僕の白い蝶【完結】

ちゃむにい

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罪と罰

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マリオンはルークスに手紙を書いた。まだ王都に居るだろうと思い、手紙を特別に訓練した鳥の足に括り付けて、飛ばしたのだが、ルークスは思ったよりも近くに居たようで、鳥はすぐにマリオンの屋敷に戻ってきた。

その数時間後、ルークスはマリオンの屋敷を訪れた。

マリオンは、事のあらましを説明し、ルークスに相談した。

「で、マリオンはどうしたいの?」
「侍従に罰を与えたい。出来れば、とびきりえげつないの。そうでなければ、僕の気持ちが収まらない」

侍従は既に拘束し、部屋の一室に閉じ込めて、外に出れない状態にしている。ニーナに対する行為について、厳しく追及をしたら、すんなりとニーナに手を出した事実を認めたのはいいが「あの蝶人間が悪いんだ。誘惑してきたのは、あの蝶人間だ」「私は襲われただけで、何もしていない。蝶人間が裸で私の上に跨って、腰を振ったんだ」「あの蝶人間は淫乱だ。他の男だって咥え込んでるに違いない」「騙されてはいけません。罰するべきは、人を惑わす蝶人間です。私は被害者だ」と自己擁護ばかりで、まるで反省の色がないのも腹立たしかった。

ルークスはマリオンの言葉に、深く考え込むかのような表情をした。

「……私の愛してやまない、弟の願いなら何でも聞いてあげるよ。……マリオンの侍従なら、それなりに顔も良いんだろう?」
「うーん、僕は顔で選んでないから……。仕事は出来るんだけど……酒が好きでね、太ってるし、顔も醜いんだ。ニーナにあんなことをしたくせに、豚のように食べるんだよ。信じられない」
「そうなんだ? 太っているのかい? それはいいね。太っている男は、需要があるんだよ。……ああ、もしかして、前来た時に見た男かな?」

何がいいのか、さっぱり分からないし、分かりたくもなかったが、マリオンの言葉が決め手となり、ルークスが侍従を引き取ってくれることになった。

「……兄様、あんな男が好みなんですか?」

兄に愛されるなら罰にならない。懸念を示したマリオンに、ルークスは目を丸くした。

「まさか。私はマリオンみたいな可愛い男の子が好きだよ。そんな男なんて眼中にないさ」

ルークスは、マリオンの手にキスを落とした。確かにルークスは、年若い少年を長年寵愛していた。いきなり性癖が変わるとは思えなかった。

「では、なぜあの男が必要なのですか?」
「……丁度、私も困っていたところでね。私の代わりとなるような、活きのいい奴隷が欲しかったところなんだよ。何しろ、友人が恋人に手酷く振られて別れたばかりで、欲求不満でね。その男なら、死んでも問題ないんだろう? ……普段はいい奴なんだけど、今の彼は抜身の刀でさ。いくら私でも、連日彼の相手をするのは大変なんだよ。かといって、今の不安定な状態の友人を見捨てるわけにもいかなくて、ここに来てから、また戻るつもりだったんだ」

マリオンの疑問に、ルークスは苦笑いをしながら答えた。
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