日刊幼女みさきちゃん!

下城米雪

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最終章 孤独を越えて

LO(3)

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「かーくんはトーマトがにーがーて。ゆいお姉ちゃんがー、いつか食べさせてあげるぞー♪」

 不思議な歌を歌うゆいちゃんと一緒の登校。
 私はちょっとだけ緊張しながら、ゆいちゃんに声をかけた。

「ゆいちゃん」
「おー珍しい。どうしたの?」
「友達、どうやって、作る?」
「…………」

 ゆいちゃんは足を止めて、とっても驚いた目をして私を見る。

「友達って言った?」
「ん」
「プリンセスオブボッチで有名なみさきが?」
「怒るよ」

 ゆいちゃん、最近ちょっと、調子に乗ってる。

「なんで、いまさら?」
「……なんとなく」

 ゆいちゃんは腕を組んで、うーんと声を出す。

「ははーん、りょーくんに何か言われたんでしょ」

 ムカつく顔をして、ゆいちゃんは言い当てた。
 それから周りをキョロキョロして、大きく息を吸う。

 私は嫌な予感がして、ゆいちゃんの口を塞ごうと手を伸ばした。

「みんな聞いてー! みさきが彼氏募集してるって!!」

 ――けど、遅かった。

 おいおい聞いたか? みさきちゃんが彼氏募集だってよ。
 情報源が戸崎姉だろ? どうせいつもの戯言だって。

「そこ聞こえてるから! 今回はマジだから!」

 ――思ったより平気だった。

「ゆいちゃん、正座して」
「え?」

 でも、やっぱり叱っておこうと思う。

「早くして」
「いやでも通学路だよ? 遅刻しちゃうよ?」
「早くして」
「……はい」


 ゆいちゃんにお説教した後、いつも通り教室に向かった。ゆいちゃんとは違うクラスだ。

 私はクラスメイトの顔だけなら覚えたけれど、名前も一緒に覚えた人はいない。

 どうしようかな。
 りょーくんと約束したから、頑張らないと。

 考え込んでいると、前の席に座っている女の子が、声をかけてきた。

「みさきちゃん、彼氏募集って本当?」
「嘘」
「そ、そっか。だよね、ごめんね」

 謝られちゃった。
 悪いの、ゆいちゃんなのに。

 ……聞いてみよう。

「あなたは?」
「……え? え、え、えぇ!? 私ィ!?」

 すごい反応。
 なんか、まゆちゃんみたい。変な人。

「彼氏、募集中?」
「ええっと……どちらかと言えば、居たら嬉しいよねー、みたいな」
「なんで?」
「えー? なんか、ほら……憧れ的な?」

 憧れ……?
 よく分からない。

「どうして?」
「いやほら、付き合ってる人達とか見ると、なんか、いいじゃん?」
「そう?」
「……そう、だと、思い、ます」

 なんか、小さくなっちゃった。

「なになに、何の話してんの?」
「みさきちゃんが話してるとか珍しいじゃん。私も混ぜてよ」

 なんか、いっぱい人が来た。
 でも、ちょうどいい。

 いろいろな人と話をしよう。
 りょーくんが、そう言ったから。

 ――そんな動機で、私は級友達と話すようになった。

 三年の二学期という時期だったからか、話題は進路や勉強の事が多かった。あとは誰が誰を好きとか、そういう話。

 全部、興味の無い話だった。
 だけど、みんな楽しそうだった。

 それを見てると、いいなって思えた。
 だから私は……

「結衣さん、教えて」
「はい、何を知りたいですか?」

 夜、弟達がお風呂に入っている時。
 私は結衣さんに相談した。

「誰かが喜ぶ、お仕事?」

 級友達と話をして気が付いた。
 私は、誰かの嬉しいが好きだ。

「何をすれば、いい?」
「まずは、沢山の誰かを知るのが良いでしょう」

 結衣さんは微笑んで、一冊の本を私に差し出した。

「……なに?」
「ひとつの選択肢です。あとは、みさきが決めてください」

 結衣さんは他に何も言わなかった。
 差し出されたのは、とある私立高校のパンフレットだ。

 全校生徒は二千人程で、各学年に一クラスだけ特殊な学科が存在する。普通科とは違うそこで行っているのは、海外留学だ。

 最初の一年間は外国で過ごして、それから日本に戻ってくる。他の国に行って、いろんな考え方を学んで、帰ってくる。そんなカリキュラム。

 それを知った時、私は驚いた。
 ほんの少し前なら絶対に嫌だって思ったはずなのに……ワクワクしてしまった。

 りょーくんが教えてくれた最強の方法は、いろんな人と仲良くなること。
 結衣さんが与えてくれた選択肢は、いろんな人と会える場所。

 理解した時には、もう決めていた。


 *


「えぇ!? みさき外国に行くの!?」
「ん、一年だけ」
「ほんとに!? りょーくん欠乏症で倒れたりしない!?」
「そんな病気、無いよ」

 ゆいちゃんの反応は、こんな感じ。
 よく分からなかった。

「そうか、みさきは外国へ行くのか」
「ん、いろんな人と、仲良く、なるよ」
「そうか、頑張ってくれ……俺も、みさき欠乏症で倒れないように頑張るから!」
「そんな病気、無いよ」

 りょーくんの反応は、こんな感じだった。
 ゆいちゃんの言ってることが分かった。

「知らない人には付いて行かないように」
「危機管理?」
「はい。それから体調には十分注意して、りょーくん欠乏症で倒れる前に電話をすること」
「ん、分かった」

 結衣さんは、お母さんらしい反応だった。
 病気のことは、受け入れた。

 弟達とも簡単に話をして、学校で友達にも話をして――その日は、あっという間に訪れた。

 初めて乗った飛行機。
 聞き慣れない言葉。

 ホストファミリーと簡単に挨拶をして、案内された部屋に荷物を置いた。その後は直ぐに学校だから、持っていく物を取り出そうとして……

「ん?」

 見慣れない本が一冊。
 古くて、ところどころ傷が目立つ。

 表紙には、大きな文字で『みさき』と書かれていた。

 なんとなく本を開く。
 直ぐに、りょーくんの物だと気が付いた。

「…………」

 そこに書かれている文字を見て、私は

「りょーくん、字、下手」

 くすくす笑って、本を閉じた。
 とっても気になるけど、あまり時間が無い。

 ぱらぱら見たら最後までギッシリ文字が書いてあるし、今晩ゆっくり読むことにしよう。もしかしたら、りょーくんが何かメッセージをくれたのかもしれない。

 学校では、初日だからか簡単な案内だけだった。
 私がしたことは、同じ学校から留学した人達と連絡先を交換したことくらいだ。

 それが終わってからは、直ぐにホストファミリーの家に戻った。
 ちょっどだけ時差ボケに悩みながら、とっても気合の入った料理で歓迎してもらって、そこそこ英語が通じることに安心した。

 あっという間に時間が流れて、気が付けば夜。
 おやすみの挨拶をして部屋に入った後、私は直ぐに本を開いた。

 最初のページをめくって、最初の文字を見る。

 ――みさきと出会った日。

「……日記?」

 やっぱり、りょーくんの物で間違い無い。
 みさきって書いてあるから、弟達が間違えて入れちゃったのかな?

「……」

 私は少し悩んだ。
 勝手に人の日記を見るのは、悪いこと。

 でも、気になった。
 りょーくんがどうして私を育ててくれたのか、書いてあるかもしれない。

「……ごめんね」

 私は日記を読み始めた。

 とっても懐かしい気持ちになった。
 りょーくんと出会ってからのことが、たくさんたくさん書いてあった。

 ――育てると決めた日

 りょーくんが食べさせてくれた牛丼、美味しかった。あの時、りょーくんは優しい人なのかなって、少し思った。

 日記の文章は、乱暴な表現が多くて、すごく読みにくい。

:みさきを育てると決めた。
:ムカついたから、やってやるって思った。
:そしたら、案外わくわくした。

 しかも、大事なことが分からない。
 どうしてムカついたの? わくわく……?

 他に気になったのは、なんだか文章が過去形で、思い出しながら書いているような印象を受けたことだ。

 ――禁煙した日

:みさきの為にタバコをやめることにした。
:わりと辛かったが、最初としては上等だと思った。

 そういえば、りょーくんは直ぐに臭くなくなった気がする。
 このあとは、一緒にお風呂に入って……

 ――銭湯に行った日

 そうそう、りょーくんと初めて銭湯に行った。
 
:いきなり熱いと怒る。
:髪は少し強めに洗う。
:パパって呼んでくれなかった。

 ふふっ、こんなことメモしてたんだ。
 あと、名前の事を気にしてたのかな? でも、りょーくんは、りょーくん。

:しっかり育てようと、あらためて思った。

 やっぱり理由は書いてないし、短い。
 箇条書きだし……日記というより、メモ張?

 ――禁酒した日

:みさきに怒られてしまった日。
:酒はもう二度と飲まない。あの失敗を忘れてはならない。

 ……怒って、ないよ?
 ちゃんと覚えてる。りょーくんが、初めてギュッとしてくれた日のことだ。

 えええ……私が怒ったと思ったから、お酒を飲まなくなったんだ。逆に、嬉しかったんだけどな。

 ――みさきが勉強を始めた日

 あ、初めて本を買ってくれた時のことだ。
 私が勉強して何かを覚えると、すごく喜んでくれてた。

 だから、夢中で勉強した。おかげで高校に入る時は楽だったな。入試、簡単だった。

:みさきはやっぱり子供。
:ちょろい。とりあえず褒めれば大丈夫。

 これは、ちょっと読みたくなかったかな。

 ――短期バイトを始めた日

 兄貴さんとのことが書かれていた。
 りょーくん、最初は兄貴さんのところで働いてたんだ。

 あのお店、汚いけど美味しかったな。

 ――同人誌を読んだ日

 ……え、まゆちゃんにエッチな本を読まされたの?

 ――みさきが入園した日

 待って、前の話が気になる。
 もっと詳しく書いといてよ!

 でも、これはこれで懐かしい。
 へー、まゆちゃんのアイデアだったんだ。

 ……んー?
 りょーくん、友達のこと、役に立つ存在って言ってなかった?

 今と違う。日記にも特に書いてないし……どこかで考えが変わったのかな?

