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第1幕
六人
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-次の日-
今日も学校を休んだ俺の元に、また封筒が届いた。開封すると、手紙が入っている。読むと、こんな内容だ。
「招待状にご捺印、大変感謝します。五日後、書かれている場所に来てください。この手紙を、忘れずに持ってくるよう、お願いします。忘れれば、大金を入手する権利を失ってしまいます。集合時間を破っても、失われてしまいます。勇気ある参加、お待ちしております」
本文の下には、集合場所と時間が書いてある。
「大金を手に入れるチャンスって、 詐欺じゃないよな...」
ここまで来て、不安が込み上げてくる。
「ま、行ってみるだけの価値はあるかな」
俺はそう言い、眠りについた。起きると、外が暗くなっている。時計を見ると、もう七時だ。
「一食も食べてないから、流石に腹減ったな...何か食べるか」
立ち上がり、冷蔵庫に向かう。扉を開け、中から昨日の残りの、野菜炒めを手に取った。一口、口に運んだ。
「美味しくない。もう、寝よう」
加奈が入院してから、腹は減るのに食べ物が喉を通らない。加奈、早く助けてやるからな。そう呟き、眠りについた。
-次の日の朝-
「無理するなよ。来たいときに来ればいいからな。じゃあ、そろそろ授業が始まるから切るぞ」
「はい。ありがとうございます。では、失礼します」
俺はそう言い、電話を切った。
「はあ...。今日もやる事がないな。とりあえず、寝るか」
加奈が居なくなり、やる事がない俺は一日中寝るのが、日課になっていた。今日も退屈な一日が過ぎていく。
-四日後-
「そろそろ、出発するか」
俺は靴を履き、家を出た。書いてあった集合場所までは、徒歩で三十分ほどだ。学校に行かなくなってから、外に出る機会が無くなってしまった。久しぶりの外の空気を吸い、身体が軽くなった気がする。集合場所に着く。他にも人がいる。ぱっと見、自分を合わせ六人ほどだ。俺が来て五秒ほど経った頃、突如頭に衝撃が走った。意識が遠のいていく。
俺は、ゆっくりと目をひらいた。両手両足を縛られ、身動きができない。
「何だこれ。てか、ここどこだ」
「ここは、海の上を走る船の上です。抵抗されないよう、少々手荒な真似をさせて頂きました」
黒服の男が言う。体格は良く、サングラスをかけている。
「他の人は何処にいるんだ」
「他の参加者は、他の船に乗っています」
「何処に向かってるんだ」
「とある、無人島です」
全ての質問を、表情一つ変えずに答える。
「そろそろ着きますよ」
黒服の男がそう言い、三十秒ほど経った頃、船が止まった。
「さあ、こっちだ」
黒服の男に引っ張られ、船から降りる。無人島に足を踏み入れた。他の参加者も、船から降りてくる。
「ここで待ってろ」
横一列に並んだ俺たちを置いて、黒服の男達は去っていく。するとすぐに、奥から男が向かってきた。笑みを浮かべたピエロの、不気味な仮面をかぶっている。
「ようこそ!参加者の皆さん」
大きく、太い声が響いた。
今日も学校を休んだ俺の元に、また封筒が届いた。開封すると、手紙が入っている。読むと、こんな内容だ。
「招待状にご捺印、大変感謝します。五日後、書かれている場所に来てください。この手紙を、忘れずに持ってくるよう、お願いします。忘れれば、大金を入手する権利を失ってしまいます。集合時間を破っても、失われてしまいます。勇気ある参加、お待ちしております」
本文の下には、集合場所と時間が書いてある。
「大金を手に入れるチャンスって、 詐欺じゃないよな...」
ここまで来て、不安が込み上げてくる。
「ま、行ってみるだけの価値はあるかな」
俺はそう言い、眠りについた。起きると、外が暗くなっている。時計を見ると、もう七時だ。
「一食も食べてないから、流石に腹減ったな...何か食べるか」
立ち上がり、冷蔵庫に向かう。扉を開け、中から昨日の残りの、野菜炒めを手に取った。一口、口に運んだ。
「美味しくない。もう、寝よう」
加奈が入院してから、腹は減るのに食べ物が喉を通らない。加奈、早く助けてやるからな。そう呟き、眠りについた。
-次の日の朝-
「無理するなよ。来たいときに来ればいいからな。じゃあ、そろそろ授業が始まるから切るぞ」
「はい。ありがとうございます。では、失礼します」
俺はそう言い、電話を切った。
「はあ...。今日もやる事がないな。とりあえず、寝るか」
加奈が居なくなり、やる事がない俺は一日中寝るのが、日課になっていた。今日も退屈な一日が過ぎていく。
-四日後-
「そろそろ、出発するか」
俺は靴を履き、家を出た。書いてあった集合場所までは、徒歩で三十分ほどだ。学校に行かなくなってから、外に出る機会が無くなってしまった。久しぶりの外の空気を吸い、身体が軽くなった気がする。集合場所に着く。他にも人がいる。ぱっと見、自分を合わせ六人ほどだ。俺が来て五秒ほど経った頃、突如頭に衝撃が走った。意識が遠のいていく。
俺は、ゆっくりと目をひらいた。両手両足を縛られ、身動きができない。
「何だこれ。てか、ここどこだ」
「ここは、海の上を走る船の上です。抵抗されないよう、少々手荒な真似をさせて頂きました」
黒服の男が言う。体格は良く、サングラスをかけている。
「他の人は何処にいるんだ」
「他の参加者は、他の船に乗っています」
「何処に向かってるんだ」
「とある、無人島です」
全ての質問を、表情一つ変えずに答える。
「そろそろ着きますよ」
黒服の男がそう言い、三十秒ほど経った頃、船が止まった。
「さあ、こっちだ」
黒服の男に引っ張られ、船から降りる。無人島に足を踏み入れた。他の参加者も、船から降りてくる。
「ここで待ってろ」
横一列に並んだ俺たちを置いて、黒服の男達は去っていく。するとすぐに、奥から男が向かってきた。笑みを浮かべたピエロの、不気味な仮面をかぶっている。
「ようこそ!参加者の皆さん」
大きく、太い声が響いた。
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