されたいとなってしまう。その結果、負担は全てシリル様が負うことになってしまう。それが俺にとっては申し訳ないことで、彼を損なってしまいそうでどうにも、と気が乗らないのだ。
「私はそんなに柔ではないが」
「存じております。……肌を合わせ、繋がるというのは肉体的にも軽くない行為だということです」
「ままならんな」
お互い体力は平均以上はある。それが幸いなのか災いなのかは分からないが、本当に、この日と決めて盛り上がる夜などは外が白むまで貪っていることもあるほどだ。飽きもせずよくやる、などと揶揄されることも稀にあるが、彼と愛し合うことは音楽を聴いたり、馬を走らせたりすることのように一時の流行でもなんでもない、日常の一部だ。日常を尊ぶ彼がそれに飽きることなどないし、俺が彼にそう感じることもない。今までずっとなかったのだからこれからもないだろう。どんな形になっても、彼を愛していることが変わることはないと思う。
「……それと、シリル様が準備を俺に見られることを厭われるので、いつなら良いのかと、計りかねているのもありますよ」
「お前に汚いところを見せたくないんだ」
「そのお気持ちは嬉しいですが。……とはいえ、俺も無理強いはしたくありません。今週末にお誘い致します」
「……それが既に誘い文句ではないのか」
「ご期待に添えるかは分かりませんが、分かっていれば準備ができるのでしょう? ……ああ、でも」
言葉を句切る。そっとシリル様を抱き寄せて、耳元で囁いた。
「あなたを高めるのは、最初から俺にさせてください。一人だけ助走をつけるのはなしですよ」
俺の声も好きだと言われ、こういう気障なことをするのもあまり躊躇しなくなった。優しく、優しくそう言えば、シリル様は僅かに頬を染めて小さく頷いた。本当に、この方は恋人としての振るまいが愛らしすぎる。
楽しみがあるとどこか浮き足立ってしまい落ち着かないものだ。それでも日々をそつなくつつがなく過ごすシリル様を近くで見ていると、やはりすごいお方だと思う。時折密かに口づけを交わす時間に見る、甘く蕩ける表情とはかけ離れている。……そのギャップに未だ目眩がするほど魅せられている。
何度も深く口づけその先へ行きたがる身体をお互いに押さえつけ、迎えた週末。提出物や週明けの予定を一通り確認し終えると、あとはもう隠す事のない熱をさらけ出すだけになった。
湯浴みを済ませ、肌触りの良いナイトシャツを着る。ベッドに腰掛けて待っていると、同じくナイトシャツを纏ったシリル様が準備を終えてそろそろとこちらへやってきた。襟元から裾までのボタン掛けになっているそれがきちんと留められている箇所は二つほどで、彼がそんな着方をしていることに胸の内がざわついた。座ったまま手を伸ばし、目の前に来た彼の手を取る。手の甲に口づけ引き寄せる。ベッドへ片膝を乗り上げたシリル様のシャツの間から膝と太ももが露わになり、それに手を這わせながら口づける。
「今日は夜通しあなたを貪りたい」
俺からの言葉に彼は恥じらうように目を伏せたが、その顎が僅かに引かれ、頷いたのが見えた。
「お前の好きにしていい……」
吐息混じりの声は色香を放ち、俺を魅了する。
「いいのですか? 本当に?」
「多少乱暴に扱われても、お前になら、いい」
言わせるな、と目で訴えてくる彼に、謝罪を込めてもう一度キスをする。宥めるように何度か繰り返して、どちらともなくベッドへ沈み込んだ。
いやな言い方だが、言質は取った。広いベッドの上で期待を浮かべて俺を見上げてくる彼の頬をひと撫ですると、俺はまずシャツの上から彼の身体に手を這わせた。乳首を探り、程なくして浮き上がった小さい快感の芽を親指の腹でこねる。
「あんっ……」
びく、と彼の身体が跳ねる。それでも止めることなく、何度も指で擦った。
「あなたを乱暴に扱うなんて、有り得ない」
「ん、んっ」
「あなたが心からそうされたいと願うならまだしも、俺があなたの身体と心を痛めつけようなどと、そんな恐ろしいこと、毛ほども考えたことはありません」
シリル、と名を呼ぶと、彼から漏れる声がより甘くなる。
「るー、い、っ」
「かわいい、シリル」
