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第二章 機械仕掛けのあなたでも
二十七話 クレイジー二アス
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「……疲れた」
気だるげに歩くバグウェットは、疲労で痛む足をさする。
ろくな目に遭わないとうんざりしながら、他の二人と共にビルの中に入った。
ビルの中は見た目以上にガランとしており、あちこちに埃が溜まり長く人の手が入っていなかった事が一目で分かる。
家具やそれらしい物は無く、ただただ石でできた空っぽの箱のような建物だった。
「お疲れさまです、さすがですね」
わざとらしく笑うシギの頭にバグウェットの左手が伸びる、彼は顔にわずかに笑みを浮かべたままシギの頭に力を入れた。
ミシミシとシギの頭は締め付けられていく、右手でそれをしなかったのは彼にまだほんの少し理性が残っていたからだった。
「いててて! ちょ……痛いですよ!」
「後で覚えてろよクソガキ」
笑いながらもう少しだけ力を入れた後に、バグウェットはシギの頭から手を離した。シギは頭を押さえながら、リウにすり寄る。彼女は言うほど痛みを感じていなかった彼の頭を、優しく撫でた。
奥へ進むとエレベーターが現れた、電気は通っているらしく階数を表示する数字には光が灯っている。二人を下がらせ、恐る恐るバグウェットがボタンを押すと錆びついた扉は少し動き悪く開いた。
中を見渡したがそれらしい物は無い、バグウェットは二人を呼びエレベーターに乗り込んだ。
かなり古い型のエレベーターで、わざわざ目的の階数のボタンを押さなければならないタイプだった。このビルは十二階建てで、三人の中にアウルが何階にいるかを知っている者は一人もいなかったが、ご丁寧に一階と十二階以外のボタンは破壊されていたためアウルの居場所はすぐに分かった。
少し不必要なほどの力を込めて、バグウェットは十二階のボタンを押す。するとエレベーターは、ゆっくりと上階へ向かって動き出した。
「久しぶりですね、アウルさんに会うのは」
「そういやお前は半年ぶりくらいだったか、会わねえのが一番なんだよ。あんな変人」
アリエは二人の話を聞きながら、自分の認識の甘さを後悔していた。
今まで会って来た彼女の中の変人たち、彼らの振る舞いもまた一般人からすれば常識の枠組みから外れている。だがそれはあくまでも友好的な、仲の良い子供同士がじゃれあうような物だった。
ここまでなら大丈夫という長年の積み重ねと信頼、それらがあってこそ少し過激なやり取りだった。
だがアウルは違う、警告があったとはいえ唐突に戦闘の幕を切りおよそ一人の人間にあてがうには過ぎた機体を差し向けた。そしてその機体による攻撃の全てが、バグウェットを殺しうるだけの力を持ち、そしてその全てが彼を殺すために使われていた事は戦闘に関して素人の彼女の目にも明らかだった。
「おい、大丈夫か?」
「えっ……あ、うん」
「嘘つけ、私いまやばいですって顔に出てんだよ」
否定はできなかった、リウはアウルに会うのが怖い。まだ名前と、不鮮明な声しか知らないはずだというのに。
「無理も無いですよ、あの人は能力が無ければただのやばい人ですから」
「とりあえずそう構えない方がいい、疲れるからな」
二人の気遣いを嬉しく思いながら、リウは少しだけ肩の力を抜いた。
エレベーターが止まり、扉が開くとそこには異様な光景が広がっていた。
扉の向こうは開けた場所ではなく、コンクリートでフロアを埋め尽くしたようになっており、三人の前には十五メートルほどの人が二人並んで通れるくらいの狭い廊下が伸びていた。
エレベーターを降り、三人は何の飾り気も無いコンクリートの廊下を進む。
アリエは隣を歩くバグウェットと、前を歩くシギの方を見たが二人はいつものように何も言わず、ただ飄々と歩いていた。
「扉、開けてくださいよ」
「何でだよ、お前が開けろよ」
恐らくアウルがいるであろう鉄の扉、その前に辿り着いたはいいがその扉を誰が開けるかで彼らは揉めていた。
「僕は前に開けました、今回はお願いします」
「ふざけんな、この前って半年前だろ。ノーカンだノーカン」
一歩も譲らない二人を横目に見ながら、アリエは扉を眺める。
この廃ビルに似つかない新しめの鋼鉄の扉、ノブを回せば簡単に開きそうな扉をなぜ二人がすぐに開けないのか、理由は何となく察しがついた。
「はあ……もういい、俺が開ける」
「お願いします」
いくつかのやり取りの後、バグウェットはついに折れ扉を開ける事を受け入れた。
どんな形であれ自分で開けると言ったのだ、それを引き留める理由は無い。シギはニコニコと笑いながら、彼を扉へと導いた。
その様子を見てバグウェットはこめかみに血管を浮かび上がらせたが、もう怒るのも馬鹿馬鹿しくなってしまい、一つ大きなため息を吐いて怒りを鎮めた。
「だ……大丈夫? 何なら私が……」
「そりゃねーよ、お前じゃ何かあった時に対処できねえし」
唇を尖らせて、嫌味ったらしくバグウェットは断言し扉を開けた。
鬼が出るか蛇が出るか、身構えながら開けた扉は驚くほど軽かった。
爆発もしなければ機銃掃射も無い、普通の扉と同じように開いた。拍子抜けした三人の目線の先にはまた廊下が伸びている、そこをコソコソと進み廊下を抜けるとだだっ広い空間に出た、そのど真ん中に置かれた巨大なテーブルと並び立てられた三つのモニター、その前に座った人影は黙々と画面の中で敵をなぎ倒していた。
「……あれがアウルさん?」
「そうですよ、ちなみに今は話しかけても無駄です。絶対に返事してくれませんよ」
そうやって待つ事およそ五分、画面にでかでかと映し出された『congratulation』の文字、それをさして面白くも無さそうに人影は見るとヘッドホンを取り外した。
「久しぶりだな、アウル。面白かったか?」
「まさか。こんな程度の低いゲーム、一回やれば飽きるよ」
そう言ってその人影はくるりと椅子を回す、その姿にリウは目を剥いた。
そこにいたのはリウの想像していたような、見るからにぶっ飛んでいる狂人ではなく一人の少女だった。
ぼさぼさの栗色のロングヘアー、不健康そうな隈を携えたしょぼくれた目、ぶかぶかの明らかに大きな部屋着を着た彼女は三人を見てニヤリと笑った。
「久しぶりじゃんクソジジイ、坊《ボン》も相変わらずって感じ」
「お久しぶりです」
「相変わらずの減らず口だなクソガキ」
服装のせいで少し分かりづらいがアウルは相当華奢だ、だというのにその見た目からは想像できないほど口が悪い。まさかバグウェットを自分と同じくらいの少女がクソジジイ呼びするとは思っておらず、リウは驚きからバグウェットの隣で体を固まらせていた。
「ん? 何か見た事ないのがいる、新しい友達?」
「色々あってな、とりあえずうちに置いてる」
「初めまして、リウ・バスレーロです」
なるべく悪い印象を与えないようにリウは丁寧に頭を下げる、それを目を細めながらアウルはやや不機嫌気味に見ていた。
「ふーん……何か嫌いだな、この子」
「え」
「いや気を悪くしたら申し訳ないんだけどさ、なーんかこう……鼻に付くっつうか。理由は上手く言えないんだけど、とりあえず嫌いな感じがする」
初対面、更に付け加えればまともに言葉を交わしてすらいない人間に嫌いと言われ、リウの感情はショートしていた。
あまりの展開の速さに感情が追い付いていない、とりあえず分かるのは年が近い同性の友人を作る事に失敗したという事だけだった。
申し訳ないと言いながら、まったく申し訳なさそうにないアウルの言葉が余計に彼女の感情を消し飛ばした。
「……んな事はいい、用件はシギから聞いてるだろ?」
灰のようになったリウを後ろに避け、バグウェットは話を続ける。
「聞いてるよ、でも正直あんたらの手伝いをするのは気乗りしないな」
「んなっ……! てめ……!」
「でもヒューマンリノベーションだっけ? あっちはもっと気に入らない、潰すなら手伝うよ」
そう言って敵の多そうな笑みをアウルは浮かべた。
天才か狂人か、その鋭利な牙は確かに彼女の敵に向けられている。
気だるげに歩くバグウェットは、疲労で痛む足をさする。
ろくな目に遭わないとうんざりしながら、他の二人と共にビルの中に入った。
ビルの中は見た目以上にガランとしており、あちこちに埃が溜まり長く人の手が入っていなかった事が一目で分かる。
家具やそれらしい物は無く、ただただ石でできた空っぽの箱のような建物だった。
「お疲れさまです、さすがですね」
わざとらしく笑うシギの頭にバグウェットの左手が伸びる、彼は顔にわずかに笑みを浮かべたままシギの頭に力を入れた。
ミシミシとシギの頭は締め付けられていく、右手でそれをしなかったのは彼にまだほんの少し理性が残っていたからだった。
「いててて! ちょ……痛いですよ!」
「後で覚えてろよクソガキ」
笑いながらもう少しだけ力を入れた後に、バグウェットはシギの頭から手を離した。シギは頭を押さえながら、リウにすり寄る。彼女は言うほど痛みを感じていなかった彼の頭を、優しく撫でた。
奥へ進むとエレベーターが現れた、電気は通っているらしく階数を表示する数字には光が灯っている。二人を下がらせ、恐る恐るバグウェットがボタンを押すと錆びついた扉は少し動き悪く開いた。
中を見渡したがそれらしい物は無い、バグウェットは二人を呼びエレベーターに乗り込んだ。
かなり古い型のエレベーターで、わざわざ目的の階数のボタンを押さなければならないタイプだった。このビルは十二階建てで、三人の中にアウルが何階にいるかを知っている者は一人もいなかったが、ご丁寧に一階と十二階以外のボタンは破壊されていたためアウルの居場所はすぐに分かった。
少し不必要なほどの力を込めて、バグウェットは十二階のボタンを押す。するとエレベーターは、ゆっくりと上階へ向かって動き出した。
「久しぶりですね、アウルさんに会うのは」
「そういやお前は半年ぶりくらいだったか、会わねえのが一番なんだよ。あんな変人」
アリエは二人の話を聞きながら、自分の認識の甘さを後悔していた。
今まで会って来た彼女の中の変人たち、彼らの振る舞いもまた一般人からすれば常識の枠組みから外れている。だがそれはあくまでも友好的な、仲の良い子供同士がじゃれあうような物だった。
ここまでなら大丈夫という長年の積み重ねと信頼、それらがあってこそ少し過激なやり取りだった。
だがアウルは違う、警告があったとはいえ唐突に戦闘の幕を切りおよそ一人の人間にあてがうには過ぎた機体を差し向けた。そしてその機体による攻撃の全てが、バグウェットを殺しうるだけの力を持ち、そしてその全てが彼を殺すために使われていた事は戦闘に関して素人の彼女の目にも明らかだった。
「おい、大丈夫か?」
「えっ……あ、うん」
「嘘つけ、私いまやばいですって顔に出てんだよ」
否定はできなかった、リウはアウルに会うのが怖い。まだ名前と、不鮮明な声しか知らないはずだというのに。
「無理も無いですよ、あの人は能力が無ければただのやばい人ですから」
「とりあえずそう構えない方がいい、疲れるからな」
二人の気遣いを嬉しく思いながら、リウは少しだけ肩の力を抜いた。
エレベーターが止まり、扉が開くとそこには異様な光景が広がっていた。
扉の向こうは開けた場所ではなく、コンクリートでフロアを埋め尽くしたようになっており、三人の前には十五メートルほどの人が二人並んで通れるくらいの狭い廊下が伸びていた。
エレベーターを降り、三人は何の飾り気も無いコンクリートの廊下を進む。
アリエは隣を歩くバグウェットと、前を歩くシギの方を見たが二人はいつものように何も言わず、ただ飄々と歩いていた。
「扉、開けてくださいよ」
「何でだよ、お前が開けろよ」
恐らくアウルがいるであろう鉄の扉、その前に辿り着いたはいいがその扉を誰が開けるかで彼らは揉めていた。
「僕は前に開けました、今回はお願いします」
「ふざけんな、この前って半年前だろ。ノーカンだノーカン」
一歩も譲らない二人を横目に見ながら、アリエは扉を眺める。
この廃ビルに似つかない新しめの鋼鉄の扉、ノブを回せば簡単に開きそうな扉をなぜ二人がすぐに開けないのか、理由は何となく察しがついた。
「はあ……もういい、俺が開ける」
「お願いします」
いくつかのやり取りの後、バグウェットはついに折れ扉を開ける事を受け入れた。
どんな形であれ自分で開けると言ったのだ、それを引き留める理由は無い。シギはニコニコと笑いながら、彼を扉へと導いた。
その様子を見てバグウェットはこめかみに血管を浮かび上がらせたが、もう怒るのも馬鹿馬鹿しくなってしまい、一つ大きなため息を吐いて怒りを鎮めた。
「だ……大丈夫? 何なら私が……」
「そりゃねーよ、お前じゃ何かあった時に対処できねえし」
唇を尖らせて、嫌味ったらしくバグウェットは断言し扉を開けた。
鬼が出るか蛇が出るか、身構えながら開けた扉は驚くほど軽かった。
爆発もしなければ機銃掃射も無い、普通の扉と同じように開いた。拍子抜けした三人の目線の先にはまた廊下が伸びている、そこをコソコソと進み廊下を抜けるとだだっ広い空間に出た、そのど真ん中に置かれた巨大なテーブルと並び立てられた三つのモニター、その前に座った人影は黙々と画面の中で敵をなぎ倒していた。
「……あれがアウルさん?」
「そうですよ、ちなみに今は話しかけても無駄です。絶対に返事してくれませんよ」
そうやって待つ事およそ五分、画面にでかでかと映し出された『congratulation』の文字、それをさして面白くも無さそうに人影は見るとヘッドホンを取り外した。
「久しぶりだな、アウル。面白かったか?」
「まさか。こんな程度の低いゲーム、一回やれば飽きるよ」
そう言ってその人影はくるりと椅子を回す、その姿にリウは目を剥いた。
そこにいたのはリウの想像していたような、見るからにぶっ飛んでいる狂人ではなく一人の少女だった。
ぼさぼさの栗色のロングヘアー、不健康そうな隈を携えたしょぼくれた目、ぶかぶかの明らかに大きな部屋着を着た彼女は三人を見てニヤリと笑った。
「久しぶりじゃんクソジジイ、坊《ボン》も相変わらずって感じ」
「お久しぶりです」
「相変わらずの減らず口だなクソガキ」
服装のせいで少し分かりづらいがアウルは相当華奢だ、だというのにその見た目からは想像できないほど口が悪い。まさかバグウェットを自分と同じくらいの少女がクソジジイ呼びするとは思っておらず、リウは驚きからバグウェットの隣で体を固まらせていた。
「ん? 何か見た事ないのがいる、新しい友達?」
「色々あってな、とりあえずうちに置いてる」
「初めまして、リウ・バスレーロです」
なるべく悪い印象を与えないようにリウは丁寧に頭を下げる、それを目を細めながらアウルはやや不機嫌気味に見ていた。
「ふーん……何か嫌いだな、この子」
「え」
「いや気を悪くしたら申し訳ないんだけどさ、なーんかこう……鼻に付くっつうか。理由は上手く言えないんだけど、とりあえず嫌いな感じがする」
初対面、更に付け加えればまともに言葉を交わしてすらいない人間に嫌いと言われ、リウの感情はショートしていた。
あまりの展開の速さに感情が追い付いていない、とりあえず分かるのは年が近い同性の友人を作る事に失敗したという事だけだった。
申し訳ないと言いながら、まったく申し訳なさそうにないアウルの言葉が余計に彼女の感情を消し飛ばした。
「……んな事はいい、用件はシギから聞いてるだろ?」
灰のようになったリウを後ろに避け、バグウェットは話を続ける。
「聞いてるよ、でも正直あんたらの手伝いをするのは気乗りしないな」
「んなっ……! てめ……!」
「でもヒューマンリノベーションだっけ? あっちはもっと気に入らない、潰すなら手伝うよ」
そう言って敵の多そうな笑みをアウルは浮かべた。
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