カップルゲーム

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第一試練

火柱地獄

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「ゲーム、スタート」
 始まりの合図が部屋中に響き渡った。
「さぁ、始まりました。カップルゲーム。まず最初の試練、『火柱地獄』のルール説明をします」
 司会者は、まるでクイズ番組かのように明るく、楽しそうな口調で話している。
「火柱......地獄」
 修介が呟いた。
「安心してください。地獄と言っても、ただの運試しです」
 司会者はそう言うと、一息置いて再び話し出す。
「この部屋の床を一メートル四方のマスでそれぞれ、縦五マス、横五マスに区切りました。二人で相談して、どこかのマスに入ってください。入り終わったら、わたしに手で丸を作るなどして合図を送ってください。合図が確認出来たら、五個のマス以外が燃え盛ります。無事、安全なマスに入れたら、クリアです。これを五回続けます」
 司会者は淡々と話す。
「ねぇ、ちょっと待ってよ!もし安全なマスに入れなかったらどうなるの」
 凛が恐る恐る尋ねる。
「そりゃあ、火柱に呑み込まれて...死、でしょう」
「し、死って......それじゃあ、あんた人殺しよ」
 凛が震えた声で叫ぶ。すると、司会者は、今までの明るい声からは想像できないような冷たい声で言った。
「そこら辺は、心配無用です。何故なら...わたしはもう、『人殺し』ですから」
 それきり、凛と修介は恐怖で喋ることができなかった。すると、いつもの明るい口調で司会者が話し出す。
「さぁ、無駄話はこのぐらいにして、早速始めましょう。まず、マスを選んでください」
 そう司会者に促され、凛と修介は数分話し合い、左から二番目、一番下のマスに移動した。(上から見たとき)修介がスピーカーに向かって、手で大きな丸を作り合図をする。数秒後、何かが爆発したかのような、轟音が部屋中に響く。目の前に火柱が上がっている。二人とも腰を抜かしてしまったのか、座り込んでしまった。火柱はすぐに目の前から消え去る。
「こ、こんなのあと四回もやらなきゃならねぇのかよ...」
 すぐに司会者の声が聞こえてきた。
「もたもたしている暇はありませんよ。早くマスを選んでください。」
 少し苛々している様子で言う。
二人は何とかして立ち上がり、右から一番目、上から二番目のマスに移動した。今回も安全なマスだ。そのあと、三回目、四回目と順調に進み、遂に最後となった。
「ここまでよく頑張りました。遂に最後です。さぁ、マスを選んでください」
 凛と修介は右から二番目、一番上のマスを選んだ。二回目や三回目と違い落ち着いている。修介がスピーカーに向かって合図を送った。二人は手を合わせ、目を瞑る。轟音と共に火柱が凛と修介を取り囲んだ。二人はゆっくりと目をあける。
「第一試練、終了」
終了の合図が部屋中に響いた。生死の狭間から抜け出せた安堵感からか、凛と修介はしばらく、大粒の涙を流し抱き合っていた。
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