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旦那が嫁を好き過ぎる!【R18】
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「こ、これって……」
水上渚ことプリムは、多田翔也こと炎夢と共に異世界に召喚された。
この日、渚は5年ほど遊んでいるオンラインゲームのオフ会だった。渚は、中堅ギルドの副団長をしており、前々から「副団長も来て下さいよ! 楽しいですよ!」と親しい複数のギルメンに誘われていたが、オフ会に参加した経験がなく、オフ会の会場が新幹線を使わないと行けない場所にあるという理由で断り続けていた。
けれども、「どうしても来て欲しい」「一生のお願いだから」とゲーム内伴侶である炎夢の熱烈なアプローチに負け、ギルドのオフ会に初参加するため、「東京は初めてなんでしょ? 道案内をするよ」と申し出てくれた炎夢と待ち合わせをしていた。
炎夢は廃課金者で、プリムの月給を軽く越える額の課金を毎月していた。プリムも社会人だから、嗜む程度には課金をしていたが、炎夢は息をするように課金をしていた。そのため、ゲーム内でも有名人だった。
なんでそんな炎夢がプリムと伴侶になったかというと、当初プリムは炎夢を炎夢だとは思っていなかった。
ゲームに飽きてきた炎夢が気晴らしに作った倉庫キャラと親しくなり、是が非でもメインの伴侶にと請われたのだった。
多田翔也は、周囲の目を気にして恥ずかしがる水上渚の手を握り、案内をした。
『なっ、なんで手を繋ぐ必要が……』
『迷子になったら困るだろ?』
ただでさえ翔也は目立つ。その第一印象は、ゲームで仲良くならなければ、親しくしようとは思わないタイプの人だな、ということだった。
天は二物を与えずと言うけれども、翔也は整った顔立ちで、周囲の人の目を惹くには十分だった。また、翔也の服装は都会に住む人らしく上から下までお洒落で、おそらくはハイブランドなのだろう。それは田舎に住む庶民の渚にとって、縁遠い物だった。
『ちょっと休憩しようか。長旅だし、疲れたよね』
立ち寄った喫茶店では、概ねゲームで交わすような会話となった。きっと渚の緊張を解きほぐすために、わざとゲームの延長線上みたいな話題を振ったのだろう。
渚は甘い物が好きで、翔也もまた煙草や酒などを口にしない代わりに、甘い物が好きだった。
『どれにしようか、迷うなあ』
『食べたいものがあったら、なんでも注文していいよ。俺が全部奢るからさ』
『そんなに食べたら、お腹いっぱいになっちゃうでしょ』
渚はメニューを見ながら、翔也とお喋りを楽しんだ。
『やっと笑った』
翔也は渚の笑顔を見て、してやったりと言わんばかりに、目を輝かせた。
『あんまりじっと見られると食べにくいよ』
『ごめんごめん。だって、あんまりに渚が可愛くってさ』
『お世辞言っても何も出ないよ?』
そして渚は、運ばれてきた生クリームとフルーツがたっぷり入ったプリンパフェをスマホで撮影し、食べようとしていたところだった。
スプーンを右手に持ったタイミングで突然異世界に召喚されて、あまりのことにぽかんと口を開けて、「私のプリンパフェ……」と驚くことしか出来なかった。
「勇者様、お待ちしておりました。どうぞ、我々の世界をお救い下さい……!」
あまりにも厳かな雰囲気は冗談を言うような状況ではなく、また、渚と翔也を召喚した彼らは「なんだ弓術師か」と一瞥しただけで、渚のことは眼中にないようだった。
彼らは「勇者様!」と、翔也の周りを取り囲むように集った。
それは、どう考えても現実のものとは思えなかった。けれど、頬を強く抓っても痛みを感じるし、じんじんとする。現実に戻る気配は微塵もなく、楽観的に考えることは出来ないだけの時間は経った。最早、夢ではなく現実と考えるしかなかった。
「聞いたか、渚!? 俺、勇者だってさ!」
「そうみたいね。どうするの? 魔物退治するの?」
「俺は渚が居るところなら、どこにでも行くよ」
翔也は、にこにこと笑顔で渚の手を取り、どこかの王子様のように手の平にキスをした。
「勇者様。こちらのお連れ様は……?」
「あぁ、俺の嫁さんだ! 超可愛いだろ!? 口説いて口説いて口説きまくって、やっと結婚出来たんだぞ!」
「奥様でしたか。どうりでこちらが用意した女たちには目もくれないわけです」
歴代の勇者は女好きだった。
