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終
黒幕
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再開の合図と同時に、新たな二機が現れる。その瞬間、修介が一機の方に走り、詰め寄る。ロボットが攻撃する間も無く、真っ二つになった。すぐにもう一機に詰め寄り、刀を振り下ろす。
「素晴らしい!修介さん。あのロボットに、攻撃する間も与えないなんて。その調子でクリアできますかね」
司会者が興奮気味に言うのを無視して、次の二機もあっという間に倒してしまった。凛は、呆然としながら修介を見ている。また二機、また二機と倒していく。
「残り十四機」
ロボットの速さが、修介の速さを上回っている。さっきまでと立場が逆になり、避けるのだけで辛そうな顔をしている。
「凛!ちょっと助けてくれ」
息を荒くしながら言う。だが、二機のロボットが刀を振り回し、とても近付ける様子ではない。
「ど、どうしよう。あのままじゃあ、修介が危ない。けど、あんなの近付けない」
凛がぶつぶつと呟いている。
「早く!助けてくれ」
そう言った瞬間、ロボットの振り回している刀が修介の脚に命中した。赤黒い液体が飛び散る。修介は呻き声をあげ、うずくまっている。
「凛!俺のことは構わず、ロボットを倒すんだ」
修介は叫ぶ。だが、うずくまっている修介を狙わず、凛に向かっていく。
「嘘でしょ...。なんで私なの!嫌だ、こっち来ないで」
涙目で叫ぶ。 当然、ロボットには伝わらない。
「やめろ!狙うなら、俺を狙え!凛に近付くな」
修介も叫ぶ。立ち上がろうとしているが、脚が痛むのか中々立ち上がれない様子でいる。凛は脚がすくんで動けない様子だ。
「嫌だ。嫌だ。死にたくない」
消えてしまいそうな声で呟いている。凛の目の前でロボットが止まった。そして、凛の頭上に刀を持ち上げ、振り下ろす。おびただしい量の血が飛び散り、肉が切れる音が部屋に鳴り響く。
「嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ!やめてくれ!もう、やめてくれ」
修介が耳を塞ぎながら呟く。その地獄は二分ほど続いた。
「ここで、試練クリアならず!残念です」
司会者がそう言うと、ロボットが壁に近づいた。壁がひらき、その中に入っていく。修介は大粒の涙を流し、放心状態になっている。
「クリアならず!ですが、これで此処から出られますね」
司会者の言葉で修介が放心状態から解かれた。
「ふざけるな...。俺はこんなの認めない。二人で此処から出るんだ」
「そんなこと言ってももう、あなたの目の前には現れませんよ」
冷徹な口調で言う。修介は何も言えなくなってしまった。
「さて、話はこれくらいにして...」
そう言いかけると、修介が遮った。
「待て。お前が誰なのか。そして、何が目的でこんな事をしているのか、説明してからにしてくれ」
「いいでしょう。今、そちらに行きます」
数秒後、壁がひらいた。人影が見える。靴の音を鳴らし、修介の方に近付いてくる。そして、黒幕が姿を現した。
「お前は...」
驚きの表情を隠せずにいる修介の前にいるのは、女だった。黒髪のロングヘアーで、綺麗に整った顔立ち。脚は長く、顔は小さい。モデル体型だ。 アラカワ チヒロ
「お、お前は......『荒川千尋』」
荒川千尋は修介のクラスの担任だが、先月から妊娠のため、長期休暇を取っていた。
「お前、妊娠して休暇じゃなかったのか」
「妊娠?あんなの嘘。私は人が苦しむ姿を見るのが大好きなの。でも、中学の教師ともなれば休みは殆ど無い。だから、妊娠したって嘘をついて休むことにした。正直簡単だった。バカな校長を騙すのなんて。何も問い詰めないで、全部信じるんだもん」
「あなたたち生徒を騙すことだって簡単だった。みんな、おめでとうございます、その一言で終わり。質問してくる人は何人か居たけど、予め考えておいた答えを返せばいいだけ」
「そうして取った長期休暇を利用して、あのサイトを設立した。噂になるのは、そう遅くはなかったわ。設立して数日経った頃、やっと一組目。あの二人はつまらなかった。女は男に関心がないし、男の方は、女より臆病で小心者だし。すぐ棄権しちゃった。勿論男がね」
表情一つ変えずに話す千尋を修介は、呆然としながら見ている。
「お前、正気か?二人も殺しているんだぞ。俺に通報されたら、人生終わりだ」
「通報でも何でもすればいいじゃない。警察なんて怖くないわ」
「じゃあ、話はこれくらいにして貰おうかしら。三組目に早く会いたいもの」
そう言って千尋は、修介に歩み寄る。そして、ズボンのポケットから、小型のスタンガンを取り出した。
「お、おい...。何する気だ?やめろ。やめてくれ」
修介の目の前に行くと千尋は、スタンガンを修介の首筋に当て、スイッチをONにした。バチバチと、電流が流れる音が鳴る。数秒当てると、修介は動かなくなった。
「さて、後片付けに入るとしましょう」
長い溜息をつき、千尋は呟いた。
中学校に、終業のチャイムが鳴り響いている。修介は目を覚ます。保健室のベッドの上だった。
「何で学校にいるんだ?あの地獄が終わった後...、あれ」
何かを呟いている。混乱しているようだ。だが、全てを思い出したかのように、呻き声を上げ始めた。
「絶対に復讐してやる。荒川千尋、それに、俺たちを地獄に陥れたやつに」
そう呟き、保健室を後にする。
-始業のチャイムが鳴り響いた-
「素晴らしい!修介さん。あのロボットに、攻撃する間も与えないなんて。その調子でクリアできますかね」
司会者が興奮気味に言うのを無視して、次の二機もあっという間に倒してしまった。凛は、呆然としながら修介を見ている。また二機、また二機と倒していく。
「残り十四機」
ロボットの速さが、修介の速さを上回っている。さっきまでと立場が逆になり、避けるのだけで辛そうな顔をしている。
「凛!ちょっと助けてくれ」
息を荒くしながら言う。だが、二機のロボットが刀を振り回し、とても近付ける様子ではない。
「ど、どうしよう。あのままじゃあ、修介が危ない。けど、あんなの近付けない」
凛がぶつぶつと呟いている。
「早く!助けてくれ」
そう言った瞬間、ロボットの振り回している刀が修介の脚に命中した。赤黒い液体が飛び散る。修介は呻き声をあげ、うずくまっている。
「凛!俺のことは構わず、ロボットを倒すんだ」
修介は叫ぶ。だが、うずくまっている修介を狙わず、凛に向かっていく。
「嘘でしょ...。なんで私なの!嫌だ、こっち来ないで」
涙目で叫ぶ。 当然、ロボットには伝わらない。
「やめろ!狙うなら、俺を狙え!凛に近付くな」
修介も叫ぶ。立ち上がろうとしているが、脚が痛むのか中々立ち上がれない様子でいる。凛は脚がすくんで動けない様子だ。
「嫌だ。嫌だ。死にたくない」
消えてしまいそうな声で呟いている。凛の目の前でロボットが止まった。そして、凛の頭上に刀を持ち上げ、振り下ろす。おびただしい量の血が飛び散り、肉が切れる音が部屋に鳴り響く。
「嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ!やめてくれ!もう、やめてくれ」
修介が耳を塞ぎながら呟く。その地獄は二分ほど続いた。
「ここで、試練クリアならず!残念です」
司会者がそう言うと、ロボットが壁に近づいた。壁がひらき、その中に入っていく。修介は大粒の涙を流し、放心状態になっている。
「クリアならず!ですが、これで此処から出られますね」
司会者の言葉で修介が放心状態から解かれた。
「ふざけるな...。俺はこんなの認めない。二人で此処から出るんだ」
「そんなこと言ってももう、あなたの目の前には現れませんよ」
冷徹な口調で言う。修介は何も言えなくなってしまった。
「さて、話はこれくらいにして...」
そう言いかけると、修介が遮った。
「待て。お前が誰なのか。そして、何が目的でこんな事をしているのか、説明してからにしてくれ」
「いいでしょう。今、そちらに行きます」
数秒後、壁がひらいた。人影が見える。靴の音を鳴らし、修介の方に近付いてくる。そして、黒幕が姿を現した。
「お前は...」
驚きの表情を隠せずにいる修介の前にいるのは、女だった。黒髪のロングヘアーで、綺麗に整った顔立ち。脚は長く、顔は小さい。モデル体型だ。 アラカワ チヒロ
「お、お前は......『荒川千尋』」
荒川千尋は修介のクラスの担任だが、先月から妊娠のため、長期休暇を取っていた。
「お前、妊娠して休暇じゃなかったのか」
「妊娠?あんなの嘘。私は人が苦しむ姿を見るのが大好きなの。でも、中学の教師ともなれば休みは殆ど無い。だから、妊娠したって嘘をついて休むことにした。正直簡単だった。バカな校長を騙すのなんて。何も問い詰めないで、全部信じるんだもん」
「あなたたち生徒を騙すことだって簡単だった。みんな、おめでとうございます、その一言で終わり。質問してくる人は何人か居たけど、予め考えておいた答えを返せばいいだけ」
「そうして取った長期休暇を利用して、あのサイトを設立した。噂になるのは、そう遅くはなかったわ。設立して数日経った頃、やっと一組目。あの二人はつまらなかった。女は男に関心がないし、男の方は、女より臆病で小心者だし。すぐ棄権しちゃった。勿論男がね」
表情一つ変えずに話す千尋を修介は、呆然としながら見ている。
「お前、正気か?二人も殺しているんだぞ。俺に通報されたら、人生終わりだ」
「通報でも何でもすればいいじゃない。警察なんて怖くないわ」
「じゃあ、話はこれくらいにして貰おうかしら。三組目に早く会いたいもの」
そう言って千尋は、修介に歩み寄る。そして、ズボンのポケットから、小型のスタンガンを取り出した。
「お、おい...。何する気だ?やめろ。やめてくれ」
修介の目の前に行くと千尋は、スタンガンを修介の首筋に当て、スイッチをONにした。バチバチと、電流が流れる音が鳴る。数秒当てると、修介は動かなくなった。
「さて、後片付けに入るとしましょう」
長い溜息をつき、千尋は呟いた。
中学校に、終業のチャイムが鳴り響いている。修介は目を覚ます。保健室のベッドの上だった。
「何で学校にいるんだ?あの地獄が終わった後...、あれ」
何かを呟いている。混乱しているようだ。だが、全てを思い出したかのように、呻き声を上げ始めた。
「絶対に復讐してやる。荒川千尋、それに、俺たちを地獄に陥れたやつに」
そう呟き、保健室を後にする。
-始業のチャイムが鳴り響いた-
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