43 / 44
3-08.ライムさんと秘密の特訓
しおりを挟む
* イーロン *
スカーレットさんは言った。
必ず、信頼を勝ち取って見せる。
多分、助けた村の人と何か話をするのだろう。
ウチは彼女を信じて先に帰宅した。そして翌日……。
「精一杯、お仕えします!」
とても可愛らしい子が屋敷の住人になった。
親御さんも納得しているようで……スカーレットさん、話が上手なんだろうなぁ。
かくしてバーグ家は賑わいを増した。
良いことだ。ウチとしては、とても嬉しい。
ただ、最近ノエルの姿を見ない時間が増えた。
入浴の時間には必ず帰ってくるけど……日中帯は何をしてるのかな?
今度、聞いてみよう。
そんなことを考えながら、のんびり廊下を歩いていると……。
「イーロンさま!」
「スカーレットさん、お疲れ様です。今日も良い天気だね」
「はい! 本日も、精一杯、勤めさせていただきます」
「うん、無理しない程度に、よろしくね」
顔を見たら挨拶してくれるようになった。
嬉しい。やっぱりコミュニケーションは大切だよね。
ちょっと上機嫌で移動を再開する。
目的地は書庫。お勉強は大事だからね。
「あ、ライムさん。こんにちは」
「……どうも」
ぎこちない会釈。
うーん、いきなり声をかけるのはダメだったかな?
「……何か、ご用事?」
べつに用事とかないけど……。
「ライムさんは、これから何するの?」
「……実験」
「実験? 何するの。面白そう」
ライムさんは少し驚いたような表情をした。
ウチ、何か間違えたのかな? ……いきなり距離感が近過ぎた、とか?
「来る?」
ライムさんがぽつりと言った。
ウチは何秒か言葉の意味を考えて……。
「行く!」
* * *
家主も知らない地下室。
ちょっと埃っぽくて暗い場所で、とても狭い。
「こっち」
ライムさんが他の設備とは色合いの違う扉を開けた。
その先には、地下室とは思えないような光景が広がっていた。
「わぁ、すごい」
なんか……いっぱいある!
机とか、謎の物体とか、色々。あと広い!
「ライムさん、今は何を研究してるの?」
「魔力伝導体」
ふっふっふ、ウチそれ知ってるよ。
文字通り、魔力が通りやすい物体のことだ。
自在に形を変えたり、込めた魔力の性質を与えたりできる。
「……お値段、めっちゃ高くなかったっけ」
ウチはバーグ家のお財布事情を心配して身震いした。
「原価は安い」
「なるほど。そういうことか」
散財ではなくて、ビジネス。
ライムさんが安価な魔力伝導体を開発して、一儲けすることが目的なのだろう。
「これ、サンプル」
黒い物体を手渡された。
とりあえず両手で受け取る。
「わぁ、ぷにぷにしてる」
ウチは魔力伝導体をぷにぷにした。
なんだろう。この感覚。癖になりそう。
「……楽しい? ……ですか?」
「うん、一時間くらい続けられそうだよ」
一方でライムさんの態度は硬い。
ライムさんだけじゃない。ノエル以外の人と会話すると、いつも警戒される。ウチは仲良くしたくてフレンドリーに接してるんだけど……この悪人面のせいかな?
「これ、どうやって使うの?」
「……貸して。ください」
「無理に敬語じゃなくて大丈夫だよ?」
「そう? じゃあ貸して」
ウチは苦笑して、サンプルを返した。
自分で言ったけど、すごい変わりようだ。
「魔力を込める」
ライムさんの手から魔力が流れる。
その瞬間、魔力伝導体はぶわっと膨張して、あっという間に椅子の形になった。
ライムさんは椅子に座る。
それから眠そうな目でウチを見て言った。
「分かった?」
「うん、ばっちり」
魔力の流れは見えた。
次にチャンスがあれば、同じことができると思う。
「……すごいね。流石」
「そうかな? 一応、ありがと」
ライムさん、お世辞が上手。
社交辞令だと分かってても、褒められると照れちゃうよね。
「それじゃあ、研究、頑張ってね」
「……ん? もう帰るの?」
「そうだね。あんまり邪魔しちゃ悪いから」
何か思案する様子。
「実験、手伝って。助手が、必要」
「そういうことなら、喜んで。何をすれば良いのかな?」
再び思案する様子。
今度はウチをチラチラと見て……どうしたのかな?