 ――送り迎えをした日

:みさきに友達が出来たらしい。仲良さそうな感じで、保育園に入れて良かったって思った。

 初めての感想だ。
 ふふっ……りょーくん、成長してる。

 ――短期バイトを卒業した日

:この日、短期バイトを卒業した。
:多くのことを学んだ。あのクソ店長のことは心から尊敬して、兄貴と呼ぶことにした。

 りょーくんも、学んだんだ。
 あと最初はクソ店長って呼んでたんだ……りょーくん、やんちゃ。

 ――お祈りされた日

 ロリコンさんと会った日のことだ。
 そういえば、お風呂で騒いでた人、ロリコンさんだ。

 ……変態さん、だったんだ。

 ――人生ゲームを作った日

 プログラミングのこと、事細かに書かれてる……なんか、面白そうかも。

 りょーくんのお仕事、プログラミングだったっけ?
 私も、ちょっとやってみようかな……。

 ――いろいろ記念日

 ゲーム完成したんだ!
 流石りょーくん。すごく頑張ってるの、伝わったよ。

 しかも私が初めて牛丼を完食した日だったんだ。
 牛丼……結衣さんの料理ではあまり出てこないけど、今でも好きだな。


 私は昔のことを思い出しながら、次々とページをめくった。ここまでのページは、スラスラとめくることが出来た。

「黒い」

 思わず、声が出た。
 次のページには、突然、ギッシリと文字が書かれていた。

 なんとなく読まずに次のページを見る。
 その次も、そのまた次も、真っ黒になるくらい文字が書かれていた。

「……この日、何かあったのかな?」

 なんとなく深呼吸をしてから、私は読み始めた。

 ――一歩進んだ日

:あの人、じゃなくて、母親と八年振りに会った。

 その文字を見て、私は目を疑った。
 そういえば、りょーくんは一人で生活していた。

 でも母親と八年も会っていないなんて思わなかった。だけど一番驚いたのは、その次の文章だ。

:母親の口から、産まなければ良かったという言葉の、

「……ひどい」

 思わず読むのを止めて、声が出た。

 りょーくんの、お母さん。
 たまに会う優しいおばあちゃん。
 
 こんなひどいこと、りょーくんに言ったの?

「……」

 私は深呼吸してから、もう一度、読み始める。

:母親の口から、産まなければ良かったという言葉の、本当の意味を聞いた。彼女が何を思っていたのか、初めて知った。その気持ちが痛いくらい分かった。俺もみさきを育てようとして、何をすればいいのか分からなくて、すごく悩んでいるからだ。毎日、何をするにも、すごく不安だったからだ。

「……りょーくんの、気持ち」

 今迄の箇条書きの文章とはまるで違う。
 ここから先に、きっと私の読みたかった文章がある。

 それを思うと、少しだけ怖くなった。
 だけどやっぱり、読むのをやめられなかった。

:でも、泣いてるみさきを見て思った。みさきは五歳の子供で、俺よりもずっと不安で、そんな当たり前のことに気が付いた。だから俺が頑張ろうって思った。何を出来るかなんて分からないけど、今日から歩き出そうと思った。みさきがいつか自分で歩けるようになるまで、俺の手なんか必要無いくらい立派に育てて、それで、いつか、生まれてきて良かったって、思わせて見せる。そう決意した。

 読んでいる途中から、どうしてか涙が浮かんできた。りょーくんが不安に思っていたことなんて、知らなかった。

 りょーくんには悩みなんて無いと思ってた。
 みさきが困ったらいつでも助けてくれて、いつもみさきの嬉しいことをしてくれる。

 最強のヒーローだと思っていた。

:だから今日から日記を書くことにした。俺は物覚えが良くないから、毎日続けて、みさきをどれだけ喜ばせられたか確認することにする。今日までの事は……とりあえず、思い出しながら書くことにした。

 だから箇条書きだったんだ。

:目的を書いておく。
:立派な親になること。
:みさきをたくさん喜ばせること。
:みさきに、生まれてきて良かったって思わせること。
:この三つは、絶対に達成する。それを目標に、これからを生きる。俺も親に捨てられて、無意味な人生を送ってきた。何の目的も無く、時間を無駄にしてきた。だから絶対に、みさきには同じ失敗をさせない。同じ後悔なんて、絶対にさせない。何が何でも立派な親になって、みさきを幸せにしてやる!!

 そこで限界だった。
 もう、文字は見えなかった。

「……りょーくん」

 大好きな人の名前を呟いた。

「りょーくん、りょーくんっ」

 世界一かっこいい、お父さんの名前を呼び続けた。

「私、幸せだよ。りょーくんがいたから、毎日、とっても、嬉しかったよ。たくさん、喜んだよ」

 涙が次から次へと流れて、声が震えて、でも、どちらも止められない。

「生まれてきて、良かったよ……!」

 りょーくんの日記を抱きしめて、私は心から叫んだ。
 思ったよりも大きな声が出て、外からホストファミリーが心配そうに声をかけてきた。

 私は平気だよと返事をして、目を閉じた。

 そうすると浮かんでくる。
 今日までの日々が、りょーくんと出会ってからの日々が、次々と――

 牛丼を食べさせてくれた。美味しかった。
 お風呂に連れて行ってくれた。部屋が臭くなくなった。
 本を買ってくれた。いろんなことを知ることが出来た。
 保育園に行かせてくれた。ゆいちゃんと仲良くなった。
 毎朝公園に行って、顔を洗って運動をした。

