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マイナーVtuberミーコの弱くてニューゲーム

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 私が目を覚ますと、真っ暗だった。
 ほとんど無意識で立ち上がってリビングに向かう。

「……おなか、へった」

 そんな言葉を呟いて、お腹を撫でた。
 ぐぅぅぅ、というミーコの負けボイスみたいな音が鳴った。

 いや、違う。やっぱり噓。
 ミーコの声は、もうちょっとかわいいはずだ。

 まあ、私の声なんだけどね。
 タハー!

「……はぁ」

 寂しい。切ない。
 配信中なら生徒のみんなが笑ってくれるのに。

「……でも」

 今は少し頭がスッキリしてる。 
 もしかして、今なら、もう一回、できるかな?

 そんなことを思いながらリビングに到着した。
 自分の部屋を出てから十歩も移動していないのに、なんだか大冒険をしたみたいな気分だった。

 机の上に料理とメモを見つけた。

・500Wで2分
・配信、準備OK

 相変わらず短くて簡潔なメモだった。
 私も、まあ、ヒトのこと言えないけど……。

 ※ママが欲しい。

「……配信、準備?」

 どういう意味なのかな。
 私はスープをレンジで温めながら首を傾けた。

 ……チーン!

「あっつ」

 てくてく。すとん。ふー、ふー。

「……おいし」

 今は、何時くらいなのかな。
 お外は暗いから夜なんだと思うけど、分からない。

「……」

 食後。しばらく、ぼーっとしていた。
 不思議と体が軽い。いっぱい泣いて、いっぱい寝たからだと思う。

「……よしっ」

 ふっ、と息を吐いて立ち上がる。
 そのままとてとてたったと部屋に戻った。
 
「…………」

 見慣れたディスプレイの前に立った。
 机には、真新しいキーボードとマウスがある。

 新品を買ってくれたみたいだ。
 多分、私が汚しちゃったから……。

 ぶるぶる。
 首を左右に振った。

「ネガティブ禁止!」

 椅子に座って、マウスに手を伸ばす。
 
「……大丈夫。大丈夫」

 メモがあった。
 配信、準備OK。

 意味は分からない。
 でも、あれを書いたのは、お兄ちゃんだ。

 絶対に大丈夫。
 心の底から信じてる。

 だから、これは私の問題だ。
 マウスに向かって伸ばした手が動かないのは、私が弱いからだ。

「……大丈夫。大丈夫」

 準備OKって、どういうこと?
 だって、まだ、そんなに時間経ってないよ。

 私が配信を始めたら、きっと、また……。

「……大丈夫。大丈夫」

 息を吸うことが難しくなった。
 自分の胸に手を当てて、必死に呼吸を整える。

「……あは、あはは」

 なんか、わらえる。

「……苦しいなぁ」

 思い出す。
 私がミーコになった日のこと。

 もちろん不安の方が大きかった。
 でも、もっと、楽しい世界だと思ってた。

 とっても大変だった。
 最初に千人のフォロワーを集めようとした時、すっごい勉強した。あんなにも一生懸命に何か考えたのは初めてだった。それでも目標には全く届かなかった。

 奇跡が起きた。
 何度も、何度も、何度も。

 私は他の人に助けられた。
 ミーコ学園は、どんどん大きくなった。

 だけど、まだまだ届かない。
 最初に思い描いた世界は、まだ影すらも見えない。

「……嫌だ」

 こんなところで立ち止まっている場合じゃない。

「……逃げたくない」

 どうしても不安が消えない。
 ほんの少し手を伸ばすだけなのに、心が、体が、動かない。

 私は、何も、変わってない。

「……っ」

 急に両腕が震え始めた。
 両手で摑む。止まらない。

 私は周囲を見た。
 もちろん誰も居ない。

 一人だった。
 不気味な程に静かだった。

「……私は、」

 自問する。
 私は、何がしたいのか。

「……私は、もう」

 自分を変えたい。
 お兄ちゃんみたいに、強くなりたい。

「……私は、もう、大丈夫」

 長く、長く、息を吸い込んだ。
 それから今日までのことを思い浮かべた。

 幸せな記憶を。
 まるで御伽噺みたいな時間を。

 そしたら、どうだろう。
 涙が出るくらい、みんなに会いたくなった。

 叫ぶ。
 手を伸ばして、マウスを摑む。

 ここから先は、いつもと同じ。
 お兄ちゃん特性アプリを立ち上げて、配信を始めるだけ。

「……21時、18分」

 デジタル時計を読み上げた。
 普段の配信とは全く違う。中途半端な時間だ。

 息を止める。
 唇を嚙み、開始ボタンを見る。

「……っ!」

 ぎゅっと目を閉じて、ボタンを押した。
 数秒後、いつも流してるBGMが流れ始めた。

 多分、ミーコの姿が映ってる。
 私は薄目を開けて、こたつに入るボタンを押した。

「……すぅ、はぁ」

 二度、三度、呼吸を整える。
 それから意を決して、みんなのコメントを見た。


「……?」


 パチ、パチ、と瞬きをした。


「……?」


 私の目に映っていたのは、


:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!


「……?」

 いや、えっと、あの……えっと?
 なにこれ。どういうこと?

 生徒さん達の企画?
 それとも……

「……えがお、フィルター?」

 お兄ちゃん特性アプリに見慣れない文字があった。
 その隣に「?」という記号がある。それをクリックすると、説明書が現れた。


『全ての悪意を笑顔に変えます』


 私は眠る直前のことを思い出した。
 お兄ちゃんが、同じようなことを言っていた。


「……」

 もう一度、画面を見る。
 なんだかほっこりする顔文字が流れている。

「……?」

 感情が無になった。
 笑顔に変えるって、そういうこと?

 いや、えっと、そうだけど。
 えっと、すごいけど、なんか、えっと……?

 もう一度、説明書を見る。
 他にも何か記述があった。

 えがおフィルター。
 それから、えがお除外機能。

 試しに、えがお除外機能をオンにする。
 
「……っ!?」

 私は、鼻と口を手で覆った。

「…………」

 説明書に記載された通り、「えがおー(๑˃ᴗ˂)!」という謎の文字列が消えた。その代わりに残ったのは、


:ミーコ! がんばって!


「…………あ、」


:ごめんミーコ。本当は頑張れって言うべきなんだろうけど、今日だけは休めと言わせてくれ。俺達がなんとかするから。


「…………ぅ」


:負けないでミーコ! 私たちがついてる!


「…………なんで」


 ――止まらない。


「……なんで、見えなかったのかな」


 ――目で追うことが難しい程に。


「……ずっと、こんなに」


 ――次々と。


:ミーコ、大好き! 負けないで!
:決勝すっごい感動した!
:ミーコ、気にせず前向いて!
:みんな応援してる!
:こんな誹謗中傷に負けないで!
:ミーコのファンはここにいるよ!
:ミーコ! 笑って!
:愛してる
:素敵なプレイを見せてくれてありがとう!
:ミーコ好きだ!
:大好きだ~!
:お前ら弾幕足りてねぇよ! もっと気合い入れろ!
:ずっと応援してる!
:ミーコのプレイを見て私も頑張ろうって思えた!
:かっこよかったよ!
:最高だった!
:最後の逆転劇、本当に感動した!
:俺達は応援してる。気にせず突き進め!
:ミーコの笑顔に何度も救われた。ありがとう!
:ミーコ笑ってくれ。その笑顔は病気に効くんだ
:あなたの存在が私にとっての光です


 ――彼女の目に映る世界が、変わる。


:ミーコのおかげで友達と仲直りできました
:ミーコのことを考えたら上司の小言が全く気にならなくなった
:俺の人生ずっと退屈だった。でもミーコと出会ってから楽しくなった
:ミーコのおかげで新しい夢を見つけたんだ。本当に感謝してる!
:ミーコのこと絶対一人にしないから
:ミーコが誰よりも頑張ってること知ってるよ!
:ミーコのがんばる姿を見て、私も負けずに前を向くことができました。
:絶対に諦めないミーコが好きなんだ。こんなことに負けないでくれ
:失敗が続いていた時、ミーコさんの配信が心の支えになっていました。
:今日も配信してくれてありがとう! 顔が見られただけで幸せだよ!
:常に前を向いてるミーコが誇らしいよ
:ミーコさんの言葉が私の心を癒してくれました。ありがとうございます。
:朝が辛くて、仕事にも行きたくなかったけど、ミーコのおかげで楽しくなった!
:ミーコに勇気をもらって、私も前に進めるようになった! 本当に感謝してる!
:私たちはミーコの味方だよ。負けないで!
:一緒に乗り越えよう!
:ミーコの配信を見ると元気が出る!
:ミーコ! ラブ! ミーコ! ラブ!
:ミーコの笑顔に何度も励まされた! 
:忙しい日々でも、ミーコさんの声が心の支えになっています。感謝しています。
:また人類卒業試験やってる姿を見せておくれよ
:ミーコ!!!!!! 好きだ!!!!!!!!!
:前を向いてください。しっかり見てください。こんなにも、あなたの味方が居ます

 止まらない。止まらない。
 ひとつひとつのコメントが、染みわたる。

 目の奥が熱くなって、体が震える。
 でもそれは、ちっとも嫌な感覚じゃない。

 だから私は、叫んだ。

『にゅわぁぁあああああああああああ!』

 思い切り、全力で、叫んだ。

『みゅううううううううううううう!』

 二度、三度、四度。
 何度も叫んで、気合いを入れた。

『……はは、あはははは』

 その後、なんだか笑ってしまった。

『諸君、これを見たまえ!』

 私は、説明書の最後にあった「共有用URL」を皆に伝えた。
 それは配信を視聴する生徒達のために作られた専用ブラウザであり、URLを指定して動画を再生すれば、コメントが大幅に遅延することと引き換えに笑顔フィルターを導入できる。

:なんだこれwww
:これがミーコに見えてたのか
:お兄さますげぇえええええええ!!!
:えっ、これ一日で作ったの?
:えがお除外したらいつものコメント欄で安心する
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:草草草

 ――視聴者にフィルターが届き始めた後、着信。
 ビックリしながら目を向けると、真希さんだった。

『うぃ~』

:逆凸!?
:真希か
:^q^

『…………にゃほぉ』

:急に静かになるじゃんwww
:まだ無理なのかよw
:声ちっさ
:かわいい

『深い話は後でするとして……
 第一回! ミーコと一緒にマキルート同窓会+α、始まるよ~!』

:突然の企画
:なにそれwwww
:同窓会!?

 その後、次々と配信者が現れた。
 知らない多かったけれど、見覚えがある。みんな、ぽよテト大会に参加した配信者達だった。

『ミーコさん! 燃えた時こそ命乞いですよ』

 イノさんが命乞いのやり方を教えてくれた。

『……やほぉ』

 リンゴンさんが遊びに来てくれた。
 今度一緒に24時間ぽよぽよする約束をした。

『むん!』

 まさしさんが一言だけ言って帰った。

『やぁ、君に負けたセーヌだよ』

 おめでとう、言ってくれた。

『あらぁ、初めましてミーコちゃん。んふっ、かわいい。ごめんねぇ。あたしがホタルに勝ってれば……おっと、この話は無しね。今度あたしと対決して頂戴ね』

 知らない人も来た。
 今のがスピネイルさん。

 他にも。他にも。他にも。他にも。
 真希さんの声で集まった人達が、コメントしてくれた。

 そして――

『やぁ』

:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!
:くそっ! どうやっても検閲されちまう!

 ホタルさんも来てくれた。
 視聴者のみんなは驚いていた。

『正直、悩んだよ。僕の立場だと、何を言っても火に油を注ぐことになるからね』

 彼は言う。

『君、百万人目指してるんだっけ? 思ってるよりも面倒だよ? それでもやる?』
『……やる』

 私はがんばって返事をした。

『へぇ、そっか……分かった。うん、それだけ聞きたかった。じゃあね』

 ホタルさんは言葉を呑み込んだ様子だった。
 その意味が分かるのは、少しだけ先の話になる。

 それからそれから。
 本当に色々な人が現れた。

『……ミーコ、ちゃん?』
『……むしゃピョコさん?』

:むしゃピョコ!?
:ま?????
:初登場じゃない?
:ママぁ……

『えっと、一言だけ伝えたくて……良いかな?』
『……うん』

:ふぁっ!? 声が女やんけ!
:おっさんだと思ってた
:あの絵もあの絵もこの声の人が……ってコト?
:待って待って情緒壊れちゃう
:えがおー(๑˃ᴗ˂)!(このコメントは検閲されていません)

『ミーコちゃん、みんなに愛されてるね。
 ママとして、誇らしいです。以上。それだけ。

 あっ、いや、違う。プレゼント!
 プレゼントを贈ったから、確認してね。

 配信しても大丈夫だよ。
 よし。今度こそ。またね!』

 その直後、通知が来た。
 私は一枚の絵を配信画面に映した。

 生徒数10万人突破&優勝おめでとう。
 その文字を見て、びっくりした。直ぐに生徒数を確認しようとした瞬間、次の声。

『最後はミーコが大好きな真希ぽよぽよ~?』
『……ぁぃ』

:塩対応で草
:かわいい

『新しい企画を用意しました!』

 ――返事は、もちろん。

『やる』

 ――これが、本当のエンディング。
 Vtuber達による「ぽよテト大会」は優勝者に対する逆凸という形で幕を閉じた。

 ミーコが突如として始めた配信だったが、実は、ミーコの兄から連絡を受けた真希が事前に告知と根回しをしていた。また、午後9時というゴールデンタイムに始まったこともあり、この配信には五万人以上の人々が集まった。

 配信中は常に誹謗中傷のコメントが流れていた。
 しかし、ミーコの兄が作ったフィルターを突破したコメントは皆無だった。

 炎上は止まらない。
 誹謗中傷をする者達は、とてつもない執念で粘着を続けた。

 しかし、その数は日に日に減った。
 フィルターに排除され、無駄だと悟って諦めたからではない。

 とにかく減ったのだ。
 こうして、ミーコの居場所は守られた。

『にゃほぉ!』

 深夜3時15分。
 今宵も彼女の元気な声が響き渡る。

 ミーコの挑戦は、まだまだ終わらない。



 *  *  *



 えーっと、はい、緊張してます。
 あの、声が小さかったらごめんなさい。

 やっぱり、まだ、ちょっと、あはは。
 でも、初期と比べたら、かなりすごいと思います。

 あっ、知ってる? うん、そうだよね。
 ……あはは、ちょっと恥ずかしいかも。

 今日は、その、よろしくお願いします。
 はい。是非、素敵な記事にしてください。

 そうですね。
 ほぼほぼ実話だと思います。

 恥ずかしくて一回しか見れてないですけど。
 ミーコの駆け抜けた日々が、描かれてます。

 ヌヒヒッ、でも、かなり美化されてますね。
 そうですよ。ミーコ、あんなにハキハキ喋れない。

 違います違います。演者さんの批判じゃないです。
 あれは、原作を再現するとお客さん聞き取れないということで……。

 そうだ。大事なことを言います。
 今回、お兄ちゃんは出演NGです。
 お兄ちゃんは、ミーコだけのお兄ちゃんなので。

 お兄ちゃんに関連する出来事は、可能な限りカットしてます。正直、どうなるのか不安でしたけど、なんか、本物よりもすごくなってました。

 でもやっぱり本物の方が素敵です。
 ヌヒヒッ、そうですね。お兄ちゃんよりかっこいい人としか結婚しないです。

 だから、その、えっと。
 ひとつだけ、秘密にしてるエピソードがあります。

 はい、特別に。
 あはは、はい、PVが伸びたら嬉しいです。

 あれは、ぽよテト大会の直後でした。
 すごく炎上して、配信で吐いちゃった後の話です。

 ……その前に。
 この映画、もう見ましたか?

 そうですか。どうでしたか?
 ……元気が貰えた。えへへ、良かったです。

 ミーコの目標は、百万人のファンを集めること。
 ヒキニートの私が、お兄ちゃんに、もう大丈夫だよって伝えるために始めました。

 それで……えっと……。
 がんばることは、大変だと思います。

 周りと比べちゃいます。
 あの人と比べて、自分は……そう思います。

 ミーコも同じでした。
 悔しくて悔しくて……大変でした。

 でも、お兄ちゃんが言ってくれました。

 …………やだ。
 やっぱりこれは内緒です。

 だから、ミーコの言葉で伝えます。
 絶対ダメです。土下座してもダメです。

 あーもう!
 お前は女優だろ! ちゃんとしろ!

 ……こほん。
 今の部分はカットでお願いします。

 えっと。
 そうですね……。

 他の人と自分を比べて落ち込まないでください。
 あなたの頑張ってる姿を見ている人が、必ず居ます。

 もしも、そう思えないなら。
 ミーコ学園の生徒になってください。

 ミーコが、あなたを見ています。
 最近ちょっとコメントが多くて大変なんですけど。

 絶対、見てます。
 ミーコは、きっと、ここに居ます。

 ……あれ、もしかして泣いてます?
 ヌヒヒッ、やーい、泣き虫~!

 む、ミーコは良いの!
 今日のミーコは主役なの!

 ……はい、そうですね。
 えっと、その、だから、届いたら嬉しいです。

 ミーコと同じような人に。
 前に進む勇気を届けられたら嬉しいです。

 ……最後はタイトルコール?
 でもこれネットの記事ですよね?

 えぇぇ……?
 まぁ、良いですけど。

 これは、とあるヒキニートの物語です。
 逃げて、逃げて、逃げ続けたヒキニートが、もう一度、がんばる話です。

 彼女は幸運でした。
 十年間、辛かった分だけ、素敵な人達と出会うことができました。

 ミーコにとってのみんなが、あなたにとってのミーコでありますように。
 そんな願いを込めて、このお話を監修しました。監修。かっこいい響きですよね。

 ほんと、今でも信じられないです。
 ときどき何もかも夢なんじゃないかと思います。

 ……うん。じゃあ、最後に。
 この物語のタイトルは――

 
 マイナーVtuberミーコの弱くてニューゲーム。





===あとがき



 以上、ミーコの物語でした。
 本作はここで完結となります。

 まだ読みたい。まだ〇〇が残ってる。
 そんな風に思えるくらいがちょうど良いのです。

 この作品が、あなたの心に何かひとつでも残せたのなら、とっても嬉しいです。
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みんなの感想(1件)

おりびあ
2024.12.01 おりびあ
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