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『地獄の花』 

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いったい、あれからどのくらい経ったのだろう。

「ッ、ぁ、あッ、あ」

肉がぶつかりあう生々しい音が響く。誤魔化しようのない卑猥な音に、心まで犯されているような気がした。

根本まで抜き差しされる度に、男に植えつけられた快楽が芽生え、甘い痺れが脳髄を刺激する。なんとか声を押し殺そうとするも、甲高い声が喉から滑り落ちていった。

そんな私を見て、もっと素直になれよ、これが気持ちいいんだろと嗤う悪魔の言葉に、ただ涙が頬を伝った。

まさか、こんな辱めにあうとは思ってもいなかった。
私たち、天使を守ってくれた人は、もういない。こんな時になって、いかに自分たちが無力なのかということを、思い知らされた。

「やめて……中に、出さないで」 

髪を乱しながら、震える声で懇願しても、男は聞く耳を持たない。 

「さっき、出しただろ、外に」 

悪魔は、覆い被さるようにして、私の体を組み敷き、手を拘束する。秘所に己の肉塊を擦り付けると、先ほど腹に出した白濁を潤滑剤に、ぐちゅっぐちゅと抜き差しをした。その荒い吐息と、自身に迫る変化に、感極まってぽろぽろと涙が零れた。 

「いやぁっ、嘘つき……!」

抵抗しようにも、私のような下級天使が、最上級の悪魔から逃れることなんて出来るわけがなかった。男の顔を見上げながら、嬌声を上げ続けた。

「やばい……あぁっ、出る……」

ついに、男の欲望が放たれ、一滴残さず子宮に注がれていく。ビクビクと体が跳ね上がった。
 
頭が、真っ白になる。

純白の翼が、闇色に染まっていく。 悪魔の手によって穢れ、堕天してしまったのだ。もう生まれ育った天界には戻ることは出来ない。

私は堕天使になってしまった。天使では無くなってしまったんだ、と思うと涙が込み上げてきた。

「リノアの羽根は、とても綺麗だね」 

生まれつき、私は他の子よりも羽根が小さくて、ずっとそのことがコンプレックスだった。けれど、私の羽根を見た神様は、そう仰って下さった。 

その日から、その小さな羽根は、私にとって自慢の羽根となり、手入れを怠る日はなかった。その羽根が、黒くなっていくのを、私は見ることしか出来なかった。 

最後まで残っていた希望が目の前で踏みにじられ、呆然とした。 

「神様……」 

堕天した反動で、意識が朦朧とする。

「余裕だな。……他の男の事を考えるなんてさ」
「な、なにを……」

男は何かを思いついたかのように、濃紺の液体が入った瓶を手にした。長い指にそれを垂らし、液体を秘所に入れる。
すぐに体の変化に気が付いた。
体の芯が熱くなる。

男が撫でるように肌を舐める度に、まるで体の内側を焼くような灼熱を生み出した。

「ひゃ、や、やだ……」
「はは、嫌でも俺を求めるようになる」

恥辱に耐えようにも、男を求めるように調教された。地下牢に囚われている神様が見ている目の前で、毎日のように抱かれた。

「ほら、見ろよ。お前の女は、誰にでも足を開く」
「あぁッ……、み、見ないで……、神様……」

片足を男に上げられ、揺さぶられる。激しく腰を動かされ、白い胸が上下に揺れた。
わずかばかりの抵抗も許されなかった。

「いいのか? この男が死んでも」
「そんな……ッ」
「だったら、俺の言うことを聞くんだな。ほら、言えよ、私は悪魔に抱かれた堕天使ですって。中出しされて嬉しいんだろ?」

それからというもの、私は男の望むままに、その欲望を受け入れるしかなくなってしまった。最早、私のすべては、悪魔のものだった。
男の服を脱がせるのは私の日課となった。男の服を脱がせると全裸で抱き付き、舌を絡めて愛を誓う。

淫乱女と罵声を浴びながら、私は自ら腰を振り、快楽に身悶えながら、男と交わった。悪魔の子を孕むのも、時間の問題だった。

でも、こうなってしまったのは、私だけではない。 

城内では、あちこちで堕天使たちの嬌声が聞こえていた。複数の悪魔と体を繋げている堕天使が多かった。堕天使たちは男に身も心も支配され、正常な判断力を根こそぎ剥ぎ取られた。
堕天使は快楽に弱い。
べっとりとした精液を体中にかけられ、恍惚の表情を浮かべ「もっとしようよ」と悪魔を誘う。

まさに、地獄絵図だった。 

「言っておくが、最初に約束を破ったのは、お前らだからな。……今さら懺悔しても遅い」 

お仕置きだと言って、男は私を抱きしめた。
俺から逃げたらどうなるか、身体で覚えただろ? と、男は私の耳元で囁き、私は恐怖に怯えた。

「ねぇ、俺の元婚約者さん?」 

冷たい笑顔で、男は私を見た。 



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