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第二章 仕事と子育て
みさきの親じゃなくなった日
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仕事を抜け出すのは簡単だった。あのロリコンに「みさきのことで用事がある」と言うだけで「よし分かった行ってこい」と快諾される。
果たして俺は、市役所の前で黄昏ていた。
相変わらず税金を無駄遣いしているとしか思えない噴水が、絶え間なく水を噴き上げている。冬くらいは止めろと思うが、この音を聞いていると心が落ち着いてくるから不思議である。半年前と違ってしっかり税金を払っている俺が、この噴水を不満に思わないのは、きっとそのせいだ。
ついに、先送りにしてきた問題と向き合う時が来た。
本来であれば、みさきを受け取ったその日に警察へ行くべきだった。そうしなかったのは、そうすればどうなるか分かっていたからだ。
……警察、か。
実際、どうなるのだろうか。
「こんにちは」
「……こんにちは」
待ち人来たれり。相変わらず仕事帰りなのか、彼女はスーツを着ていた。
「悪いな、相当無理してるだろ」
「べつに、これくらい問題ありません」
どこか得意気な表情で言う結衣。彼女には嫌われていると思っていたが……いや、俺じゃなくてみさきの為か? みさきが悲しめば関節的にゆいちゃんが悲しむからな。
「コホン、指示した持ち物はちゃんと持ってきていますか?」
確か、母子手帳とか保険証とか、そういうものを持ってこいと言われていた。
「無いよ」
「……は?」
「持ってない」
「ふざけてるんですか?」
気持ちは分かる。俺も逆の立場だったら、こいつと同じ反応をしたと思う。
……どうしようか、なんて、迷うことねぇよな。
「俺とみさきは――赤の他人だった」
「……は?」
「話すよ、全部」
洗いざらい、という表現はこの場合適切なのだろうか。
とにかく、俺はみさきとの関係を全て話した。
ある日、古い知り合いから「あげる」とかいうふざけた言葉と共に渡されたこと。
ほんの気まぐれで育てると決めたこと。
我ながらみさきが不憫に思えた。
自分の事しか考えていないクズに囲まれていて、心底哀れに思えた。
「……なるほど」
話を聞いて、戸崎結衣は、
「では先ず母親と連絡を取りましょう。心当たりは有りますか?」
しかし予想された厳しい言葉は一切無く、こんなことを言った。
「聞こえていましたか? みさきちゃんの母親に、心辺りは有りますか?」
「……いや、おまえ、他に言うことねぇのかよ」
「ありませんけど」
「何言ってんだよ。遠慮すんな、いつもみたいにキッツイこと言ってくれて構わない」
「とても失礼な言い方ですね。私がいつもキッツイことばかり言っているみたいじゃないですか」
そうだよ。
「……まったく、貴方が言ったことじゃないですか。悪気が無い、その――を、責めたりしないですよ」
「何を責めないって?」
「とにかく! 早速警察に連絡しましょう。それから事情を説明して、母親関連の問題を解決します」
「解決って……」
それって、みさきが元の家族のところに戻るって意味か?
「最終目標は、みさきちゃんの親権を勝ち取ることです。いいですか?」
「……」
「聞こえていますかっ?」
みっともなく動揺している俺に向かって、彼女は次々と意見を口にした。傍から見ている時にも思ったが、実際に自分に大きく関わる事となると、現実感が無いくらいに心強い。
「みさきの親権って、どういうことだ?」
「良い質問です。特別養子縁組をご存知ですか?」
「知らない」
「はい、予想していました。いいですか、特別養子縁組というのは――」
彼女は嫌な顔ひとつせず、詳しく説明してくれた。
六歳未満の子供と、家族になる制度。もちろん様々な制約があるが、逆にそれさえ満たせば、みさきと本当の家族になることも出来るとのことだ。
その中で、ひとつ気になることがあった。
「里親の条件についてだけど、どれくらい融通が利くんだ?」
「私が里親として認められる程度には」
「……すまん、良く分からん」
「そうですね……過去に犯罪歴など無ければ、特に問題は無いと思います」
それを聞いて、今度こそ頭の中が真っ白になった。
「どうしましたか?」
思わず力が抜けて、立っていられなくなった。
そんな俺に心配そうな目を向ける結衣。
……ふざけんな。
俺には、彼女に「大丈夫」と返事をする余裕も残っていなかった。
「あの、大丈夫ですか?」
「……なぁ、知ってるか? 警察の世話になるとさ、まずは話を聞かれた後で、鑑識って所に連れてかれて指紋を取られるんだよ」