あ、動いた。なんだか小動物みたいな人だ。
彼女は新しい魔力伝導体を手に取ると、それを身に纏った。全身を包む鎧みたいな見た目になっている。
「殴って」
……鎧の耐久力試験かな?
多分、治安維持の為に武装した集団を作りたいとかそんな感じなのだろう。
でも魔力伝導体は販売するんだよね?
この国は野蛮だし、紛争とかあっても不思議じゃないけども……。
「殴って。早く。早く」
なんかワクワクしてる。
無抵抗な人を攻撃するのは気が引けるけど……とりあえず、えいや。
「……ふざけてる?」
怒られちゃった。
「魔力を込めて。もっと強く」
確かに魔力を込めないと耐久力試験にならないよね。
でも、すごく危ない。ウチが力加減を間違えたら、ライムさん死んじゃうかも。
「マネキンとか用意できないかな? わざわざライムさんが付ける理由は……」
凄い顔されちゃった。
とてもガッカリしてる……かも?
「……ごめん」
そっか、そうだよね。
ウチは鎧を全く信頼していない態度を見せてしまった。これは開発者のライムさんからすれば、面白くないはずだ。
お詫びに、ちょっと強めに攻撃しよう。
ライムさんから割と高密度な緑の魔力を感じるし、ある程度は大丈夫なはずだ。
「行くよ」
──ライムは緑魔法の天才である。
幼少期から無意識に自分を保護することで、ほとんど「痛み」を知らないまま成長した。しかし、ある時うっかり自分の指を針で刺してしまう。
裁縫の途中だったライムは、あまりにも衝撃的な感覚に涙を流した。初めての痛みは恐怖であり、そして──快楽でもあった。
以後、ライムは痛みを求めた。
だが意識的に自分の指を刺しても、無意識の緑魔法に防がれてしまう。
ライムは痛みを求め続けた。
やがて未知の王子様に対する幻想を拗らせた乙女のように、痛みを渇望した。
ノエルとイロハが過去に戻る前は、少し違った。楽園の長としての責任感によって歪んだ欲望を封印する術を身に付けていた。
だけど今回は、しっかりとした責任感が芽生える前にノエルが現れた。そして彼女はライムに「痛み」を与えた。結果、薄れかけていた欲求が蘇った。
(……まだかな。まだかな。まだかな)
ライムは魔力伝導体を身に纏った。
しかしこれは鎧などではない。むしろ相手の魔力をより強く自分に伝えるための物である。
(……来た! 来た!)
イーロンの右腕に赤い魔力が宿る。
彼の基準における「ちょっと強い一撃」には、生身の人間ならば肉の塊となる程の威力が込められている。ライムは「スカーレットを遥かに上回る魔力」を見て、涎が出る程に期待感を高めた。
そして衝撃。ライムの体は容易く浮かび上がり、十数メートル後方にある棚を破壊したところでようやく止まった。
「ごめん! 大丈夫!?」
イーロンが慌てて駆け寄る。
ライムは……その顔を失望の色に染めていた。
(……全然、痛くない)
ノーダメージだった。
殴打はもちろん、壁に衝突したことによる衝撃すらも、痛みにはならなかった。
ライムはゆるりと顔を上げる。
そして、衝動的にイロハの胸倉を摑み上げた。
「黒魔法、使え」
「……えっと、なんで?」
「黒魔法!!」
かわいそうに。
今のライムは痛みを求める亡霊のような存在であった。
「えっと、流石にそれは、痛いよ?」
イーロンは困惑しながら言った。
「痛くしろ!」
「えぇ!?」
まさかのリクエスト。
イーロンは混乱しながら考える。
ライムは、一体何を考えているのだろう。
分かるわけがない。
イーロンが持つ知識の中に、痛みを求める特殊性癖など無かった。
だが彼は考えることをやめない。
そして、とある答えに辿り着いた。
(……そうか! 修行だね!)
違う。
「分かった」
「来い!」
イーロンは黒の魔力を解放した。
それはライムを包み込み、強固な緑の魔力を減衰させる。
「行くよ」
「早く、早く!」
イーロンはライムに手を近づける。
そして──
「えいっ」
「痛っ」
でこぴんである。
「……」
ライムは額に両手を当て、しばらく呆然とした。
イーロンもまた、想定と違う反応に戸惑って沈黙する。
「……もう一回」
やがて、ライムがぽつりと呟いた。
「分かった」
恐る恐る、でこぴん。
ライムは軽く仰け反った。
「……も、もう一回」
既に、手遅れだった。
「あぅっ」
「おぅっ」
「んぉっ♡」
何度も、何度も、繰り返される。
「もう終わり。おでこ、真っ赤だよ」
「まだまだぁ!」
イーロンはライムに対してクールな印象を抱いていた。しかしそれは消滅した。今の彼女は度重なる甘美な痛みに脳を焼かれ、欲望に忠実な獣となっている。
それを見たイーロンは……
(……なんて、修行熱心なんだ!)
と、なんとも都合の良い解釈をした。
「そういうことなら、とことん付き合うよ!」
「来い!」
これ出来事をきっかけに、二人は定期的に修行をする関係になったのだった。
スカーレットさんは言った。
必ず、信頼を勝ち取って見せる。
多分、助けた村の人と何か話をするのだろう。
ウチは彼女を信じて先に帰宅した。そして翌日……。
「精一杯、お仕えします!」
とても可愛らしい子が屋敷の住人になった。
親御さんも納得しているようで……スカーレットさん、話が上手なんだろうなぁ。
かくしてバーグ家は賑わいを増した。
良いことだ。ウチとしては、とても嬉しい。
ただ、最近ノエルの姿を見ない時間が増えた。
入浴の時間には必ず帰ってくるけど……日中帯は何をしてるのかな?
今度、聞いてみよう。
そんなことを考えながら、のんびり廊下を歩いていると……。
「イーロンさま!」
「スカーレットさん、お疲れ様です。今日も良い天気だね」
「はい! 本日も、精一杯、勤めさせていただきます」
「うん、無理しない程度に、よろしくね」
顔を見たら挨拶してくれるようになった。
嬉しい。やっぱりコミュニケーションは大切だよね。
ちょっと上機嫌で移動を再開する。
目的地は書庫。お勉強は大事だからね。
「あ、ライムさん。こんにちは」
「……どうも」
ぎこちない会釈。
うーん、いきなり声をかけるのはダメだったかな?
「……何か、ご用事?」
べつに用事とかないけど……。
「ライムさんは、これから何するの?」
「……実験」
「実験? 何するの。面白そう」
ライムさんは少し驚いたような表情をした。
ウチ、何か間違えたのかな? ……いきなり距離感が近過ぎた、とか?
「来る?」
ライムさんがぽつりと言った。
ウチは何秒か言葉の意味を考えて……。
「行く!」
* * *
家主も知らない地下室。
ちょっと埃っぽくて暗い場所で、とても狭い。
「こっち」
ライムさんが他の設備とは色合いの違う扉を開けた。
その先には、地下室とは思えないような光景が広がっていた。
「わぁ、すごい」
なんか……いっぱいある!
机とか、謎の物体とか、色々。あと広い!
「ライムさん、今は何を研究してるの?」
「魔力伝導体」
ふっふっふ、ウチそれ知ってるよ。
文字通り、魔力が通りやすい物体のことだ。
自在に形を変えたり、込めた魔力の性質を与えたりできる。
「……お値段、めっちゃ高くなかったっけ」
ウチはバーグ家のお財布事情を心配して身震いした。
「原価は安い」
「なるほど。そういうことか」
散財ではなくて、ビジネス。
ライムさんが安価な魔力伝導体を開発して、一儲けすることが目的なのだろう。
「これ、サンプル」
黒い物体を手渡された。
とりあえず両手で受け取る。
「わぁ、ぷにぷにしてる」
ウチは魔力伝導体をぷにぷにした。
なんだろう。この感覚。癖になりそう。
「……楽しい? ……ですか?」
「うん、一時間くらい続けられそうだよ」
一方でライムさんの態度は硬い。
ライムさんだけじゃない。ノエル以外の人と会話すると、いつも警戒される。ウチは仲良くしたくてフレンドリーに接してるんだけど……この悪人面のせいかな?