そのため、年若い勇者を召喚すると、国の息がかかった美しい女をパーティに入れて篭絡し、操るのが常套手段だった。近年召喚される勇者は、まるで村人のような平凡な男が多かったが、今回召喚された勇者は、顔が良かったため、集められた女もざわめいた。
だが、勇者翔也は、国がこの日のために用意した美女には目もくれず「俺は浮気しないよ! 世界一可愛い嫁が居るからね!」と宣言したため、勇者の嫁候補として熾烈な戦いを勝ち抜いた女たちは、笑顔のまま固まった。
翔也に肩を寄せられて、渚は顔を真っ赤にした。
「ばっ、ばかっ、翔也……! たしかに結婚はしてるけど、ゲームの中だけの話でしょ!? こんなところで……!」
「かーわいい! 渚、顔が茹蛸だよ?」
「誰のせいだと……!」
「そりゃもちろん、可愛い渚が悪いんだよ? 悪い虫が付かないように、ちゃんと言うべきことは言っておかないとね」
翔也は周囲の人間を牽制するように渚を抱き締めた。それにより、渚の赤い頬がさらに赤く染まった。
「で、勇者なのは分かったけど、慰謝料は?」
「は……? 慰謝料、ですか……!?」
翔也は、これ見よがしにため息をついた。
「俺さ~。メチャクチャ楽しみにしていたんだよね。今日は渚と初めてのオフラインデートだったんだよ? 渚はリアルで逢うのは嫌だって、ずっと言ってて、やっと逢えたところでさ。昨夜は興奮して眠れないほどだったのに、こんなん笑えないんだけど。ホテルもスイート予約してたし、リアルでも結婚したいから、ロマンチックな夜を過ごす予定で有給とって前準備すごい頑張って楽しみにしてたのに……!」
心の声が余すところなく駄々洩れで、邪念しかない翔也に、渚はドン引きした。
「翔也……? 聞いていた話と全然違うんだけど……!? 部屋は翔也が無料の宿泊券あるって言うから任せていたけど、個室だと思ってたよ……!? そもそも、パンケーキ食べて現地解散だったんじゃ……!?」
「ほんとのこと言ったら、クソ真面目な渚は来てくれないだろ……!」
「行くわけないでしょ……! 私、県外に出たのすら初めてなんだから……!」
目を潤ませる渚に、「な、泣くなよ……」と、翔也は狼狽した。そして責任転嫁するように、怒りを神官にぶつけた。
「まぁ、渚といっしょに召喚だったから、まだいいけど、俺だけだったらこの世界滅ぼしていたかもね? 人の人生を狂わせておいてさ、この落とし前、どうやってつけるつもりだったの?」
「どうお詫びをしたら良いのやら……申し訳ございません」
喜色満面の笑みを浮かべていた神官は、勇者の告白に蒼褪めた。神官は幸運だったのだ。辛うじて命拾いをしたに過ぎない。
勇者翔也の能力は突出して秀でていた。レベル1だというのに、国随一と言われてる騎士団長に引けをとらないほどだった。
勇者を召喚したつもりが、一歩間違えれば国が滅亡していたのかもしれないのだ。
「俺、一応あっちの世界じゃ資産家で金持ちだったんだからね? べつにこっちの世界に来なくたって、全然問題なかったんだよ? 誠意を見せてね??」
「奥方様が身に着けていらっしゃる首飾りも、お似合いですものね」
「そー! わかっちゃう!? これさっ、さっき俺がプレゼントしたやつ! めちゃくちゃ渚に似合うでしょ!? 売ったら家1軒ぐらい立つよ!」
「え!? まさか、これ本物の宝石……!?」
首飾りはゲームのマスコットキャラクターを象ったものだった。渚は純粋にそのキャラが好きで、出会った時に見せられた渚は喜んでネックレスをつけた。
翔也も渚がそのキャラが好きだということを知っていたからこそ、オーダーメイドで作らせたのだった。
しかし、勇者翔也の鬼気迫った威圧感と傍若無人な立ち振る舞いに、ただ震えている国王とは異なり、その横に居る小太りの宰相は出来る男だった。
予定通りに事が運ばなかったことに内心苛立ちを隠せなかったが、勇者召喚に巻き込まれた渚という女への溺愛っぷりを肌で感じ、『これは使える』と思い直した。
渚は勇者召喚に巻き込まれただけの人間であり、勇者のそれと比べると雲泥の差ではあるが、ステータスの初期数値は総じて高めだ。
補助系のスキルが多く、弓術師は人気の低い職業だ。だが、それもこの世界の常識であり、異世界人である渚には適用されないかもしれない。
過去にも、職業の枠に縛られない異世界人が召喚されたことがある。渚が勇者召喚に巻き込まれたことも、偶然ではないかもしれない。
渚も、もしかすると鍛えれば勇者並みの力を保有するかもしれない。言動から推察されるに、勇者に比べると渚という女は常識人に近いようだ。
渚が自由奔放な勇者の手綱を握る存在になるかもしれないと、宰相は瞬時に判断した。
宰相は、渚の涙を見て戸惑う勇者に、『渚こそが勇者最大の弱点である』ことを察した。勇者に女を宛がうにしても、女同士の醜い泥沼の争いが必ず起きる。翔也ほどの男であればなおのことだ。
むしろ既に特定の想い人がいることは、歓迎するべきことなのかもしれない。
大量の汗をハンカチで拭いながら、「代替えとはなりますが、必ずやご満足頂けるデートプランを提案いたします。我が国が誇る、極上の宿も紹介しましょう。きっと、渚様にも喜ばれるはずです。ご覧ください。こちらは媚薬です。娼婦が良く使うもので、副作用もなく安心です」と言って和解策を示した。
勇者はその言葉に、興味を示した。
「ふぅん? 頭は悪くないみたいだね。最高のデートと初夜になるなら、許してやってもいいよ? この世界なら、邪魔も入らないだろうし……」
「ま、待ってよ翔也! し、初夜って……!?」
とんとん拍子で決まっていく話の中で、どうしても聞き逃せない言葉を聞き、渚は勇気を振り絞って聞いた。
「渚との出会いは運命だったんだよ。渚も知っているだろうけど、俺、今日が誕生日なんだよね。プレゼントに渚ちょうだい? 俺と結婚して」
「今日逢ったばっかりですけど!?」
とんでもない爆弾発言に、渚は驚愕した。
結婚とは、何か月かデートして、仲を深めてからするものだという固定概念が渚の中にはあった。そのため、あまりに唐突な申し込みに、思わず反発した。
「ゲームで出会って、今日で3年と75日だよ? もうお互いのことは知り尽くしているんだから、出会って1日で結婚したっていいだろ?」
「いいわけないでしょ……!」
性格が温和で優しい渚は男女問わず人気があったが、恋愛経験は乏しかった。付き合ってほしいという告白を受けたことはあったが、入社して日が浅く、資格取得の勉強などもあったため、恋愛はまだ早いと思って、断ってしまった。
確かに、渚は翔也に――炎夢に惹かれていた。そうでなければゲーム上のこととはいえ、結婚に同意はしなかっただろう。渚は気を使いすぎる性格だったが、なぜか炎夢の前では自然体になれた。炎夢は渚が行くのを躊躇するような高難度のダンジョンにも連れて行ってくれた。
勝っても負けても、炎夢と一緒にいると楽しかった。
同期入社の男性に、付き合って欲しいと言われて、最初に思い浮かんだのは、炎夢だった。もし、付き合うとなれば、たとえゲームの中であっても、結婚している状態は良くないと思ったからだ。
「お取り込み中すみません、勇者様。今夜のデートと宿泊先ですが、ご用意できました」
翔也は無言で渡された紙に目を通し、そのうちの1枚を宰相に渡した。
「ちょっとプランとは違うけど、これいいね。もう時間も遅いし、宿泊先にしてくれる? デートは後でいいや」
「畏まりました」
渚の気持ちは置き去りにして、翔也は渚を見たこともないぐらい豪華なベットの中に連れ込んだ。
渚は嫌がっていたが、言葉巧みに裸にされた。
そして、無理やり飲まされた媚薬で、渚は男を求める体になってしまい、涙目で翔也を見た。
「……私が若い女性じゃなかったらどうするつもりだったの!?」
「男だったとしても、プリムならいける!」
「おじいさんでも…?」
「うん」
「翔也の変態!」
「何それ、誉め言葉? でも、プリムが可愛いことぐらい、逢う前から分かってたよ? だって、調べたし」
「し、調べた……?」
「未来のお嫁さんだから当然でしょ? 興信所とか知ってる? 水着の写真とか、いーっぱい貰っちゃった」
「やっぱり変態じゃない!? ぁ、やだ、そんなとこ触らないで……!」
「写真の渚も可愛かったけど、今の渚がいちばん可愛いよ」
「――あぁっ!?」
渚は、翔也の熱い楔を体の奥深いところへ穿たれ、悲鳴を上げた。嬲るように繰り返し奥を突かれて、渚は涙を流した。
「や、め……! 翔也ぁ……!!」
「は。煽ってるの……? 俺も精力剤ってやつ飲んだけど、すごいね、これ。何回出しても、めちゃくちゃ勃起するんだけど」
渚は、ぐちゃぐちゃに抱かれた。
「渚のおまんこ、すごいどろどろだね。気持ちいい? ……俺の前だけではエロい顔していいからね」
「い、ぃや……っ! そ、そんなに見ないで……! は、はずかしい……!」
性行為自体が初めてだったこともあり、渚は体も心も乱れた。敏感な場所を舐められ、何度も繰り返される快楽に身を震わせた。
「し、翔也、赤ちゃんできちゃうって……!」
「男の子かな? 女の子かな? 渚に似たら、とっても可愛い子が生まれると思うよ。楽しみだね」
翔也は避妊する気が一切なかった。宰相から媚薬と同時に避妊薬も貰っていたが、翔也は「これはいらないね。俺は渚を孕ませたいんだよ」と言って、窓から外に投げ捨てた。
「渚は可愛いからね。ほっといたら、悪い虫がつくかもしれない。はやく俺の物にしたい。どうすれば、俺の子を孕んでくれるかなあ」
翔也は渚を妊娠させるために、渚の細い腰を引き寄せ、硬く膨らんだ肉棒を狭い膣穴にねじ込み、何度も種付けをした。
「ねぇ、翔也……! 私、ほんとに妊娠しちゃうよ。もうやめてよぉっ……!」
「そうだね。渚のおまんこは最高すぎて、腰が止まらないよ。渚が妊娠するように、いっぱい奥に出すからね」
翔也が渚の中に出したものが、どろりと秘所から垂れ落ちる感触を感じ、渚は半泣きで翔也に訴えたが、翔也はうっとりとした表情で、これを無視した。
「出る……っ! また出るよ、渚……!」
「ひぁっ、ぁ……あぁぁあああ!」
夜が明けるまで、翔也は渚を抱き潰し、渚は激しい性行為に耐えかねて、眠るように失神した。
渚は、毎日のように翔也に抱かれた。
「渚は淫乱だね。美味しそうに俺の肉棒を咥えこんでるよ」男を知らなかった渚の体は、翔也によって急速に開発され、強すぎる快楽を植え付けられた。
「渚……! 渚……っ!!」
「あぁ……っ、あっ、ああっ……!」
その結果、媚薬がなくても疼いて愛液が溢れ出すようになり、翔也は渚に自ら股を大きく開かせ、貪るように愛した。
パンパンという生々しい音が昼夜を問わず部屋で響き、射精を促すように、渚の蜜壺は翔也の肉棒を締め付けた。
渚は切なげな嬌声を上げ続けた。
ついに、その腹の中に新たな命が宿ったことが判明したのは、異世界に召喚されてから数か月後のことだった。
「……え……。なに、これ……。ここは……?」
いつものように翔也に抱かれて、目覚めたときに、じゃらり、と手足に鎖が巻かれていることに渚は気が付いた。周囲を見渡すと、見覚えのない場所だった。
そこは、つる薔薇が這った大きな金色の鳥籠の中だった。
鳥籠というより牢獄かもしれない。あまりにも非現実的な光景に、渚は驚くことも忘れて絶句し、大きな目をパチパチと瞬かせた。
「おはよう、渚。……その鎖、渚に似合うだろうなって思ったんだけど、やっぱり似合うね。それさ、聖遺物なんだって。この鍵がないと、渚は鳥籠から出られないってこと。色々考えたんだけど、やっぱり渚にケガしてほしくないからさ、ここで待ってて? 魔王なんかすぐ倒してくるからさ。そしたら、いっぱいデートしようよ」
鳥籠の鍵を持ちながら、満足気にほほ笑む翔也に、渚は顔を青くした。炎夢が有言実行であることは、今までずっと見てきた。炎夢はゲームでは無敵の存在だった。でも、ここはゲームではない。やり直しができない。間違ったら、死ぬかもしれない。
――炎夢が死ぬ。
そう思うと、渚は居ても立ってもいられなくなった。火力面では炎夢が優れていたが、戦略面では渚が指示を出すことも多かった。
(炎夢が……居なくなる? そんなの嫌だよ……!)
少しでも力になれるはずだ。こんな安全な場所で、何も出来ず、ただ待っているのは、とても辛いことのように感じた。
(私、こんなことをされても、炎夢が、翔也が、好きなんだ……)
渚にとって、炎夢の存在はとても大きかった。会社で嫌なことがあっても、ゲームにログインすれば炎夢が待っている。
いつの間にか、炎夢がそばにいることが当たり前になっていた。
翔也が渚の世界から消えていなくなってしまうことは、渚にとって耐えられないことだった。
「わ、私も戦……」
「だめ。渚は優しいから、助けなくてもいいやつも庇おうとするだろうし。ゲームだったらそれでもいいけど、リアルでそれやったら命落とすからね。だから、渚はお留守番。……俺だって、可愛い渚を置いていきたくないよ。1秒でも早く戻ってくるからさ」
「だから、私を妊娠させたの? ついてこないように……?」
「うん。だって、俺についてこようとするだろ? もうそのお腹の中には子供がいるんだから、ここにいて。宰相には渚のサポートをするように交渉してあるから」
翔也の決意が籠った強い視線、そして有無を言わせない言い方に、渚は目を伏せた。ここまで固い意志を見せているなら、渚が何を言っても決定を覆すことはないだろう。
長い付き合いで、翔也の性格は把握している。
それに、妊娠している体で、まともに戦えるとも思えなかった。
「……絶対、生きて戻ってきてよ」
「当たり前だよ。俺を誰だと思ってるの?」
翔也は笑顔で、渚の肩に手を回し、優しく抱きしめた。
水上渚ことプリムは、多田翔也こと炎夢と共に異世界に召喚された。
この日、渚は5年ほど遊んでいるオンラインゲームのオフ会だった。渚は、中堅ギルドの副団長をしており、前々から「副団長も来て下さいよ! 楽しいですよ!」と親しい複数のギルメンに誘われていたが、オフ会に参加した経験がなく、オフ会の会場が新幹線を使わないと行けない場所にあるという理由で断り続けていた。
けれども、「どうしても来て欲しい」「一生のお願いだから」とゲーム内伴侶である炎夢の熱烈なアプローチに負け、ギルドのオフ会に初参加するため、「東京は初めてなんでしょ? 道案内をするよ」と申し出てくれた炎夢と待ち合わせをしていた。
炎夢は廃課金者で、プリムの月給を軽く越える額の課金を毎月していた。プリムも社会人だから、嗜む程度には課金をしていたが、炎夢は息をするように課金をしていた。そのため、ゲーム内でも有名人だった。
なんでそんな炎夢がプリムと伴侶になったかというと、当初プリムは炎夢を炎夢だとは思っていなかった。
ゲームに飽きてきた炎夢が気晴らしに作った倉庫キャラと親しくなり、是が非でもメインの伴侶にと請われたのだった。
多田翔也は、周囲の目を気にして恥ずかしがる水上渚の手を握り、案内をした。
『なっ、なんで手を繋ぐ必要が……』
『迷子になったら困るだろ?』
ただでさえ翔也は目立つ。その第一印象は、ゲームで仲良くならなければ、親しくしようとは思わないタイプの人だな、ということだった。
天は二物を与えずと言うけれども、翔也は整った顔立ちで、周囲の人の目を惹くには十分だった。また、翔也の服装は都会に住む人らしく上から下までお洒落で、おそらくはハイブランドなのだろう。それは田舎に住む庶民の渚にとって、縁遠い物だった。
『ちょっと休憩しようか。長旅だし、疲れたよね』
立ち寄った喫茶店では、概ねゲームで交わすような会話となった。きっと渚の緊張を解きほぐすために、わざとゲームの延長線上みたいな話題を振ったのだろう。
渚は甘い物が好きで、翔也もまた煙草や酒などを口にしない代わりに、甘い物が好きだった。
『どれにしようか、迷うなあ』
『食べたいものがあったら、なんでも注文していいよ。俺が全部奢るからさ』
『そんなに食べたら、お腹いっぱいになっちゃうでしょ』
渚はメニューを見ながら、翔也とお喋りを楽しんだ。
『やっと笑った』
翔也は渚の笑顔を見て、してやったりと言わんばかりに、目を輝かせた。
『あんまりじっと見られると食べにくいよ』
『ごめんごめん。だって、あんまりに渚が可愛くってさ』
『お世辞言っても何も出ないよ?』
そして渚は、運ばれてきた生クリームとフルーツがたっぷり入ったプリンパフェをスマホで撮影し、食べようとしていたところだった。
スプーンを右手に持ったタイミングで突然異世界に召喚されて、あまりのことにぽかんと口を開けて、「私のプリンパフェ……」と驚くことしか出来なかった。
「勇者様、お待ちしておりました。どうぞ、我々の世界をお救い下さい……!」
あまりにも厳かな雰囲気は冗談を言うような状況ではなく、また、渚と翔也を召喚した彼らは「なんだ弓術師か」と一瞥しただけで、渚のことは眼中にないようだった。
彼らは「勇者様!」と、翔也の周りを取り囲むように集った。
それは、どう考えても現実のものとは思えなかった。けれど、頬を強く抓っても痛みを感じるし、じんじんとする。現実に戻る気配は微塵もなく、楽観的に考えることは出来ないだけの時間は経った。最早、夢ではなく現実と考えるしかなかった。
「聞いたか、渚!? 俺、勇者だってさ!」
「そうみたいね。どうするの? 魔物退治するの?」
「俺は渚が居るところなら、どこにでも行くよ」
翔也は、にこにこと笑顔で渚の手を取り、どこかの王子様のように手の平にキスをした。
「勇者様。こちらのお連れ様は……?」
「あぁ、俺の嫁さんだ! 超可愛いだろ!? 口説いて口説いて口説きまくって、やっと結婚出来たんだぞ!」
「奥様でしたか。どうりでこちらが用意した女たちには目もくれないわけです」
歴代の勇者は女好きだった。
そのため、年若い勇者を召喚すると、国の息がかかった美しい女をパーティに入れて篭絡し、操るのが常套手段だった。近年召喚される勇者は、まるで村人のような平凡な男が多かったが、今回召喚された勇者は、顔が良かったため、集められた女もざわめいた。
