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最終章 カノジョの選択
春樹さん春樹さん春樹さん春樹さん春樹さん春樹さん春樹さん春樹さん春樹さん春樹さん春樹さん春樹さん春樹さん春樹さん春樹さん春樹さん春樹さん
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春樹さんと別れたのは日曜日の14時18分。今は月曜日の11時53分だから、21時間と35分も経過した。7時間程度の睡眠を抜いても14時間。
たったの14時間。
何も無い日なら一瞬で過ぎ去るような時間なのに、昔お父さまに叱られて一ヵ月も本を読めなかった時より遥かに辛い。
春樹さんに会いたい。
春樹さんの声が聞きたい。
春樹さんの言葉が聞きたい。
春樹さんに言葉を聞かせたい。
春樹さんの優しい笑みが見たい。
春樹さんを私の言葉で笑わせたい。
春樹さんの困ったような表情が見たい。
春樹さんを私の言葉で困らせたい。
春樹さんの目に映りたい。
春樹さんを目に映したい。
春樹さんに私だけを見て欲しい。
春樹さんだけを私の目に映したい。
春樹さんの耳に声を届けたい。
春樹さんに私以外の声を聞かせたくない。
春樹さんの手に触れたい。
春樹さんの頬に触れたい。
春樹さんの目に触れたい。
春樹さんの唇に触れたい。
春樹さんの舌を舐めたい。
春樹さんに舌を吸わせたい。
春樹さんにお預けしたい。
春樹さんの物欲しそうな顔をもう一度見たい。
春樹さんと私だけの世界を創りたい。
春樹さん、春樹さん……早く来てください。
ああ、でも、どうしましょう。
以前よりも気持ちが溢れて、感情を制御できる気がしません。
先日、電車で帰る時も大変でした。
とにかく春樹さんのことが気になって、人の目が無ければ暴走していたかも。
ああ、でも、そういう意味なら杞憂かもしれないですね。
どうせ今日もあの害虫が一緒なので……はぁ、憂鬱です。
──ドアが開く音。
うっかり気を抜いていた私は、授業中の居眠りを指摘された時みたいに背筋を伸ばしました。
「お待たせ」
春樹さん!
「いいえ、私も今来たところですよ」
制服姿の春樹さん。
たった三日振りなのに随分と新鮮に感じられます。
ああ、今日も素敵です。
少し跳ねたクセ毛も、優しい目付きも、爽やかな微笑みも、何もかも。
……おや?
「春樹さん? 優愛さんは、どうしましたか?」
「あー、今日は来ないよ」
私は首を傾けました。
彼は照れたような表情をして、私に言います。
「今日は、輝夜と二人で話したくて」
……。
「輝夜?」
「……ごめんなさい。十秒待ってください」
危なかった。
咄嗟に唇を嚙まなければ、襲い掛かっていたかもしれない。
「……お待たせしました」
笑顔を浮かべ、彼に顔を向ける。
「何か、大事なお話ですか?」
冷静になる。
彼の話したいことが、必ずしも私にとって良い内容とは限らない。
「ああ、ごめん、普通そうなるよね……」
不思議な反応です。
春樹さんは後頭部に手を当てた後、どこか照れた様子で言いました。
「特に用事は無いよ。ただ、二人になりたかっただけ」
私は再び目を逸らします。
なんでしょう、なんなのでしょう。まさか先日のアレが? あのキスで春樹さんの心境に変化が? ……いいえ、都合の良い解釈はダメです。あれだけ優愛さんを大切にしていた春樹さんが、一度のキスで心変わりするなんて考えられません。
何か、もっと合理的な理由が……無理ッ、頭が回りません!
「ごめん、なんか恥ずかしいこと言ったかも」
「……いえ、恥ずかしいことなんて無いですよ。恋人、なんですから」
気恥ずかしい雰囲気。
「……お昼、食べましょうか!」
「……そうだな。時間も無いしな!」
なんでしょう、この世間一般にイメージするような初々しい雰囲気。
「今日はハンバーグです」
「ありがと……これ、もしかして手作り?」
「……はい、頑張りました」
「マジか。俺メッチャ幸せじゃん」
なんでしょう、これ!
……まさか夢落ちですか? 目が覚めたら授業中だったりしますか?
「あのさ、輝夜は、何か俺にして欲しいことってある?」
「……私は一緒に居られるだけで幸せです」
「本当に? 悩み事とか、欲しい物とか、なんでも言ってくれたら嬉しいんだけど」
春樹さん、本当に、どうしたのでしょうか?
やはり夢ですか? あまりにも過剰なストレスによる防衛反応?
(……それなら、少しくらい、わがままを言っても)
春樹さんの唇を見る。
いえっ、食事の直後はダメです。味の感想とか言われたら耐えられません。
ああ……好きです。春樹さん、春樹さん。
今すぐに抱きしめて、あの時みたいにドロドロになりたい。
──でも、きっと楽しい理由じゃないんだろうなぁ。
「そこまで言うのなら、当ててみてください」
ああ、ダメです。冷静になり始めています。
こんなの絶対におかしい。何か理由があるはず。どのような可能性が考えられる? 春樹さんの行動パターンから推測できるはず。家に帰って、恐らくまたあの女と話をして、学校へ行って……その僅かな時間の中で、こんなにも気を遣ってくれるような出来事が起きるとしたら、それはどんな出来事?
「もしも不正解だとしても怒ったりしません。春樹さんが私のことを考えて、私を喜ばせるためだけに何かしてくれるのなら、それ以上の幸せは無いのですから」
どうして私はこうも面倒な思考を持っているのでしょう。
もっと恋に盲目になれたら、どれだけ幸せなのでしょう。
ああ、春樹さん、大好きです。
好き。好き。日に日に気持ちが大きくなります。
だから──だから、隠し事はダメですよ?
私が知っているのは、興味のあることだけ。
何度も言っている通り──春樹さんのことなら、ぜんぶ、知っちゃいますからね。
「ん-、難しいなあ」
春樹さん、無邪気な顔も素敵です。
でも私ちゃーんと知ってますからね。春樹さんは思慮深くて、賢い人です。
「うふふ、いっぱい悩んでくださいね」
ああ、楽しみだなぁ。
春樹さんは……一体、何を企んでいるのでしょうか。
たったの14時間。
何も無い日なら一瞬で過ぎ去るような時間なのに、昔お父さまに叱られて一ヵ月も本を読めなかった時より遥かに辛い。
春樹さんに会いたい。
春樹さんの声が聞きたい。
春樹さんの言葉が聞きたい。
春樹さんに言葉を聞かせたい。
春樹さんの優しい笑みが見たい。
春樹さんを私の言葉で笑わせたい。
春樹さんの困ったような表情が見たい。
春樹さんを私の言葉で困らせたい。
春樹さんの目に映りたい。
春樹さんを目に映したい。
春樹さんに私だけを見て欲しい。
春樹さんだけを私の目に映したい。
春樹さんの耳に声を届けたい。
春樹さんに私以外の声を聞かせたくない。
春樹さんの手に触れたい。
春樹さんの頬に触れたい。
春樹さんの目に触れたい。
春樹さんの唇に触れたい。
春樹さんの舌を舐めたい。
春樹さんに舌を吸わせたい。
春樹さんにお預けしたい。
春樹さんの物欲しそうな顔をもう一度見たい。
春樹さんと私だけの世界を創りたい。
春樹さん、春樹さん……早く来てください。
ああ、でも、どうしましょう。
以前よりも気持ちが溢れて、感情を制御できる気がしません。
先日、電車で帰る時も大変でした。
とにかく春樹さんのことが気になって、人の目が無ければ暴走していたかも。
ああ、でも、そういう意味なら杞憂かもしれないですね。
どうせ今日もあの害虫が一緒なので……はぁ、憂鬱です。
──ドアが開く音。
うっかり気を抜いていた私は、授業中の居眠りを指摘された時みたいに背筋を伸ばしました。
「お待たせ」
春樹さん!
「いいえ、私も今来たところですよ」
制服姿の春樹さん。
たった三日振りなのに随分と新鮮に感じられます。
ああ、今日も素敵です。
少し跳ねたクセ毛も、優しい目付きも、爽やかな微笑みも、何もかも。
……おや?
「春樹さん? 優愛さんは、どうしましたか?」
「あー、今日は来ないよ」
私は首を傾けました。
彼は照れたような表情をして、私に言います。
「今日は、輝夜と二人で話したくて」
……。
「輝夜?」
「……ごめんなさい。十秒待ってください」
危なかった。
咄嗟に唇を嚙まなければ、襲い掛かっていたかもしれない。
「……お待たせしました」
笑顔を浮かべ、彼に顔を向ける。
「何か、大事なお話ですか?」
冷静になる。
彼の話したいことが、必ずしも私にとって良い内容とは限らない。
「ああ、ごめん、普通そうなるよね……」
不思議な反応です。
春樹さんは後頭部に手を当てた後、どこか照れた様子で言いました。
「特に用事は無いよ。ただ、二人になりたかっただけ」
私は再び目を逸らします。
なんでしょう、なんなのでしょう。まさか先日のアレが? あのキスで春樹さんの心境に変化が? ……いいえ、都合の良い解釈はダメです。あれだけ優愛さんを大切にしていた春樹さんが、一度のキスで心変わりするなんて考えられません。
何か、もっと合理的な理由が……無理ッ、頭が回りません!
「ごめん、なんか恥ずかしいこと言ったかも」
「……いえ、恥ずかしいことなんて無いですよ。恋人、なんですから」
気恥ずかしい雰囲気。
「……お昼、食べましょうか!」
「……そうだな。時間も無いしな!」
なんでしょう、この世間一般にイメージするような初々しい雰囲気。
「今日はハンバーグです」
「ありがと……これ、もしかして手作り?」
「……はい、頑張りました」
「マジか。俺メッチャ幸せじゃん」
なんでしょう、これ!
……まさか夢落ちですか? 目が覚めたら授業中だったりしますか?
「あのさ、輝夜は、何か俺にして欲しいことってある?」
「……私は一緒に居られるだけで幸せです」
「本当に? 悩み事とか、欲しい物とか、なんでも言ってくれたら嬉しいんだけど」
春樹さん、本当に、どうしたのでしょうか?
やはり夢ですか? あまりにも過剰なストレスによる防衛反応?
(……それなら、少しくらい、わがままを言っても)
春樹さんの唇を見る。
いえっ、食事の直後はダメです。味の感想とか言われたら耐えられません。
ああ……好きです。春樹さん、春樹さん。
今すぐに抱きしめて、あの時みたいにドロドロになりたい。
──でも、きっと楽しい理由じゃないんだろうなぁ。
「そこまで言うのなら、当ててみてください」
ああ、ダメです。冷静になり始めています。
こんなの絶対におかしい。何か理由があるはず。どのような可能性が考えられる? 春樹さんの行動パターンから推測できるはず。家に帰って、恐らくまたあの女と話をして、学校へ行って……その僅かな時間の中で、こんなにも気を遣ってくれるような出来事が起きるとしたら、それはどんな出来事?
「もしも不正解だとしても怒ったりしません。春樹さんが私のことを考えて、私を喜ばせるためだけに何かしてくれるのなら、それ以上の幸せは無いのですから」
どうして私はこうも面倒な思考を持っているのでしょう。
もっと恋に盲目になれたら、どれだけ幸せなのでしょう。
ああ、春樹さん、大好きです。
好き。好き。日に日に気持ちが大きくなります。
だから──だから、隠し事はダメですよ?
私が知っているのは、興味のあることだけ。
何度も言っている通り──春樹さんのことなら、ぜんぶ、知っちゃいますからね。
「ん-、難しいなあ」
春樹さん、無邪気な顔も素敵です。
でも私ちゃーんと知ってますからね。春樹さんは思慮深くて、賢い人です。
「うふふ、いっぱい悩んでくださいね」
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