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冒険者のロザリーは、幼馴染である薬師のアレンのことが好きだった。
友達以上恋人未満で、お互いのことが気になってはいたが、喧嘩ばかりで関係は深まらず、同じ家に住んでいたが、付き合っていなかった。
(あいつの好きな骨付き肉とパンも買ったし、仲直り出来るといいなあ……)
ギルドの依頼が終わり、ロザリーは一度家に戻ってから買い出しに行った。食事の用意は交代制で、遠出の予定がない日はロザリーの番だった。
「この骨付き肉、美味しいけど重いんだよねぇ……」
肩に食い込む重さに、ロザリーはため息をつきながら買い物袋の中を見ると、その中には入れた覚えのなものが入っていた。
「なにこれ……? ……きゃっ!?」
それはいきなり、ぽんっと爆発し、煙が部屋の中に充満した。
ロザリーは慌てて窓を開けたが、その顔は煙の色と同じピンク色になった。
「げほげほ……っ! また悪戯だなっ……! アレンなんて、もう知らない……!」
アレンは薬師で、たいてい部屋に籠っては怪しげなものを作っていた。
ロザリーは激怒し、買ってきた骨付き肉とパンをゴミ箱に投げ捨て、体を拭い、服を着替え、泣きながら寝てしまった。
「おい、俺の飯はどうしたんだよ。起きろよ。起きろってば!」
しかし、部屋の扉をドンドンと叩くアレンの声に、ロザリーは半覚醒した。
(んも~……、うるさいな……)
起きようとしたロザリーは、寝る前にあった爆発を思い出して、起きる気を失った。
(しばらく顔も見たくない!)
ロザリーは布団の中に潜ったが、変な会話が聞こえてきた。
「晩御飯はそこだよ」
「げ……!? なんでゴミ箱にあるんだよ! しかも、これ俺の好きな店の骨付き肉とパンじゃん。高かったろ、もったいねえなぁ……!」
まだ食えるかなあ、とゴミ箱を漁るアレンの声が聞こえてきた。そんなものを食べたらお腹壊しちゃう、と思いながらも、ロザリーには、それよりも気になることがあった。
(なんで? 私、ここにいるよね……?)
頬をぎゅっとつねってみたが、痛い。やはり、ベットの中にロザリーはいた。それなのに、ロザリーの声が扉の向こうでするのだ。
「仲直りしようと思って買ったんだけど、買い物袋に入っていた変なやつが爆発して、ふて寝しちゃったの」
ロザリーじゃないロザリーに似た声の少女は、アレンに事のあらましを説明した。
「あちゃ~……! ごめんな、多分、それ俺だわ! 買い物袋で、ゴミを捨てに行ったもんなあ。多分その中のやつが残ってて、爆発したんだろうな。今日はお前の分も、なんか買ってくるよ! あ、それとも一緒に食いに行くか? 奢るよ」
(外食? あのアレンが?)
これはとても珍しいことだ。薬草や調合するのに必要な道具にお金を使いたいアレンは、食費を出し渋ってロザリーと喧嘩になる。そのアレンが奢る。
それは、今までにないことだった。
「ありがとう、アレン! 大好き!」
「お……おう? なんかお前、今日はやけに素直で可愛いな」
「可愛い? なら付き合っちゃう?」
「え……!? い、いや、俺も好きだけどよ……!」
「じゃ私と付き合って!」
「い、いいよ」
ロザリーは呆気にとられた。
ほんの数分の間に、アレンはロザリーそっくりな女の子の彼氏になってしまったのだ。
(私もアレンのことが、好きだったのに……! こんなのってないよ……! もう、こんな家には居られない……!)
ロザリーは、恋人同士になった2人に見つからないように家を飛び出し、泣きながら走り去ってしまった。
友達以上恋人未満で、お互いのことが気になってはいたが、喧嘩ばかりで関係は深まらず、同じ家に住んでいたが、付き合っていなかった。
(あいつの好きな骨付き肉とパンも買ったし、仲直り出来るといいなあ……)
ギルドの依頼が終わり、ロザリーは一度家に戻ってから買い出しに行った。食事の用意は交代制で、遠出の予定がない日はロザリーの番だった。
「この骨付き肉、美味しいけど重いんだよねぇ……」
肩に食い込む重さに、ロザリーはため息をつきながら買い物袋の中を見ると、その中には入れた覚えのなものが入っていた。
「なにこれ……? ……きゃっ!?」
それはいきなり、ぽんっと爆発し、煙が部屋の中に充満した。
ロザリーは慌てて窓を開けたが、その顔は煙の色と同じピンク色になった。
「げほげほ……っ! また悪戯だなっ……! アレンなんて、もう知らない……!」
アレンは薬師で、たいてい部屋に籠っては怪しげなものを作っていた。
ロザリーは激怒し、買ってきた骨付き肉とパンをゴミ箱に投げ捨て、体を拭い、服を着替え、泣きながら寝てしまった。
「おい、俺の飯はどうしたんだよ。起きろよ。起きろってば!」
しかし、部屋の扉をドンドンと叩くアレンの声に、ロザリーは半覚醒した。
(んも~……、うるさいな……)
起きようとしたロザリーは、寝る前にあった爆発を思い出して、起きる気を失った。
(しばらく顔も見たくない!)
ロザリーは布団の中に潜ったが、変な会話が聞こえてきた。
「晩御飯はそこだよ」
「げ……!? なんでゴミ箱にあるんだよ! しかも、これ俺の好きな店の骨付き肉とパンじゃん。高かったろ、もったいねえなぁ……!」
まだ食えるかなあ、とゴミ箱を漁るアレンの声が聞こえてきた。そんなものを食べたらお腹壊しちゃう、と思いながらも、ロザリーには、それよりも気になることがあった。
(なんで? 私、ここにいるよね……?)
頬をぎゅっとつねってみたが、痛い。やはり、ベットの中にロザリーはいた。それなのに、ロザリーの声が扉の向こうでするのだ。
「仲直りしようと思って買ったんだけど、買い物袋に入っていた変なやつが爆発して、ふて寝しちゃったの」
ロザリーじゃないロザリーに似た声の少女は、アレンに事のあらましを説明した。
「あちゃ~……! ごめんな、多分、それ俺だわ! 買い物袋で、ゴミを捨てに行ったもんなあ。多分その中のやつが残ってて、爆発したんだろうな。今日はお前の分も、なんか買ってくるよ! あ、それとも一緒に食いに行くか? 奢るよ」
(外食? あのアレンが?)
これはとても珍しいことだ。薬草や調合するのに必要な道具にお金を使いたいアレンは、食費を出し渋ってロザリーと喧嘩になる。そのアレンが奢る。
それは、今までにないことだった。
「ありがとう、アレン! 大好き!」
「お……おう? なんかお前、今日はやけに素直で可愛いな」
「可愛い? なら付き合っちゃう?」
「え……!? い、いや、俺も好きだけどよ……!」
「じゃ私と付き合って!」
「い、いいよ」
ロザリーは呆気にとられた。
ほんの数分の間に、アレンはロザリーそっくりな女の子の彼氏になってしまったのだ。
(私もアレンのことが、好きだったのに……! こんなのってないよ……! もう、こんな家には居られない……!)
ロザリーは、恋人同士になった2人に見つからないように家を飛び出し、泣きながら走り去ってしまった。
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