幼馴染をわからせたい ~実は両想いだと気が付かない二人は、今日も相手を告らせるために勝負(誘惑)して空回る~

下城米雪

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Case3. 反省会。芽衣の場合

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 ──コリコリ。

「…………んー?」

 ──コリコリ。

「…………変じゃないよね?」

 ──コリコリ。

「…………うん。まぁ、用途が違うし」

 ──コリコリ。

「…………これが男女の差か」

 パタン。私は両手をベッドの上に置き、仰向けの姿勢で溜息を吐いた。

 失敗したのだと思う。冷静になるほど、やり過ぎちゃったという気持ちが強くなる。

「……はぁ、いきなりレベル高過ぎたか」

 太一は初心だ。
 今どきの高校生のくせに、少年マンガのグラビアから慌てて目を逸らすような男だ。

 そんな相手に「あれ」をやるのは、レベル1の勇者にラスボスをぶつけるような暴挙。

「……私だけ楽しくても意味ないよ。バカ」

 別れ際。
 彼の顔が頭から離れない。

 涙目になって私を睨む彼は、それこそ親の仇を見るような目をしていた。

「あ~!」

 じたばたする。
 昔からそうだ。彼と一緒だと嬉しくなって、つい我を忘れてしまう。

 だけど私と彼の経験値は違う。
 肉体的な経験値じゃなくて、精神的な話。

「……中身も、変わらないと」

 中学生になった時から努力している。
 勉強も運動も彼に負けないくらいに頑張って、人付き合いも昔より上手くなった。

 オシャレも始めた。長い髪を毎日何時間もかけてケアしているのは、彼に異性として意識して貰いたいからだ。

 だけど、彼の前では素顔を見せてしまう。
 太一と遊ぶのは堪らなく楽しいから、つい昔と同じ感覚で負かしてしまう。

「よし、禁欲するか」

 次の勝負は、普通の内容にしよう。
 だけど太一の土俵で戦うのはダメだ。

 どうにか男女の差が出ないような競技を探して、それで──二人で楽しく、遊ぶんだ。
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