43 / 44
3-08.ライムさんと秘密の特訓
しおりを挟む
* イーロン *
スカーレットさんは言った。
必ず、信頼を勝ち取って見せる。
多分、助けた村の人と何か話をするのだろう。
ウチは彼女を信じて先に帰宅した。そして翌日……。
「精一杯、お仕えします!」
とても可愛らしい子が屋敷の住人になった。
親御さんも納得しているようで……スカーレットさん、話が上手なんだろうなぁ。
かくしてバーグ家は賑わいを増した。
良いことだ。ウチとしては、とても嬉しい。
ただ、最近ノエルの姿を見ない時間が増えた。
入浴の時間には必ず帰ってくるけど……日中帯は何をしてるのかな?
今度、聞いてみよう。
そんなことを考えながら、のんびり廊下を歩いていると……。
「イーロンさま!」
「スカーレットさん、お疲れ様です。今日も良い天気だね」
「はい! 本日も、精一杯、勤めさせていただきます」
「うん、無理しない程度に、よろしくね」
顔を見たら挨拶してくれるようになった。
嬉しい。やっぱりコミュニケーションは大切だよね。
ちょっと上機嫌で移動を再開する。
目的地は書庫。お勉強は大事だからね。
「あ、ライムさん。こんにちは」
「……どうも」
ぎこちない会釈。
うーん、いきなり声をかけるのはダメだったかな?
「……何か、ご用事?」
べつに用事とかないけど……。
「ライムさんは、これから何するの?」
「……実験」
「実験? 何するの。面白そう」
ライムさんは少し驚いたような表情をした。
ウチ、何か間違えたのかな? ……いきなり距離感が近過ぎた、とか?
「来る?」
ライムさんがぽつりと言った。
ウチは何秒か言葉の意味を考えて……。
「行く!」
* * *
家主も知らない地下室。
ちょっと埃っぽくて暗い場所で、とても狭い。
「こっち」
ライムさんが他の設備とは色合いの違う扉を開けた。
その先には、地下室とは思えないような光景が広がっていた。
「わぁ、すごい」
なんか……いっぱいある!
机とか、謎の物体とか、色々。あと広い!
「ライムさん、今は何を研究してるの?」
「魔力伝導体」
ふっふっふ、ウチそれ知ってるよ。
文字通り、魔力が通りやすい物体のことだ。
自在に形を変えたり、込めた魔力の性質を与えたりできる。
「……お値段、めっちゃ高くなかったっけ」
ウチはバーグ家のお財布事情を心配して身震いした。
「原価は安い」
「なるほど。そういうことか」
散財ではなくて、ビジネス。
ライムさんが安価な魔力伝導体を開発して、一儲けすることが目的なのだろう。
「これ、サンプル」
黒い物体を手渡された。
とりあえず両手で受け取る。
「わぁ、ぷにぷにしてる」
ウチは魔力伝導体をぷにぷにした。
なんだろう。この感覚。癖になりそう。
「……楽しい? ……ですか?」
「うん、一時間くらい続けられそうだよ」
一方でライムさんの態度は硬い。
ライムさんだけじゃない。ノエル以外の人と会話すると、いつも警戒される。ウチは仲良くしたくてフレンドリーに接してるんだけど……この悪人面のせいかな?
「これ、どうやって使うの?」
「……貸して。ください」
「無理に敬語じゃなくて大丈夫だよ?」
「そう? じゃあ貸して」
ウチは苦笑して、サンプルを返した。
自分で言ったけど、すごい変わりようだ。
「魔力を込める」
ライムさんの手から魔力が流れる。
その瞬間、魔力伝導体はぶわっと膨張して、あっという間に椅子の形になった。
ライムさんは椅子に座る。
それから眠そうな目でウチを見て言った。
「分かった?」
「うん、ばっちり」
魔力の流れは見えた。
次にチャンスがあれば、同じことができると思う。
「……すごいね。流石」
「そうかな? 一応、ありがと」
ライムさん、お世辞が上手。
社交辞令だと分かってても、褒められると照れちゃうよね。
「それじゃあ、研究、頑張ってね」
「……ん? もう帰るの?」
「そうだね。あんまり邪魔しちゃ悪いから」
何か思案する様子。
「実験、手伝って。助手が、必要」
「そういうことなら、喜んで。何をすれば良いのかな?」
再び思案する様子。
今度はウチをチラチラと見て……どうしたのかな?