「これ、どうやって使うの?」
「……貸して。ください」
「無理に敬語じゃなくて大丈夫だよ?」
「そう? じゃあ貸して」
ウチは苦笑して、サンプルを返した。
自分で言ったけど、すごい変わりようだ。
「魔力を込める」
ライムさんの手から魔力が流れる。
その瞬間、魔力伝導体はぶわっと膨張して、あっという間に椅子の形になった。
ライムさんは椅子に座る。
それから眠そうな目でウチを見て言った。
「分かった?」
「うん、ばっちり」
魔力の流れは見えた。
次にチャンスがあれば、同じことができると思う。
「……すごいね。流石」
「そうかな? 一応、ありがと」
ライムさん、お世辞が上手。
社交辞令だと分かってても、褒められると照れちゃうよね。
「それじゃあ、研究、頑張ってね」
「……ん? もう帰るの?」
「そうだね。あんまり邪魔しちゃ悪いから」
何か思案する様子。
「実験、手伝って。助手が、必要」
「そういうことなら、喜んで。何をすれば良いのかな?」
再び思案する様子。
今度はウチをチラチラと見て……どうしたのかな?
あ、動いた。なんだか小動物みたいな人だ。
彼女は新しい魔力伝導体を手に取ると、それを身に纏った。全身を包む鎧みたいな見た目になっている。
「殴って」
……鎧の耐久力試験かな?
多分、治安維持の為に武装した集団を作りたいとかそんな感じなのだろう。
でも魔力伝導体は販売するんだよね?
この国は野蛮だし、紛争とかあっても不思議じゃないけども……。
「殴って。早く。早く」
なんかワクワクしてる。
無抵抗な人を攻撃するのは気が引けるけど……とりあえず、えいや。
「……ふざけてる?」
怒られちゃった。
「魔力を込めて。もっと強く」
確かに魔力を込めないと耐久力試験にならないよね。
でも、すごく危ない。ウチが力加減を間違えたら、ライムさん死んじゃうかも。
「マネキンとか用意できないかな? わざわざライムさんが付ける理由は……」
凄い顔されちゃった。
とてもガッカリしてる……かも?
「……ごめん」
そっか、そうだよね。
ウチは鎧を全く信頼していない態度を見せてしまった。これは開発者のライムさんからすれば、面白くないはずだ。
お詫びに、ちょっと強めに攻撃しよう。
ライムさんから割と高密度な緑の魔力を感じるし、ある程度は大丈夫なはずだ。
「行くよ」
──ライムは緑魔法の天才である。
幼少期から無意識に自分を保護することで、ほとんど「痛み」を知らないまま成長した。しかし、ある時うっかり自分の指を針で刺してしまう。
裁縫の途中だったライムは、あまりにも衝撃的な感覚に涙を流した。初めての痛みは恐怖であり、そして──快楽でもあった。
以後、ライムは痛みを求めた。
だが意識的に自分の指を刺しても、無意識の緑魔法に防がれてしまう。
ライムは痛みを求め続けた。
やがて未知の王子様に対する幻想を拗らせた乙女のように、痛みを渇望した。
ノエルとイロハが過去に戻る前は、少し違った。楽園の長としての責任感によって歪んだ欲望を封印する術を身に付けていた。
だけど今回は、しっかりとした責任感が芽生える前にノエルが現れた。そして彼女はライムに「痛み」を与えた。結果、薄れかけていた欲求が蘇った。
(……まだかな。まだかな。まだかな)
ライムは魔力伝導体を身に纏った。
しかしこれは鎧などではない。むしろ相手の魔力をより強く自分に伝えるための物である。
(……来た! 来た!)
