僕の白い蝶【完結】

ちゃむにい

文字の大きさ
上 下
23 / 32

口喧嘩

しおりを挟む
「うわぁ~。可愛い蝶人間だねぇ」

ルークスは、1週間前に羽化したばかりの蝶人間を抱き上げた。レイと命名された、その蝶人間は雄だが、目も大きく、まるで女の子のような外見をしていた。

「その服、セリーヌが作ったんですよ、似合うでしょう?」
「へぇ。良くできてるねぇ。どうりで見たことのないデザインだと思った。私、この子が欲しいな」
「あ、その子はだめです。ニーナの子なので……」

ルークスの言葉に、マリオンは慌てて、レイをルークスから奪い返した。

「ええ~? もしかしてマリオンの子供かい……?」
「……よく分かりましたね」
「だって、マリオンの面影があるだろう? だからこそ欲しいんだ。奴隷商に売る金額の倍払うから、私に頂戴?」
「確かに雄の蝶人間が羽化したら渡すと約束しましたが、いくら兄様でもだめです……! ニーナが15個産んで、やっと羽化したんですよ!? この子は僕が育てます。だから次の子にしてください」
「それって、かなり待たないとだめだろう? 蝶人間って、1度に3個しか卵産まないんだよね? もうかなり待ったんだよ? 温室も大分前に出来たのに、肝心の蝶人間が居なきゃ意味ないじゃないか。あれから何度も奴隷商に通ったけど、何時まで経っても品薄で入手困難なんだ。……それに、私はこの子がいいんだよ。一目惚れしたんだ」

マリオンは兄と言い合いの喧嘩を始めたが、結局マリオンが折れ、泣く泣くその子は兄のところへ嫁いでいくことになった。

「貴方が、お義兄様に口喧嘩で勝てるわけがないじゃない」
「……僕も、そう思う」

マリオンは「次に羽化する子は、僕が育てるんだ!」と意気込んだ。

そして次に羽化した子も雄だった。

「やっぱり蝶人間同士の卵のほうが羽化しやすいのかなあ……」

15個中1個羽化出来たのも運が良かったほうだったのかもしれない。レイ以降の卵は羽化せず全滅した。レイの次に羽化させた雄は、意気消沈したマリオンが奴隷商から買い求めた卵から孵した蝶人間だった。
「やった! 今度の子は銀髪かぁ!」久しぶりに羽化に成功して、マリオンは喜色満面の笑みを浮かべた。

同じく、羽化に失敗続きのセリーヌが「私も育ててみたいわ」と言ったので一緒に育てることになった。
その子はメラと名付けられ、期待通り、すくすく成長した。

――そう、マリオンのニーナを寝取るほどに。

「セリーヌ。僕……ショック過ぎてご飯も喉を通らないんだけど……。まだ子供だと思っていたのに、僕のニーナに手を出すなんて……。……つくづく引き離す時期を見誤ったのが悔やむよ……」

メラとの交尾を目撃してから、慌てて引き離そうとしたが相思相愛なのか、ニーナの食事量が減り、とても悲しそうな顔をするから、やむを得ず、メラをニーナの番として認めるしかなかった

「ご飯も喉を通らないのに、私を抱くのね?」
「それとこれは別だよ」

マリオンは不満そうな顔をしながらも、そっとセリーヌを抱き寄せて、頬に軽く口付けた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~

あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

【R18】愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる

奏音 美都
恋愛
シャルール公国のプリンセス、アンジェリーナの公務の際に出会い、恋に落ちたソノワール公爵であったルノー。 両親を船の沈没事故で失い、突如女王として戴冠することになった間も、彼女を支え続けた。 それから幾つもの困難を乗り越え、ルノーはアンジェリーナと婚姻を結び、単なる女王の夫、王配ではなく、自らも執政に取り組む国王として戴冠した。 夫婦となって初めて迎えるアンジェリーナの誕生日。ルノーは彼女を喜ばせようと、画策する。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

婚約破棄寸前の悪役令嬢に転生したはずなのに!?

もふきゅな
恋愛
現代日本の普通一般人だった主人公は、突然異世界の豪華なベッドで目を覚ます。鏡に映るのは見たこともない美しい少女、アリシア・フォン・ルーベンス。悪役令嬢として知られるアリシアは、王子レオンハルトとの婚約破棄寸前にあるという。彼女は、王子の恋人に嫌がらせをしたとされていた。 王子との初対面で冷たく婚約破棄を告げられるが、美咲はアリシアとして無実を訴える。彼女の誠実な態度に次第に心を開くレオンハルト 悪役令嬢としてのレッテルを払拭し、彼と共に幸せな日々を歩もうと試みるアリシア。

大好きな幼馴染と結婚した夜

clayclay
恋愛
架空の国、アーケディア国でのお話。幼馴染との初めての夜。 前作の両親から生まれたエイミーと、その幼馴染のお話です。

処理中です...