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第三試練
氷柱地獄
しおりを挟む号泣する凛を修介は
「怖かったのに、よく頑張ったな」
と、赤ん坊をなだめるように言った。
「今日もお疲れでしょう。ベッドで明日までお休みください」
司会者にそう言われ、修介は凛をベッドに誘導する。二人がベッドに横たわると、照明が消えた。二人は一言も喋らず、すぐに寝息を立て、眠りにつく。
「起きてください。花野凛さん、大山修介さん。どうですか?そろそろ慣れましたか?」
「慣れるわけないだろ。こんな地獄」
「そんなこと言っている割には落ち着いていますね、修介さん」
「冷静に見えると思うけど、内心大分焦ってる。冷静にならないと、死んじまうからな」
「ん?もう朝かぁ」
修介と司会者の会話で、凛が目を覚ました。
「さぁ、凛さんも起きたことですし、第三試練のルール説明をするとしましょう」 ツララ
「第三試練の名は、氷柱地獄です。では、ルールを説明します。あなたたちが寝ている間、床を凍らせておきました」
部屋の床は確かに凍っており、スケート場のようになっている。
「わたしがスタートの合図をしたら、お二人の頭上から氷柱が降ってきます。ただの氷柱じゃあ、ありません。避けられなければ、即死の巨大氷柱です。ツルツルの床で氷柱を全て避けることができれば見事、試練クリアです」
「火、針ときて、今度は氷か...」
「今回は楽勝よ。バランス感覚はいい方だから」
凛が自慢げに言う。
「さぁ、早速始めましょう。第三試練、スタート」
司会者がスタートを告げると、二人の頭上に巨大な氷柱が出てきた。その氷柱はすぐに、二人の脳天めがけて落下してくる。二人は間一髪で避けた。
「あと、四回」
司会者が回数を告げる。
そのあとも二人は順調に避け続けた。
「あと、二回」
凛がバランスを崩し、転びそうになったが、なんとか避ける。
「あと、一回」
もう最後だ。二人の頭上に氷柱ができ、降ってくる。凛は避けたが、修介が転んでしまった。もう駄目かと思ったが、這いつくばり、何とか避けることができた。だが、右の太腿から出血している。
「第三試練、終了」
修介は太腿を押さえ、唸っている。そこに凛が駆け寄った。
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