僕の白い蝶【完結】

ちゃむにい

文字の大きさ
上 下
19 / 32

本性

しおりを挟む
(ここも、誰かに触れられたのかな……)

流石に男は初めてだと思いたいけど、そう思ってしまうほど、セリーヌの穴は柔らかく解されていた。

けれども、半ば諦めていた想い人と一体になれて、マリオンは感激の余り、満足するまで何度も何度もセリーヌの後穴の奥を突いて中出しをした。セリーヌの瞳からは悲しみからなのか、快楽からなのか分からないが、涙が零れ落ちた。

(僕って最低だなぁ……)

自分の中に、こんな加虐心があるなんて知らなかった。泣かせたくないはずなのに、セリーヌの泣き顔に欲情してしまってゾクゾクが止まらなかった。
それどころか、もっとひどく傷つかせて泣かせてたくてたまらなかった。そんなことをしても後で後悔するだけだと分かっているのに、跪かせて、心を折って、その全てを手に入れたかった。

そんな醜い本性をセリーヌに初めて曝け出したのに、セリーヌは未だに「マリオン、好きよ」と言って、受け止めてくれた。

心地よい気怠さと共に、マリオンはセリーヌを優しく抱きしめた。

「信じられない……。セリーヌと、こんなことが出来るだなんて。早く結婚して、貴方の全てを手に入れたいよ」

マリオンの表情は甘えたような、穏やかなものとなり、嵐が過ぎ去ったことを知って、セリーヌは安堵した。

「私は、貴方を失いたくないの。我慢させ過ぎた私も悪かったわ。……貴方だって男の子だものね」

セリーヌは乱れた髪を直しながら、笑顔を浮かべて、マリオンの手を握った。

「……ところで、ニーナという名前の女の子に、本気なのね。貴方を垂らし込むだなんて、どんな子なのか知りたいわ。学生じゃないわよね? そんな名前の子、居ないもの。私にも、見せてもらえるかしら?」

マリオンはギクリとした。マリオンは依然としてニーナを愛していたし、ニーナは、何よりも代えがたい宝石のような、守りたい存在だった。
正直なところ、セリーヌにはニーナを見せたくなかったし、躊躇いがあった。

「それは……」

口籠るマリオンに、セリーヌの握る手が、ほんの僅か強くなる。緊張からか、じっとりと手汗が出てきたような気がした。

(……僕はセリーヌとニーナの、どちらに嫉妬しているんだろう?)

セリーヌがニーナを愛するようになって、それが体の関係にまで発展したらと思うと、マリオンはそわそわとして落ち着かなくなった。

「……ニーナに手を出さないなら、いいよ」
「まぁ、失礼ね! 私がそんなことをするように思える?」
「だって、セリーヌは可愛い女の子が好きだろう?」

マリオンの言葉に、あぁ、やっぱり私って信用がなくなってしまっているのね、と胸を痛めながら「分かったわ。確かに可愛い女の子は好きよ。でも、貴方のニーナに手は出さないと誓うわ」とため息交じりに、セリーヌは頷いた。

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

勘違い令嬢の心の声

にのまえ
恋愛
僕の婚約者 シンシアの心の声が聞こえた。 シア、それは君の勘違いだ。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

片想いの相手と二人、深夜、狭い部屋。何も起きないはずはなく

おりの まるる
恋愛
ユディットは片想いしている室長が、再婚すると言う噂を聞いて、情緒不安定な日々を過ごしていた。 そんなある日、怖い噂話が尽きない古い教会を改装して使っている書庫で、仕事を終えるとすっかり夜になっていた。 夕方からの大雨で研究棟へ帰れなくなり、途方に暮れていた。 そんな彼女を室長が迎えに来てくれたのだが、トラブルに見舞われ、二人っきりで夜を過ごすことになる。 全4話です。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

闘う二人の新婚初夜

宵の月
恋愛
   完結投稿。両片思いの拗らせ夫婦が、無意味に内なる己と闘うお話です。  メインサイトで短編形式で投稿していた作品を、リクエスト分も含めて前編・後編で投稿いたします。

密室に二人閉じ込められたら?

水瀬かずか
恋愛
気がつけば会社の倉庫に閉じ込められていました。明日会社に人 が来るまで凍える倉庫で一晩過ごすしかない。一緒にいるのは営業 のエースといわれている強面の先輩。怯える私に「こっちへ来い」 と先輩が声をかけてきて……?

処理中です...