あ、動いた。なんだか小動物みたいな人だ。
彼女は新しい魔力伝導体を手に取ると、それを身に纏った。全身を包む鎧みたいな見た目になっている。
「殴って」
……鎧の耐久力試験かな?
多分、治安維持の為に武装した集団を作りたいとかそんな感じなのだろう。
でも魔力伝導体は販売するんだよね?
この国は野蛮だし、紛争とかあっても不思議じゃないけども……。
「殴って。早く。早く」
なんかワクワクしてる。
無抵抗な人を攻撃するのは気が引けるけど……とりあえず、えいや。
「……ふざけてる?」
怒られちゃった。
「魔力を込めて。もっと強く」
確かに魔力を込めないと耐久力試験にならないよね。
でも、すごく危ない。ウチが力加減を間違えたら、ライムさん死んじゃうかも。
「マネキンとか用意できないかな? わざわざライムさんが付ける理由は……」
凄い顔されちゃった。
とてもガッカリしてる……かも?
「……ごめん」
そっか、そうだよね。
ウチは鎧を全く信頼していない態度を見せてしまった。これは開発者のライムさんからすれば、面白くないはずだ。
お詫びに、ちょっと強めに攻撃しよう。
ライムさんから割と高密度な緑の魔力を感じるし、ある程度は大丈夫なはずだ。
「行くよ」
──ライムは緑魔法の天才である。
幼少期から無意識に自分を保護することで、ほとんど「痛み」を知らないまま成長した。しかし、ある時うっかり自分の指を針で刺してしまう。
裁縫の途中だったライムは、あまりにも衝撃的な感覚に涙を流した。初めての痛みは恐怖であり、そして──快楽でもあった。
以後、ライムは痛みを求めた。
だが意識的に自分の指を刺しても、無意識の緑魔法に防がれてしまう。
ライムは痛みを求め続けた。
やがて未知の王子様に対する幻想を拗らせた乙女のように、痛みを渇望した。
ノエルとイロハが過去に戻る前は、少し違った。楽園の長としての責任感によって歪んだ欲望を封印する術を身に付けていた。
だけど今回は、しっかりとした責任感が芽生える前にノエルが現れた。そして彼女はライムに「痛み」を与えた。結果、薄れかけていた欲求が蘇った。
(……まだかな。まだかな。まだかな)
ライムは魔力伝導体を身に纏った。
しかしこれは鎧などではない。むしろ相手の魔力をより強く自分に伝えるための物である。
(……来た! 来た!)
イーロンの右腕に赤い魔力が宿る。
彼の基準における「ちょっと強い一撃」には、生身の人間ならば肉の塊となる程の威力が込められている。ライムは「スカーレットを遥かに上回る魔力」を見て、涎が出る程に期待感を高めた。
そして衝撃。ライムの体は容易く浮かび上がり、十数メートル後方にある棚を破壊したところでようやく止まった。
「ごめん! 大丈夫!?」
イーロンが慌てて駆け寄る。
ライムは……その顔を失望の色に染めていた。
(……全然、痛くない)
ノーダメージだった。
殴打はもちろん、壁に衝突したことによる衝撃すらも、痛みにはならなかった。
ライムはゆるりと顔を上げる。
そして、衝動的にイロハの胸倉を摑み上げた。
「黒魔法、使え」
「……えっと、なんで?」
「黒魔法!!」
かわいそうに。
今のライムは痛みを求める亡霊のような存在であった。
「えっと、流石にそれは、痛いよ?」
イーロンは困惑しながら言った。
「痛くしろ!」
「えぇ!?」
まさかのリクエスト。
イーロンは混乱しながら考える。
ライムは、一体何を考えているのだろう。
分かるわけがない。
イーロンが持つ知識の中に、痛みを求める特殊性癖など無かった。
だが彼は考えることをやめない。
そして、とある答えに辿り着いた。
(……そうか! 修行だね!)
違う。
「分かった」
「来い!」
イーロンは黒の魔力を解放した。
それはライムを包み込み、強固な緑の魔力を減衰させる。
「行くよ」
「早く、早く!」
イーロンはライムに手を近づける。
そして──
「えいっ」
「痛っ」
でこぴんである。
「……」
ライムは額に両手を当て、しばらく呆然とした。
イーロンもまた、想定と違う反応に戸惑って沈黙する。
「……もう一回」
やがて、ライムがぽつりと呟いた。
「分かった」
恐る恐る、でこぴん。
ライムは軽く仰け反った。
「……も、もう一回」
既に、手遅れだった。
「あぅっ」
「おぅっ」
「んぉっ♡」
何度も、何度も、繰り返される。
「もう終わり。おでこ、真っ赤だよ」
「まだまだぁ!」
イーロンはライムに対してクールな印象を抱いていた。しかしそれは消滅した。今の彼女は度重なる甘美な痛みに脳を焼かれ、欲望に忠実な獣となっている。
それを見たイーロンは……
(……なんて、修行熱心なんだ!)
と、なんとも都合の良い解釈をした。
「そういうことなら、とことん付き合うよ!」
「来い!」
これ出来事をきっかけに、二人は定期的に修行をする関係になったのだった。
スカーレットさんは言った。
必ず、信頼を勝ち取って見せる。
多分、助けた村の人と何か話をするのだろう。
ウチは彼女を信じて先に帰宅した。そして翌日……。
「精一杯、お仕えします!」
とても可愛らしい子が屋敷の住人になった。
親御さんも納得しているようで……スカーレットさん、話が上手なんだろうなぁ。
かくしてバーグ家は賑わいを増した。
良いことだ。ウチとしては、とても嬉しい。
ただ、最近ノエルの姿を見ない時間が増えた。
入浴の時間には必ず帰ってくるけど……日中帯は何をしてるのかな?
今度、聞いてみよう。
そんなことを考えながら、のんびり廊下を歩いていると……。
「イーロンさま!」
「スカーレットさん、お疲れ様です。今日も良い天気だね」
「はい! 本日も、精一杯、勤めさせていただきます」
「うん、無理しない程度に、よろしくね」
顔を見たら挨拶してくれるようになった。
嬉しい。やっぱりコミュニケーションは大切だよね。
ちょっと上機嫌で移動を再開する。
目的地は書庫。お勉強は大事だからね。
「あ、ライムさん。こんにちは」
「……どうも」
ぎこちない会釈。
うーん、いきなり声をかけるのはダメだったかな?
「……何か、ご用事?」
べつに用事とかないけど……。
「ライムさんは、これから何するの?」
「……実験」
「実験? 何するの。面白そう」
ライムさんは少し驚いたような表情をした。
ウチ、何か間違えたのかな? ……いきなり距離感が近過ぎた、とか?
「来る?」
ライムさんがぽつりと言った。
ウチは何秒か言葉の意味を考えて……。
「行く!」
* * *
家主も知らない地下室。
ちょっと埃っぽくて暗い場所で、とても狭い。
「こっち」
ライムさんが他の設備とは色合いの違う扉を開けた。
その先には、地下室とは思えないような光景が広がっていた。
「わぁ、すごい」
なんか……いっぱいある!
机とか、謎の物体とか、色々。あと広い!
「ライムさん、今は何を研究してるの?」
「魔力伝導体」
ふっふっふ、ウチそれ知ってるよ。
文字通り、魔力が通りやすい物体のことだ。
自在に形を変えたり、込めた魔力の性質を与えたりできる。
「……お値段、めっちゃ高くなかったっけ」
ウチはバーグ家のお財布事情を心配して身震いした。
「原価は安い」
「なるほど。そういうことか」
散財ではなくて、ビジネス。
ライムさんが安価な魔力伝導体を開発して、一儲けすることが目的なのだろう。
「これ、サンプル」
黒い物体を手渡された。
とりあえず両手で受け取る。
「わぁ、ぷにぷにしてる」
ウチは魔力伝導体をぷにぷにした。
なんだろう。この感覚。癖になりそう。
「……楽しい? ……ですか?」
「うん、一時間くらい続けられそうだよ」
一方でライムさんの態度は硬い。
ライムさんだけじゃない。ノエル以外の人と会話すると、いつも警戒される。ウチは仲良くしたくてフレンドリーに接してるんだけど……この悪人面のせいかな?
「これ、どうやって使うの?」
「……貸して。ください」
「無理に敬語じゃなくて大丈夫だよ?」
「そう? じゃあ貸して」
ウチは苦笑して、サンプルを返した。
自分で言ったけど、すごい変わりようだ。
「魔力を込める」
ライムさんの手から魔力が流れる。
その瞬間、魔力伝導体はぶわっと膨張して、あっという間に椅子の形になった。
ライムさんは椅子に座る。
それから眠そうな目でウチを見て言った。
「分かった?」
「うん、ばっちり」
魔力の流れは見えた。
次にチャンスがあれば、同じことができると思う。
「……すごいね。流石」
「そうかな? 一応、ありがと」
ライムさん、お世辞が上手。
社交辞令だと分かってても、褒められると照れちゃうよね。
「それじゃあ、研究、頑張ってね」
「……ん? もう帰るの?」
「そうだね。あんまり邪魔しちゃ悪いから」
何か思案する様子。
「実験、手伝って。助手が、必要」
「そういうことなら、喜んで。何をすれば良いのかな?」
再び思案する様子。
今度はウチをチラチラと見て……どうしたのかな?
あ、動いた。なんだか小動物みたいな人だ。
彼女は新しい魔力伝導体を手に取ると、それを身に纏った。全身を包む鎧みたいな見た目になっている。
「殴って」
……鎧の耐久力試験かな?
多分、治安維持の為に武装した集団を作りたいとかそんな感じなのだろう。
でも魔力伝導体は販売するんだよね?
この国は野蛮だし、紛争とかあっても不思議じゃないけども……。
「殴って。早く。早く」
なんかワクワクしてる。
無抵抗な人を攻撃するのは気が引けるけど……とりあえず、えいや。
「……ふざけてる?」
怒られちゃった。
「魔力を込めて。もっと強く」
確かに魔力を込めないと耐久力試験にならないよね。
でも、すごく危ない。ウチが力加減を間違えたら、ライムさん死んじゃうかも。
「マネキンとか用意できないかな? わざわざライムさんが付ける理由は……」
凄い顔されちゃった。
とてもガッカリしてる……かも?
「……ごめん」
そっか、そうだよね。
ウチは鎧を全く信頼していない態度を見せてしまった。これは開発者のライムさんからすれば、面白くないはずだ。
お詫びに、ちょっと強めに攻撃しよう。
ライムさんから割と高密度な緑の魔力を感じるし、ある程度は大丈夫なはずだ。
「行くよ」
──ライムは緑魔法の天才である。
幼少期から無意識に自分を保護することで、ほとんど「痛み」を知らないまま成長した。しかし、ある時うっかり自分の指を針で刺してしまう。
裁縫の途中だったライムは、あまりにも衝撃的な感覚に涙を流した。初めての痛みは恐怖であり、そして──快楽でもあった。
以後、ライムは痛みを求めた。
だが意識的に自分の指を刺しても、無意識の緑魔法に防がれてしまう。
ライムは痛みを求め続けた。
やがて未知の王子様に対する幻想を拗らせた乙女のように、痛みを渇望した。
ノエルとイロハが過去に戻る前は、少し違った。楽園の長としての責任感によって歪んだ欲望を封印する術を身に付けていた。
だけど今回は、しっかりとした責任感が芽生える前にノエルが現れた。そして彼女はライムに「痛み」を与えた。結果、薄れかけていた欲求が蘇った。
(……まだかな。まだかな。まだかな)
ライムは魔力伝導体を身に纏った。
しかしこれは鎧などではない。むしろ相手の魔力をより強く自分に伝えるための物である。
(……来た! 来た!)
イーロンの右腕に赤い魔力が宿る。
彼の基準における「ちょっと強い一撃」には、生身の人間ならば肉の塊となる程の威力が込められている。ライムは「スカーレットを遥かに上回る魔力」を見て、涎が出る程に期待感を高めた。
そして衝撃。ライムの体は容易く浮かび上がり、十数メートル後方にある棚を破壊したところでようやく止まった。
「ごめん! 大丈夫!?」
イーロンが慌てて駆け寄る。
ライムは……その顔を失望の色に染めていた。
(……全然、痛くない)
ノーダメージだった。
殴打はもちろん、壁に衝突したことによる衝撃すらも、痛みにはならなかった。
ライムはゆるりと顔を上げる。
そして、衝動的にイロハの胸倉を摑み上げた。
「黒魔法、使え」
「……えっと、なんで?」
「黒魔法!!」
かわいそうに。
今のライムは痛みを求める亡霊のような存在であった。
「えっと、流石にそれは、痛いよ?」
イーロンは困惑しながら言った。
「痛くしろ!」
「えぇ!?」
まさかのリクエスト。
イーロンは混乱しながら考える。
ライムは、一体何を考えているのだろう。
分かるわけがない。
イーロンが持つ知識の中に、痛みを求める特殊性癖など無かった。
だが彼は考えることをやめない。
そして、とある答えに辿り着いた。
(……そうか! 修行だね!)
違う。
「分かった」
「来い!」
イーロンは黒の魔力を解放した。
それはライムを包み込み、強固な緑の魔力を減衰させる。
「行くよ」
「早く、早く!」
イーロンはライムに手を近づける。
そして──
「えいっ」
「痛っ」
でこぴんである。
「……」
ライムは額に両手を当て、しばらく呆然とした。
イーロンもまた、想定と違う反応に戸惑って沈黙する。
「……もう一回」
やがて、ライムがぽつりと呟いた。
「分かった」
恐る恐る、でこぴん。
ライムは軽く仰け反った。
「……も、もう一回」
既に、手遅れだった。
「あぅっ」
「おぅっ」
「んぉっ♡」
何度も、何度も、繰り返される。
「もう終わり。おでこ、真っ赤だよ」
「まだまだぁ!」
イーロンはライムに対してクールな印象を抱いていた。しかしそれは消滅した。今の彼女は度重なる甘美な痛みに脳を焼かれ、欲望に忠実な獣となっている。
それを見たイーロンは……
(……なんて、修行熱心なんだ!)
と、なんとも都合の良い解釈をした。
「そういうことなら、とことん付き合うよ!」
「来い!」
これ出来事をきっかけに、二人は定期的に修行をする関係になったのだった。
0
お気に入りに追加
155
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
Sランク冒険者の受付嬢
おすし
ファンタジー
王都の中心街にある冒険者ギルド《ラウト・ハーヴ》は、王国最大のギルドで登録冒険者数も依頼数もNo.1と実績のあるギルドだ。
だがそんなギルドには1つの噂があった。それは、『あのギルドにはとてつもなく強い受付嬢』がいる、と。
そんな噂を耳にしてギルドに行けば、受付には1人の綺麗な銀髪をもつ受付嬢がいてー。
「こんにちは、ご用件は何でしょうか?」
その受付嬢は、今日もギルドで静かに仕事をこなしているようです。
これは、最強冒険者でもあるギルドの受付嬢の物語。
※ほのぼので、日常:バトル=2:1くらいにするつもりです。
※前のやつの改訂版です
※一章あたり約10話です。文字数は1話につき1500〜2500くらい。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる