最後の大陸

斎藤直

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第2章 王の帰還

隠し事

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 その日も、レイは夜明けとともに偵察に出かけた。
 レイは前日も不在がちで、リリアに対しては遠くから挨拶しただけである。
 リリアは一抹の寂しさを覚えながらも忙しく働いていた。
 シャリルは完全に無気力状態になり、一日中テント内で寝ている。
 ティンブル家の私兵団所属のロアナという女性隊員のみが彼との接触を許され、食事を運ぶなどの雑務を担っている。なお、ロアナはシャリルの愛人であるとの噂があるが、隊員としては優秀であった。
 リリアは、ちょうどテントから出てきたロアナに声をかけた。
「義兄の様子はどうかしら?」
「はい。食事もきちんと摂られましたし、お体の方は大丈夫かと」
 ロアナは凛として答えた。
 リリアが黙っていると、
「では、職務がありますので」
 と言い、立ち去って行った。 
 リリアに対しては常にややとげ々しい。
 彼女が今どのような感情を抱いているのか、外からは全く測ることができなかった。
 リリアはまだシャリルときちんと話ができていない。今日こそは、と思いつつ、この日もまたきびすを返して遠ざかってゆく。
 今はまだ、深く傷ついたであろうシャリルにかける言葉が見つからないのである。

 レイが単騎で先頭を行き、シュトゥークがすぐ後ろに続き、やや離れてクランジ軍曹、トニー・フォン・ザルツーグ中尉が並走する。
 森の中の道を、四人は馬車の速度に合わせ、ゆっくりと進んでいた。
 森林を抜けるまでに要する正確な時間をクランジ軍曹が測っている。
 次の目的地、ディナーレ公国の主要都市ベルフォートまではかなりの距離がある。
 そこへ至る経路において、この巨大な森林に覆われた山道が最大のネックであった。
 逆に言えば、これが旅団を守っている、ともいえる。
 森林を抜ければ、そこからベルフォートまでは街道が整備されており、移動はスムーズだ。
 しかし、森林が巨大すぎて馬の脚が持たないのである。
 かなりの悪路も所々にあり、途中、馬車を手押しせねばならないこともあるだろう。
 森林の中で野営することも考えたが、もし敵がいるのであれば、危険と言わざるをえない。
 その懸案の森林を、どの時間帯に、いかに通り抜けるか、レイは今それを考えていた。

 クランジは森の中で野営することを提言した。
「森を抜けたときに待ち伏せされていた場合、馬がばてていては一貫の終わりだ。森で野営し、馬の脚を温存すべきだ」
 トニーは反対の立場を取った。
「いや、森は休まずに駆け抜けるべきだ。出口に蓋をされたら終わる」
 クランジ軍曹にもそれは分かる。
「じゃ、一体どうする? この悪路だぞ。どうせ時間はかかっちまう。俺たちにできるのは、敵がいないことを祈ることだかけか? 中尉さんよ」
 二人の議論を背中で聞いていたレイがつぶやいた。
「敵は居るよ」
 それを聞いて皆緊張した。この手の冗談をレイはまず言わない。
 クランジ軍曹が訊ねる。
「フィッカーの仲間が狙っているのか? それはちょっと考えにくいんだが」
 トニーも、
「軍曹に同感だ。この先は完全に勢力圏外だぜ。物資を運ぶのも一苦労だ」
 とクランジ軍曹に同意した。
「フィッカーじゃない。森の先はフィッカーとは別の敵だと思う。無論、両者は結託しているだろうが」
 シュトゥークが訊ねた。
「その敵は誰なのですか? 目的は何なのですか?」
「そこまでは分からない。一度、君の父君に相談してみないことにはね」
「父上に? 」
 シュトゥークの表情がにわかに険しくなる。
 レイは微笑んだ。
「そもそも、この旅の目的が何なのか、僕にはまだよくわかっていないんだ。故郷へ帰りたい気持ちは分かるさ。でもね、これだけの護衛部隊を率いて行かねばならぬほどの危険を承知で、それでもなお急いで帰国しなければならない理由というものが、きっとあるはずだ。それが分かれば、敵が何なのかもだいたい分かるだろう」
「…」
 シュトゥークは何かを言いかけたが、止めた。
 レイは話を続けた。
「それに、だ。フィッカーやシャリルの存在が謎だ。フィッカーのあさましい魂胆は分かったとして、護衛任務に実績のないティンブル家や、うさん臭さの塊のようなフィッカーに護衛を頼むなんて、よほどの理由がない限り、まず起こりえないじゃないか。中尉、そう思わないかい?」
「言われてみれば、そのとおりだ。きっと、どこの組織も引き受けなかったのだろうな」
 とトニーが答えた。
「そうかもしれない。引き受け手がいない理由は二つ考えられます。一つは情勢不安。クーデター派は壊滅したわけじゃないしね。もう一つはお金の問題でしょうね。シュトゥークの前で言いづらいが、予算内で請けてくれる者がフィッカーぐらいしかいなかったのかもしれない」
 シュトゥークは、誰にともなく、
「私は、最初にヤシマに依頼することを進言したのです。そうすれば、きっと上手くいったはずだ。それから…」
 と漏らしたが、その先は少し言いづらそうである。
「続け給え」
 とレイ。
「実は母上が蕃人ばんじんをひどく憎んでいるんです。父上もその影響を受けていて、師匠やリリア殿に顔を合わせたがりません。本当に申し訳なく思っています…」
 レイは黙って聞いている。おおかた察しがついていたことである。
「ところで、実は、隠していたことがあります…」
 シュトゥークはやや逡巡したが黙っておくことはできないと考えた。
「母上のご実家のつながりからフィッカー少佐を紹介されたのが経緯と聞いています。今まで黙っていて申し訳ありません…」
 他の者にとって全くの初耳であった。
「でも、私は不安だった。だから、せめて一人でもいいからヤシマを付けてほしい、と頼んだんです」
 レイは、
「よく話してくれたね」
 とシュトゥークをねぎらった。
 それにしても、若干十六歳の次男坊が、両親に対し、そこまで自らの意見を主張しうることが、そもそも尋常ではない。これが王家たる選ばれし家柄の特質なのであろうか。
 トニーが訊ねた。
「王子は、どうして、そこまでヤシマにこだわりを持たれているのですか? 」
「私が最も敬愛する方が、そう助言してくれたからです」
 その言葉を聞いた瞬間、レイの頭の中のパズルの、それまでなかなか埋まらなかったピースが、ものの見事にはまった。だが、そこから導き出される結論は、当たってうれしいものではなかったため、レイの表情がわずかにかげったのだが、その微妙な変化に気が付く者はいない。
「それって、アラン・フェルダー博士のことだね?」
 とレイが言った。
 シュトゥークは驚いた。
「はい、そのとおりです。よく、そのお名前をご存じで…」
 いったいレイの頭の中はどうなっているのやら。
 それからレイは無口になった。しばらく会話から外れて一人で思案を続けた。
 やがて、考えがまとまったのか、馬を止め、三人へ向き直った。
「王子と軍曹は予定のポイントまで、このまま調査を続けてください」
 と端的に指示した。
 次いでトニーに向かい、
「中尉は、僕と一緒に森の出口まで付き合っててください。少し急ぎますよ」
 と、すぐに馬を反転させ、直ちに進発させた。
「了解だ!」
 トニーも間髪入れずにレイの後を追う。
 二頭の馬が勢いよく駆け出す様子を、シュトゥークが不安気に見つめていた。
 
 レイとトニーが旅団の野営地に戻ったのは陽が落ちる間際であった。
 レイの帰還を知ると、リリアはすぐにレイのテントを訪れた。
 護衛のオットーとライアル伍長も一緒である。
 ところで、リリアはこのとき初めてトニーと直に対面した。
 トニーが合流していることはライアル伍長から聞いて知っていたが、いざ対面すると、以前、ソフィアを奪取しに来た時のことを思い出した。あの時は遠くから事の成り行きを見ていたに過ぎないのだが、わだかまりがないと言えば嘘だ。
 だが、危険を冒してまで、シャリル救出に尽力してくれたことも伝え聞いている。
「中尉殿、義兄を救ってくださいまして、ありがとうございました」
 と言うと、トニーは愛想よく、
「助けたのは彼だよ。俺はほとんど見ていただけだ」
 と言いながら右手を差し出した。
「噂どおりの美人の隊長さんだ。しばらくやっかいになるぜ。よろしくな」
 リリアも右手を出し、
「こちらこそ。報酬はきっちり払いますので、どうかお力添えを」
 と、二人は固い握手を交わした。
 トニーへの挨拶が終わると、
「ごめんなさい、レイと二人にしてちょうだい」
 と頼んだ。
「了解」「了解」「了解だ」
 トニー、ライアル、そして最後にオットーがやや未練を残しながら外に出た。

 リリアはようやくレイと二人きりになることができた。
 一時的にではあるが、重圧から解放された気分になれた。
「はぁーー…」
 と大きくため息を吐き、レイの近くの木箱に腰を下ろした。
「私はこれから何をしたらいいのか、教えてちょうだい」
「その前に、シャリルにはもう会ったのかい?」
 リリアは首を振った。
「それについても、アドバイスがほしいわ。どう言葉をかけたらいいのかわからないの」
 レイはリリアの横に並んで座った。
「シャリルなら大丈夫だよ」
「そうかしら…」
 レイは、あの夜、シャリルと交わした会話の内容を話した。
「あのシャリルがそんなことを言うなんて…」
 リリアは正直、それを聞いて安心した。好き嫌いはさておき、兄であり、ティンブル家の当主であるシャリルがこのまま消えてしまう事態だけは避けなければならない。なぜなら、ティンブル家ひいてはカグヅチ家を守ることが養子たる自分の使命に他ならないからだ。
 もうレイには一生かかっても返せないほどの恩義がある、と感じている。
 リリアがそうしたことを考えていると、レイが何かを察したのか、
「ここにいる間は安心していいよ。こちらが森に入るまでは敵は動かないはずだ」
 とつぶやいた。
 森の入り口には敵の見張りがひそみ、旅団内には内通者がまぎれている、と聞いている。
 現実に引き戻されたリリアは不安を感じ、思わず左手をレイの膝の上に乗せた。
「敵はやっぱりいるの?」
「いる。でも、僕たちは負けないだろう」
「…」
 リリアはニコリと笑った。レイはリリアの肩に手をそっと置いた。
「だが、君が指揮官として機能することが前提条件だからね」
「うん。わかってる。私、がんばるわ。でも…」
 リリアは頭をレイの肩に乗せた。
「今だけは、こういさせて…」
 
 小一時間ほどしてリリアはレイとともに外へ出てきた。
 表情に指揮官らしい凛々しさが戻っている。それを側近たちが出迎えた。
「オットー王子、これから皇太子殿下にお会いしたいんですが、お取り次ぎいただけますか? これは最優先事項です」
「わかった! すぐ話をつけてくるから待っていてくれ!」
 そう言うと奥の方へ駆けていった。
 次いでトニー、ライアルへ指示を出した。
「中尉と伍長は、ケイネス軍曹の縄を解いて、隊務へ復帰させてちょうだい」
「え?」
 と、ライアルは驚きを隠さなかった。
「我々を裏切ったのに? ですか?」
 リリアはうなずいた。
「人手が足りないのよ。それから、理由なら中尉が説明してくれるわ。ね、中尉?」
「ああ、おまかせを。伍長、さあ、ケイネス軍曹のところへ案内してくれ」
 ライアルはまだトニーを信用し切ってはいない。案外、用心深いのである。
「わかりました… 。あの、言っておきますが、僕はあなたの部下ではありませんからね」
「わかってるさ。伍長殿」
 そう言いながら、二人は森の方へ歩いて行った。
 リリアが振り向くと、レイが満足そうに頷いている。
「こんなものかしら?」
「うん。隊長っぽかったよ」
 リリアは一瞬だけ微笑むと、すぐに表情を引き締めた。
「じゃ、殿下の許へ行きましょうか?」
「了解」

 ガルム王国の皇太子、アライス殿下は四十代半ばで、豊かなひげを蓄えた紳士である。
 体格は普通であるが腹回りの過剰な肉付きは年齢の反映であろう。髪は金髪である。
 皇太子后妃レオノーラは三十代後半で、非常に若々しく麗しい婦人であった。他国の王家の息女として生まれ、十六のときにアライスの妃となり、五人の子を産み落とした。髪は黒に近い栗色である。
 これまで両陛下は他者との接触を極力控えてきた。
 報告等は常にフィッカー少佐を通して行われ、王子、王女らを除き、接点がほぼなかった。
 当然、リリアもレイも直に対話をするのは、この時が初めてである。
 オットー、レイの立会いのもと、リリアが現在の状況を説明した。
「…以上、そういうことなので、以後、私、リリア・ティンブルが兄シャリルに変わり、旅団の指揮を執ります」
 皇太子は、髭を指でさすりながら、
「わかった」
 と答えた。
「ご理解頂けまして感謝いたします。ところで、僭越ながら、陛下にお尋ねしたいことがございます」
「なんだね? 発言を許す」
 リリアは一呼吸し、レイの方をちらりと見てから、本題を切り出した。
「この度のご帰国の本当の理由をお聞かせ願えませんでしょうか?」
「…」
 皇太子のみならず妃も、顔色がさっと変わった。
「すまぬが、それは言えぬ」
「私たちは、この数日、偵察を繰り返し行ってまいりましたが、次の目的地ベルフォートに至る間に襲撃を受ける可能性が高いと考えております。しかしながら、情報が不足しておりますゆえ、敵の狙いが何なのか分かりかねております」
 すると、皇太子妃が苛立ちの声を上げた。
「おだまりなさい! 無礼者! 」
 怜悧な刃物のような声が胸に刺さる。
「私たちはただ国へ帰るだけじゃ! 敵の目的じゃと? それは我らではなく、ティンブル、お前たちであろう! 我ら家族にとって、ティンブルはただの迷惑! そのあたりのこと、正しく認識してから物を申すがよい!」
 リリアは下を向いた。返す言葉が出てこない。湧いてくるのは口惜しさだけであった。
「おそれながら…」
 とレイが言うと、
蕃人ばんじんは黙っておれ!」
 と手厳しくあしらわれた。
「いいえ。黙りません。旅団全員の生命がかかっておりますゆえ」
「!」
 屹となる皇太子妃を皇太子がなだめた。
「発言を許す。存念を申してみよ」
「はい。私どもの調査およびフィッカー少佐の言動から察するに、ベルフォートに潜む敵はティンブル家を狙ってはおりません」
「根拠はあるのか?」
「ございます」
「それを申すがよい」
「残念ながら、今この場では申し上げられません。どこに間者の耳があるともしれませぬゆえ」
 皇太子妃のイライラがまた炸裂する。
「殿下に対し無礼が過ぎる! とっとと消えなさい! 蕃人どもめ!」
 リリアはレイの顔を見た。
 レイは頷いた。もうこれで十分、という意である。
 リリアは、
「大変ご無礼なことを申し上げましたこと、どうかお許しください。お話はもう十分でございます」
 と言い、今一度、しっかりと皇太子夫妻を見据えた。そして、
「最後に一つ、ご報告しておきます。以後、護衛部隊の指揮は、このレイ・カヅラキに執らせます。よって、彼の指示には必ず従って頂けますようお願い申し上げます」
 と告げた。
 すると皇太子妃が、
「このような若造に我らの命を預けよ、と申すか! ふざけるにもほどがあります!」
 と再び金切り声を上げた。
 リリアは唇を噛んだ。
「もうお話することはございません。明朝、朝食の後、会議にてカヅラキから今後の方針について説明をさせますので、是非、お御足をお運びのほど。では、失礼」
 リリアは何とか感情を抑えながら両殿下の御前を辞した。
 オットーは、目の前を通り過ぎてゆくリリアの怒りに満ちた横顔を、沈痛な面持ちで見守った。

 外に出たところでレイに尋ねた。
「それで、何かわかったの?」
「まあね。ほぼ裏は取れたようなものだ」
 リリアがめた目で見ている。
「何?」
「あなたって、策士よね」
「なんだ、今頃気づいたのかい?  ところで…」
 レイは耳を貸すように合図した。
 リリアだけに聞こえる声で、
「明日の朝の会議で、僕の命令に反対する者が出たとしたら、その人が内通者だよ」
 と愉快そうに言うのであった。
 
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