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「……蝶人間?」
「セリーヌも知っていたの」
「それは勿論……。でも意外ね。……いえ、意外でもないかしら」
セリーヌはニーナの豊かな胸を見て、苦笑いを浮かべた。
そういえば、婚約者はセリーヌの巨乳が好きだった。ちらちらとマリオンから注がれる視線には気が付いていたが、気が付かないふりをしていただけだ。
マリオンの気を引きたい時は、わざと胸元が大きくあいたドレスを着たりしたものだ。その自分と同じぐらい大きな胸を持つニーナの美少女っぷりと素直そうな性格なら、マリオンがのめり込んでもおかしくはなかった。
その愛らしさといったら、地上に舞い降りた天使のようで、ニーナがマリオンの物だと知っていても、喉から手が出るほど欲しくなるほどだった。
あどけない笑顔を直視した時には、思わず触りたくなってしまう。
(なるほど? やっぱり、私好みと察して、警戒していたのね)
付き合いは長いのだ。セリーヌの好みなど、とっくに把握していてもおかしくはない。セリーヌは、言葉巧みに誘導し、多少強引な手を使っても、欲しいものは全て手に入れてきた。
そんなセリーヌに、いくら婚約者とはいえ、マリオンが警戒しないはずがなかった。
「……この子の他にも蝶人間を羽化させるつもりなのね?」
「そうだよ」
「それなら、この子に似た、雌の蝶が羽化したら譲って下さる?」
「兄様と似たような事を言うんだね。まぁ、これだけ可愛いと、誰でも欲しくなるかぁ……。ニーナが産んだ卵あるから、セリーヌも育ててみる?」
マリオンの言葉に、セリーヌは苦笑いしながら答えた。
「蝶人間は飼育が難しいと聞きますわ……。卵を渡されても、困ります」
「そんなに難しいものでもないんだよ? 温室を用意するのは大変だけど、蝶人間の有精卵は奴隷商から買えるし。そうだ! コツを教えてあげるから、セリーヌも僕と一緒に育ててみない?」
もちろん、マリオンの気持ちとしては、蝶人間を口実として、セリーヌの傍に居たいという下心もあったが、前々から誰かと蝶人間を飼育する楽しさを共有できればいいなと思っていたのだ。
「……私でも出来るのかしら?」
セリーヌとマリオンは蝶人間の話で意気投合した。「けっこう苦労はするけど、それに見合うだけの価値はあるんだよ」と、ニーナの飼育についての話から始まり、解雇した侍従の話にまで及んだ。
「醜い見た目だとは思っていたけど、中身まで醜いなんて、雇っている意味がないのではなくて? そんな男を傍に置いておくのは危険よ」
「確かに見栄えしないけど、仕事は出来たから……」
侍従の件は、マリオンにとっては過去の汚点だった。セリーヌのもっともな指摘に、こんな恥ずかしいことをセリーヌに打ち明けなければ良かったなと失言を悔いながら、マリオンは答えた。
「セリーヌも知っていたの」
「それは勿論……。でも意外ね。……いえ、意外でもないかしら」
セリーヌはニーナの豊かな胸を見て、苦笑いを浮かべた。
そういえば、婚約者はセリーヌの巨乳が好きだった。ちらちらとマリオンから注がれる視線には気が付いていたが、気が付かないふりをしていただけだ。
マリオンの気を引きたい時は、わざと胸元が大きくあいたドレスを着たりしたものだ。その自分と同じぐらい大きな胸を持つニーナの美少女っぷりと素直そうな性格なら、マリオンがのめり込んでもおかしくはなかった。
その愛らしさといったら、地上に舞い降りた天使のようで、ニーナがマリオンの物だと知っていても、喉から手が出るほど欲しくなるほどだった。
あどけない笑顔を直視した時には、思わず触りたくなってしまう。
(なるほど? やっぱり、私好みと察して、警戒していたのね)
付き合いは長いのだ。セリーヌの好みなど、とっくに把握していてもおかしくはない。セリーヌは、言葉巧みに誘導し、多少強引な手を使っても、欲しいものは全て手に入れてきた。
そんなセリーヌに、いくら婚約者とはいえ、マリオンが警戒しないはずがなかった。
「……この子の他にも蝶人間を羽化させるつもりなのね?」
「そうだよ」
「それなら、この子に似た、雌の蝶が羽化したら譲って下さる?」
「兄様と似たような事を言うんだね。まぁ、これだけ可愛いと、誰でも欲しくなるかぁ……。ニーナが産んだ卵あるから、セリーヌも育ててみる?」
マリオンの言葉に、セリーヌは苦笑いしながら答えた。
「蝶人間は飼育が難しいと聞きますわ……。卵を渡されても、困ります」
「そんなに難しいものでもないんだよ? 温室を用意するのは大変だけど、蝶人間の有精卵は奴隷商から買えるし。そうだ! コツを教えてあげるから、セリーヌも僕と一緒に育ててみない?」
もちろん、マリオンの気持ちとしては、蝶人間を口実として、セリーヌの傍に居たいという下心もあったが、前々から誰かと蝶人間を飼育する楽しさを共有できればいいなと思っていたのだ。
「……私でも出来るのかしら?」
セリーヌとマリオンは蝶人間の話で意気投合した。「けっこう苦労はするけど、それに見合うだけの価値はあるんだよ」と、ニーナの飼育についての話から始まり、解雇した侍従の話にまで及んだ。
「醜い見た目だとは思っていたけど、中身まで醜いなんて、雇っている意味がないのではなくて? そんな男を傍に置いておくのは危険よ」
「確かに見栄えしないけど、仕事は出来たから……」
侍従の件は、マリオンにとっては過去の汚点だった。セリーヌのもっともな指摘に、こんな恥ずかしいことをセリーヌに打ち明けなければ良かったなと失言を悔いながら、マリオンは答えた。
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