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『閉ざされた未来(3)』
しおりを挟むこれほど、俺が今まで犯した愚行をありがたく思ったことはない。同じ家に母親も住んでいるが、いつも俺が大音量でAVを再生して見ていたから、由香里ちゃんの喘ぎ声を聞いても「ちょっと。夜なんだから、音を小さくしなさい!」と小言を言うぐらいで下の階に行く。
それに無職ニートだから、時間だけはあるのだ。
数日後、満足した俺は、由香里ちゃんを解放してあげた。だって、由香里ちゃんにも家族がいるからね。
由香里ちゃんにも、お兄ちゃんがいるみたいだし。
なんて優しいんだろう、俺って。
でも釘をさすのは忘れなかった。そうでもしないと、由香里ちゃんは手の届かないところに行ってしまうからだ。
「警察とかに言ったら、由香里ちゃんの母親にも同じことするからね」
「そ、そんな……」
そして、アホのように由香里ちゃんを呼び出して、何回もセックスをした。
というか肉便器にした。
俺も性欲の強いほうだと思う。
毎日しても、足りないぐらいだった。
由香里ちゃんは感度抜群で、やりまくっていたら理性をぶっ壊されるほど、可愛らしい声で鳴いてくれるようになったが、時折、付き合っていた女の子の名前をブツブツと呟くので、イラッとした。由香里ちゃんが寝ているときに、その女の子とやらの写真を見せてもらったが、男っぽくて、いかにも女にモテそうだった。
リア充は死んでしまえばいい。
俺は押入れに入れてあったデジカメを探した。
「お、これこれ!」
そのデジカメのデータには、由香里ちゃん援交疑惑を偽造するために利用した見知らぬオッサンが撮ったエロい写真がいっぱい入っていた。あとで見ようと思ってとって置いたものだ。
俺は、由香里ちゃんとハメてる写真を撮った。もちろん、由香里ちゃんの顔は丸出しになるようにして、撮った。
「うん、良い表情だ」
由香里ちゃんに付き合っていた女の子の住所は教えてもらったから、俺と由香里ちゃんがラブラブしている写真を送りつけてやった。
その後も、俺は由香里ちゃんで遊んでたが、「ちょっと遊ぶだけじゃなかったの?」と、妹から白い眼で見られたこともあり、泣く泣く道路に裸のまま置いてきた。
どうなるのか物陰で見ていたら、ヤバイ系の若い男数人に輪姦されたようだ。
まぁあれだけ可愛いんだから、逮捕覚悟でやるわな。刑務所のほうが住み心地いいだろうし。
ちなみに妹からのラインで知ったのだが、俺と絡み合う写真がネットで流出して、由香里ちゃんは退学になったらしい。どうやら、あの女の子も、あまり良い子じゃなかったようだ。
ほんと男運が悪いよなあと思いながら、由香里ちゃんに未練たらたらだった俺は、こっそりまた遊ぼうかなと思っていたら、妹はニッコリ笑顔で俺に釘を刺した。
「お兄ちゃん。私より、あの女が好きなの?」
「そんなはずがないだろう! 俺にとって、お前が最高の女だ!」
「だったら、あんな女なんてどうだっていいわよね」
嗚呼、なんて女は怖いのだろう。俺のことなんて、これっぽっちも思っていないのに、わずかな希望をちらつかせて支配してくる。
でも、こうして妹の手のひらで転がされるのが、たとえようのないほど幸せだったりする。
やはり俺はダメ男なんだな、と思った。
そして数日後。
「お兄ちゃん。……この女も、お願い」
「またぁ? 愛ちゃんってイジメられ体質だよね~」
「いいから。さっさとしてくれない?」
「はいはい」
嗚呼、由香里ちゃんが懐かしい。
その子は、とんでもないブスだった。どんな女でも良いと思った時期もあるけど、これはひどい。
女は顔じゃないと言いたいところだが、やっぱり無理なものは無理だ。生理的に受け付けないとは、このことだ。まさに天国の後の地獄と言うべきか。
腹周りが俺よりも大きいんじゃないか? 顔も、本当に高校生なのかと聞きたくなるぐらい、貫禄があった。
それは、まるで妹への愛を試されているかのような苦行だった。ぶっちゃけ札束をもらってもやりたくない相手だった。
けれど、「お前のためなら、なんでもやる」と誓った妹が見ているのだ。
お兄ちゃんとして、俺は頑張らないといけない。
でも、そのままやろうとしても肝心なブツが、ヘタリと倒れて勃たなかった。追いつめられた俺は、目をつぶって、由香里ちゃんの可愛い顔を思い浮かべながら、妹をイジメた加害者とセックスをした。
けれど、それは何かの罰ゲームかのようだった。
「ごくろうさま。ほら、アイスあげる」
「ありがとう」
そして、平穏な日常に戻った。
けれど何か大事なものを失ったような。
凄いことをやり遂げてしまったかのような達成感に、魂が抜けている俺を見て、妹がチョコアイスを買ってきてくれた。
俺は頬を緩めながら、それを食べた。
それは溶けかかっていて、とても美味しかったけど、なぜか、ほろ苦い味がした。
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