イーロンの右腕に赤い魔力が宿る。
彼の基準における「ちょっと強い一撃」には、生身の人間ならば肉の塊となる程の威力が込められている。ライムは「スカーレットを遥かに上回る魔力」を見て、涎が出る程に期待感を高めた。
そして衝撃。ライムの体は容易く浮かび上がり、十数メートル後方にある棚を破壊したところでようやく止まった。
「ごめん! 大丈夫!?」
イーロンが慌てて駆け寄る。
ライムは……その顔を失望の色に染めていた。
(……全然、痛くない)
ノーダメージだった。
殴打はもちろん、壁に衝突したことによる衝撃すらも、痛みにはならなかった。
ライムはゆるりと顔を上げる。
そして、衝動的にイロハの胸倉を摑み上げた。
「黒魔法、使え」
「……えっと、なんで?」
「黒魔法!!」
かわいそうに。
今のライムは痛みを求める亡霊のような存在であった。
「えっと、流石にそれは、痛いよ?」
イーロンは困惑しながら言った。
「痛くしろ!」
「えぇ!?」
まさかのリクエスト。
イーロンは混乱しながら考える。
ライムは、一体何を考えているのだろう。
分かるわけがない。
イーロンが持つ知識の中に、痛みを求める特殊性癖など無かった。
だが彼は考えることをやめない。
そして、とある答えに辿り着いた。
(……そうか! 修行だね!)
違う。
「分かった」
「来い!」
イーロンは黒の魔力を解放した。
それはライムを包み込み、強固な緑の魔力を減衰させる。
「行くよ」
「早く、早く!」
イーロンはライムに手を近づける。
そして──
「えいっ」
「痛っ」
でこぴんである。
「……」
ライムは額に両手を当て、しばらく呆然とした。
イーロンもまた、想定と違う反応に戸惑って沈黙する。
「……もう一回」
やがて、ライムがぽつりと呟いた。
「分かった」
恐る恐る、でこぴん。
ライムは軽く仰け反った。
「……も、もう一回」
既に、手遅れだった。
「あぅっ」
「おぅっ」
「んぉっ♡」
何度も、何度も、繰り返される。
「もう終わり。おでこ、真っ赤だよ」
「まだまだぁ!」
イーロンはライムに対してクールな印象を抱いていた。しかしそれは消滅した。今の彼女は度重なる甘美な痛みに脳を焼かれ、欲望に忠実な獣となっている。
それを見たイーロンは……
(……なんて、修行熱心なんだ!)
と、なんとも都合の良い解釈をした。
「そういうことなら、とことん付き合うよ!」
「来い!」
これ出来事をきっかけに、二人は定期的に修行をする関係になったのだった。
0
お気に入りに追加
155
あなたにおすすめの小説
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
恋愛
公爵家の末娘として生まれた8歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。
ただ、愛されたいと願った。
そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
毎日スキルが増えるのって最強じゃね?
七鳳
ファンタジー
異世界に転生した主人公。
テンプレのような転生に驚く。
そこで出会った神様にある加護をもらい、自由気ままに生きていくお話。
※ストーリー等見切り発車な点御容赦ください。
※感想・誤字訂正などお気軽にコメントください!
転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー
芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。
42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。
下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。
約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。
それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。
一話当たりは短いです。
通勤通学の合間などにどうぞ。
あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。
完結しました。
小雪が行く!
ユウヤ
ファンタジー
1人娘が巣立った後、夫婦で余生を経営している剣道場で弟子を育てながらゆったりと過ごそうと話をしていた矢先に、癌で55歳という若さで夫を亡くした妻の狩屋小雪。早くに夫を亡くし、残りの人生を1人で懸命に生き、20年経ったある日、道場をたたむと娘夫婦に告げる。その1年後、孫の隆から宅配で少し大きめの物が入ったダンボールを受け取った。
ダンボールを開けると、ヘッドギアと呼ばれているらしい、ここ5年でニュースに度々挙げられている物と、取り扱い説明書と思われる、車のサービスマニュアルほどの厚みをもつ本と、孫の隆本人による直筆と思われる字体で『おばあちゃんへ』と銘打った封筒が入っていた。
ヘッドギアと説明書を横目に、封筒を開封すると、A4用紙にボールペンで、近況報告から小雪の息災を願う文章が書かれていた。とりあえずログインをしてと書かれていたのでログインすると、VRMMO、オールフィクションの紹介に入る。なんでも、今流行りのこのモノは、現実世界のようにヴァーチャルの世界を練り歩く事ができ、なおかつ、そのゲームには料理が様々とあり、色々な味を楽しむ事が出来るとの事だ。
美味しいものを食べることを今の生き甲斐としている小雪に、せめてもの援助をと、初給料をはたいて隆が小雪への娯楽道具をプレゼントしたという事を知り、小雪は感激のあまり少し涙する。
それが、伝説の老女誕生の瞬間だったーー。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる