19 / 34
Case4. 指先をいやらしく動かすアレ ~本番~
しおりを挟む
* 芽衣 *
はい、私の勝ち。
太一ってば、ほんと学習しない。
私に勝負の内容を選ばせてる時点で負け。
私が勝てる作戦、用意してるに決まってるじゃん。
(……チェスは忘れよう。あれは黒歴史)
今日の勝負は本気も本気。
この私が持てる知能をフル活用した完全無欠の対戦カードなのよ。
太一、また自信満々な顔してる。
ふふっ、かわいい。どうせまた負けて泣いちゃうのに。
おっと、いけない。
違う。こういうところがダメなんでしょ。
私の目的は彼を泣かすことじゃない。
勝負を通じて、私の魅力をわからせて、メロメロにすること。
覚悟しなさい。
今日こそ告らせてやるわよ。
──カウントダウン。
画面に数字が表示される。
3から始まり、2、1──
『このゲームは穂村芽依が作りました』
私は最初に表示された文字を入力……する振りをする。
今、彼の画面では私が必死に入力しているような表示がされているだろう。
でも違う。残念。
私は、私の画面にだけ表示されているボタンを押すことで入力を終えることができる。
これが開発者特権。
卑怯とは言わせない。勝敗は戦いが始まる前から決まってるものなのよ。
「へぇ~、なかなか速いじゃん」
初回、私はあえて勝ちを譲る。
彼は「してやった」という顔をした。
か、かわいい~!
手のひらの上とも知らないで、こんな顔をするなんて~! 泣かせたくなる~!
だからダメだってば。
違うの。私がやるべきことは目からお汁を出させることじゃないの。顔ばっか見てないで下半身を見なきゃ恋愛にならないのよ。
──カウントダウン。
先程と同じ演出の後、次の文章が出る。
『穂村芽依は世界一素敵な女性です』
一瞬、彼の真剣な表情がピクリとした。
しかし彼は問題なく文章を入力する。
『俺は穂村芽依のことばかり考えています』
再び、彼の表情に反応がある。
それでも入力ペースは変わらなかった。
『彼女に恋をしたのは三歳の時でした』
「なんなのだこれは!?」
ついに彼が声をあげた。
初回は練習として、3回で限界か~。よわよわじゃん♡
「んー、何かな?」
「……くっ、そういうことか」
何か察したっぽい。
でも、ざんね~ん。もう遅いで~す。
『将来の夢は穂村芽依と結婚することです』
ふふっ、太一ってば顔が真っ赤。
でも頑張ってね。この文章、全部で57個も用意したからね。私にギリギリで負け続けながら57回の愛を入力しちゃってね♡
つまり!
これは57回分の愛を語らせることで、私に対する恋心を自覚させる作戦ってわけ!
そもそも、最初の勝負がそうだった。
少し回想。
彼は私を恨んでいる。
小学生の時は間違いなくそうだった。
でも私は努力した。可愛くなった。
こんな子といつも一緒に居て、意識しないわけがない。
だから気持ちを少し誘導する。
そうすれば、恋が始まるはず。
そう思って「愛してるゲーム」を決行したのに、あいつってば耳真っ赤にするだけ!
その反応が可愛くて勝負2回分くらい暴走しちゃったけど、もう終わりよ。
今日こそ落とす!
さあいつでも告白しなさい!
突然押し倒してもいいのよ!
覚悟はできてるわよ!!
はい、私の勝ち。
太一ってば、ほんと学習しない。
私に勝負の内容を選ばせてる時点で負け。
私が勝てる作戦、用意してるに決まってるじゃん。
(……チェスは忘れよう。あれは黒歴史)
今日の勝負は本気も本気。
この私が持てる知能をフル活用した完全無欠の対戦カードなのよ。
太一、また自信満々な顔してる。
ふふっ、かわいい。どうせまた負けて泣いちゃうのに。
おっと、いけない。
違う。こういうところがダメなんでしょ。
私の目的は彼を泣かすことじゃない。
勝負を通じて、私の魅力をわからせて、メロメロにすること。
覚悟しなさい。
今日こそ告らせてやるわよ。
──カウントダウン。
画面に数字が表示される。
3から始まり、2、1──
『このゲームは穂村芽依が作りました』
私は最初に表示された文字を入力……する振りをする。
今、彼の画面では私が必死に入力しているような表示がされているだろう。
でも違う。残念。
私は、私の画面にだけ表示されているボタンを押すことで入力を終えることができる。
これが開発者特権。
卑怯とは言わせない。勝敗は戦いが始まる前から決まってるものなのよ。
「へぇ~、なかなか速いじゃん」
初回、私はあえて勝ちを譲る。
彼は「してやった」という顔をした。
か、かわいい~!
手のひらの上とも知らないで、こんな顔をするなんて~! 泣かせたくなる~!
だからダメだってば。
違うの。私がやるべきことは目からお汁を出させることじゃないの。顔ばっか見てないで下半身を見なきゃ恋愛にならないのよ。
──カウントダウン。
先程と同じ演出の後、次の文章が出る。
『穂村芽依は世界一素敵な女性です』
一瞬、彼の真剣な表情がピクリとした。
しかし彼は問題なく文章を入力する。
『俺は穂村芽依のことばかり考えています』
再び、彼の表情に反応がある。
それでも入力ペースは変わらなかった。
『彼女に恋をしたのは三歳の時でした』
「なんなのだこれは!?」
ついに彼が声をあげた。
初回は練習として、3回で限界か~。よわよわじゃん♡
「んー、何かな?」
「……くっ、そういうことか」
何か察したっぽい。
でも、ざんね~ん。もう遅いで~す。
『将来の夢は穂村芽依と結婚することです』
ふふっ、太一ってば顔が真っ赤。
でも頑張ってね。この文章、全部で57個も用意したからね。私にギリギリで負け続けながら57回の愛を入力しちゃってね♡
つまり!
これは57回分の愛を語らせることで、私に対する恋心を自覚させる作戦ってわけ!
そもそも、最初の勝負がそうだった。
少し回想。
彼は私を恨んでいる。
小学生の時は間違いなくそうだった。
でも私は努力した。可愛くなった。
こんな子といつも一緒に居て、意識しないわけがない。
だから気持ちを少し誘導する。
そうすれば、恋が始まるはず。
そう思って「愛してるゲーム」を決行したのに、あいつってば耳真っ赤にするだけ!
その反応が可愛くて勝負2回分くらい暴走しちゃったけど、もう終わりよ。
今日こそ落とす!
さあいつでも告白しなさい!
突然押し倒してもいいのよ!
覚悟はできてるわよ!!
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説


大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。
ながしょー
青春
ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。
このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。
かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?
久野真一
青春
2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。
同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。
社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、
実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。
それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。
「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。
僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。
亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。
あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。
そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。
そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。
夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。
とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。
これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。
そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

俺の家には学校一の美少女がいる!
ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。
今年、入学したばかりの4月。
両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。
そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。
その美少女は学校一のモテる女の子。
この先、どうなってしまうのか!?

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる