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赤ずきんちゃん、そのお金持ちに気をつけて

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「おばあちゃん、どうして子供たちを」
 赤いパーカーを着たおさげの女の子が血まみれの部屋の中でガクガクと震えていた。血まみれの部屋の天井には首が無い子どもの体が沢山吊るされていた。
「ククク、子どもは可愛いよ。だって金儲けが出来るからな」
 赤いパーカーを着た女の子の目の前に蛇みたいに細長い体をした人間らしくない要望の老女がいた。
「ダメよ! 子供は大人たちの玩具じゃないわ! 尊い命を無駄にしないで!」
「黙れ! 私の秘密を知ったから、生かしておけん! お前なんか一生、外に出れない様にしてやる!」
 赤いパーカーを着た女の子は体を震わせながら、目の前にいる蛇みたいな不気味な要望の老女から逃げようとするが、不気味な老女は尖った八重歯を見せながら、赤いパーカーを着た女の子に襲い掛かって来る。
 赤ずきんという女の子が身内の恐ろしい秘密を知って大変な目に遭うお話を始めようか。
 赤いパーカーばかり着ている赤ずきんと呼ばれてる女の子はお母さんからおばあちゃんが体調が悪いから、リンゴを届けて欲しいと頼まれた。赤ずきんは五年くらい会っていないおばあちゃんにリンゴを届けるために六本木に向かった。
 赤ずきんのおばあちゃんは昔は貿易商をしていて、今はセレブ向けの保育園を経営している。高収入だから良いところに住める。
 凄い高層ビルが立ち並ぶ六本木はすごい所だ。
「す、すごい。まるで異世界にいるようだわ」
 赤ずきんはたくさん並ぶタワーマンションや高層ビル、綺麗な服を着ている女の子を見てびっくりしている。
「おばあちゃんはこんなすごい所に住んでいるのね。天国に住んでいるんだわ」
 ドーンと天高く昇るタワーマンションを見て赤ずきんはお金持ちの街に驚いている。
「ねえねえ、最近六本木で子供が誘拐される事件が多くない?」
「そうね、ある保育園の子ども達が良く行方不明になっているけど、警察に知らせた方が良いかな?」
 六本木を歩く赤ずきんは通りすがりの人が子ども達が行方不明になっている話を聞いた。
 何で子供たちが行方不明になっているのか、疑問に思う赤ずきんだった。
 赤ずきんはおばあちゃんが住んでいるタワーマンションに向かった。エレベーターに乗って三十五階まで登っていった。
 おばあちゃんの部屋の前まで辿り着いた赤ずきんは、玄関があるインターホンを鳴らした。ピンポーン!といい音がして、自動にドアが開いた。
「すごーい。今のタワマンって自動でドア開くんだね!」
 赤ずきんは自動ドアがあるマンションに目を輝かせてみていた。
 ドアが開いておばあちゃんの部屋の中に入った赤ずきんは、やたら金銀の置物に目が行く。おばあちゃんは大金持ちだ。だから金銀の置物が買えるんだ。
 赤ずきんはセレブ保育園を経営しているおばあちゃんの金持ちぶりに感心しながら、部屋をうろうろする。
「おばあちゃーん! おばあちゃーん! どこにいるのー?」
 赤ずきんはおばあちゃんを探した。おばあちゃんはどこにいるのか分からない。赤ずきんはたくさんあるドアを何度も開いた。
「おばあちゃん! おばあちゃん! あれ?」
 あるドアを開けた赤ずきんは寝室に誰かが寝ているのを発見する。ふかふかのベッドに誰かが横になっているのを赤ずきんは見た。
「すいません。おばあちゃんなの? 寝てるの?」
 赤ずきんはベッドに横たわっている人に声をかけた。
「おばあちゃん、風邪大丈夫なの? 起きれる?」
 赤ずきんははっきりとした声でおばあちゃんなの? と声をかけた。
「おばあちゃん、大丈夫? 起きれる?」
「ぐ、うう、な、に」
「お、おばあちゃん! おばあちゃんなのね!?」
 ベッドにいる人はもぞもぞと動かしながら、「そうだよ」としわがれた声で答えた。
「ああ、そうなの。風邪で声が変になっているのね。おばあちゃんは一人で住んでいるから大変よね。でも、私が来たから安心ね」
 おばあちゃんが風邪で声が変になっているから、美味しいリンゴをすりおろして食べさせてあげようと、赤ずきんは思った。
「おばあちゃん、リンゴを届けに来たけど食べる?」と、赤ずきんはおばあちゃんに声をかける。
「後で」おばあちゃんはしわがれた声で答えた。なぜか顔を見せない。
「じゃあ、すりおろしてあげるから、後で食べてね」
 赤ずきんは疑いもせずにおばあちゃんに後でリンゴを食べてと、言った。
「分かったよ」おばあちゃんは顔を見せないまま、しわがれた声で答えた。
 キッチンに向かって、リンゴを斬ろうと包丁を探す。赤ずきんはキッチンの引き出しを開けようとする。
「? なにこれ? やたら刃物がいっぱいあるけど? どういう事?」
 キッチンの引き出しにやたら刃物がたくさん入っているのに、違和感を覚えた。大ぶりのナイフに出刃包丁、バタフライナイフもたくさん入っていた。
 しかしも、刃物には赤い血が付いていた。
「なにこれ? 洗ってないの?」
 
 赤ずきんは何か不穏な空気を感じた。おばあちゃんは魚をさばく時、使った包丁は必ず匂いがなくなるまでしっかり洗っていた。
 なぜ、血が付いているのか変だと思った。
 あまり刃物を触れたくなくなった赤ずきんは一体おばあちゃんはなぜ、自分に顔を見せてくれないのだろうと思った。
 赤ずきんはおばあちゃんは何か隠していると感じて、部屋を全部調べてみようと辺り一面探した。おばあちゃんのキッチンにドンと設置してある巨大な冷蔵庫を調べてみた。
 冷蔵庫を開けると、チルド室は野菜と果物が入ってた。ここはごく普通だ。冷凍庫を調べてみようと、冷凍庫のドアを開けるとムーっとした鉄の匂いが匂ってきた。
 ウッと鼻が曲がりそうで思わず鼻をつまんだ赤ずきんは何だと思い、冷凍庫の中を調べてみると、動物のレバーの塊がパックに詰められているのを見つけた。
「何だろう? やたら動物のレバーの塊が沢山パックに詰めているんだろう? おばあちゃんは貧血気味なの?」
 赤ずきんは鼻をつまみながら、鉄の匂いにまみれたレバーの塊を手にする。なぜ、おばあちゃんは動物のレバーの塊ばかり冷凍庫に入れているのに疑問に思う。
 赤ずきんは冷凍庫の中にあるレバーの塊に疑問に思いながら、もっとおばあちゃんの事を調べてみようと、おばあちゃんの仕事部屋に行ってみた。
 おばあちゃんの仕事部屋に入った赤ずきんは広くてナチュラルなインテリアに囲まれた仕事部屋にヘ~っとした目で眺めていた。
「確かにうちのおばあちゃんはスウェーデン人のハーフなんだよね。ナチュラルなものが好きだからなー」
 赤ずきんはナチュラルなものが好きなおばあちゃんの緑とアースカラーで整えた部屋を見ておばあちゃんは優しい人だと思っていた。
「でも、うちのおばあちゃんは肉より野菜の方が好きだったんだよねー。何でレバーの塊が沢山冷凍庫に置いてあるのがおかしいな」
 ベジタリアンのおばあちゃんがレバーたくさん食べるのかって疑問に思う赤ずきんは、いつレバーをたくさん買ったのか、おばあちゃんの机に置いてある東芝のノートパソコンを開いてみようと思った。
 おばあちゃんの机に置いてあるパスワードを書き残したメモを見ながら、パソコンのパスワードを入力してパソコンを立ち上げた。
「おっ! 出来た!」
 パソコンを立ち上げた赤ずきんはおばあちゃんが良く検索しているサイトやブックマーク、保存している画像や文章の履歴などを調べてみようとした。
 赤ずきんはおばあちゃんが良く使っているSNSアプリをクリックしてみた。ログインしっぱなしなのが、すぐにおばあちゃんのSNSのアカウントが見つかった。
 おばあちゃんのSNSのフォロワーは高収入の子持ちが結構いた。色んな企業のアカウントもあった。外国人のアカウントも何十人書いた。
 赤ずきんはおばあちゃんのSNSの履歴を調べてみる事にした。ダイレクトメールの履歴を調べてみようとした。
「何々、英語のアカウントの人とやりとりしている。おばあちゃんは英語でやり取りしてる。翻訳してみよう」
 赤ずきんはSNSのダイレクトメールの英語でのやり取りを翻訳機能で調べてみた。
〈なあ、子どもたちは用意したか?〉
〈ええ、日本人の子どもを結構用意したわ。私の保育園の子ども達を用意しましたよ〉
「何? 保育園の子ども?」
 赤ずきんはおばあちゃんと外国人のフォロワーのやり取りで保育園の子どもって事に引っかかった。
 もっとやりとりを調べてみてみた。
〈日本人の子どもを使って臓器移植のビジネスを広めたいと思っているが、良いか?〉
〈日本人の子どもの臓器は高く売れるからね。〉
〈今、日本人の子どもは波動が高い事で海外の医療企業で話題になっているんだ。日本人の子どもの臓器は海外セレブに売れば、儲かるよ〉
〈私はこの国が貧しくなっているから、早くこの国から出たいんだよ。だから金が必要なんだわ〉
 日本人の子どもの臓器は高く売れるってどういう事と赤ずきんの体がぞわっとした。
 おばあちゃんは怪しい商売をしているのか、なぜ外国人とSNSのアカウントを使って怪しいやり取りをしているのか、ぞわぞわした気持ちになる。
 赤ずきんはもっと深く調べてみようとした。
〈あなたの自宅の秘密の部屋に日本人の子どもの死体でいっぱいだろ? ばれないようにしないといけないね〉
〈じゃあ、強力な酸とか使って、死体を溶かさないといけないね。なあ、簡単に人間の骨までとかせる酸を用意しておくれよ〉
〈分かった。今月中に五十人、日本人の子どもの臓器を用意してくれよ。そしたら強力な酸を用意してやる〉
〈子供たちの名簿表を送れよ。高収入の人の子どもが高く売れるから、早く送れ〉
〈分かったよ。今、送るから〉 
 チャットの送付したファイルにクリックした赤ずきんは送付したファイルのデータを調べてみた。
「え? これ保育園の子どもの名簿表?」
 赤ずきんは恐る恐るファイルのデータの中身を見てみると、六本木保育園というおばあちゃんが運営している保育園の名前が書かれていた。
 保育園の名簿表には保育園の子ども達の名前と顔写真が載っていた。保護者の名前と会社名も載っていた。
 赤ずきんは何か恐怖を感じた。チャットでやり取りしている外国人はいったい何者なのか、何故おばあちゃんはこの外国人と怪しい取引をしているのか、体がぞわぞわしてきた。
 もっと、チャットのやり取りを調べてみる事にした。
〈今回の子ども達の臓器は高く売れた。肝臓だけで百万ドルは売れたぞ。感謝する〉
〈また、新しい子どもを用意するから、早く振り込んでくれよ〉
〈あんたが保育園の子どもを殺して、臓器を取り出してくれるから助かるよ。保育園は良い商売だろ?〉
〈ああ、金の為なら子供の命を奪っても悲しまんよ。私はすでに悪魔に魂を売ったからな〉
〈俺達は臓器売買を行う闇の組織の人間だからな。東南アジアのアジトでまた会おうな〉
〈分かった。来週の土曜の夜の空港で会おう〉
 臓器は高く売れた、何て恐ろしい言葉だと赤ずきんはヒイッと叫んでしまった。
「おばあちゃんが六本木のタワーマンションに暮らせるのは臓器売買の仕事をしてるから」
 赤ずきんのおばあちゃんは外国人と臓器売買の仕事をしていた。保育園の子どもを殺して臓器売買の仕事をしている闇の組織と手を組んで大金を稼いでいた事に赤ずきんは声を震わせる。
 このままじゃ危ない。日本の子ども達を守るためにこのことを警察とかに話さないと、手遅れになる。
 善良なおばあちゃんが闇の組織と手を組み、子どもの命を奪ってまで優雅な生活を送っている事に憤りを隠せない。
「はっきりと証明するものを探さないといけないわ」
 もっとはっきりとした証拠を探し出すために赤ずきんは隠し部屋とかないか、部屋を調べてみた。
 本棚の奥に隠し部屋のスイッチが無いか、赤ずきんは本を出しながら探していた。本棚にはなかった。
 大きなクローゼットの中を調べようとクローゼットの扉をガーッと開けた。
 大きなクローゼットの中は黒い高級なコートやスーツ、シャツなどがきちんと揃えてあった。やはり金持ちは整理整頓が上手なのか。
 赤ずきんはクローゼットの中に入って、隠し部屋が無いか壁や床などを調べてみた。
 クローゼットのレールに吊るされている黒い高級なバッグの中身も調べてみた。
 バッグの中身は硬質なペンケースと、本革のクロコダイルの財布が入っていた。
 赤ずきんはペンケースの中身を調べてみた。
 黒い金の縁で飾られているボールペンがあった。赤ずきんは一緒に入ってあったメモ帳に何か書いてみようと思った。
 カチッと一回ボールペンの上の部分を押してみた。普通に字を書く事が出来た。赤ずきんはまだこのボールペンに何かあると思って二回ボールペンの上の部分を押してみた。カチッ、カチッと音が出た。
 するとどこからか、ジーッと蝉の声みたいな音が聞こえてきた。蝉の声みたいな音が聞こえると同時にクローゼットの床の一部分がギコギコと、動いて赤ずきんは慌てた。
 床の一部分が動いて別室に通じる階段が現れた。
「うわわ、何? 階段?」
 赤ずきんは謎の階段が現れて、顔を引きつらせていた。下の階に続く階段からはヒヤッと冷気が漂っていた。
 この階段を降りてみれば何かあるのかもと思った赤ずきんは恐る恐る階段を降りてみようと決めた。赤ずきんは一歩一歩階段を降りてみた。ヒヤッとする冷気が下から入って来る。
 赤ずきんは体を震わせながら、階段を降りていった。
 長い階段を降りた赤ずきんは、硬い鉄の扉が目の前にあった。赤ずきんは恐る恐る鉄の扉を開けてみた。
 ギーッと、音がしてドアが開いた。赤ずきんはヒイッと悲鳴を上げた。
 悲鳴を上げた赤ずきんの目の前には首が無い裸の子どもの遺体が無数に吊り下げられていた。首が無い裸の子どもの腹に内臓が一つもなかった。やはり臓器売買の為に子供の内臓を取り出していたのだろうか。
 壁と床には赤い鮮血が散らばっていて、不気味なものだった。
「こんな事ってないよ! あの優しかったおばあちゃんが裏で酷い事してたなんて……!」
 赤ずきんは首のない子どもの遺体を見て、ショックを受ける。ショックを受けている赤ずきんの背後から足音が聞こえてくる。
「誰?」
 足音を聞いた赤ずきんはすかさず後ろに振り返る。振り返った赤ずきんはヒイッと悲鳴を上げた。目の前には出刃包丁を持った不気味な人相の老婆が目の前に立っていた。
「赤ずきん、私の正体を知ってしまったのね。いくら可愛い孫娘でも、生かしてはおけんね」
 老婆が醜い顔で赤ずきんを睨みつけながら脅した。
「おばあちゃん……おばあちゃんなの? どうして怖い顔してるの?」
「ククク、私が外国の臓器売買の密輸の仕事をしている事を知ってしまった赤ずきんよ、お前はかわいそうな子だ。知らない方が幸せなことだってあるんだよ」
「やっぱり、街の噂話は本当だったんだ。子ども達を可哀そうな目に遭わせないでよ! 子供に優しいふりして、ひどい目に遭わすなんて!」
 おばあちゃんに裏切られた赤ずきんは身構えて、おばあちゃんが子ども達の臓器を売っていた事に怒りを露わにした。
「黙れ! 人はな、お金が無いといけないんだよ! お前を育てるためにお金が必要だから、臓器売買の仕事をしてたんだよ!」
 おばあちゃんはクワッと口が裂けるくらい叫んだ。臓器売買の密輸をしている事を警察に告発しようと決めた赤ずきんは、おばあちゃんに従う事が出来ない。
「私は保育園の子ども達が臓器売買の密輸の犠牲になっている事を警察に話すよ。もう、おばあちゃんの言う事なんか聞かない」
「警察になんかに話させるか!」
 おばあちゃんが赤ずきんに出刃包丁で切りかかってきた。逃げようとする赤ずきんだったが、ズシャーッと背中を切られる。
「うう、あああ、いい、っやああ!」
 背中を出刃包丁で切られた赤ずきんは赤い血をだらだら流しながら、体を竦めた。
「助けて! 助けて! ああああ、あああ!」
 背中から血がドバドバ流れて目の前が暗くなっていく赤ずきんは息を切らしながら、出刃包丁についた血を舐めるおばあちゃんを凝視していた。
 赤ずきんはこのまま、目を閉じた。

 
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