こりこりと硬くなり始めた乳首を指の腹で感じながら、優しく、優しく弄る。それだけでびくびくと身体を震わせて、息を浅くする様子が可愛くて、ずっと見ていられる。ここだけで果てるまで彼のただただ甘い声を聞いていたい。
普段は彼に言われてほどほどにしてしまうが、今日は俺が彼を好きにしていいとお許しが出ているので遠慮はしない。
「も、っそこ、ばかり……っ」
「あなたが好い声を出すのがいけない」
心の中で考えていたことを伝えると、シリル様は困ったような顔をした。怒るに怒れないと言ったところだろうか。
「かわいくて……いつまでも見ていたくなる」
きゅ、と指先で小さな乳首を挟む。強く挟むのではなく、乳首の輪郭に沿って滑らせるように。
「はあ、ぁんっ」
フェザータッチで触れているだけで身悶える彼は目の毒と言っても過言ではない。どんどん欲深くさせられる。
「それに……あなたの身体は、もっと、いつまでもここを触れられたがっているようだ」
節度ある態度で過ごす日中に反し、夜の彼は酷く淫らで妖艶だ。俺が知る限り、彼が言う限り誰にも身体を許したことはないということはつまり、自分自身で身体を慰めるうちに今の彼になったということに他ならない。誰を思っていたのかはともかく、この方にこんなにも強い肉欲があったのだと思うと妙に興奮してしまう。毎回そう思うほど、俺以外に対する彼の姿は孤高だ。
もどかしげに僅かに腰を揺らして俺の手を受け入れる彼の痴態を見下ろしながら、流石にそろそろ足で蹴りの一つでも入れられてしまいそうだと馬乗りになり、体重をかける。
「んっ」
「暴れないで。もっとここで感じてください」
申し訳程度に留められていたシャツのボタンを外し、焦らすように指先を肌へ直接這わせながら左右へ開いていく。滑らかな肌が露わになり、吸い寄せられるように唇を寄せた。
「あっ……」
ちゅ、と音を立て、そっと指先で彼の肌を、筋肉の凹凸を辿る。先ほどまで飽きることなく触っていた乳首は避けて、時には舐めながら堪能する。
「ルーイ、ずるいぞ……」
「なにがでしょう」
「……はやく触ってくれ」
「先ほどは同じ所ばかりと厭われていたのでは?」
少し間が空き、意地の悪いことを言うなと彼の手が動く前にベッドへ押さえつけた。怪我をさせないように注意を払い、ひとまとめにして頭の上で固定する。物欲しそうに見上げてくる顔にぐっと衝動を覚えるが、堪えて、素知らぬ風をして彼の腋を舐めた。
「っ、!」
「くすぐったいですか?」
勢いよくではない。そっと舌先で、ちろちろと同じ場所を確かめるように舐め、少しずつ位置をずらしていく。普段触れるような場所ではないためか、シリル様の反応は息を荒くするだけではあったものの、抵抗される気配もなく――つまり、悪くはないようだった。
「ルーイ、はやく、んっ……胸に、」
もう片方も丁寧に舐め終わる頃には、シリル様は甘い声で身をよじりながら何度目かになる懇願を。それを聞きながら彼の首筋を舐めると、いつもよりも大きく彼の声が乱れた。
最近、シリル様の好みが分かってきた。彼は……『迫られ、犯される』感覚に酷く興奮するらしい。長い間一人だけで抱え続けてきた欲求がそうさせるのか、痛みを伴うことが好きというわけではないようだが、俺が言葉で彼を追い詰めたり、快感から逃げられない状態で後孔を突くと一際感じ方が激しくなるのだ。
「……ああ、この小さく熟れた乳首……すごく美味しそうですよ」
彼がじっと私を見つめる。彼の目の前でそっと乳首に顔を寄せ、そして――ちゅ、と吸い上げるのと同時に、もう片方も優しく手で摘まんだ。
「ぁあっ……!」
彼の腰が浮き、俺の身体を揺さぶる。俺の下にある彼の股間は熱く、硬い。どうなっているのかは見なくても分かった。
小さな乳首を口先でちゅくちゅくと弄ぶ。指も同じだ。触れるにはあまりにも小粒な突起を、痛めてしまわないように、けれど確かに快感を拾えるように丁寧に愛撫する。
「あっ、ルーイ、っ」
耳から入ってくる彼の声に夢中になる。俺の下で身をよじり、快感に悶える姿が俺だけのものなのだと思うと、一層可愛くて魅力的に思えてならない。彼の特別で、唯一だということがこんなに頭がおかしくなりそうな優越をもたらす。
名を呼ばれる度に、返事の代わりに乳首に吸い付く。舌先で彼の乳首を味わい、他の男ならどうということはないそこが俺の愛撫で勃起し、彼をよくしているのだと思うと劣情が膨れ上がる。
組み敷いた彼の身体がびくびくと跳ね、その中に明らかに熱を持った陰茎を押しつける所作が含まれているのを感じる。悩ましくくねる腰つきは胸元と連動して、俺の愛撫を貪欲に求めていた。
できれば胸だけで……と思っていたが、俺は自分で思うほど我慢強い方ではない。シリル様を前にすると特にそうだ。
「シリル……」
名を呼びながら猛るものを彼の太ももに押しつけると、彼の視線がそこに釘付けになった。長く美しい指先が、躊躇いもなく俺のものへ触れる。ナイトシャツ越しだったが、直ぐにボタンを外され、シリル様の眼前に欲望が晒される。明け透けなそこを見られることに微かな恥じらいがこみ上げた。それもすぐに、彼の愛でるような視線で興奮へ変わっていく。
「ルーイ、こんなになって……」
「行けませんか? あなたが欲しくてたまらない」
シリル様の太ももにむき出しのそれを擦り付けると、もどかしそうに両足が開かれた。彼の慎ましい窄まりへ俺の腫れ上がった先端が導かれる。それを腰を引いて止めると、切なげな目を寄越された。
「だめです。俺の好きにしていいとおっしゃったではないですか」
「……だが、あまり長いと中が乾く」
渋るシリル様をキスで宥めつつ、愛撫を再開する。シリル様の肌は瑞々しく、いくら触っていても飽きると言うことがない。俺の拙い愛撫にも身をよじって感じてくださる様子が愛おしくて、挿入してしまいたい衝動を殺すように尻をまさぐり、弾力のある肉を揉みしだいた。
「ああん……っ もっと……」
シリル様と俺の欲望がぶつかり、擦れ合う。彼が俺を求めているのだと思うと、衝動は収まるどころか増すだけだった。既に足を開いているシリル様の淫らな場所へ指を潜らせる。ぬるりと潤滑剤の残る場所は、あっさりと指一本を受け入れた。
「あ、あ」
浅い場所で、探りながら指を動かし、奥へ向かう。最初は爪ほどの深さだったのが、あっという間に第二関節が埋まり、ちゅくちゅくと潤滑剤をかき混ぜる音が響く。
「指一本をこんなにキツく締め上げて……ここがとろとろと柔らかく解れるまで、繋がるのはお預けですね」
「んあぁっ……そん、な、こと、言うな……っ、わたしが、欲しいと言ったくせに」
「あなたに痛みを与えたいわけではないので。……ここ、ですか?」
「ああっ」
反応が良い場所を探し、トントンと指で叩く。シリル様の腰が浮き、声に艶が増した。中を指先で押しつつ、指の付け根をしっかりと締め付ける彼の肉輪をじっくりと広げる。円を描くように動かし、時には親指で外側を押し、揉みほぐした。
シリル様も俺も、かなり辛抱強く続けたはずだ。俺の指を三本咥え込んで腰を揺らしながら、シリル様が自分で胸を弄るのを目の当たりにしても、あえかな声を上げながら自分のものを扱いて吐精した姿を前にしても、俺はやりきった。自分で自分を褒めてもいいと思う。
「んぅ……っ、も、ルーイ、はやく、くれ……っ」
潤滑油を継ぎ足しながら、もうシリル様の下腹部は乾いた場所がないほどだった。彼の媚肉が快感に蕩け始めたのを感じて、俺は漸く自分のものを数回扱き、ぬかるむそこへあてがった。
それだけで彼の淫らな口は俺のものへ吸い付いてくる。それを感じた瞬間、俺は腰を突き入れていた。
「ああぁ――っ……!」
「ん、くぅ……っ」
彼の嬌声と共に、欲望を収めた体内がきゅうきゅうと締め付けてくる。あまりの快感にもしかしたら漏らしたかもしれないと思った。それほどまでに快感は深く、彼の淫らな様もまた俺の理性を絡め取っていくには充分だった。
期待もあっただろうが、挿入だけで絶頂した彼を見下ろす。彼の膝を抱えて深々と更に奥へと欲望を押しつけながら、俺はその唇を貪った。
「んちゅ、ふぁ、あっ、るぅ、いっ、待っ……っ、だめ、だっ! んぁっ、はぁんっ」
ぐいぐいと奥へ押し当て、俺の腕の中で断続的に痙攣するシリル様を抱きしめる。無論、それが彼にとって快感をもたらす行為だと承知の上で。
「あ、だめ、だとっ! あ――~~っ!!」
「ふ……まだ、挿れただけではないですか。大して動いてもいないでしょう?」
いつもとは少し異なる彼の戸惑ったような……そう、快感に翻弄されるかのような感じ方に興奮が増していく。
「あ、あっ、あんなに、焦らされて、っ、気をやらないほうが、おかし、いぃっ」
ぴくん! と感じる度に彼の身体のどこかしらが跳ねる。それが酷く気分を良くする。己の中にこんなにも嗜虐的な部分があったのかと思いながら、俺は少しずつ腰を揺らした。
「あっ、あんっ! まだ、動く、な、ぁっ」
「こんなにかわいいあなたを見て、じっとしてなどいられません」
「ひ、ぁ、あっ、やぁんっ、あんっ、だめぇ……っ」
抵抗もなく、唇だけで否と言われても応じられない。それどころかかわいらしく「だめ」などと言われて、それが本心からの言葉だとどうして思えるだろうか。
俺の下で恥ずかしげに喘ぐ彼をもっと翻弄したくなり、奥を突く。
「シリル、もっと……あなたが欲しい。あなただって俺を欲しがったでしょう?」
耳に入ってくる彼の声に欲を煽られ続けながら最奥を求め、口づけを深くする。唇を塞いでも喉元から上がってくる彼の声は淫欲に塗れているのが分かった。余裕のない声がより俺を獣にしていく。
「ルーイ、あ、はぁ、んっ、ルーイ……!」
「シリル……ッ!」
乱れる彼をずっと見ていたい。何度も俺の手で果てて、甘い声で俺を求めて欲しい。
俺の欲望を容赦なく締め上げて、動く度に快感が身体を貫いていく。一度止まってしまえばもう力尽きてしまうとばかりに、俺は彼の中を蹂躙し続けた。
「ああっ、も、……また、っ」
「イって、シリル」
「……~~っ」
喉を絞めながら彼が声もなく絶頂する。官能的な顔も、中に突き入れたものから感じる不規則な収縮も、全てが雄弁に示す。嬉しくて、達したばかりで敏感な身体には酷だとしりながらも、ゆるゆると腰を動かしてしまう。止められない。良いと言ったのは他でもない彼だったから。
「はぁっ、ん、ルーイ、やぁ……」
彼の目尻から涙が伝う。丁寧に舐め取りながら彼を窺うと、いつも俺をねだる表情とは違う、物言いたげな目が俺を見つめていた。一旦手を止めろと。
だが、俺は従わなかった。
「夜通しあなたを貪りたいと、言ったはずです。あなたはそれに頷いて、俺の手綱を外した」
微笑みながらそう言うと、彼の目が見開かれる。その唇が俺にとって不都合なことを紡いでしまうより先にキスで塞ぎ、俺は彼を快感で苛むかのようにして昂ぶりを抜き差しして、嬌声を上げさせて言葉を奪った。
シリル様の導きがなければ、ベッドの上の俺などただの獣なのだ。
結局、体力のあるシリル様は気絶することもなく、空が白み始め、彼が何度も「もうだめだ」と音を上げて、果てはその言葉さえ出てこなくなるまで、俺は止められなかった。獣でさえここまでしつこくはないだろうと自分でも思う。それほどまでに彼の甘い声と官能的な身体は魔性だった。飽きることも、疲れることもなかった。どこにそんな力があるのかとシリル様に詰られたほどに。
「ん……」
「おはようございます」
「……!」
翌朝、掠れきった声と酷使させた身体を丁寧に『労る』と、酷く恥ずかしげな態度でシリル様は俺から逃げるように身をよじった。
「ルートヴィヒ、お前という者は……! いくら私が好きにしていいと言っても、あれは……あまりにも普段と違って……その」
「お嫌でしたか」
「最高だった! だったが!」
昨夜を思い出しているからこそなのだと思えば、ショックを受けることもない。日頃彼ばかりにあれこれと世話をさせてしまっているのを、これを機に少しでも報いようと俺が彼の世話をした。勿論、そのうちにまた身体を重ねてしまったのは言うまでもない。
だが、普段とは異なる振る舞いの所為なのか週が明けても暫くの間、シリル様は俺が近づく度に恥じらうような態度を見せて、その間、清廉からはほど遠いお顔になってしまったのには参った。
艶のある仕草と表情で周囲の目を釘付けにする彼に、俺がやきもきしたのは身から出た錆というものだろう。
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