幼馴染をわからせたい ~実は両想いだと気が付かない二人は、今日も相手を告らせるために勝負(誘惑)して空回る~

下城米雪

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Case2. 反省会。芽衣の場合

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 ──芽衣の部屋。

「……おっ、んぉ、ぉぁ、ぁ、ぉ」

 ──芽衣の部屋。

「……好き。好き。好き。好き」

 ──芽衣の部屋。

「……ぉあ、ぉ、あっ、ん、んん~~!」

 ──芽衣の部屋。

「…………」

 ──芽衣の部屋。

「やっぱ見るだけじゃダメよね」

 これ以上ない程にリラックスした私は、今日の反省会を始めた。

「ほんと最低の内容だったわね。これは太一をメロメロにするための勝負なのに」

 頭も冴えている。
 これこそが本来の私だ。

 文武両道にして品行方正。
 多くの友人を持ち教師からも信頼されている私は、誰もが羨む優等生なのだ。

 私は優秀な頭脳をフル回転して、反省会をする。今日は本当に酷い失敗をした。凡人は悪かった点ばかり振り返るだろうが、優等生である私は違う。

 大切なのは目的を遂げること。
 太一をメロメロにするために、今日の経験を如何にして未来へ活かすのか考えること。

「よし、おっぱい触らせるか」

 これはべつに、とち狂った発言ではない。
 客観的な事実と科学的な知見に基づいた合理的な発言だ。

 ──あれは今から七年ほど前。
 愛心ちゃんと喧嘩した時の話である。

『このブラコン変態クソチビ妹!』

『あこヘンタイじゃないもん!』

 私は太一にベッタリくっついて離れない愛心ちゃんに嫉妬して、うっかり小学校の体育館倉庫に呼び出してしまった。

 その時、愛心ちゃんが言った。

『あこは兄ちゃんをそだててるの!』

『はー? 何それ? はー? そんなの私がやりますけど~?』

『ぶっぶー! メイちゃんみたいなむきょうような人にはつとまりませーん!』

『はー!? 誰が無教養ですってぇ!?』

 当時はまだ幼かった。
 私は八歳。愛心ちゃんは六歳。
 こんな無意味な口論、今は絶対にしない。

『オキシトシンも知らないくせに!』

 愛心ちゃんは謎の暗号を口にした。

『兄ちゃんにさわると、あいじょうホルモンのオキシトシンが出るの! いっぱい出ると、やさしいせいかくになって、きおくりょくもよくなるの!』

『へー! そんなの知ってますけどね!』

 全く知らなかった。
 だから私は、しばらく太一に過剰なスキンシップをした。

 もちろん今はしていない。

 十歳くらいの時だったかな?
 本気で泣かれちゃったから止めた。

 少し話が逸れちゃったけど、大事なのはスキンシップによって愛情ホルモンが出るという点だ。彼をメロメロにするという目的において、この科学的知見を活かさない手は無い。

 私は考えた。
 どうせなら、私を異性として意識するような場所を触らせた方が良い。

 太一が好きなものは、何?
 おっぱいだ。今日ずっとブラジャーに興味津々だったことからも確定的に明らか。

「よし、やるか」
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