 みさきの嬉しいことを、いつもしてくれた。
 みさきは、りょーくんが大好きになった。
 
 りょーくんが喜ぶと、みさきも嬉しかった。
 りょーくんの為に、みさきは一生懸命だった。

 たくさん勉強した。
 運動も頑張った。
 
 でも、みさきの知らないところで、りょーくんはもっと頑張ってた。

 まだまだ続く日記には、りょーくんが頑張ったこと、悩んだこと、思ったこと。全部、全部書いてあった。

 夜遅くまで、寝ないで読み続けた。
 笑ったり、泣いたり、たまに恥ずかしくなったりしながら、最後まで読んだ。

 日記に書かれていたのは、ほんの半年分くらいのこと。だけど私にとっては、何よりも大切な、りょーくんの気持ちが書かれていた。

 その日は、本を抱いたまま眠った。
 次の日、ちょっとだけ寝坊した私は、ホストファミリーのルーシーに起こされた。

 彼女はひとつ年上で、留学先の高校に通う先輩だ。

「みさき、昨夜はどうしたの? ホームシック?」
「違うよ。とっても、嬉しかった」
「どうして?」
「……内緒」



 私の話をしよう。



 私はお母さんが大好きだった。
 だけどお母さんは、私のことが好きじゃなかった。

 甘えると嫌な顔をして、いつしか顔を見る回数も減っていった。
 そして五歳の誕生日を迎えると――りょーくんの所に捨てられた。

 りょーくんは怖かった。
 睨むし、大きいし、臭かった。

 でも優しかった。
 いつも私のことを見てくれた。

 りょーくんは、みさきを一番に考えてくれた。
 
 りょーくんと会うまでは、ずっと寂しかった。
 りょーくんと会ってからも、少しだけ、寂しかった。

 幼い私はりょーくんに甘えたくて……今でもそうだけど……あの時は、ちょっと怖くて、私が甘えると迷惑かなって思って、我慢していた。だから、少しだけ寂しかった。

 寝ている時は不安だった。
 起きたら、りょーくんがいなくなっているかもしれないと思った。

 いつも早く目が覚めて、りょーくんの顔をじーっと見ていた。
 その時間が、なんとなく好きだった。

 でも私は、ずっとずっと、りょーくんと出会った日から、本当に寂しいと思ったことは無かった。だけど……寂しかった日々も、大事だと思う。

 りょーくんの日記に書いてあった。
 後悔してるから、頑張るんだって。

 失敗することは、とても辛い。
 私が甘えたせいで、本当のお母さんには嫌われてしまった。

 りょーくんが何を失敗したのかは、具体的には書いてなかった。
 だけどきっと、すごく悔しい思いをしたのが分かる。

 だから頑張ったんだって書いてあった。
 それが、とてもかっこよかった。

 この日記は私の宝物だ。

 ……私も、書こうかな。

 タイトルは、りょーくん?
 それは、ちょっと恥ずかしい。

 でもどうせなら、かっこいい名前が良い。

 私が書く日記。
 独りで外国に来て、書く日記?

 独りは英語で Alone ……うーん、なんか微妙。
 独り……孤独……Loneliness? ちょっといいかも。

 でも孤独なんてタイトルは、少し寂しい。

 私はもう、孤独じゃない。
 孤独の……先、越える、向こう側…… Over かな。

 Loneliness Over

 映画のタイトルみたい。
 やっぱり、もう少し普通がいいかな。

 ……ううん、これにしよう。
 これから一年間で学ぶこと、それから、りょーくんへのありがとうを、書こう。

 それで帰ったら、プレゼントしよう。
 りょーくん、喜んでくれるといいな。

 泣いちゃったら、どうしようかな。
 一年後、楽しみだな。




__________________




 あとがき

 ご愛読ありがとうございました。
 みさきちゃんの物語は、ここで完結です。この先みさきちゃんが何を学んで、どうなるのかは、みさきちゃんのみぞ知るということで。

 きっと困難もありますが、結衣と龍誠がいるから大丈夫でしょう。

 この後は檀ルートの短編です。
 周りに人がいないことを確認してから、お読みください。
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