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魔王フェリスは勇者クリストファーを殺さなかった。
「ただ殺すだけでは脳がない。勇者を隷属させる」
勇者クリストファーは、魔王フェリスの専属奴隷となった。魔王フェリスは勇者の背中に隷属の魔法を施し、傀儡にした。
「あぁ、勇者様……!」
魔王フェリスは、勇者を鎖で繋ぎ、這いつくばり跪かせる姿を人間に見せ、希望を打ち砕くことに成功した。
だが、それは表向きの姿だった。
魔王フェリスは勇者クリストファーを隷属など出来ていなかった。隷属の魔法は、不完全な魔法だった。勇者クリストファーは魔王フェリスの命令を聞かず、主人となったフェリス横暴な振舞いをするばかりで、魔王フェリスは狼狽えるばかりだった。
「な、なぜ足を舐めるっ!? あっ、やめろ……!」
「俺に舐めて欲しくて、素足になったのでは?」
「そんなわけがあるか!?」
人間に聞こえないように魔王フェリスは小声で叱責したが、勇者クリストファーは魔王フェリスの足指を舐め続け、魔王フェリスは顔を赤面し、悶絶した。
勇者の待遇は、それほど悪くはなかった。
いや、魔王の奴隷となった今のほうが幸せなのかもしれない。充実した毎日を送っていた。
「こ、この駄犬め! なにをへらへらとしておる! はやく食べないと、美味しくなくなってしまうではないか!」
「ご主人様が食べさせてくれるなら食べるぞ?」
「し、仕方がない駄犬だな……!!」
魔王フェリスが口移しで勇者に食事を与えようとする度に、勇者クリストファーは舌を絡ませたり、息が出来ないほどの濃厚な口付けをして邪魔をした。
(こいつの下僕なら悪くない。国の捨て駒となるより、よっぽど有意義だ)
勇者クリストファーは魔王を愛していた。意地っ張りで、寂しがりやなのに強がるところも魅力的だった。
勇者クリストファーと魔王が恋仲になるのには時間はかからなかった。四天王ザウスが老衰で息を引き取り、傷心した魔王フェリスの心に、勇者は付け込んだのだ。
(四天王ザウスよ、安心しろ。フェリスは俺のものだ。お前の大事な魔王フェリスは俺が愛して守ってやる)
食事が終わり、勇者クリストファーは魔王フェリスを抱きかかえて、ベットに向かった。
魔王フェリスは尻を突きだし、クリストファーは魔王フェリスの愛液で溢れる花弁を長い指でかき回しながら笑った。
「だらしのないまんこだなあ。……俺が駄犬なら、フェリスは盛りのついた雌犬かな?」
「う、うるさい……! お主は黙って腰を動かしてれば良いのじゃ!」
「じゃ、遠慮なく……♡」
クリストファーは魔王フェリスの細い腰を掴んで、愛の営みを行った。
だが、勇者クリストファーは人間であることには変わりなかった。魔族の王である魔王フェリスには跡継ぎが必要だった。しかし、どれだけ人間と魔族が愛し合っても、子を授かることはなかった。
そのため、有力な魔族たちは、適齢期となった魔王フェリスに結婚を申し込んだ。
「フェリスは誰にも渡さない……! 指一本だって触れさせるものか……!」
勇者クリストファーは、魔族の男たちに嫉妬した。
勇者クリストファーは、魔王フェリスと共に生きるために、人間であることをやめた。魔王フェリスに魂を売り、儀式を経て、魔族となった。
「これで、お前も魔族だな!」
クリストファーは、喜色満面の笑みを浮かべる魔王フェリスを抱き締め、愛を誓った。それから間もなく、魔王フェリスは勇者クリストファーの子を授かった。
その後、クリストファーは空位となっていた四天王を継ぎ、魔王の側近となった。
そして魔王フェリスを守る、最強最悪の壁となり、魔王フェリスとその子供たちを誰よりも愛した。
「ただ殺すだけでは脳がない。勇者を隷属させる」
勇者クリストファーは、魔王フェリスの専属奴隷となった。魔王フェリスは勇者の背中に隷属の魔法を施し、傀儡にした。
「あぁ、勇者様……!」
魔王フェリスは、勇者を鎖で繋ぎ、這いつくばり跪かせる姿を人間に見せ、希望を打ち砕くことに成功した。
だが、それは表向きの姿だった。
魔王フェリスは勇者クリストファーを隷属など出来ていなかった。隷属の魔法は、不完全な魔法だった。勇者クリストファーは魔王フェリスの命令を聞かず、主人となったフェリス横暴な振舞いをするばかりで、魔王フェリスは狼狽えるばかりだった。
「な、なぜ足を舐めるっ!? あっ、やめろ……!」
「俺に舐めて欲しくて、素足になったのでは?」
「そんなわけがあるか!?」
人間に聞こえないように魔王フェリスは小声で叱責したが、勇者クリストファーは魔王フェリスの足指を舐め続け、魔王フェリスは顔を赤面し、悶絶した。
勇者の待遇は、それほど悪くはなかった。
いや、魔王の奴隷となった今のほうが幸せなのかもしれない。充実した毎日を送っていた。
「こ、この駄犬め! なにをへらへらとしておる! はやく食べないと、美味しくなくなってしまうではないか!」
「ご主人様が食べさせてくれるなら食べるぞ?」
「し、仕方がない駄犬だな……!!」
魔王フェリスが口移しで勇者に食事を与えようとする度に、勇者クリストファーは舌を絡ませたり、息が出来ないほどの濃厚な口付けをして邪魔をした。
(こいつの下僕なら悪くない。国の捨て駒となるより、よっぽど有意義だ)
勇者クリストファーは魔王を愛していた。意地っ張りで、寂しがりやなのに強がるところも魅力的だった。
勇者クリストファーと魔王が恋仲になるのには時間はかからなかった。四天王ザウスが老衰で息を引き取り、傷心した魔王フェリスの心に、勇者は付け込んだのだ。
(四天王ザウスよ、安心しろ。フェリスは俺のものだ。お前の大事な魔王フェリスは俺が愛して守ってやる)
食事が終わり、勇者クリストファーは魔王フェリスを抱きかかえて、ベットに向かった。
魔王フェリスは尻を突きだし、クリストファーは魔王フェリスの愛液で溢れる花弁を長い指でかき回しながら笑った。
「だらしのないまんこだなあ。……俺が駄犬なら、フェリスは盛りのついた雌犬かな?」
「う、うるさい……! お主は黙って腰を動かしてれば良いのじゃ!」
「じゃ、遠慮なく……♡」
クリストファーは魔王フェリスの細い腰を掴んで、愛の営みを行った。
だが、勇者クリストファーは人間であることには変わりなかった。魔族の王である魔王フェリスには跡継ぎが必要だった。しかし、どれだけ人間と魔族が愛し合っても、子を授かることはなかった。
そのため、有力な魔族たちは、適齢期となった魔王フェリスに結婚を申し込んだ。
「フェリスは誰にも渡さない……! 指一本だって触れさせるものか……!」
勇者クリストファーは、魔族の男たちに嫉妬した。
勇者クリストファーは、魔王フェリスと共に生きるために、人間であることをやめた。魔王フェリスに魂を売り、儀式を経て、魔族となった。
「これで、お前も魔族だな!」
クリストファーは、喜色満面の笑みを浮かべる魔王フェリスを抱き締め、愛を誓った。それから間もなく、魔王フェリスは勇者クリストファーの子を授かった。
その後、クリストファーは空位となっていた四天王を継ぎ、魔王の側近となった。
そして魔王フェリスを守る、最強最悪の壁となり、魔王フェリスとその子供たちを誰よりも愛した。
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