「その程度なら一般常識です」
「そうか。じゃあ、最近の指紋はパノラマ撮影ってことも知ってるか?」
「……まさか、貴方」
その、まさかだった。
俺には過去に犯した罪がある。それは中学を出て直ぐにヤンチャな悪友と共に犯した軽犯罪。それと――朱音《あかね》の元を離れて、心底腐った連中とつるんでた頃に犯した大きな過ち。
「……そういうことかよ」
「どうしましたか?」
返事を求めたわけではない呟きに、結衣は即座に答えた。
それに対して、俺は返事をしない。
ただ、絶望していた。
罪には罰を。そんなの幻想だと、あの頃は思っていた。
それがまさか、今になって俺の足を引っ張るなんて夢にも思わなかった。
みさきと出会ってから、ずっと前を見ていたつもりだった。
少しはまとも人間に、立派な親に近付けていると思っていた。
だけど置き去りにした過去は、果たして残酷にも俺の前に立ち塞がった。
「……小学校に行かないってのはダメかな」
「なにを言っているんですか」
「……だって、今更どうにもなんねぇだろ」
「それを貴方がいいますか?」
「じゃあどうしろってんだよ!!」
ただの八つ当たりだった。言い訳のしようがない。だけど冷静でいられるはずがなかった。俺は、みさきと出会ったから、今があって、それで……みさきが居なくなったら、全部無意味じゃねぇかよ。
「……なんだよ」
ふと目の前に影が差して、見上げると、彼女が俺に向かって手を伸ばしていた。
「とりあえず立ってください。みっともないので」
「……ほっとけ」
「まったく、これも貴方が言ったことですよ」
「……何をだよ」
すっかり府抜けた俺の事を、彼女は真っ直ぐな目で見ていた。
その姿は、奇しくも一月前と同じ夕陽を背にした姿だ。
だけどその表情は、あの日とは全くの別物だった。
「困ったら、友達を頼るのでは?」
「……」
「なんですかその顔。自分で言ったんじゃないですか」
「……俺、お前と友達だったのか?」
「はぁ!?」
彼女は俺に伸ばしていた手を引いて、そのまま不機嫌そうに腕を組んだ。
「もういいです貴方には呆れ果てました。とにかく私に任せてください」
「任せるって、どうするつもりだよ」
「私がみさきちゃんの親になります」
「は?」
「あくまで戸籍上の話です。面倒な手続きが終わったら、そうですね、友人の家にでも預けようかと思います」
冗談にしか思えないような言葉を、しかし彼女はまるで決定事項のように言う。
「無理だろ、そんなの」
「可能です。私を誰だと思っているのですか?」
余裕の表情を崩さずに、彼女は続ける。
「では今後について説明します。まずは私が――」
そして、
「みさきちゃんの親権を獲得した後、半年は私の家で生活させます。これを怠った場合は全て台無しになる可能性が有りますので、異論は認めません」
最終的に、
「完全に私がみさきちゃんの親だと認められた後、彼女を貴方に返します。以上です」
一切考える間を置かずに、彼女は理想的な案を言い切った。客観的に考えたら不可能だ。だけど、彼女を見ていると不思議とどうにかなるような気がしてしまう。
いや、事の是非なんてどうでもいい。俺は、もっと別の事が気になった。
「……どうして、そこまでしてくるんだよ」
ツマラナイ問いですね、とでも言いたげな目をして、彼女は再び俺に手を伸ばした。
「だって、貴方は私の友達になってくれるのでしょう?」
「……」
「私の人生において二人目の友達です。いいですか、私はこう見えて友達思いなんです」
なんだよこいつ。本当にあの人形劇で不貞腐れてたヤツと同一人物なのかよ。
「まったく、そろそろお礼の一言でも言ったらどうです? あなた、本当に私を振り回した男性と同一人物なのですか?」
……同じこと考えてやがる。
「本当に上手く行くのか?」
「当然です。あ、上手く行かなかったらみさきちゃんのことは諦めてくださいね」
「怖いこと言うなよ……」
苦笑いをして、彼女の手を取った。
「……ありがとうな」
「あら、意外に素直なんですね」
立ち上がって礼を言うと、彼女は柔らかく笑った。
「借りが出来ちまうな」
「一億円で手を打ちましょう」
「金かよっ」
「払えないんですか?」
「いいよ、払う。上手く行ったらいくらでも払ってやる」
「今の言葉、忘れませんからね?」
きっとこの日、俺と彼女は友達になった。
そして――
少し家具の増えた部屋にポツンと立って、首を左右に振った。
部屋は六畳で、壁は腐りかけの木。
電気もガスも水道も通っていなくて、家具もほとんど置いてない。