だが、勇者翔也は、国がこの日のために用意した美女には目もくれず「俺は浮気しないよ! 世界一可愛い嫁が居るからね!」と宣言したため、勇者の嫁候補として熾烈な戦いを勝ち抜いた女たちは、笑顔のまま固まった。
翔也に肩を寄せられて、渚は顔を真っ赤にした。
「ばっ、ばかっ、翔也……! たしかに結婚はしてるけど、ゲームの中だけの話でしょ!? こんなところで……!」
「かーわいい! 渚、顔が茹蛸だよ?」
「誰のせいだと……!」
「そりゃもちろん、可愛い渚が悪いんだよ? 悪い虫が付かないように、ちゃんと言うべきことは言っておかないとね」
翔也は周囲の人間を牽制するように渚を抱き締めた。それにより、渚の赤い頬がさらに赤く染まった。
「で、勇者なのは分かったけど、慰謝料は?」
「は……? 慰謝料、ですか……!?」
翔也は、これ見よがしにため息をついた。
「俺さ~。メチャクチャ楽しみにしていたんだよね。今日は渚と初めてのオフラインデートだったんだよ? 渚はリアルで逢うのは嫌だって、ずっと言ってて、やっと逢えたところでさ。昨夜は興奮して眠れないほどだったのに、こんなん笑えないんだけど。ホテルもスイート予約してたし、リアルでも結婚したいから、ロマンチックな夜を過ごす予定で有給とって前準備すごい頑張って楽しみにしてたのに……!」
心の声が余すところなく駄々洩れで、邪念しかない翔也に、渚はドン引きした。
「翔也……? 聞いていた話と全然違うんだけど……!? 部屋は翔也が無料の宿泊券あるって言うから任せていたけど、個室だと思ってたよ……!? そもそも、パンケーキ食べて現地解散だったんじゃ……!?」
「ほんとのこと言ったら、クソ真面目な渚は来てくれないだろ……!」
「行くわけないでしょ……! 私、県外に出たのすら初めてなんだから……!」
目を潤ませる渚に、「な、泣くなよ……」と、翔也は狼狽した。そして責任転嫁するように、怒りを神官にぶつけた。
「まぁ、渚といっしょに召喚だったから、まだいいけど、俺だけだったらこの世界滅ぼしていたかもね? 人の人生を狂わせておいてさ、この落とし前、どうやってつけるつもりだったの?」
「どうお詫びをしたら良いのやら……申し訳ございません」
喜色満面の笑みを浮かべていた神官は、勇者の告白に蒼褪めた。神官は幸運だったのだ。辛うじて命拾いをしたに過ぎない。
勇者翔也の能力は突出して秀でていた。レベル1だというのに、国随一と言われてる騎士団長に引けをとらないほどだった。
勇者を召喚したつもりが、一歩間違えれば国が滅亡していたのかもしれないのだ。
「俺、一応あっちの世界じゃ資産家で金持ちだったんだからね? べつにこっちの世界に来なくたって、全然問題なかったんだよ? 誠意を見せてね??」
「奥方様が身に着けていらっしゃる首飾りも、お似合いですものね」
「そー! わかっちゃう!? これさっ、さっき俺がプレゼントしたやつ! めちゃくちゃ渚に似合うでしょ!? 売ったら家1軒ぐらい立つよ!」
「え!? まさか、これ本物の宝石……!?」
首飾りはゲームのマスコットキャラクターを象ったものだった。渚は純粋にそのキャラが好きで、出会った時に見せられた渚は喜んでネックレスをつけた。
翔也も渚がそのキャラが好きだということを知っていたからこそ、オーダーメイドで作らせたのだった。
しかし、勇者翔也の鬼気迫った威圧感と傍若無人な立ち振る舞いに、ただ震えている国王とは異なり、その横に居る小太りの宰相は出来る男だった。
予定通りに事が運ばなかったことに内心苛立ちを隠せなかったが、勇者召喚に巻き込まれた渚という女への溺愛っぷりを肌で感じ、『これは使える』と思い直した。
渚は勇者召喚に巻き込まれただけの人間であり、勇者のそれと比べると雲泥の差ではあるが、ステータスの初期数値は総じて高めだ。
補助系のスキルが多く、弓術師は人気の低い職業だ。だが、それもこの世界の常識であり、異世界人である渚には適用されないかもしれない。
過去にも、職業の枠に縛られない異世界人が召喚されたことがある。渚が勇者召喚に巻き込まれたことも、偶然ではないかもしれない。
渚も、もしかすると鍛えれば勇者並みの力を保有するかもしれない。言動から推察されるに、勇者に比べると渚という女は常識人に近いようだ。
渚が自由奔放な勇者の手綱を握る存在になるかもしれないと、宰相は瞬時に判断した。
宰相は、渚の涙を見て戸惑う勇者に、『渚こそが勇者最大の弱点である』ことを察した。勇者に女を宛がうにしても、女同士の醜い泥沼の争いが必ず起きる。翔也ほどの男であればなおのことだ。
むしろ既に特定の想い人がいることは、歓迎するべきことなのかもしれない。
大量の汗をハンカチで拭いながら、「代替えとはなりますが、必ずやご満足頂けるデートプランを提案いたします。我が国が誇る、極上の宿も紹介しましょう。きっと、渚様にも喜ばれるはずです。ご覧ください。こちらは媚薬です。娼婦が良く使うもので、副作用もなく安心です」と言って和解策を示した。
勇者はその言葉に、興味を示した。
「ふぅん? 頭は悪くないみたいだね。最高のデートと初夜になるなら、許してやってもいいよ? この世界なら、邪魔も入らないだろうし……」
「ま、待ってよ翔也! し、初夜って……!?」
とんとん拍子で決まっていく話の中で、どうしても聞き逃せない言葉を聞き、渚は勇気を振り絞って聞いた。
「渚との出会いは運命だったんだよ。渚も知っているだろうけど、俺、今日が誕生日なんだよね。プレゼントに渚ちょうだい? 俺と結婚して」
「今日逢ったばっかりですけど!?」
とんでもない爆弾発言に、渚は驚愕した。
結婚とは、何か月かデートして、仲を深めてからするものだという固定概念が渚の中にはあった。そのため、あまりに唐突な申し込みに、思わず反発した。
「ゲームで出会って、今日で3年と75日だよ? もうお互いのことは知り尽くしているんだから、出会って1日で結婚したっていいだろ?」
「いいわけないでしょ……!」
性格が温和で優しい渚は男女問わず人気があったが、恋愛経験は乏しかった。付き合ってほしいという告白を受けたことはあったが、入社して日が浅く、資格取得の勉強などもあったため、恋愛はまだ早いと思って、断ってしまった。
確かに、渚は翔也に――炎夢に惹かれていた。そうでなければゲーム上のこととはいえ、結婚に同意はしなかっただろう。渚は気を使いすぎる性格だったが、なぜか炎夢の前では自然体になれた。炎夢は渚が行くのを躊躇するような高難度のダンジョンにも連れて行ってくれた。
勝っても負けても、炎夢と一緒にいると楽しかった。
同期入社の男性に、付き合って欲しいと言われて、最初に思い浮かんだのは、炎夢だった。もし、付き合うとなれば、たとえゲームの中であっても、結婚している状態は良くないと思ったからだ。
「お取り込み中すみません、勇者様。今夜のデートと宿泊先ですが、ご用意できました」
翔也は無言で渡された紙に目を通し、そのうちの1枚を宰相に渡した。
「ちょっとプランとは違うけど、これいいね。もう時間も遅いし、宿泊先にしてくれる? デートは後でいいや」
「畏まりました」
渚の気持ちは置き去りにして、翔也は渚を見たこともないぐらい豪華なベットの中に連れ込んだ。
渚は嫌がっていたが、言葉巧みに裸にされた。
そして、無理やり飲まされた媚薬で、渚は男を求める体になってしまい、涙目で翔也を見た。
「……私が若い女性じゃなかったらどうするつもりだったの!?」
「男だったとしても、プリムならいける!」
「おじいさんでも…?」
「うん」
「翔也の変態!」
「何それ、誉め言葉? でも、プリムが可愛いことぐらい、逢う前から分かってたよ? だって、調べたし」
「し、調べた……?」
「未来のお嫁さんだから当然でしょ? 興信所とか知ってる? 水着の写真とか、いーっぱい貰っちゃった」
「やっぱり変態じゃない!? ぁ、やだ、そんなとこ触らないで……!」
「写真の渚も可愛かったけど、今の渚がいちばん可愛いよ」
「――あぁっ!?」
渚は、翔也の熱い楔を体の奥深いところへ穿たれ、悲鳴を上げた。嬲るように繰り返し奥を突かれて、渚は涙を流した。
「や、め……! 翔也ぁ……!!」
「は。煽ってるの……? 俺も精力剤ってやつ飲んだけど、すごいね、これ。何回出しても、めちゃくちゃ勃起するんだけど」
渚は、ぐちゃぐちゃに抱かれた。
「渚のおまんこ、すごいどろどろだね。気持ちいい? ……俺の前だけではエロい顔していいからね」
「い、ぃや……っ! そ、そんなに見ないで……! は、はずかしい……!」
性行為自体が初めてだったこともあり、渚は体も心も乱れた。敏感な場所を舐められ、何度も繰り返される快楽に身を震わせた。
「し、翔也、赤ちゃんできちゃうって……!」
「男の子かな? 女の子かな? 渚に似たら、とっても可愛い子が生まれると思うよ。楽しみだね」
翔也は避妊する気が一切なかった。宰相から媚薬と同時に避妊薬も貰っていたが、翔也は「これはいらないね。俺は渚を孕ませたいんだよ」と言って、窓から外に投げ捨てた。
「渚は可愛いからね。ほっといたら、悪い虫がつくかもしれない。はやく俺の物にしたい。どうすれば、俺の子を孕んでくれるかなあ」
翔也は渚を妊娠させるために、渚の細い腰を引き寄せ、硬く膨らんだ肉棒を狭い膣穴にねじ込み、何度も種付けをした。
「ねぇ、翔也……! 私、ほんとに妊娠しちゃうよ。もうやめてよぉっ……!」
「そうだね。渚のおまんこは最高すぎて、腰が止まらないよ。渚が妊娠するように、いっぱい奥に出すからね」
翔也が渚の中に出したものが、どろりと秘所から垂れ落ちる感触を感じ、渚は半泣きで翔也に訴えたが、翔也はうっとりとした表情で、これを無視した。
「出る……っ! また出るよ、渚……!」
「ひぁっ、ぁ……あぁぁあああ!」
夜が明けるまで、翔也は渚を抱き潰し、渚は激しい性行為に耐えかねて、眠るように失神した。
渚は、毎日のように翔也に抱かれた。
「渚は淫乱だね。美味しそうに俺の肉棒を咥えこんでるよ」男を知らなかった渚の体は、翔也によって急速に開発され、強すぎる快楽を植え付けられた。
「渚……! 渚……っ!!」
「あぁ……っ、あっ、ああっ……!」
その結果、媚薬がなくても疼いて愛液が溢れ出すようになり、翔也は渚に自ら股を大きく開かせ、貪るように愛した。
パンパンという生々しい音が昼夜を問わず部屋で響き、射精を促すように、渚の蜜壺は翔也の肉棒を締め付けた。
渚は切なげな嬌声を上げ続けた。
ついに、その腹の中に新たな命が宿ったことが判明したのは、異世界に召喚されてから数か月後のことだった。
「……え……。なに、これ……。ここは……?」
いつものように翔也に抱かれて、目覚めたときに、じゃらり、と手足に鎖が巻かれていることに渚は気が付いた。周囲を見渡すと、見覚えのない場所だった。
そこは、つる薔薇が這った大きな金色の鳥籠の中だった。
鳥籠というより牢獄かもしれない。あまりにも非現実的な光景に、渚は驚くことも忘れて絶句し、大きな目をパチパチと瞬かせた。
「おはよう、渚。……その鎖、渚に似合うだろうなって思ったんだけど、やっぱり似合うね。それさ、聖遺物なんだって。この鍵がないと、渚は鳥籠から出られないってこと。色々考えたんだけど、やっぱり渚にケガしてほしくないからさ、ここで待ってて? 魔王なんかすぐ倒してくるからさ。そしたら、いっぱいデートしようよ」
鳥籠の鍵を持ちながら、満足気にほほ笑む翔也に、渚は顔を青くした。炎夢が有言実行であることは、今までずっと見てきた。炎夢はゲームでは無敵の存在だった。でも、ここはゲームではない。やり直しができない。間違ったら、死ぬかもしれない。
――炎夢が死ぬ。
そう思うと、渚は居ても立ってもいられなくなった。火力面では炎夢が優れていたが、戦略面では渚が指示を出すことも多かった。
(炎夢が……居なくなる? そんなの嫌だよ……!)
少しでも力になれるはずだ。こんな安全な場所で、何も出来ず、ただ待っているのは、とても辛いことのように感じた。
(私、こんなことをされても、炎夢が、翔也が、好きなんだ……)
渚にとって、炎夢の存在はとても大きかった。会社で嫌なことがあっても、ゲームにログインすれば炎夢が待っている。
いつの間にか、炎夢がそばにいることが当たり前になっていた。
翔也が渚の世界から消えていなくなってしまうことは、渚にとって耐えられないことだった。
「わ、私も戦……」
「だめ。渚は優しいから、助けなくてもいいやつも庇おうとするだろうし。ゲームだったらそれでもいいけど、リアルでそれやったら命落とすからね。だから、渚はお留守番。……俺だって、可愛い渚を置いていきたくないよ。1秒でも早く戻ってくるからさ」
「だから、私を妊娠させたの? ついてこないように……?」
「うん。だって、俺についてこようとするだろ? もうそのお腹の中には子供がいるんだから、ここにいて。宰相には渚のサポートをするように交渉してあるから」
翔也の決意が籠った強い視線、そして有無を言わせない言い方に、渚は目を伏せた。ここまで固い意志を見せているなら、渚が何を言っても決定を覆すことはないだろう。
長い付き合いで、翔也の性格は把握している。
それに、妊娠している体で、まともに戦えるとも思えなかった。
「……絶対、生きて戻ってきてよ」
「当たり前だよ。俺を誰だと思ってるの?」
翔也は笑顔で、渚の肩に手を回し、優しく抱きしめた。
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