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Case4. 祝勝会。芽衣の場合
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* 芽衣 *
「どうも、勝ちヒロインの穂村芽衣で~す」
その夜、私は勝利の宴を開いていた。
「太一ってば絶対に私のこと好きでぇ~す」
ミニテーブルの上にはケーキ。
そして視線の先にはカメラがある。
「なのでぇ~、記念にケーキを食べま~す」
私は背筋を伸ばした。
それからフォークでケーキを食べる。
それはもう、上品に。目にした人すべてが心を奪われる蝶のような所作で。
「あまぁ~い」
そして久々の甘味に歓喜する。
私は甘い物を控えていた。
もちろん体系維持のためである。
私は若い。今は大半の栄養が胸に行っているが油断はできない。
完璧なプロポーションを維持して、パーフェクトな美少女であり続ける。そうでなければ、あの鈍感野郎をメロメロにできない。
だから今日は自分へのご褒美。
大成功だった。
高校生進学を機に勝負の方向性を変更したことで、明らかに太一が私を意識するようになっている。
これはもう時間の問題。
ライバルも居ないのだから私の独壇場だ。
愛心ちゃんが唯一の懸念材料だけど、問題は無い。兄妹では恋愛にならないと幼い頃からインプリンティングしてある。
「完全無欠の優等生にして稀代の美少女とはこの私、穂村芽衣しか勝たん!」
おっと、今のは品が無かったわね。
もっと優雅にケーキを食べないと。
「あまぁ~い」
だめぇ~、にやけちゃう~!
でもでも手が止まらないよ~!
「今日は、さらにぃ~」
私はカメラにコップを見せ付ける。
ブクブクと泡立つ緑色の液体。名は──
「メロンソーダ、飲んじゃいま~す」
まさに狂乱の宴!
メロンソーダのような炭酸飲料の成分表を見ると、100グラムあたり10グラムの炭水化物──すなわち糖質が含まれている。
一般的なショートケーキの場合、30グラム弱。つまりコップ一杯の炭酸飲料は、実質ケーキなのである。
人々は油断する。
コップ一杯で太ることは無いだろうと。
体重とは科学である。
メロンソーダは理論的にケーキなのだ。
「んん~! あまぁ~い!」
私は恍惚とした気持ちで天を仰ぐ。
目を閉じて、瞼の裏に彼の姿を幻視する。
そして脳内に録音したデータを再生した。
──この世界に、芽衣よりも大切なモノは存在しない。
「あはは、勝ちぃ~! 私の勝ちぃ!」
暴飲暴食。
脳も胃も甘味で満たす。
さて次はどうしてくれようか。
とりあえず明日は金曜日だから……待てよ確か話題の映画があったな。
負けた方に奢らせる感じにするか?
その後あいつを食事とかに付き合わせちゃったりして……あはは、これで行こう!
もちろんデートするだけじゃダメ。
普通に遊んだら罰ゲームで奢らされたって勘違いされちゃう。それはダメ。
まあ、あいつは休日一緒におでかけできて幸せだろうけどね! あっはっは!
という具合に調子に乗ると負ける。
私は長年の付き合いで学習してるのです。
何か。何か良い感じの口実は無いか?
それか彼が思わず告っちゃうような前振りをして……よし、決めた。
「明日は、いつも以上に負けられないわね」
「どうも、勝ちヒロインの穂村芽衣で~す」
その夜、私は勝利の宴を開いていた。
「太一ってば絶対に私のこと好きでぇ~す」
ミニテーブルの上にはケーキ。
そして視線の先にはカメラがある。
「なのでぇ~、記念にケーキを食べま~す」
私は背筋を伸ばした。
それからフォークでケーキを食べる。
それはもう、上品に。目にした人すべてが心を奪われる蝶のような所作で。
「あまぁ~い」
そして久々の甘味に歓喜する。
私は甘い物を控えていた。
もちろん体系維持のためである。
私は若い。今は大半の栄養が胸に行っているが油断はできない。
完璧なプロポーションを維持して、パーフェクトな美少女であり続ける。そうでなければ、あの鈍感野郎をメロメロにできない。
だから今日は自分へのご褒美。
大成功だった。
高校生進学を機に勝負の方向性を変更したことで、明らかに太一が私を意識するようになっている。
これはもう時間の問題。
ライバルも居ないのだから私の独壇場だ。
愛心ちゃんが唯一の懸念材料だけど、問題は無い。兄妹では恋愛にならないと幼い頃からインプリンティングしてある。
「完全無欠の優等生にして稀代の美少女とはこの私、穂村芽衣しか勝たん!」
おっと、今のは品が無かったわね。
もっと優雅にケーキを食べないと。
「あまぁ~い」
だめぇ~、にやけちゃう~!
でもでも手が止まらないよ~!
「今日は、さらにぃ~」
私はカメラにコップを見せ付ける。
ブクブクと泡立つ緑色の液体。名は──
「メロンソーダ、飲んじゃいま~す」
まさに狂乱の宴!
メロンソーダのような炭酸飲料の成分表を見ると、100グラムあたり10グラムの炭水化物──すなわち糖質が含まれている。
一般的なショートケーキの場合、30グラム弱。つまりコップ一杯の炭酸飲料は、実質ケーキなのである。
人々は油断する。
コップ一杯で太ることは無いだろうと。
体重とは科学である。
メロンソーダは理論的にケーキなのだ。
「んん~! あまぁ~い!」
私は恍惚とした気持ちで天を仰ぐ。
目を閉じて、瞼の裏に彼の姿を幻視する。
そして脳内に録音したデータを再生した。
──この世界に、芽衣よりも大切なモノは存在しない。
「あはは、勝ちぃ~! 私の勝ちぃ!」
暴飲暴食。
脳も胃も甘味で満たす。
さて次はどうしてくれようか。
とりあえず明日は金曜日だから……待てよ確か話題の映画があったな。
負けた方に奢らせる感じにするか?
その後あいつを食事とかに付き合わせちゃったりして……あはは、これで行こう!
もちろんデートするだけじゃダメ。
普通に遊んだら罰ゲームで奢らされたって勘違いされちゃう。それはダメ。
まあ、あいつは休日一緒におでかけできて幸せだろうけどね! あっはっは!
という具合に調子に乗ると負ける。
私は長年の付き合いで学習してるのです。
何か。何か良い感じの口実は無いか?
それか彼が思わず告っちゃうような前振りをして……よし、決めた。
「明日は、いつも以上に負けられないわね」
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