だけどこの部屋は、少し前まで幸せな場所だった。
みさきは、もうこの部屋にはいない。
これから半年、帰ってこない。
俺は――この日、みさきの親じゃなくなった。
果たして俺は、市役所の前で黄昏ていた。
相変わらず税金を無駄遣いしているとしか思えない噴水が、絶え間なく水を噴き上げている。冬くらいは止めろと思うが、この音を聞いていると心が落ち着いてくるから不思議である。半年前と違ってしっかり税金を払っている俺が、この噴水を不満に思わないのは、きっとそのせいだ。
ついに、先送りにしてきた問題と向き合う時が来た。
本来であれば、みさきを受け取ったその日に警察へ行くべきだった。そうしなかったのは、そうすればどうなるか分かっていたからだ。
……警察、か。
実際、どうなるのだろうか。
「こんにちは」
「……こんにちは」
待ち人来たれり。相変わらず仕事帰りなのか、彼女はスーツを着ていた。
「悪いな、相当無理してるだろ」
「べつに、これくらい問題ありません」
どこか得意気な表情で言う結衣。彼女には嫌われていると思っていたが……いや、俺じゃなくてみさきの為か? みさきが悲しめば関節的にゆいちゃんが悲しむからな。
「コホン、指示した持ち物はちゃんと持ってきていますか?」
確か、母子手帳とか保険証とか、そういうものを持ってこいと言われていた。
「無いよ」
「……は?」
「持ってない」
「ふざけてるんですか?」
気持ちは分かる。俺も逆の立場だったら、こいつと同じ反応をしたと思う。
……どうしようか、なんて、迷うことねぇよな。
「俺とみさきは――赤の他人だった」
「……は?」
「話すよ、全部」
洗いざらい、という表現はこの場合適切なのだろうか。
とにかく、俺はみさきとの関係を全て話した。
ある日、古い知り合いから「あげる」とかいうふざけた言葉と共に渡されたこと。
ほんの気まぐれで育てると決めたこと。
我ながらみさきが不憫に思えた。
自分の事しか考えていないクズに囲まれていて、心底哀れに思えた。
「……なるほど」
話を聞いて、戸崎結衣は、
「では先ず母親と連絡を取りましょう。心当たりは有りますか?」
しかし予想された厳しい言葉は一切無く、こんなことを言った。
「聞こえていましたか? みさきちゃんの母親に、心辺りは有りますか?」
「……いや、おまえ、他に言うことねぇのかよ」
「ありませんけど」
「何言ってんだよ。遠慮すんな、いつもみたいにキッツイこと言ってくれて構わない」
「とても失礼な言い方ですね。私がいつもキッツイことばかり言っているみたいじゃないですか」
そうだよ。
「……まったく、貴方が言ったことじゃないですか。悪気が無い、その――を、責めたりしないですよ」
「何を責めないって?」
「とにかく! 早速警察に連絡しましょう。それから事情を説明して、母親関連の問題を解決します」
「解決って……」
それって、みさきが元の家族のところに戻るって意味か?
「最終目標は、みさきちゃんの親権を勝ち取ることです。いいですか?」
「……」
「聞こえていますかっ?」
みっともなく動揺している俺に向かって、彼女は次々と意見を口にした。傍から見ている時にも思ったが、実際に自分に大きく関わる事となると、現実感が無いくらいに心強い。
「みさきの親権って、どういうことだ?」
「良い質問です。特別養子縁組をご存知ですか?」
「知らない」
「はい、予想していました。いいですか、特別養子縁組というのは――」
彼女は嫌な顔ひとつせず、詳しく説明してくれた。
六歳未満の子供と、家族になる制度。もちろん様々な制約があるが、逆にそれさえ満たせば、みさきと本当の家族になることも出来るとのことだ。
その中で、ひとつ気になることがあった。
「里親の条件についてだけど、どれくらい融通が利くんだ?」
「私が里親として認められる程度には」
「……すまん、良く分からん」
「そうですね……過去に犯罪歴など無ければ、特に問題は無いと思います」
それを聞いて、今度こそ頭の中が真っ白になった。
「どうしましたか?」
思わず力が抜けて、立っていられなくなった。
そんな俺に心配そうな目を向ける結衣。
……ふざけんな。
俺には、彼女に「大丈夫」と返事をする余裕も残っていなかった。
「あの、大丈夫ですか?」
「……なぁ、知ってるか? 警察の世話になるとさ、まずは話を聞かれた後で、鑑識って所に連れてかれて指紋を取られるんだよ」
「その程度なら一般常識です」
「そうか。じゃあ、最近の指紋はパノラマ撮影ってことも知ってるか?」
「……まさか、貴方」
その、まさかだった。
俺には過去に犯した罪がある。それは中学を出て直ぐにヤンチャな悪友と共に犯した軽犯罪。それと――朱音《あかね》の元を離れて、心底腐った連中とつるんでた頃に犯した大きな過ち。
「……そういうことかよ」
「どうしましたか?」
返事を求めたわけではない呟きに、結衣は即座に答えた。
それに対して、俺は返事をしない。
ただ、絶望していた。
罪には罰を。そんなの幻想だと、あの頃は思っていた。
それがまさか、今になって俺の足を引っ張るなんて夢にも思わなかった。
みさきと出会ってから、ずっと前を見ていたつもりだった。
少しはまとも人間に、立派な親に近付けていると思っていた。
だけど置き去りにした過去は、果たして残酷にも俺の前に立ち塞がった。
「……小学校に行かないってのはダメかな」
「なにを言っているんですか」
「……だって、今更どうにもなんねぇだろ」
「それを貴方がいいますか?」
「じゃあどうしろってんだよ!!」
ただの八つ当たりだった。言い訳のしようがない。だけど冷静でいられるはずがなかった。俺は、みさきと出会ったから、今があって、それで……みさきが居なくなったら、全部無意味じゃねぇかよ。
「……なんだよ」
ふと目の前に影が差して、見上げると、彼女が俺に向かって手を伸ばしていた。
「とりあえず立ってください。みっともないので」
「……ほっとけ」
「まったく、これも貴方が言ったことですよ」
「……何をだよ」
すっかり府抜けた俺の事を、彼女は真っ直ぐな目で見ていた。
その姿は、奇しくも一月前と同じ夕陽を背にした姿だ。
だけどその表情は、あの日とは全くの別物だった。
「困ったら、友達を頼るのでは?」
「……」
「なんですかその顔。自分で言ったんじゃないですか」
「……俺、お前と友達だったのか?」
「はぁ!?」
彼女は俺に伸ばしていた手を引いて、そのまま不機嫌そうに腕を組んだ。
「もういいです貴方には呆れ果てました。とにかく私に任せてください」
「任せるって、どうするつもりだよ」
「私がみさきちゃんの親になります」
「は?」
「あくまで戸籍上の話です。面倒な手続きが終わったら、そうですね、友人の家にでも預けようかと思います」
冗談にしか思えないような言葉を、しかし彼女はまるで決定事項のように言う。
「無理だろ、そんなの」
「可能です。私を誰だと思っているのですか?」
余裕の表情を崩さずに、彼女は続ける。
「では今後について説明します。まずは私が――」
そして、
「みさきちゃんの親権を獲得した後、半年は私の家で生活させます。これを怠った場合は全て台無しになる可能性が有りますので、異論は認めません」
最終的に、
「完全に私がみさきちゃんの親だと認められた後、彼女を貴方に返します。以上です」
一切考える間を置かずに、彼女は理想的な案を言い切った。客観的に考えたら不可能だ。だけど、彼女を見ていると不思議とどうにかなるような気がしてしまう。
いや、事の是非なんてどうでもいい。俺は、もっと別の事が気になった。
「……どうして、そこまでしてくるんだよ」
ツマラナイ問いですね、とでも言いたげな目をして、彼女は再び俺に手を伸ばした。
「だって、貴方は私の友達になってくれるのでしょう?」
「……」
「私の人生において二人目の友達です。いいですか、私はこう見えて友達思いなんです」
なんだよこいつ。本当にあの人形劇で不貞腐れてたヤツと同一人物なのかよ。
「まったく、そろそろお礼の一言でも言ったらどうです? あなた、本当に私を振り回した男性と同一人物なのですか?」
……同じこと考えてやがる。
「本当に上手く行くのか?」
「当然です。あ、上手く行かなかったらみさきちゃんのことは諦めてくださいね」
「怖いこと言うなよ……」
苦笑いをして、彼女の手を取った。
「……ありがとうな」
「あら、意外に素直なんですね」
立ち上がって礼を言うと、彼女は柔らかく笑った。
「借りが出来ちまうな」
「一億円で手を打ちましょう」
「金かよっ」
「払えないんですか?」
「いいよ、払う。上手く行ったらいくらでも払ってやる」
「今の言葉、忘れませんからね?」
きっとこの日、俺と彼女は友達になった。
そして――
少し家具の増えた部屋にポツンと立って、首を左右に振った。
部屋は六畳で、壁は腐りかけの木。
電気もガスも水道も通っていなくて、家具もほとんど置いてない。
だけどこの部屋は、少し前まで幸せな場所だった。
みさきは、もうこの部屋にはいない。
これから半年、帰ってこない。
俺は――この日、みさきの親じゃなくなった。
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