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異世界召喚――分岐点
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俺は玉座に座って、その場を見渡していた。
その姿は前国王に瓜二つだ。
ゴブリンのままではスムーズに事が運ばないのでCのスキルで、その姿を変えている。
「では、召喚の儀を始めます」
「やれ」
震える指で、カツン、と召喚士が杖で床を打つ。
螺旋状の眩い光が満ちたかと思うと、見覚えのある学生服の集団が目の前に現れた。
これで彼らの平穏な人生は、地の底に落ちた。
あっけないものだ、と、半ば他人事のように思う。
「な、何だここは!?」
「なにこれ!!??」
学生たちは、戸惑い、パニックになっていた。
男女合わせて20名ほどだろうか。
鑑定を使い、それぞれの持つスキルを確認する。
なるほど、見たこともないスキルばかりだ。
どれもこの地に住まう物なら喉から手が出るほど欲しいものばかりだろう。
召喚士が、ステータスウィンドウとスキルの説明をした。
「やばッ…!? これってチートじゃん!?」
喜ぶ者が複数いた。
茶髪に染めた、生意気そうな女子学生を見て、俺は復讐の機会を与えてくれた神に感謝した。召喚される人間はランダムではあるが、召喚に適した、若い人間がたくさん集まる場所、高校からクラス単位で召喚されることが多い。
過去の文献を見ると、俺の住んでいた地域から召喚されることが多いらしい。きっと召喚された場合、その子供は居なかったことになるのだろう。祖父母から引き継いだという持ち家だったから引っ越しはしたことがないが、通っていた高校が過去に1クラス丸々失踪したなんて聞いたことがない。
そのため、召喚さえ行えば、俺がこの世界に招きたい人間が召喚される確率が高いと思っていた。
だが、あちらの世界の人間を召喚するのは、思ったよりも手間がかかり、そう何度も出来るものではなかった。俺は何年でも何十年でも待てるが、その間にあいつが学校を卒業し、地元から出る可能性は高かった。
すべての人間をこちらの世界に召喚してでも、あいつをこちらに来させるつもりだったが、人間にとっても、俺にとっても幸運なことに、はじめての召喚で本命が召喚された。
そいつは、倉崎優。
母親似のグラマラスで豊満な体を揺らしながら、笑っていた。
俺の―― 妹だった。
俺が死んだ当時は7歳だっただろうか。今は高校生になっているようだ。
妹は母親に可愛がられており、その威を借りていた。俺に「残飯でも貰えるだけ、マシでしょ。ありがとうぐらい言ったら?」「這いつくばって食べてね」と言って、地面に投げ捨てた。俺は言われるがまま、砂利混じりの残飯を貪った。
「きったなぁ~い。もっときれいに食べてよ」と言われても、お腹が空きすぎて反発する気力もなかった。
母親に再婚相手の男との性的関係を見られてから、風呂に入れなくなったから、夜、公園に行って水で洗うぐらいしか出来なかった。冬になると、どうしても蛇口が凍って使えなくなる。
学校に行けば、臭いと言われ虐められた。高校生になったらアルバイトをして稼ぎたいと思っていたが、環境がそれを許さなかった。
体や髪を洗いたくても洗えない。家に帰れば風呂に入れる、恵まれてる人間には分からないだろう。さすがに臭いのは嫌なのか、男に手を出されなくなったのは良かったが、俺の悩みは尽きることがなかった。
その姿は前国王に瓜二つだ。
ゴブリンのままではスムーズに事が運ばないのでCのスキルで、その姿を変えている。
「では、召喚の儀を始めます」
「やれ」
震える指で、カツン、と召喚士が杖で床を打つ。
螺旋状の眩い光が満ちたかと思うと、見覚えのある学生服の集団が目の前に現れた。
これで彼らの平穏な人生は、地の底に落ちた。
あっけないものだ、と、半ば他人事のように思う。
「な、何だここは!?」
「なにこれ!!??」
学生たちは、戸惑い、パニックになっていた。
男女合わせて20名ほどだろうか。
鑑定を使い、それぞれの持つスキルを確認する。
なるほど、見たこともないスキルばかりだ。
どれもこの地に住まう物なら喉から手が出るほど欲しいものばかりだろう。
召喚士が、ステータスウィンドウとスキルの説明をした。
「やばッ…!? これってチートじゃん!?」
喜ぶ者が複数いた。
茶髪に染めた、生意気そうな女子学生を見て、俺は復讐の機会を与えてくれた神に感謝した。召喚される人間はランダムではあるが、召喚に適した、若い人間がたくさん集まる場所、高校からクラス単位で召喚されることが多い。
過去の文献を見ると、俺の住んでいた地域から召喚されることが多いらしい。きっと召喚された場合、その子供は居なかったことになるのだろう。祖父母から引き継いだという持ち家だったから引っ越しはしたことがないが、通っていた高校が過去に1クラス丸々失踪したなんて聞いたことがない。
そのため、召喚さえ行えば、俺がこの世界に招きたい人間が召喚される確率が高いと思っていた。
だが、あちらの世界の人間を召喚するのは、思ったよりも手間がかかり、そう何度も出来るものではなかった。俺は何年でも何十年でも待てるが、その間にあいつが学校を卒業し、地元から出る可能性は高かった。
すべての人間をこちらの世界に召喚してでも、あいつをこちらに来させるつもりだったが、人間にとっても、俺にとっても幸運なことに、はじめての召喚で本命が召喚された。
そいつは、倉崎優。
母親似のグラマラスで豊満な体を揺らしながら、笑っていた。
俺の―― 妹だった。
俺が死んだ当時は7歳だっただろうか。今は高校生になっているようだ。
妹は母親に可愛がられており、その威を借りていた。俺に「残飯でも貰えるだけ、マシでしょ。ありがとうぐらい言ったら?」「這いつくばって食べてね」と言って、地面に投げ捨てた。俺は言われるがまま、砂利混じりの残飯を貪った。
「きったなぁ~い。もっときれいに食べてよ」と言われても、お腹が空きすぎて反発する気力もなかった。
母親に再婚相手の男との性的関係を見られてから、風呂に入れなくなったから、夜、公園に行って水で洗うぐらいしか出来なかった。冬になると、どうしても蛇口が凍って使えなくなる。
学校に行けば、臭いと言われ虐められた。高校生になったらアルバイトをして稼ぎたいと思っていたが、環境がそれを許さなかった。
体や髪を洗いたくても洗えない。家に帰れば風呂に入れる、恵まれてる人間には分からないだろう。さすがに臭いのは嫌なのか、男に手を出されなくなったのは良かったが、俺の悩みは尽きることがなかった。
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