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部屋※勇者視点
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エルサドが国らしくなってきた頃、俺は、その部屋を見渡して、呟いた。
「うーん、女の子の部屋だよなあ……」
この部屋は、他の部屋と趣きが異なり、可愛らしいものが多い。ベットの近くには、ぬいぐるみが沢山並んでいる。
それを見れば、この部屋の主の好みが良く分かるだろう。
行商を生業としているから、訪問先の国々で珍しい物を見つけると、シアが喜ぶかなと思って買い求める。シアの前に並べるものは、俺にとって採算度外視の、特別な商品だ。
この部屋に増えていく、ぬいぐるみは、1つ1つが思い出の品でもあった。それがシアに愛でられており、増えていくことは、俺にとっても嬉しいことだった。
ラストヘルムからエルサドに商売の軸足を移したのは、需要が高いという事もあったが、シアに逢う口実が欲しかったからだ。
思えば最初に出会った頃から俺は舞い上がっていた。
何を喋ったのか覚えてないぐらいだ。次にも逢う約束をしては、期待に胸を躍らせ、腑抜けになっていった。
もう少し早くに出会えていたらと思う日もある。彼女を俺の伴侶に出来る機会はあったはずだ。俺は何時も、タイミングが悪い。
旅をして回る時も、ふと寂しさを覚えることがある。
隣にシアが居てくれたら、喜びも悲しみも分かち合えるのだろうか、と思うのだ。
恋が始まる前から終わっているだなんて、あんまりだ。望みはないとは分かっていても、どうしてもシアを追い求めてしまう。
その顔を見るだけで、全ての苦労が報われたような心地さえするのだ。
(ほんっと、未練たらたらだよなー、俺って……)
女はシアだけではない。奴隷商人をしていると、それこそ日々美しく若い女を扱う。シア以外に目を向けてみようと思ったが、どんな女を抱いても、シアの事を思い出してしまう。
重症すぎて笑うしかない。
(あれ……?)
ふと、シアを見ると、ややお腹が膨らんでいて、妊娠しているように見えた。
(おかしいな。半年前に逢った時には、外交をしたいから、しばらく妊娠はしないって言ってたのに……)
鑑定してみると、出産予定日が5カ月以上先になっていて、俺は驚いた。通常ゴブリンの子供は2週間で産まれてくる。これはもしかすると、腹の中の子は普通のゴブリンではないかもしれない。
「シア、今何か月ぐらいなの? 大分妊娠期間が長いみたいだけど……」
「そうなんですよ……もう妊娠して5か月目に入りますか。こんな長い妊娠は初めてで、困ります。すぐに終わると思っていたから、かなり予定が狂ってしまって」
「ちょっと心配だね。マタニティ……妊婦さん用の服なんかもあるけど、買ってあげようか?」
「欲しいですが、お金はお支払いしますよ」
シアは本当に真面目で良い子だなあ。ただの厚意のプレゼントなんだから、素直に受け取ってくれたらいいのに。俺は笑って答えた。
「いいって、お得意様だしね。ポイント大分貯まったし、それで買ってあげるよ」
「……前にもそんな事言ってませんでしたっけ?」
「そうだっけ? あんまり使うことないから、知らない間にポイント貯まるんだよねぇ……」
エルサドは奴隷商人にとって、最高の場所だ。ラストヘルムから娼婦が出稼ぎに来ているけど、その数はゴブリンに比べるとまだ足りない。そのため、性奴隷の需要が高いのだ。
「それとシア、少し髪が伸びた? 切ってあげようか、サービスで」
おそらくは妊娠期間が長いからだろう。以前見た時よりも、髪の毛が長くなっていた。
「貴方って、けっこう多才ですよね。女性の髪の毛を切れるんですか?」
「行商してると自分で切るのがいちばん早いんだよ。たまに泊めてくれたお礼に、村の人の髪の毛とかも切ったりするよ?」
「では、お願いします。全体的に、少し短めに切って貰えませんか? 次、何時逢えるかもわかりませんしね」
シアが後ろを向いてくれて助かった。
今の俺の顔はにやけていて、気持ち悪いはずだ。
(……手触りいいな……髪の毛、サラサラしてる……)
美里が手入れをしているのだろうけど、シアという素材の良さを肌で感じた。これが役得ってやつだろうか。俺は合法的にシアの髪の毛に触れることが出来て、めちゃくちゃ幸せだった。
「うーん、女の子の部屋だよなあ……」
この部屋は、他の部屋と趣きが異なり、可愛らしいものが多い。ベットの近くには、ぬいぐるみが沢山並んでいる。
それを見れば、この部屋の主の好みが良く分かるだろう。
行商を生業としているから、訪問先の国々で珍しい物を見つけると、シアが喜ぶかなと思って買い求める。シアの前に並べるものは、俺にとって採算度外視の、特別な商品だ。
この部屋に増えていく、ぬいぐるみは、1つ1つが思い出の品でもあった。それがシアに愛でられており、増えていくことは、俺にとっても嬉しいことだった。
ラストヘルムからエルサドに商売の軸足を移したのは、需要が高いという事もあったが、シアに逢う口実が欲しかったからだ。
思えば最初に出会った頃から俺は舞い上がっていた。
何を喋ったのか覚えてないぐらいだ。次にも逢う約束をしては、期待に胸を躍らせ、腑抜けになっていった。
もう少し早くに出会えていたらと思う日もある。彼女を俺の伴侶に出来る機会はあったはずだ。俺は何時も、タイミングが悪い。
旅をして回る時も、ふと寂しさを覚えることがある。
隣にシアが居てくれたら、喜びも悲しみも分かち合えるのだろうか、と思うのだ。
恋が始まる前から終わっているだなんて、あんまりだ。望みはないとは分かっていても、どうしてもシアを追い求めてしまう。
その顔を見るだけで、全ての苦労が報われたような心地さえするのだ。
(ほんっと、未練たらたらだよなー、俺って……)
女はシアだけではない。奴隷商人をしていると、それこそ日々美しく若い女を扱う。シア以外に目を向けてみようと思ったが、どんな女を抱いても、シアの事を思い出してしまう。
重症すぎて笑うしかない。
(あれ……?)
ふと、シアを見ると、ややお腹が膨らんでいて、妊娠しているように見えた。
(おかしいな。半年前に逢った時には、外交をしたいから、しばらく妊娠はしないって言ってたのに……)
鑑定してみると、出産予定日が5カ月以上先になっていて、俺は驚いた。通常ゴブリンの子供は2週間で産まれてくる。これはもしかすると、腹の中の子は普通のゴブリンではないかもしれない。
「シア、今何か月ぐらいなの? 大分妊娠期間が長いみたいだけど……」
「そうなんですよ……もう妊娠して5か月目に入りますか。こんな長い妊娠は初めてで、困ります。すぐに終わると思っていたから、かなり予定が狂ってしまって」
「ちょっと心配だね。マタニティ……妊婦さん用の服なんかもあるけど、買ってあげようか?」
「欲しいですが、お金はお支払いしますよ」
シアは本当に真面目で良い子だなあ。ただの厚意のプレゼントなんだから、素直に受け取ってくれたらいいのに。俺は笑って答えた。
「いいって、お得意様だしね。ポイント大分貯まったし、それで買ってあげるよ」
「……前にもそんな事言ってませんでしたっけ?」
「そうだっけ? あんまり使うことないから、知らない間にポイント貯まるんだよねぇ……」
エルサドは奴隷商人にとって、最高の場所だ。ラストヘルムから娼婦が出稼ぎに来ているけど、その数はゴブリンに比べるとまだ足りない。そのため、性奴隷の需要が高いのだ。
「それとシア、少し髪が伸びた? 切ってあげようか、サービスで」
おそらくは妊娠期間が長いからだろう。以前見た時よりも、髪の毛が長くなっていた。
「貴方って、けっこう多才ですよね。女性の髪の毛を切れるんですか?」
「行商してると自分で切るのがいちばん早いんだよ。たまに泊めてくれたお礼に、村の人の髪の毛とかも切ったりするよ?」
「では、お願いします。全体的に、少し短めに切って貰えませんか? 次、何時逢えるかもわかりませんしね」
シアが後ろを向いてくれて助かった。
今の俺の顔はにやけていて、気持ち悪いはずだ。
(……手触りいいな……髪の毛、サラサラしてる……)
美里が手入れをしているのだろうけど、シアという素材の良さを肌で感じた。これが役得ってやつだろうか。俺は合法的にシアの髪の毛に触れることが出来て、めちゃくちゃ幸せだった。
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