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魔物
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「クリストフ。……そのオーガは、私の誕生日プレゼントではなかったのですか?」
「エカテリーナ。そんなに不貞腐れないで。ほら、オーガだって、あの女を抱くほうが生き生きしてるだろ」
「……悔しいけど、確かにそうね。私より、あの女のほうがいいのかしら? 胸だって私のほうが大きいのに……私の何がダメだったの……?」
落胆の色を隠せず、その大きな瞳を潤ませたエカテリーナに、クリストフは困ったような表情を浮かべた。
「エカテリーナがどうこうというよりは、あの男爵令嬢には、怪我させるなと指示を出してないから、好き勝手に出来るのがいいんじゃないのかな? ……それに、これでオーガを飼っているという話は、君の友人にも出来るだろう?」
「そうね。でも……」
エカテリーナは泣き叫ぶ男爵令嬢を恨めしそうに見た。
「それは私のオーガなのに……私が愛されるはずだったのに……」
「貴方は私が愛します、エカテリーナ」
「アドルフより、オーガがいいわ……!」
「そう言われないように頑張りますよ」
アドルフは、懐から小瓶を出して飲んだ。
「何を飲んだの? もしかして強壮剤とか? そんなものを飲んだところで……。 ――え、体が大きく……!?」
「人間を魔物化させる薬です。前々から研究されていたものだったのですが、資金難により完成間近で研究が頓挫していたのですが、私の資産をつぎ込み、完成させました。ほら、私のものを御覧になってください。あのオーガよりも立派でしょう……?」
「そ、そうだけど……。魔物化して子供を授かったとしても、その子供は人間の子供なの……?」
「もちろん何度も試しております。人間の機能が強化されているだけですので、生殖には影響を及ぼしません。普通の子供が授かります、ご安心を」
そしてクリストフに聞こえないように、アドルフは耳打ちをした。
「それに、エカテリーナ。貴方、魔物しか愛せないんでしょう?」
「なぜそれを……」
否定することも忘れ、愕然とするエカテリーナをアドルフは抱きしめた。
「私は……ずっと貴方を見ていましたから。貴方がオーガに抱かれている姿を見て、ようやく気が付きました。私は貴方に愛されたい。なら、こうするしかなかったんです。私は、覚悟を決めました。人間の男も魔物に負けてなんていられませんよ。日々進化するんです。私の体以外ではいかせられなくしてあげますよ」
「アドルフ……」
エカテリーナはアドルフの言葉に、心臓がドキンと高鳴り、頭がふわふわとして落ち着かなくなった。
「エカテリーナ。そんなに不貞腐れないで。ほら、オーガだって、あの女を抱くほうが生き生きしてるだろ」
「……悔しいけど、確かにそうね。私より、あの女のほうがいいのかしら? 胸だって私のほうが大きいのに……私の何がダメだったの……?」
落胆の色を隠せず、その大きな瞳を潤ませたエカテリーナに、クリストフは困ったような表情を浮かべた。
「エカテリーナがどうこうというよりは、あの男爵令嬢には、怪我させるなと指示を出してないから、好き勝手に出来るのがいいんじゃないのかな? ……それに、これでオーガを飼っているという話は、君の友人にも出来るだろう?」
「そうね。でも……」
エカテリーナは泣き叫ぶ男爵令嬢を恨めしそうに見た。
「それは私のオーガなのに……私が愛されるはずだったのに……」
「貴方は私が愛します、エカテリーナ」
「アドルフより、オーガがいいわ……!」
「そう言われないように頑張りますよ」
アドルフは、懐から小瓶を出して飲んだ。
「何を飲んだの? もしかして強壮剤とか? そんなものを飲んだところで……。 ――え、体が大きく……!?」
「人間を魔物化させる薬です。前々から研究されていたものだったのですが、資金難により完成間近で研究が頓挫していたのですが、私の資産をつぎ込み、完成させました。ほら、私のものを御覧になってください。あのオーガよりも立派でしょう……?」
「そ、そうだけど……。魔物化して子供を授かったとしても、その子供は人間の子供なの……?」
「もちろん何度も試しております。人間の機能が強化されているだけですので、生殖には影響を及ぼしません。普通の子供が授かります、ご安心を」
そしてクリストフに聞こえないように、アドルフは耳打ちをした。
「それに、エカテリーナ。貴方、魔物しか愛せないんでしょう?」
「なぜそれを……」
否定することも忘れ、愕然とするエカテリーナをアドルフは抱きしめた。
「私は……ずっと貴方を見ていましたから。貴方がオーガに抱かれている姿を見て、ようやく気が付きました。私は貴方に愛されたい。なら、こうするしかなかったんです。私は、覚悟を決めました。人間の男も魔物に負けてなんていられませんよ。日々進化するんです。私の体以外ではいかせられなくしてあげますよ」
「アドルフ……」
エカテリーナはアドルフの言葉に、心臓がドキンと高鳴り、頭がふわふわとして落ち着かなくなった。
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