96 / 221
第三章 りょーくんのうた
SS:ゆいは小学生になりました
しおりを挟む
「おかえり!!」
「はい、ただいま帰りました」
午後八時。いつものように結衣が部屋のドアを開けると、ゆいは全力で駆け寄って結衣に飛び付いた。
「あのねママ! がっこうでね! がっこうが、あのね! しょうがくせいなんだよ!」
むふぅと鼻息荒く言うゆい。もちろん結衣に言葉の意味は伝わらなかったけれど、代わりに結衣には綺麗な色が見えた。嬉しい気持ちでいっぱいの眩しいくらい明るい色。それを見ただけで、結衣は仕事の疲れを忘れてしまう。
「それは良かったです。お友達は出来ましたか?」
「いっぱい!」
シュバッと結衣から離れて、小さな両手を目いっぱい大きく広げるゆい。結衣は満足そうな表情を浮かべると、その場で屈んでゆいと目線の高さを合わせた。
「素晴らしいです。大切にしてくださいね」
「はい!」
元気良く手を挙げたゆい。
結衣が頭を撫でると、ふーと声を漏らして目を細めた。
「お友達、いっぱい作ってくださいね」
「はい! ママとおなじくらい、がんばります!」
満面の笑顔で言うゆい。
結衣は娘の言葉を聞いて、むっ、と眉をしかめた。
「目標が小さいですね。ママより沢山のお友達を作りましょう」
「えー!?」
そんなの無理だよ!? という顔をするゆい。
すると結衣は悪戯な表情を浮かべる。
「ゆい、ママと勝負しましょう」
「ええー!?」
「ママよりも沢山のお友達が出来れば、ゆいの勝ちです」
「い、いきなりラスボスです……」
肩を抱いて青い顔をするゆい。
結衣は口角を上げると、胸を張って腰に手を当てた。
「ふはははは、大魔王が現れました。世界を守る為に戦いますか?」
「……せかい?」
「そうです、世界です」
ゆいの目に使命感という名の火が灯る。
「たたかう!」
ここに幼き勇者が誕生した。
勇者と対峙した魔王は不敵な笑みを浮かべ、頷く。
「では、お友達の名前を唱えてください。その度に私のヒットポイントが減ります。私のヒットポイントは、私が小学生の頃に作ったお友達の数と同じです」
「はい!」
ごごごごご。
二人の間に緊張が走る。
「とさきみさき!」
「残念、妹はノーカウントです」
「むむむ……」
これは厳しい戦いになりそうです。ゆいは息を飲む。
「ななもりるみ!」
「ほほう、その子はどんな子ですか?」
「アイドルです!」
「いいでしょう。他には居ませんか?」
余裕の表情を崩さない結衣を見て、ゆいは「ぜんぜんきいてない!?」と驚愕する。しかし、世界を守る為に諦めるわけにはいかない!
「いとうしずる!」
「ぐはっ、大魔王は倒れました。勇者ゆいの勝利です」
「ママぁ!?」
うっ、と苦しそうに胸を抑えて床に膝をついた結衣。何を隠そう、彼女には友達が一人しか居なかった。しかも、ほんの僅かな期間である。そんなこと知る由も無いゆいは、ただただ目を丸くして、ぽかんと口を開けていた。
「いただきます!」
「はい、頂きます」
時は進み、食事の時間。向かい合って座る二人の間には、カレーライスと唐揚げ、それからキャベツをベースとしたサラダが並べられていた。もちろん、ゆいの側にある料理は全て彼女の胃袋に合わせた大きさになっている。
「からあげ!」
ゆいは唐揚げが好き。フォークに刺した一口サイズの唐揚げを恍惚とした表情で見つめた後、小さな口を大きく開けて、パクリと一口。
「沢山有るので、ゆっくり食べてくださいね」
「ふぁい!」
時すでに遅し。ゆいは、いくつかの唐揚げを口に含んでハムスターみたいに頬を膨らませていた。結衣は娘のマナーの悪さを注意しつつ、自分の作った料理を美味しそうに食べる娘を見て嬉しく思う。
「ごくり。ママ!」
「はい、なんですか?」
「まおう、よわすぎませんかっ」
何気無い言葉が結衣の胸に突き刺さる!
「ゆい、小学校はどうでしたか?」
「にゃわわわ!」
フォークを握りしめたまま立ち上がったゆい。
さらりと話題を変えられたことには気が付かない。
「あのね! たいいくかん、ひといっぱい! すっごくいっぱい! おまつりみたい! あとね、じこしょうかいした! あたしね、バッチリだったよ! バッチリ! あっ、せんせいはね! れいせんせいっていうの! それから――」
ゆいの話は止まらない。そのキラキラ輝く目と色を見ながら、結衣は幸せな気持ちで相槌を打っていた。どうやら娘は、自分とは正反対らしい。それはきっと喜ぶべきことで、しかしそう思う度に、結衣は彼の事を思い出して少し気分が沈む。
彼は、今どこで何をしているのだろう。
「ママ?」
どうかしたの? 不安そうな目を見て、結衣はハッとする。
「……失礼しました。少し、お友達のことを思い出していました」
「りょーくん!」
「違います。違う人のことです」
「あたしのしってるひと?」
「いえ、ゆいの知らない人です」
「どんなひと!?」
「とても、とても素敵な人ですよ」
「すてきなひと!」
机に手をついて前のめり。
「いちにんまえのレディですかっ?」
「いえ、彼は男性です」
「あー! ママうわき!」
「……はい?」
予想外の言葉に思わず首を傾けた結衣。ゆいは間髪入れずに言葉を続けた。
「りょーくんとけっこんしてるのに! げんめつです!」
「していません」
「えー!? でも、みさきいもうとだよ!」
「それには深い理由があります」
「どんなりゆうですか!?」
興味津々のゆい。みさきが妹になったという話をした際、ゆいは特に理由を問うことはしなかった。それについて結衣は、ゆいは妹が出来たという事実に頭がいっぱいで小難しい事情には興味が無いのだろうと勝手に思っていたが、どうやらとんでもない誤解をされていたらしい。
あの人と、結婚……?
「ゆい、カレーが冷めてしまいますよ」
「はっ!? ノータッチ!」
まだ一口も食べていなかったゆいは、慌ててスプーンをカレーに突っ込む。そして甘口のカレーを口に入れた途端、ふんわりとした表情になる。同時に、結婚がどうとかいう話も頭から消えてしまったようだ。
見事に話題を逸らした結衣。しかし本人の頭の中からは、ゆいの言葉が消えない。
確かに彼と似た色をしているけれど、二人は絶対に別人だ。では個人としての評価はどうなのかと問われれば、最低と評する他ない。女にしか見えない顔など外見はさておき、結衣は龍誠の為人が気に入らない。
わりと頻繁に失礼な事を考えているし、考えが足りないのに行動的な所とか迷惑だけど、人の意見はちゃんと聞いて空気も読めるからギリギリ許せるかもしれなくて、だけど言い難いことも躊躇わず口にする性格は個人的に嫌いで、特に仕事のことなんて触れて欲しく無かったけれど結果的には問題がひとつ解決して、人形劇の時なんて多分あの人が居なければ上手くいかなかったけれど、それで彼への評価が良い方向に動いているかと問われれば……さておき、みさきちゃんの件で茫然自失していた時なんかは親として頼り無いを通り越してみっともなかったけれど、あれはあれで人間らしくて悪く――
ああもう! なんで微妙に評価が高いんですか!? おかしくないですか!?
結衣はムっと眉を寄せて、大人サイズの唐揚げをパクリと口に放り込む。そのまま行儀が悪い事を自覚しながらも、少し乱暴に咀嚼した。
どこから見ても不機嫌な様子の結衣。
そんな母親の姿を見て、しかしゆいは、むふふんと子供らしからぬ表情を浮かべた。
「ゆい、そういえば冷蔵庫にトマトが残っていました。サラダに加えるので少し待っていてください」
「サラダなんてありません!」
サッとサラダを机の下に隠すゆい。
結衣の前で隠し事は通じない。ゆいの考えは完全に筒抜けである。
あの人の話はダメ、結衣は暗にそう言った。
りょーくんの話をするとママが面白い、ゆいは再確認した。
ゆいが小学生になった日の夜。
戸崎家では、こんな会話が繰り広げられたのであった。
「はい、ただいま帰りました」
午後八時。いつものように結衣が部屋のドアを開けると、ゆいは全力で駆け寄って結衣に飛び付いた。
「あのねママ! がっこうでね! がっこうが、あのね! しょうがくせいなんだよ!」
むふぅと鼻息荒く言うゆい。もちろん結衣に言葉の意味は伝わらなかったけれど、代わりに結衣には綺麗な色が見えた。嬉しい気持ちでいっぱいの眩しいくらい明るい色。それを見ただけで、結衣は仕事の疲れを忘れてしまう。
「それは良かったです。お友達は出来ましたか?」
「いっぱい!」
シュバッと結衣から離れて、小さな両手を目いっぱい大きく広げるゆい。結衣は満足そうな表情を浮かべると、その場で屈んでゆいと目線の高さを合わせた。
「素晴らしいです。大切にしてくださいね」
「はい!」
元気良く手を挙げたゆい。
結衣が頭を撫でると、ふーと声を漏らして目を細めた。
「お友達、いっぱい作ってくださいね」
「はい! ママとおなじくらい、がんばります!」
満面の笑顔で言うゆい。
結衣は娘の言葉を聞いて、むっ、と眉をしかめた。
「目標が小さいですね。ママより沢山のお友達を作りましょう」
「えー!?」
そんなの無理だよ!? という顔をするゆい。
すると結衣は悪戯な表情を浮かべる。
「ゆい、ママと勝負しましょう」
「ええー!?」
「ママよりも沢山のお友達が出来れば、ゆいの勝ちです」
「い、いきなりラスボスです……」
肩を抱いて青い顔をするゆい。
結衣は口角を上げると、胸を張って腰に手を当てた。
「ふはははは、大魔王が現れました。世界を守る為に戦いますか?」
「……せかい?」
「そうです、世界です」
ゆいの目に使命感という名の火が灯る。
「たたかう!」
ここに幼き勇者が誕生した。
勇者と対峙した魔王は不敵な笑みを浮かべ、頷く。
「では、お友達の名前を唱えてください。その度に私のヒットポイントが減ります。私のヒットポイントは、私が小学生の頃に作ったお友達の数と同じです」
「はい!」
ごごごごご。
二人の間に緊張が走る。
「とさきみさき!」
「残念、妹はノーカウントです」
「むむむ……」
これは厳しい戦いになりそうです。ゆいは息を飲む。
「ななもりるみ!」
「ほほう、その子はどんな子ですか?」
「アイドルです!」
「いいでしょう。他には居ませんか?」
余裕の表情を崩さない結衣を見て、ゆいは「ぜんぜんきいてない!?」と驚愕する。しかし、世界を守る為に諦めるわけにはいかない!
「いとうしずる!」
「ぐはっ、大魔王は倒れました。勇者ゆいの勝利です」
「ママぁ!?」
うっ、と苦しそうに胸を抑えて床に膝をついた結衣。何を隠そう、彼女には友達が一人しか居なかった。しかも、ほんの僅かな期間である。そんなこと知る由も無いゆいは、ただただ目を丸くして、ぽかんと口を開けていた。
「いただきます!」
「はい、頂きます」
時は進み、食事の時間。向かい合って座る二人の間には、カレーライスと唐揚げ、それからキャベツをベースとしたサラダが並べられていた。もちろん、ゆいの側にある料理は全て彼女の胃袋に合わせた大きさになっている。
「からあげ!」
ゆいは唐揚げが好き。フォークに刺した一口サイズの唐揚げを恍惚とした表情で見つめた後、小さな口を大きく開けて、パクリと一口。
「沢山有るので、ゆっくり食べてくださいね」
「ふぁい!」
時すでに遅し。ゆいは、いくつかの唐揚げを口に含んでハムスターみたいに頬を膨らませていた。結衣は娘のマナーの悪さを注意しつつ、自分の作った料理を美味しそうに食べる娘を見て嬉しく思う。
「ごくり。ママ!」
「はい、なんですか?」
「まおう、よわすぎませんかっ」
何気無い言葉が結衣の胸に突き刺さる!
「ゆい、小学校はどうでしたか?」
「にゃわわわ!」
フォークを握りしめたまま立ち上がったゆい。
さらりと話題を変えられたことには気が付かない。
「あのね! たいいくかん、ひといっぱい! すっごくいっぱい! おまつりみたい! あとね、じこしょうかいした! あたしね、バッチリだったよ! バッチリ! あっ、せんせいはね! れいせんせいっていうの! それから――」
ゆいの話は止まらない。そのキラキラ輝く目と色を見ながら、結衣は幸せな気持ちで相槌を打っていた。どうやら娘は、自分とは正反対らしい。それはきっと喜ぶべきことで、しかしそう思う度に、結衣は彼の事を思い出して少し気分が沈む。
彼は、今どこで何をしているのだろう。
「ママ?」
どうかしたの? 不安そうな目を見て、結衣はハッとする。
「……失礼しました。少し、お友達のことを思い出していました」
「りょーくん!」
「違います。違う人のことです」
「あたしのしってるひと?」
「いえ、ゆいの知らない人です」
「どんなひと!?」
「とても、とても素敵な人ですよ」
「すてきなひと!」
机に手をついて前のめり。
「いちにんまえのレディですかっ?」
「いえ、彼は男性です」
「あー! ママうわき!」
「……はい?」
予想外の言葉に思わず首を傾けた結衣。ゆいは間髪入れずに言葉を続けた。
「りょーくんとけっこんしてるのに! げんめつです!」
「していません」
「えー!? でも、みさきいもうとだよ!」
「それには深い理由があります」
「どんなりゆうですか!?」
興味津々のゆい。みさきが妹になったという話をした際、ゆいは特に理由を問うことはしなかった。それについて結衣は、ゆいは妹が出来たという事実に頭がいっぱいで小難しい事情には興味が無いのだろうと勝手に思っていたが、どうやらとんでもない誤解をされていたらしい。
あの人と、結婚……?
「ゆい、カレーが冷めてしまいますよ」
「はっ!? ノータッチ!」
まだ一口も食べていなかったゆいは、慌ててスプーンをカレーに突っ込む。そして甘口のカレーを口に入れた途端、ふんわりとした表情になる。同時に、結婚がどうとかいう話も頭から消えてしまったようだ。
見事に話題を逸らした結衣。しかし本人の頭の中からは、ゆいの言葉が消えない。
確かに彼と似た色をしているけれど、二人は絶対に別人だ。では個人としての評価はどうなのかと問われれば、最低と評する他ない。女にしか見えない顔など外見はさておき、結衣は龍誠の為人が気に入らない。
わりと頻繁に失礼な事を考えているし、考えが足りないのに行動的な所とか迷惑だけど、人の意見はちゃんと聞いて空気も読めるからギリギリ許せるかもしれなくて、だけど言い難いことも躊躇わず口にする性格は個人的に嫌いで、特に仕事のことなんて触れて欲しく無かったけれど結果的には問題がひとつ解決して、人形劇の時なんて多分あの人が居なければ上手くいかなかったけれど、それで彼への評価が良い方向に動いているかと問われれば……さておき、みさきちゃんの件で茫然自失していた時なんかは親として頼り無いを通り越してみっともなかったけれど、あれはあれで人間らしくて悪く――
ああもう! なんで微妙に評価が高いんですか!? おかしくないですか!?
結衣はムっと眉を寄せて、大人サイズの唐揚げをパクリと口に放り込む。そのまま行儀が悪い事を自覚しながらも、少し乱暴に咀嚼した。
どこから見ても不機嫌な様子の結衣。
そんな母親の姿を見て、しかしゆいは、むふふんと子供らしからぬ表情を浮かべた。
「ゆい、そういえば冷蔵庫にトマトが残っていました。サラダに加えるので少し待っていてください」
「サラダなんてありません!」
サッとサラダを机の下に隠すゆい。
結衣の前で隠し事は通じない。ゆいの考えは完全に筒抜けである。
あの人の話はダメ、結衣は暗にそう言った。
りょーくんの話をするとママが面白い、ゆいは再確認した。
ゆいが小学生になった日の夜。
戸崎家では、こんな会話が繰り広げられたのであった。
0
お気に入りに追加
110
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
元平民の義妹は私の婚約者を狙っている
カレイ
恋愛
伯爵令嬢エミーヌは父親の再婚によって義母とその娘、つまり義妹であるヴィヴィと暮らすこととなった。
最初のうちは仲良く暮らしていたはずなのに、気づけばエミーヌの居場所はなくなっていた。その理由は単純。
「エミーヌお嬢様は平民がお嫌い」だから。
そんな噂が広まったのは、おそらく義母が陰で「あの子が私を母親だと認めてくれないの!やっぱり平民の私じゃ……」とか、義妹が「時々エミーヌに睨まれてる気がするの。私は仲良くしたいのに……」とか言っているからだろう。
そして学園に入学すると義妹はエミーヌの婚約者ロバートへと近づいていくのだった……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる