日刊幼女みさきちゃん!

下城米雪

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最終章 孤独を越えて

決戦(2)

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 あたしはトマトが嫌いです。
 でもシリさんはもっと嫌いです!

 だけどもんくを言ってもはじまりません!
 ふんこつさいしんの思いで、がんばります!

 シリさんに相談したのは失敗でしたが、いい線行ってたと思います。
 なので、誰かに相談する路線で行きたいと思います!

 まずはみさき!
 最強の仲間! 好き嫌いの無いみさきなら、トマトの食べ方も知ってるはず!

「なんで、きらい?」

 質問返しです!

「トマト、おいしい」

 みさきに聞くのは諦めます!

 まだ大丈夫です。
 最大の戦力を失いましたが、あたしの人脈を持ってすれば、まだ最後の砦が残っています。

「るみみん☆ トマトの食べ方?」

 わくわく

「しらない。るみみんもトマトきらい」

 きぼうはたたれました!

 もはや、あたしに選択肢は残されていません。
 可愛い弟からお姉ちゃんと呼ばれる夢は、みらいえいごう失われてしまいました!

「おやおや? ゆいちゃん何かあったのかな?」

 教室で絶望していると、静流《しずる》お姉さんに声をかけられました。
 一人っ子だけど頑なにお姉さんを自称する、クラスのお姉さんです。

「静流お姉さんにそうだんしてごらん?」
「トマトはどうやったらすきになれますか?」
「なるほど、とってもシリアスだね」

 静流お姉さんは、あたしの前の席に座りました。

「私は、お母さんのことを考えて食べるかな。きらいなもの」
「おかあさん?」
「そう。これ食べたら、お母さんよろこぶかなって」
「……なるほど」

 トマトを食べたらママが喜ぶ。
 トマトを食べたら……弟が出来る!

「あたしがんばる! しーちゃんありがと!」
「お姉さん。しーちゃんじゃなくて、静流お姉さんだよ」

 トマトを食べられるような気がしてきました!
 ふっふっふ、赤い悪魔め、覚悟しろ。

 今日こそ! おまえを食べてやる!





「ゲロまずぅ……」

 その夜、あたしは白目になっていた。

「こらこら、口から零れてますよ」
「うえぇぇ……」

 トマトさん、流石は因縁のライバルです。
 一筋縄では、勝てない……ッ!

「ママありがと……ふぅ、もういっかい!」

 ママに口を拭いてもらった後、もう一度トマトにアタックを仕掛けます!

「ゲロまずぅぅ……」

 あたしは、また白目になりました。

「ゆい、あまり無理をしないでくださいね」

 ハッ、ママが心配そうな顔してる!
 
「へーき!」

 もっかい勝負!
 ぜったい勝つ!

「ぐえぇぇ……」

 あたしは何度でも挑みました。
 その度に違う世界とこんにちはしたけど、ママがちょっぴり嬉しそうな顔をしてくれるから、がんばれます!

 お姉ちゃんに、あたしはなる!



(まだ続く)
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